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人的資本経営のトップランナーから学ぶ、人材育成の新潮流とは?

1分で読める人材育成ニュース

「人的資本経営」という言葉を耳にしない日は無いほど、この概念は浸透してきました。一方で、言葉だけが先行し、具体的な取り組みに苦慮している企業も少なくありません。

今回は、人的資本経営コンソーシアム第2期『人的資本経営の現状・課題とトップランナーたちの取組』を基に、先進企業の事例から、人的資本経営における人材育成のヒントを探ります。

1. 経営戦略と連動した人材戦略
トップランナー企業に共通するのは、経営戦略と人材戦略を密接に連動させている点です。
経営目標を達成するために、どのような人材がどれだけ必要なのかを明確に定義し、その上で、採用、育成、配置といった人材戦略を策定しています。

例)荏原製作所
「技術元素表」を活用し、経営戦略と人材戦略の連動性を高める取り組みを進めています。

2.人材ポートフォリオの最適化
将来を見据えた人材ポートフォリオの最適化も重要です。
各企業は、自社に必要な人材タイプを定義し、それぞれのタイプに必要なスキルや経験を明確化しています。そして、現状の人材とのギャップを把握し、採用、育成、配置を通じて、ポートフォリオを最適化していきます。

例)セイコーエプソン
長期ビジョンに基づき、強化領域への重点配置、人材育成強化、組織活性化という3つの軸で人材戦略を推進しています。

3.リスキリングと自律的なキャリア形成支援
トップランナー企業は、事業環境の変化に対応できる人材を育成するため、リスキリングを積極的に推進しています。
その際、企業が一方的に研修を提供するのではなく、社員が自律的にキャリアを形成できるよう、支援する仕組みを整えることが重要です。

例)中外製薬
ジョブ型人事を導入し、社員が自らキャリアを描き、学び、成長できるような人材戦略を策定しています。

4.多様な人材の活躍推進(DE&I)
多様な人材が活躍できる環境づくりも欠かせません。トップランナー企業では、性別、国籍、年齢、障害の有無など、多様な属性を持つ人材の活躍を促進しています。

例)出光興産株式会社
社長の諮問機関として「DE&I推進委員会」を設置し、主要KPIとして女性採用比率、女性役職者比率、男性育児休業取得率の改善を進めています。また、生成 AIを活用した活躍機会の創出にも取り組んでいます。

5.エンゲージメント向上
社員が働きがいを感じ、組織への愛着を深めるための取り組みも重要です。エンゲージメントを測定し、改善策を講じている企業も多くあります。

例)三井住友トラストグループ
社員のウェルビーイングを重視した人的資本戦略を展開し、取組状況の成果を定量情報として統合報告書・有価証券報告書に開示しています。

6.人事部門のケイパビリティー向上
人事部門の役割も高度化しています。トップランナー企業では、CHRO(最高人事責任者)を設置し、経営トップとの連携を強化している企業が増えています。

例)NEC
人事部門の役割を「経営と人事の同期化」「カルチャー醸成」「ガバナンス」の3つに変化させています。

7.積極的な情報開示
人的資本に関する情報を積極的に開示し、企業価値向上への取り組みをアピールすることも重要です。トップランナー企業の開示情報を参考に、自社の取り組みを検討してみましょう。

例)SCSK
有価証券報告書と統合報告書の両方で詳細な情報を開示しています。

これらの事例から、トップランナー企業は、人材を「資本」と捉え、その価値を最大限に引き出すための経営を実践していることが分かります。
経営戦略と人材戦略の連動、人材ポートフォリオの最適化、社員のキャリア形成支援やエンゲージメント向上、多様な人材の活躍推進が、人的資本経営を成功させるための重要な要素と言えるでしょう。

トップランナー企業の事例を参考に、自社の状況に合わせた人材育成戦略を構築し、人的資本経営を推進していきましょう。

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資料の詳細は、以下をご覧ください。
「人的資本経営の現状・課題と トップランナーたちの取組」
https://hcm-consortium.go.jp/pdf/2024_soukai03_GoodPractice.pdf