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SDGsとは?を簡単かつ網羅的に!企業が取り組む意義、事例、ポイント

「社会貢献と企業の営利事業の両立なんて、夢物語では?」

最近よく耳にするSDGs(エス・ディー・ジーズ)。企業に積極的な参加が求められていますが、事業活動の中でSDGsを進めることに矛盾を感じている方は少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。

それは、SDGsの活動を、ボランティアや寄付のような慈善活動だと思っているからかもしれません。しかしそれは間違いです。

慈善活動もすばらしい社会貢献ですが、継続的に取り組むには体力が必要です。

企業によるSDGsへの取り組みは、「事業を用いて社会の課題を解決するもの」です。したがって、ビジネスと両立させることができるのです。

さらに、課題解決の力で新たなイノベーションを起こし、企業と社会の持続可能な未来を築いていくものです。

企業による持続可能な経営が、これまで以上に世界で強く求められている昨今、SDGsを正しく理解することは、企業の成長にとって不可欠であると言っても過言ではありません。

ここでは、ビジネスパーソンとして理解しておくべきSDGs の概要や、企業が取り組む意義、取り組みでの注意点、日本企業の取り組み事例導入のポイントなどを簡単にまとめて解説します。

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ライトワークスブログに掲載された記事からピックアップした企業の人事に関連する163の用語が収録されています。

以下6つのカテゴリに用語を分類し、検索しやすいようまとめています。

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  • 教育テーマ …アンコンシャスバイアス、サーバントリーダーシップ など
  • 採用・雇用 …インフルエンサー採用、エンプロイアビリティ など
  • 人事企画 …健康経営、従業員エンゲージメント など
  • 制度・環境の整備 …インクルージョン、ピアボーナス など
  • 労務管理 …がんサバイバー、36協定 など

ぜひ様々なシーンでお役立てください。


1. SDGsとは、簡単に言うと「国連サミットで採択された、より良い未来の世界のための目標」

SDGsは、Sustainable Development Goals(=持続可能な開発目標)の略称で、2015年9月に国連サミットで採択された、世界を持続可能でよりよくするための国際目標です。2030年までの達成が目指されています。

環境・人権・飢餓・紛争・資源枯渇など、世界が抱える問題を解決するための「目標(ゴール)」が17項目あり、各目標にはより具体的な目標である「ターゲット」が計169あります。さらに、目標に対する進み具合を評価するための、232の「グローバル指標」も設けられています。

SDGsは「誰一人として取り残さない(leave no one behind)」という基本理念のもと、先進国から発展途上国まで、国連に加盟する全ての国の公的機関、個人、企業、団体が取り組むものとされています。

国連は2020年1月、2030年のSDGs達成に向けて「行動の10年(Decade of Action)」と銘打ち、産官学民全ての人により、新たな発想と解決策で行動していこうという呼びかけを始めました。現在、日本においても国や自治体だけでなく、企業や個人も主体的にSDGsの達成に向けて取り組んでいます。

1-1. SDGsの17の目標

では17の目標の内容を見てみましょう。

1. 貧困をなくそう
あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる

2. 飢餓をゼロに
飢餓を終わらせ、食料安全保障及び栄養改善を実現し、持続可能な農業を促進する

3. 全ての人に健康と福祉を
あらゆる年齢の全ての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する

4. 質の高い教育をみんなに
全ての人々への包摂的かつ公正な質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する

5. ジェンダー平等を実現しよう
ジェンダー平等を達成し、全ての女性及び女児の能力強化を行う

6. 安全な水とトイレを世界中に
全ての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する

7. エネルギーをみんなに そしてクリーンに
全ての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する

8. 働きがいも経済成長も
包摂的かつ持続可能な経済成長及び全ての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する

9. 産業と技術革新の基盤をつくろう
強靱(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る

10. 人や国の不平等をなくそう
各国内及び各国間の不平等を是正する

11. 住み続けられるまちづくりを
包摂的で安全かつ強靱(レジリエント)で持続可能な都市及び人間居住を実現する

12. つくる責任 つかう責任
持続可能な生産消費形態を確保する

13. 気候変動に具体的な対策を
気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる

14. 海の豊かさを守ろう
持続可能な開発のために、海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する

