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レディネスとは?新たな環境に早期に適応!シーン別活用法や事例を解説

レディネスとは?新たな環境に早期に適応!シーン別活用法や事例を解説

「新入社員をなるべく早く社会人生活に慣れさせ、早期離職を防ぎたい」

新しい環境に飛び込んだり、未経験の業務に挑戦したりする際には、事前準備が大変重要です。それは、学生から社会人となり環境に大きな変化が訪れる新入社員も同様です。

東京商工会議所が新入社員を対象に実施した「2024年度 新入社員意識調査」[1]によると、「社会人生活で不安に感じること」という問いについて、「仕事が自分の能力や適性に合っているか」(48.9%)がトップとなっています。

新入社員は、そもそも「仕事」というものに慣れていないため、新しい環境への不安を抱えやすいといえるでしょう。この傾向を踏まえて、企業側は、新入社員が社会人生活への不安を解消し、自信を持って仕事に適応していけるよう対策をしなければなりません。

この際に重要になるのが、新たな環境で活躍したり、物事に取り組んだりするための準備状態を指す「レディネス」です。

本稿では、レディネスの重要性やメリット、レディネスを施策に活用するためのポイントや注意点、企業事例などを解説します。

ぜひレディネスを人材育成に役立てる際の参考にしてください。

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人材育成における「レディネス」とは?

レディネス(readiness)とは、学習をしたり物事に取り組んだりする前に、基礎となる知識や経験が身に付いていたり、身体が出来上がったりしている状態を指す心理学用語です。

レディネスは、幅広いシーンで重要となります。ここでは、企業の人材育成においてレディネスがどのような役割を果たすのかを確認しましょう。

レディネスの定義:変化に対応する準備性

レディネスは、「心身の準備が出来ていること」を示す言葉です。

レディネスがない、つまり物事の基礎となる知識や経験などがないと、新たな環境に適応したり、学習を進めたりすることが難しいといわれています。

例えば、新入社員の場合、内定者研修などを実施して学生時代からの環境の変化を受け入れる状態をつくれるようにしておくと、理想と現実のギャップを軽減でき、早期に社会人生活に馴染むことができます。

スキルアップのための新たな学びをスタートする場合も、レディネスがあれば習得スピードやモチベーションの向上につながります。

また、どの職業分野に興味や自信があるのかを測定する「職業レディネス・テスト」[2]というものもあります。主に学生や求職者向けとされていますが、職業に対するレディネス形成のきっかけとして活用できます。

効率的な学びにはレディネスが重要

学ぶテーマへの関心が高いほど、従業員は自主的に学習を進めようとするでしょう。レディネスがあると学びへの興味や意欲を持ちやすくなり、レディネスがないケースに比べて効率的かつ高水準な学びが可能です。

レディネスの形成は自律的な学びを推進し、人材育成そのものを加速させるといえるでしょう。

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レディネスの種類

レディネスにはさまざまな種類がありますが、人材育成に活用できるレディネスとして次の3種類が挙げられます。

就業レディネス

「就業レディネス」は、学生から社会人になるための準備が整った状態を指します。

企業側の施策例としては、内定者に内定者研修などを行い自社で働くイメージを持たせ、社会人としての心構えをしてもらうなどが考えられます。就業レディネスがある人材は、入社後に社内の雰囲気や業務に早期に適応し、定着もしやすいでしょう。

実際に、入社前の段階で就業レディネスが高い人には、以下のような特徴があることがさまざまな研究から分かっています[3][4]

  • 就職活動に対する満足度が高い
  • 新人時代に組織・仕事への適応に結び付くプロアクティブ行動(未来に起こり得る出来事を想定して、主体的に対応する行動)を取れる
  • 入社2年目以降も環境に適応しやすく、離職意思が低い

また、内定期間のフォローだけでなく、採用選考時の対応も就業レディネスの形成に関わります。

株式会社リクルートキャリアの「就業レディネスを高めるための企業側フォローに関する考察」[5]によると、選考時に、自社のネガティブな内容も含めた情報開示をするなど「誠実なコミュニケーション」や、より多くの先輩従業員と接する機会を設けるなど「意思決定するための情報や機会の提供の充実」に関わるフォローをしっかり行うと、内定先企業への理解が深まり、就業レディネスが向上することが分かっています。

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職業レディネス

「職業レディネス」は、業務において期待される役割を果たすための準備が整った状態を指します。ここでの「準備」とは、特定の業務をこなす能力を有することだけでなく、業務への興味や自信が十分であることも含まれます。

従業員の職業レディネスが不十分な場合、企業が教育や研修を充実させても、期待する成果を上げられない可能性が高くなります。

デジタルレディネス

「デジタルレディネス」は、デジタル環境の変化や時代の流れなどによるデジタル化に対応できる準備が整っている状態を指します。

今、多くの企業がDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進しており、ITを活用したビジネスモデルの推進や組織の変革、新しいデジタル知識の習得などに適応できる従業員の確保・育成が喫緊の課題になっています。