15. 陸の豊かさも守ろう
陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処、ならびに土地の劣化の阻止・回復及び生物多様性の損失を阻止する

16. 平和と公正を全ての人に
持続可能な開発のための平和で包摂的な社会を促進し、全ての人々に司法へのアクセスを提供し、あらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包摂的な制度を構築する

17. パートナーシップで目標を達成しよう
持続可能な開発のための実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する[1]

これら17の目標は大きく分けると、社会分野(目標1~目標6)・経済分野(目標7~目標12)・環境分野(目標13~目標15)と、それを横断する分野(目標16、目標17)で成り立っていると言えます。

1-2. 目標に設定された169の「ターゲット」と、「グローバル指標」とは

前節で列挙したSDGsの17の各目標には、先述の通りより具体的な目標を示した「ターゲット」があります。そして、ターゲットごとに達成度を測る全232の「グローバル指標」が設けられています。

「目標」「ターゲット」「グローバル指標」のしくみを理解するために、具体例として「目標1 貧困をなくそう」を取り上げてみましょう。目標1は、7つのターゲットと13の指標で成り立っています。ここでは1つ目のターゲットとグローバル指標を見てみましょう。

目標1 
貧困をなくそう
あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる

 

ターゲット1.1
2030年までに、現在1日1.25ドル未満で生活する人々と定義されている極度の貧困をあらゆる場所で終わらせる。

 

グローバル指標1.1.1
国際的な貧困ラインを下回って生活している人口の割合(性別、年齢、雇用形態、地理的ロケーション(都市/地方)別)

このように、「貧困をなくそう-あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる」という目標1の中に、より具体化した目標の1つ目として「現在1日1.25ドル未満で生活する人々と定義されている極度の貧困をあらゆる場所で終わらせる」というターゲット1.1があります。

そして、これを達成するための具体的な数値として「国際的な貧困ラインを下回って生活している人口の割合」というグローバル指標1.1.1がある、という構成になっています。

なお、目標やターゲット、グローバル指標は、外務省のウェブサイトでも確認できます。

参考)
外務省「JAPAN SDGs Action Platform」,https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/statistics/goal1.html(閲覧日:2021年12月3日)

1-3. SDGsの成り立ち

2015年9月に採択されたSDGsですが、そもそもSDGsはどのように始まったのでしょうか?

実はSDGsに先立って、2000年に国連ミレニアム・サミットで採択されたMDGs(Millennium Development Goals:ミレニアム開発目標)という目標がありました。MDGsは発展途上国が抱える開発問題に対して取り組む目標で、2015年までに達成すべき目標として8つの課題を掲げていました。

しかし、先進国の中にも環境問題や人権問題などさまざまな課題があり、先進国と途上国が一緒に解決しなければならない課題も多くあります。そこで、MDGsの後継としてSDGsが採択されました。

SDGsでは、目標を 17 に拡大して、開発のみならず経済・社会・環境の問題に対応しています。さらに、政府や非政府団体だけでなく、民間企業や個人共に取り組む形になっています。

つまりSDGsは、世界の全ての企業や団体、個人「自分ごと」「自社ごと」として考えていかなければならない目標なのです。

関連用語解説 「サステナビリティ」「CSR」「CSV」「ESG投資」

 

SDGsに関連する、よく聞くキーワードを整理しておきましょう。

 

サステナビリティ(sustainability)
「持続可能性」または「持続することができる」という意味の英語。自然環境や人間社会などが長期的に機能し、良好な状態を維持させようとする考え方のこと。

 

CSR
Corporate Social Responsibility(企業の社会的責任)の略称。「企業は、自社の利益を追求するだけでなく、自らの組織活動が社会へ与える影響に責任を果たそう」という考え方。典型的なCSR活動としては、企業のボランティア的な社会貢献活動があり、例えば金融機関が環境保護活動を行うなど、本業とはかけ離れたプラスアルファの活動が多く見られます。

 

CSV
Creating Shared Value(共通価値の創造)の略称。企業の事業活動を通じて社会の課題を解決することで、「経済的価値」と「社会的価値」を両立して創り出そうとする経営の考え方。アメリカの経営学者マイケル・ポーター教授が提唱したもので、「社会的問題・課題解決のビジネス化」とも言われます。CSRよりビジネスに力点が置かれており、SDGsの理念に近い考え方と言えます。

 

ESG投資
「Environment(環境)」「Social(社会)」「Governance(企業統治)」の頭文字を取った言葉。企業や投資家が、売上高や利益などの実績を重視するのではなく、環境・社会・企業統治に配慮している企業を重要視して行う投資のこと。ESG評価の高い企業は、事業の社会的意義、成長の持続性などが高く評価されていると言えます。

[1] 外務省「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための 2030 アジェンダ」,https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000101402.pdf (閲覧日:2021年12月21日)


2. なぜ、企業によるSDGsの取り組みが盛んになっているのか

SDGs達成のために、世界全体で行動を起こす必要がある中で、特に企業によるSDGsへの取り組みが盛んになっている背景はどのようなものなのでしょうか? 

SDGsの目標は、最近の気候変動問題や、貧困問題、ジェンダー問題など、全て待ったなしで解決が求められるものです。こうした課題に対し、目標達成に寄与する投資やイノベーション創出といった点で、企業に対する期待は大きなものがあります。

2-1. 国連が企業の活動・投資・イノベーションを期待している

2015年の国連持続可能な開発サミットで採択された「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」には、”期待される企業の役割”として次のような文面が記載されています。

民間企業の活動・投資・イノベーションは、生産性及び包摂的な経済成長と雇用創出を生み出していく上での重要な鍵である。我々は、小企業から協同組合、多国籍企業までを包含する民間セクターの多様性を認める。我々は、こうした民間セクターに対し、持続可能な開発における課題解決のための創造性とイノベーションを発揮することを求める。[2]

ここからもわかるように、SDGsの目標達成において、民間企業の存在がとりわけ重要とされています。

2-2. 日本政府が企業のSDGsへの取り組みを推進

日本政府はSDGsへの取り組みを促進するために、2016年5月に内閣総理大臣を本部長とする「SDGs推進本部」を立ち上げました。その後、日本での取り組みの指針をまとめた「SDGs実施指針」や、その具体的な施策をまとめた「SDGsアクションプラン」などを定めています。

2017年にはSDGs推進本部の主催で「ジャパンSDGsアワード」を設立しました。これは、SDGs達成に向けて優れた取り組みを行っている企業や団体を表彰する制度です。

日本政府はこうしたバックアップを行うことで、企業がSDGsに積極的に取り組み、創造性とイノベーションを発揮することを推進しています。

2-3. 経団連「企業行動憲章」の改定でSDGs を示唆

経済界では、2017年に経団連がSDGsの達成を柱として「企業行動憲章」の大幅な改定を行いました。企業行動憲章の10の原則のうち、1つ目には「イノベーションを通じて社会に有用で安全な商品・サービスを開発、提供し、持続可能な経済成長と社会的課題の解決を図る」ことが掲げられています。

この憲章を基に、国内企業がSDGs達成に向けてどのような行動を起こすかが注目されています。

[2] 外務省「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための 2030 アジェンダ」,https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000101402.pdf (閲覧日:2021年11月29日)


3. 企業がSDGsに取り込む意義とメリット、注意点

次は、企業の側から見た場合のSDGsを考えてみましょう。企業がSDGsに取り組むことは、社会に対してどのような意義があるのでしょうか。また、ビジネスにどのようなメリットがあるでしょうか。