DX推進による競争力強化のためには、より多くの従業員のデジタルレディネスを高めることが求められます。


シーン別:レディネス活用のメリットと重要性

レディネスをビジネスにおいて活用すると、どのようなメリットが得られるのでしょうか。シーン別の活用法と、期待される効果を解説します。

内定者研修/新入社員研修:早期戦力化を促すレディネス向上施策

新入社員は特に、新しい環境に対して抱いていた理想と現実のギャップに戸惑いや不安を感じやすい傾向にあります。これをリアリティショックといいます。

株式会社パーソル総合研究所とCAMPの共同調査[6]によると、社会人1~3年目の800人のうち76.6%が何らかのリアリティショックを受けています。

リアリティショックによる意欲低下早期離職を防ぐには、就業レディネスを高め、理想・イメージと現実とのギャップを埋める必要があります。

内定者研修や新入社員研修を実施し、業務や社会人生活について丁寧に説明したり、先輩とコミュニケーションを取る機会を増やしたりしましょう。

また、新入社員は業務に取り組む前段階として、論理的思考やチームワークといった「社会人として必要な基礎力」を身に付ける必要があります。このような「業務遂行のためのレディネス」の形成を促せばスムーズに業務になじみ、早期に戦力となる人材へと成長できるでしょう。

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組織開発:採用ミスマッチや離職の防止

採用説明会や面接などでは、学生や求職者に向けて自社のネガティブな情報も含むリアルな実情を開示するようにしましょう。自社への理解納得度が高まってレディネスが向上し、入社後のミスマッチを減らせます。

また、新入社員も既存従業員も、入社後や異動後に新たな環境・業務への適応が難しいと、離職につながってしまう可能性があります。こうした事態を防止するためにも、企業は研修やeラーニングなどを活用し、レディネスの形成を図りましょう。

事業推進:新プロジェクトのスムーズな進行

レディネスが形成されている従業員は、未経験の業務や新規導入されたツールなど、未知の物事への抵抗感が少なく、スムーズに事業を展開できます。

新プロジェクトにも前向きな気持ちを持って積極的に挑戦できるため、生産性向上や成果アップも期待できます。

DX推進:従業員の意識改革とスキルアップ

デジタル環境の変化や時代の流れによるデジタル化に対応する準備ができた状態を指す、デジタルレディネスの形成はDXの推進につながります。

総務省の公表資料[7]によると、日本企業が挙げた「デジタル化に関する現在認識している、もしくは今後想定される課題や障壁」のトップ3は以下の通りです。

  1. 人材不足(41.7%)
  2. デジタル技術の知識・リテラシー不足(30.7%)
  3. アナログな文化・価値観が定着している(29.5%)

これらの課題を解決するには、従業員の意識変革を行い、デジタル技術の活用に必要な知識やスキルの獲得を迅速に進めることが重要です。デジタルレディネスがあると、そうした取り組みをスムーズに進められます。

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レディネスを活用する際のポイントと注意点

ビジネスシーンでレディネスを活用する際には、施策の効果をより高めるために以下の4点を意識しましょう。

コミュニケーション促進:ビジョン共有と双方向の対話

従業員に、新たな環境への適応や学びの基礎となる知識や心構えを習得してもらうために研修は有効です。しかし、研修を実施するだけで、従業員のモチベーションがアップするわけではありません。

上司は、部下と十分なコミュニケーションを取り、ビジョンを共有するようにしましょう。上司が部下に求めるスキルや目標を分かりやすく伝えれば、部下はレディネスを形成しやすくなり、それを生かして意欲的に業務に取り組めます。

ただし、上司が一方的に要望を伝えるのではなく、部下の話にじっくり耳を傾け、双方向の対話を意識することが大切です。

環境整備:心理的安全性を確保し、挑戦を後押し

レディネスを活用するには、環境整備も重要です。企業は、職場の心理的安全性(従業員が安心して自分の意見を言える、また、行動に移せる状態)を高め、レディネスが形成された従業員が失敗を恐れず挑戦できる環境づくりに注力しましょう。

心理的安全性が高く挑戦を後押しする環境を構築できれば、良好なコミュニケーションの中で「目標に向けた適切な手段」「現状、自分に足りていないもの」などの改善点を発見する機会が増加し、問題解決をスムーズに行えます。

研修の効果測定とフィードバック:効果的なレディネス形成を検討

研修を実施する場合は、定期的に効果測定も行いましょう。思うようにレディネスが形成されず、従業員のパフォーマンス向上につながらない場合は、研修内容を見直す必要があります。

加えて、研修後のフィードバックも重要です。個々が現状の強みや改善点を把握することがレディネス形成に役立ち、業務に対して前向きに取り組めるようになります。充実したフィードバックを実施するために、日頃から上司と部下のコミュニケーションも大切にしましょう。

レディネスのバランス:不足や過剰はないか?