さらに、企業がSDGs に取り組む際の注意点も押さえておく必要があります。

3-1. 企業が SDGsを導入する意義

企業がSDGsに取り組む意義としては、以下のようなものが挙げられます。

・世界が抱える課題の解決に貢献できる
・将来の世代の経済成長に責任を果たせる
・日本企業のSDGs導入拡大に影響を与える

・世界が抱える課題の解決に貢献できる
自社の行動が、人権問題や環境問題など、待ったなしの国際的な課題に対する解決につながります。

・将来の世代の経済成長に責任を果たせる
現役世代の利益や成長だけでなく、将来の世代の経済発展を考慮した、責任ある企業活動をすることにつながります。

・日本企業のSDGs導入拡大に影響を与える
社会課題を解決するビジネスが成功すれば、「SDGsへの取り組みが企業価値の向上や投資獲得につながる」ことの好事例となります。それは、日本企業のSDGs導入拡大に影響を与えることになります。

これらからわかるように、SDGsに取り組む意義は、今ある課題を解決することだけでなく、持続可能な未来づくりにも貢献できることにあります。

3-2. 企業がSDGsを導入するメリット

企業がSDGsを導入するメリットには、以下のようなものが挙げられます。

・企業のイメージや企業価値が向上
・新たな事業機会の創出による売上・利益の向上
・資金調達が有利になる

・企業のイメージや企業価値が向上
社会や環境問題への貢献により、顧客・地域住民・従業員やその家族・就活学生、その他ステークホルダーからの信用度や企業イメージを向上させることができます。

・新たな事業機会の創出による売上・利益の向上
SDGsを理解し世界の課題を捉えることにより、新たな取引先や事業パートナーの獲得、新規事業の創出などにつながり、その結果、売上・利益アップを実現できる可能性があります。

・資金調達が有利になる
ESGを反映した投資が世界規模で推進されている中、SDGsへの取り組みが取引や投資の判断条件になる可能性が高まっています。SDGsに取り組むことにより、ESG投資の対象として見なされ、資金調達が有利になります。

要するに、SDGsに取り組むことでステークホルダー(顧客、取引先、投資家、従業員、地域など)のニーズの変化に対応でき、人材確保や資金調達でも有利となり、結果的に自社の持続的な生存戦略になると言えます。

3-3. 企業がSDGsを導入する上での注意点

取り組むことで大きなメリットも期待できるSDGsですが、取り組む際の注意点として「SDGsウォッシュ」があります。

SDGsウォッシュとは、SDGsの目標を掲げているだけで実際には活動を行っていなかったり、イメージアップだけのために取り組んでいるように見せかけたりする状態を非難する言葉です。

「SDGsウォッシュ」であるとみなされると、顧客や取引先からの批判の対象となり、ステークホルダーとの信頼関係が失われ、マイナスの影響がさまざまな面であらわれることになるので注意しなければなりません。

株式会社電通が公表した「SDGsコミュニケーションガイド」では、経営層や広告宣伝担当者、広告会社向けにSDGsウォッシュを回避するためのチェックポイントを紹介しているので、一つの参考として確認しておきましょう。

SDGsウォッシュを回避するためのコミュニケーション上のチェックポイント

1. 根拠がない,情報源が不明な表現を避ける
2. 事実よりも誇張した表現を避ける
3. 言葉の意味が規定しにくいあいまいな表現を避ける
4. 事実と関係性の低いビジュアルを用いない[3]

[3] 株式会社電通「SDGsコミュニケーションガイド」, p16, https://www.dentsu.co.jp/csr/team_sdgs/pdf/sdgs_communication_guide.pdf (閲覧日:2022年1月12日)


4. 国内企業のSDGsの取り組みの現状

ここまでで、企業によるSDGsの取り組みが国連や政府、経団連から期待されていることや、SDGsに取り組む意義やメリット、取り組む際の注意点がわかりました。

続いて、日本における実際の取り組みの現状について知るために、企業のSDGsに対する意識や取り組み事例、日本のSDGsの達成度を見てみましょう。

4-1. 国内企業のSDGsの取り組みに対する意識調査結果

帝国データバンクが2021年に行った、全国 2 万 3,737 社を対象としたSDGs に関する企業の見解についての調査によると、SDGs に積極的な企業39.7%で、前年より増加しています。SDGsに対する意識は、前年より強まっていると言えるでしょう。(図1)

図1)SDGsへの理解と取り組み

引用元)
帝国データバンク2021年7月14日プレスリリース「特別企画 SDGs に関する企業の意識調査(2021 年)」, p2,https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/p210706.html (閲覧日:2021年11月29日)

ちなみに、17の目標の中で現在力を入れている項目を聞いた質問の回答では、目標8 の「働きがいも経済成長も」が トップでした。次いで、「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」(22.3%)、「つくる責任つかう責任」(20.9%)が 2 割台で続いています。(図2)

図2)SDGs17 目標のなかで、現在力を入れている項目(複数回答)

引用元)
帝国データバンク2021年7月14日プレスリリース「特別企画 SDGs に関する企業の意識調査(2021 年)」,p4, https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/p210706.html (閲覧日:2021年11月29日)

意識調査からは、働きがいのある雇用の促進や、省エネ・エコ活動など、企業にとって取り組みやすい目標が上位に選ばれていることが伺えます。

4-2. 国内企業のSDGs取り組み事例

企業によるSDGsの具体的な取り組み事例を2件見てみましょう。ここでは先述の「SDGsアワード」(令和2年度)の受賞企業から紹介します。

・SDGs推進本部長(内閣総理大臣)賞 みんな電力株式会社
・特別賞(SDGsパートナーシップ賞)富士通株式会社

・SDGs推進本部長(内閣総理大臣)賞 みんな電力株式会社

目標7 エネルギーをみんなに そしてクリーンに 
目標9 産業と技術革新の基盤をつくろう
目標13 気候変動に具体的な対策を
目標17 パートナーシップで目標を達成しよう

みんな電力は、青森県横浜町の風力発電でつくった電力を神奈川県横浜市内の15の事業者に供給する「横横プロジェクト」を開始。ブロックチェーン技術を活用した世界初のシステムで「どの発電所からどれだけの電気を買ったのか」を見える化。再生可能エネルギー電力の需給を通した地域連携スキームが評価されました。

参考)
みんなの電力株式会社(東京都世田谷区) 「再生可能エネルギーを通じた地域間連携 ~横横プロジェクト~」,https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/pdf/award4_01_minnnadennryoku.pdf (閲覧日:2021年11月29日)

・特別賞(SDGsパートナーシップ賞)富士通株式会社

目標4 質の高い教育をみんなに
目標14 海の豊かさを守ろう
目標17 パートナーシップで目標を達成しよう

病気などで外出が困難な子供たちに、5Gでの高精細映像伝送、VR、水中ドローン等の先端技術を活用して、水族館と病院内学級をリアルタイムで結ぶ遠隔校外学習を実施。

大学や特別支援学校、水族館などと連携し、先端技術を活用した学習体験を提供したことが評価されました。

参考)
富士通株式会社(神奈川県川崎市)「誰一人取り残さない教育の実現に向けて 5G・VR等の先端技術を活用した遠隔校外学習プロジェクト」,https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/pdf/award4_08_fujitsu.pdf(閲覧日:2021年11月29日)

受賞企業の事例から、どちらも本業を通しつつ新たな発想と技術を生かした取り組みであることがわかります。自社で取り組みを進める際の参考にしてください。

4-3. 世界において、日本のSDGs達成度は高くない!?