採用活動や人材育成などにレディネスの観点を取り入れ、レディネスを持った人材が活躍するようになれば、優秀な人材の確保、ひいては企業のイメージアップも期待できます。

しかし、従業員に過剰なレディネスを求めてしまうと時間やコストがかかり、事業展開や企業の成長に遅れが出ることもあります。

レディネスは不足過剰も企業や従業員にデメリットをもたらす要素になり得るので、バランスを考慮して適切な施策を実施しましょう。


就業レディネスを意識した内定者・新入社員フォロー事例:株式会社現場サポート

建設業向けのソフトウェアやクラウドサービスの販売・サポートなどを行う株式会社現場サポートでは、就業レディネスを意識した内定者・新入社員フォローを実施しています。

同社の内定者フォローは、就業レディネスの形成は内定者自身の行動だけでなく、企業からの働きかけも大きく関係するという考えの下、「現場サポートについての理解を深め、内定者時代の不安を拭う」ことを目的として行われています。

具体的には、コミュニケーションツール「Conne」を活用し、内定者が採用チームやその他の従業員と気軽にコミュニケーションを取れるオンラインスペースを用意しています。

内定者が近況を投稿して従業員たちがコメントをする内定者と全従業員のスペースと、内定者が採用チームに質問や相談ができるクローズドな連絡用スペースの2つがあります。

入社前に企業や従業員の雰囲気を知ることは、入社後のリアリティショック防止につながります。

また、新入社員に向けて「新入社員何でも相談室」という連絡事項から悩み相談まで、さまざまな内容の投稿ができるオンラインスペースも設けています。

気軽に投稿できるスペースの存在は、分からないことを誰に聞けばよいか分からないという新入社員が抱きやすい不安の解消や、上司・先輩とのコミュニケーションの促進につながっています。


まとめ

レディネスとは、学習をしたり物事に取り組んだりする前に、基礎となる知識や経験が身に付いていたり、身体が出来上がったりしている状態を指す心理学用語です。人材育成において、レディネスは2つの役割を持ちます。

  • 変化に対応するための準備
  • 効率的な学びの実現

ビジネスに関連するレディネスは、3種類あります。

  • 就業レディネス
  • 職業レディネス
  • デジタルレディネス

企業内でのレディネス活用は重要であり、以下のようなシーンで活用され、さまざまなメリットをもたらします。

  • 内定者研修/新入社員研修
  • 組織開発
  • 事業推進
  • DX推進

レディネスを活用し、より良い施策を打つために以下の4点を意識しましょう。

  • コミュニケーション促進
  • 環境整備
  • 研修の効果測定とフィードバック
  • レディネスのバランス

最後に企業事例として、株式会社現場サポートの就業レディネスを意識した内定者・新入社員フォローをご紹介しました。

レディネスの形成を促進することは、従業員の意欲や生産性の向上離職防止につながります。採用活動や人材育成、内定者・新入社員のフォローなどさまざまな場面でレディネスの活用を検討してみてはいかがでしょうか。

[1] 東京商工会議所 人材・能力開発部「2024年度 新入社員意識調査 集計結果」(閲覧日:2024年10月16日)
[2]一般社団法人 雇用問題研究会「職業レディネス・テスト[第3版]【VRT】」,(閲覧日:2024年8月23日)
[3] 株式会社リクルートキャリア 就職みらい研究所「充実した就職活動が入社後の適応や定着におよぼす影響-就業レディネスの重要性-」,2015年7月21日公表,P3-5(閲覧日:2024年9月9日)
[4] 株式会社リクルートマネジメントソリューションズ 測定技術研究所「School to Work Transition の促進に関する縦断研究1-就業レディネス尺度の開発と入社後の適応との関係について-」,2021年公表,P4-6(閲覧日:2024年9月9日)
[5] 株式会社リクルートキャリア 測定技術研究所「就業レディネスを高めるための企業側フォローに関する考察―内定保有者を対象とした調査から―」,2016年公表,P3(閲覧日:2024年9月9日)
[6] パーソル総合研究所×CAMP「就職活動と入社後の実態に関する定量調査 結果報告書」,2019年5月公表,P11,(閲覧日:2024年9月9日)
[7] 総務省「国内外における最新の情報通信技術の研究開発及びデジタル活用の動向に関する調査研究の請負成果報告書」,2023年3月公表,P243(閲覧日:2024年9月9日)

参考)
株式会社マネーフォワード「レディネスとは?意味や種類、メリット、活用するポイントを解説!」,『給与計算ソフト「マネーフォワード クラウド給与」』,https://biz.moneyforward.com/payroll/basic/67186/(閲覧日:2024年8月23日)
朝日インタラクティブ株式会社「レディネスとは?人材教育で注目される理由とレベルを高める方法を解説」,『ツギノジダイ』,https://smbiz.asahi.com/article/14848119(閲覧日:2024年8月23日)
株式会社日本人材ニュース社「レディネス」,『日本人材ニュースONLINE』,https://jinzainews.net/glossary/readiness/(閲覧日:2024年8月25日)
株式会社現場サポート「新入社員の定着率向上に!就業レディネスとは」,『Conne サポートサイト』,https://support.genbasupport.com/conne-cs/topics-118484/(閲覧日:2024年8月25日)

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