日本を含め、世界中で取り組みが盛んになってきているSDGsですが、2030年までに目標に到達するには、現状ではまだ課題が多く残っています。

SDGsでは、持続可能な開発方法ネットワーク(SDSN)とドイツのベルテルスマン財団の独立した専門家チームとの共同により毎年「The Sustainable Development Report」という報告書が発表されています。

この報告書では、世界各国におけるSDGsの取り組みの進捗状況を「見える化」し、成果や進捗度が細かく調査・報告されています。

2021年版を見てみると、例えば国別SDGs達成度ランキングでは、日本は165カ国中18位でした。1位はフィンランドで、続いてスウェーデン、デンマークと北欧諸国がランクインしています。そしてトップ10は全て欧州の国々でした。

報告書では達成度の低い目標も示されています。日本の場合は、以下が挙げられました。

・目標5(ジェンダー平等を実現しよう)
・目標13(気候変動に具体的な対策を)
・目標14(海の豊かさを守ろう)
・目標15(陸の豊かさも守ろう)
・目標17(パートナーシップで目標を達成しよう)

一方で、達成度合いが高く、その水準を維持できている目標は、以下の通りでした。

・目標4(質の高い教育をみんなに)
・目標9(産業と技術革新の基盤をつくろう)
・目標16(平和と公正を全ての人に)

SDGsは世界で一丸となって目標を達成するものです。そのため、こうした報告書の意義は順位そのものではなく、世界の達成状況を見て、自国、自社の課題を繰り返し見直すことにあります。

日本の場合、男女の給与格差などのジェンダー不平等が根強く残っているほか、再生可能エネルギー利用度の低さなどが問題として残っています。これらの問題を優先的に解決し、SDGs全体の達成度を上げていく必要があります。

また、2030年に向けて、企業の新たな参入もさらに拡大させなければなりません。SDGsに取り組む企業は年々増加傾向にありますが、「取り組みを検討していながらもまだ始めていない」という企業も多くあります。

その原因はさまざまですが、SDGsに対する企業の意識についての調査によると、特に中小企業では「自社業務の延長線上の事には取り組めるが、コスト人的資源等から新たな取り組みへのハードルが高い」、「目標が壮大すぎて、取り組みようがない」というような意見が見られます[4]

こうした消極的なイメージを払拭するためにも、企業がSDGsに取り組む際にはまず、SDGsの本質と導入方法をしっかりと理解することが重要です。

[4] 帝国データバンク2021年7月14日プレスリリース「特別企画 SDGs に関する企業の意識調査(2021 年)」, p3,https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/p210706.html (閲覧日:2022年1月12日)


5. 企業のSDGs活動は何からスタートすればよい?

SDGsへの取り組み方は、国や企業によってさまざまです。なぜなら、現在のところSDGsには認証規格はないからです。よって、企業はSDGsに自由に取り組み、それを社会に広く公開してかまいません。

国連や政府が提唱していることから、SDGsは難解そうなイメージを抱かれがちです。ここからは、企業として何から始めればよいかを理解するために、SDGsの導入ポイントと、SDGs 担当者が読むべきSDGsの導入ガイドを、簡単に解説します。

5-1. 導入ポイントは、まず自社の本業に合った目標を選定すること

まずは自社の企業理念や将来のビジョンと、SDGsの目標を照らし合わせてみましょう。その上で、SDGsの17の目標と169のターゲットの中から、自社の活動と結びつきやすく、無理なく継継しやすい取り組み内容を選定することが重要です。

企業によるSDGsの取り組みは、一時的な慈善活動ではなく、自社のビジネスを通して、持続的に取り組むことが基本だからです。

5-2. 企業がSDGs導入時に読むべき無料ガイド4選

自社でSDGsの導入をスタートする際、SDGsに関する知識やノウハウはどこから入手すればよいのでしょうか? GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)によるアンケート調査の結果を見ると、すでに取り組みを行っている、もしくは取り組みを検討中の企業は、行政や団体などの資料を参考にしていることが分かります。

図3)SDGsへの取り組みに際し参考にしている資料(複数回答可)

引用元)年金積立金管理運用独立行政法人「第6回 機関投資家のスチュワードシップ活動に関する上場企業向けアンケート集計結果」, p16, https://www.gpif.go.jp/investment/stewardship_questionnaire_06.pdf(閲覧日:2021年11月29日)

では、多くの企業が活用している上位4つを、導入時におすすめのガイドとして以下に解説していきます。

1位「SDGs経営ガイド」(経済産業省)
2位「持続可能な開発目標(SDGs)活用ガイド」(環境省)
3位 SDG Compass(SDG コンパス)(国連、他)
4位 Society 5.0 for SDGs (経団連)

5-2-1.「SDGs経営ガイド」(経済産業省)

経済産業省の SDGs経営/ESG投資研究会による、企業がSDGsを活用する際の考え方と方法論をまとめた資料です。

「Part1.SDGs-価値の源泉」では、SDGsに関する現状認識を多様な観点から示しています。その上で、「Part2.SDGs経営の実践」では、東京海上ホールディングス、三菱商事、花王、ソニー、日本通運、(セブン& アイ・ホールディングス、オムロンなどの事例を紹介しながら、企業が「SDGs経営」を実践する際に有用な視点を整理しています。

図4)SDGsの取り組み事例
引用元)経済産業省「SDGs経営ガイド」, p20, https://www.meti.go.jp/press/2019/05/20190531003/20190531003-1.pdf(閲覧日:2021年11月29日)

5-2-2.「持続可能な開発目標(SDGs)活用ガイド」(環境省)

2018年に環境省により作成された、これから取り組みを始めようとしている、主に中小規模の事業者向けのSDGsガイドです。

2020年3月に「第2版」が発行され、国内外のSDGsの動向、環境保全関連を中心とした取り組み事例、ガイドライン・ツール・各種支援制度などを新たに追加しています。

図5)PDCAサイクルによるSDGsの取組手順

引用元)環境省「持続可能な開発目標(SDGs)活用ガイド[第2版](本編)」, p17, https://www.env.go.jp/policy/sdgs/guides/SDGsguide-honpen_ver2.pdf(閲覧日:2021年11月29日)

5-2-3.「SDG Compass(SDG コンパス)」(国連、他)

国際的なNGO 「GRI(グローバル・レポーティング・イニシアティブ)」、「国連グローバル・コンパクト(UNGC)」、国際企業で構成される組織「WBCSD」の3者により作成された企業の行動指針です。

企業がどのようにSDGsを経営戦略と整合させ、SDGsへの貢献を測定し管理していくかの指針を提供しています。中でも、企業がSDGsに取り組む際の実践的な「5つのステップ」が提示されており、世界で多くの企業が参考にしています。

図6)SDG Compassの5つのステップ

引用元)「SDG Compass  SDGs の企業行動指針—SDGs を企業はどう活用するか—」,p5, https://sdgcompass.org/wp-content/uploads/2016/04/SDG_Compass_Japanese.pdf(閲覧日:2021年11月29日)

5-2-4.「Society 5.0 for SDGs」(日本経済団体連合)

一般社団法人日本経済団体連合(経団連)が提唱する「Society 5.0 for SDGs」では、SDGsの達成に向けて、革新的な技術を最大限に活用することで経済発展と社会的課題の解決を両立させるコンセプトが示されています。

特設サイト「Society 5.0 for SDGs」内では、目標達成に向けたイノベーション事例が紹介されています。

参考)一般社団法人日本経済団体連合「KeidanrenSDGs」, https://www.keidanrensdgs.com/society5-0forsdgs-jp (閲覧日:2021年11月29日)

以上、SDGs担当者がぜひ読んでおきたい参考ガイドです。全てWEBサイトから無料で入手できるので、ぜひダウンロードして取り組みの参考にしてみてはいかがでしょうか。

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6. まとめ

SDGsとは簡単に言うと、17のゴールと169のターゲットからなる、持続可能な未来の世界を創るための、国連サミットで採択された2030年に向けての目標です。

SDGsは、社会や経済、環境に関するユニバーサルな目標であり、先進国、発展途上国問わず全世界の政府、企業、団体、個人が取り組むものです。

中でもイノベーションを生む企業の積極的な参画と貢献が期待されており、全ての企業活動で、持続可能性の思想に基づく行動が求められています。

企業が SDGsを導入する意義は、以下3点が挙げられます。

・世界が抱える課題の解決に貢献できる
・将来の世代の経済成長に責任を果たせる
・日本企業のSDGs導入拡大に影響を与える

SDGsに取り組む企業側のメリットとしては、以下3点が期待できます。

・企業のイメージや企業価値が向上
・新たな事業機会の創出による売上・利益の向上
・資金調達が有利になる

取り組む際の注意点としては、見せかけだけの取り組みをする「SDGsウォッシュ」があります。顧客や取引先からの批判イメージダウン、信頼喪失に直結するので、十分に気を付けなければなりません。

世界各国におけるSDGsへの取り組みの進捗状況は、毎年「The Sustainable Development Report」という報告書で報告され「見える化」されています。2021年度の達成度ランキングで日本は165カ国中18位でした。

企業がSDGsに取り組み始める際のポイントは、自社の活動と結びつきやすい目標を選ぶことと、継続しやすい内容を選定することが重要です。

なぜならば、企業によるSDGsへの取り組みは、「自社の事業を用いて社会の課題を解決するもの」だからです。

企業がSDGs導入時に読むべきガイドとしては、以下の4つのようなものがあります。

SDGs経営ガイド」(経済産業省)
持続可能な開発目標(SDGs)活用ガイド」(環境省)
SDG Compass」(国連、他)
Society 5.0 for SDGs」(経団連)

すべて無料、日本語で読めるものなので、導入のプロセスや取り組み事例を理解する際にぜひ参考にしてみましょう。

参考)
経済通産省「SDGs 達成へ向けた企業が創出する『社会の価値』への期待」に関する調査研究報告書,https://www.meti.go.jp/policy/economy/keiei_innovation/kigyoukaikei/rcsrkenkyukaihoukokusyo.pdf(閲覧日:2021年11月27日)
帝国データバンクプレスリリース「SDGsに関する企業の意識調査(2021)」,https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/p210706.html(閲覧日:2021年11月27日)
経済通産省「SDGs経営ガイド」,https://www.meti.go.jp/press/2019/05/20190531003/20190531003-1.pdf(閲覧日:2021年11月27日)
国連広報センター「2030アジェンダ」,
https://www.unic.or.jp/activities/economic_social_development/sustainable_development/2030agenda/(閲覧日:2021年11月27日)

首相官邸「2015 年 9 月 25 日第 70 回国連総会で採択 (国連文書 A/70/L.1 を基に外務省で作成)仮訳我々の世界を変革する:持続可能な開発のための 2030 アジェンダ」,https://www.kantei.go.jp/jp/singi/sdgs/dai1/sankou3.pdf(閲覧日:2021年11月27日)
首相官邸「持続可能な開発目標(SDGs)推進本部 実施指針」,https://www.kantei.go.jp/jp/singi/sdgs/(閲覧日:2021年11月27日)
外務省「日本政府の取組 | JAPAN SDGs Action Platform 」,https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/effort/index.html(閲覧日:2021年11月27日)
SDG Compass「SDGs の企業行動指針 – SDG Compass」,https://sdgcompass.org/wp-content/uploads/2016/04/SDG_Compass_Japanese.pdf(閲覧日:2021年11月27日)
環境省「全ての企業が持続的に発展するために」,https://www.env.go.jp/policy/SDGsguide-honpen.rev.pdf(閲覧日:2021年11月27日)
Sustainable Development Solutions Network and the Bertelsmann Stiftung,「Sustainable Development Report 2021」, https://dashboards.sdgindex.org/,
https://dashboards.sdgindex.org/profiles/japan(閲覧日:2021年11月29日)
国際連合広報センター 「持続可能な開発目標 カラーホイールを含むSDGsロゴと17のアイコンの使用ガイドライン」,https://www.unic.or.jp/files/SDG_Guidelines_AUG_2019_Final_ja.pdf(閲覧日:2021年12月21日)

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