「オンライン教育をもっと充実させていきたい」
株式会社野村総合研究所が実施した「従業員エンゲージメントに関する調査」[1]では、エンゲージメント向上に関わりの深い7つの評価観点が挙げられています[2]。
そのうちの1つが「従業員の継続的な成長にサポートがある」ことです。
多くの企業がこれまでも全社研修や階層別研修などを実施し、長期的に従業員の成長を図っています。一方で、意欲のある従業員への教育をもっと充実させたい、優秀な従業員に、より高度なスキルを身に付けて欲しいという課題は、常にあるのではないでしょうか。
企業によっては、人材育成や福利厚生の制度として自己啓発や資格取得を支援し、費用を助成したり、選抜式でビジネススクールへの派遣を行ったりしている場合があります。
しかしコロナ禍の今、従業員のニーズに応え、かつ健康を守るには、学びの支援にも工夫が必要になります。その工夫の1つが、オンライン教育の充実です。
中でも、特に活用を検討したいのがオンラインのビジネススクールです。
オンラインのビジネススクールは、プログラムの質の確かさに加え、しっかりとしたオンライン教育のノウハウを持っている点が魅力です。
新型コロナウイルスの影響で、急いでオンライン教育体制を構築したスクールや予備校よりも、効果的・効率的にスキルを身に付けられるでしょう。
本稿では、オンラインのビジネススクールにフォーカスして、活用のメリットや注意点、スクール選定のポイントなどを徹底解説します。ぜひ参考にしてください。
「ビジネススクール」以外にも、「ARCSモデル」や「エンプロイアビリティ」など、近年話題の人事系キーワードについて詳しく知りたい場合は、163の用語を解説している「人事用語事典」をご利用ください。
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目次
1. そもそもビジネススクールとは
まず、「ビジネススクール」とはどのようなものなのか見ていきましょう。
1-1. 海外と日本で異なる「ビジネススクール」の意味
日本と海外では、「ビジネススクール」の意味が異なります。
日本で一般的に「ビジネススクール」と言えば、まず、経営や関連する科目を学び、経営学修士(Master of Business Administration:MBA)の学位を取得できる大学院が挙げられます。
また、リーダーシップやコミュニケーション、PC操作といった一般的なビジネススキルを学んだり、簿記や会計などビジネス関連の資格取得や、実務セミナーを行ったりするスクール・予備校も「ビジネススクール」と呼ばれます。
そのため日本における「ビジネススクール」とは、MBAの取得に限らず、ビジネスに関する幅広いスキルを学ぶスクールとして認識されています。
一方で、海外、特に欧米で「ビジネススクール」と言えば、100年以上の歴史がある伝統的な教育課程であり、一般的には、MBAを取得するために経営学や関連した科目を学ぶ大学院を指します。
大学院だけでなく、4年制大学や2年制大学で学士・準学士を取得したり、ノンディグリープログラム(入学審査がなく、学位の取得を目的としない)によって講義を受けられたりする場合もあります。
なお、ビジネススクールの教育の質や研究力などを証明する国際認証(第3章を参照)があります。ForbesやThe Economistなどの有名経済誌やその他の評価機関が、独自にMBAスクールのランキングを公表しています。
このようなことから、「ビジネススクール」の定義は、海外よりも日本の方がかなり広いと言えます。
そのためビジネススクールを探す際には、例えば「MBAを取得したい」、「簿記2級を取得したい」、「プレゼンスキルを高めたい」など、目的を明確にしておくことが大切です。
1-2. ビジネススクールに通うのはどんな人?
ビジネススクールに通うのは、30代~40代が中心となっているようです。プレーヤーからマネジャーになったり、上級の役職についたりするタイミングで、さらに知識やスキルをつけたい場合が多いと考えられます。
また、ビジネススクールに通うと、現在の仕事に生かす以外にも、以下のようなことが可能になります。
・転職
・起業
・人脈づくり
経営に関するさまざまな知識を身に付けられるだけでなく、ビジネススクールには自ら積極的に学ぼうとする人が集まります。そのため、異なる年代や業種・職種の受講生から良い刺激を受けることができるほか、卒業後も新たなビジネスにつながるネットワークの構築に役立ちます。また、海外のビジネススクールで学べば、英語力を磨くこともできます。
ビジネススクールで研さんする従業員がいると、企業にもメリットがあります。例えば、次世代リーダー候補をビジネススクールに派遣することによって、経営に関する知識やリーダーとしての意識の持ち方を効率的に身に付けてもらうことができます。
現在、多くの企業にとって次世代リーダー育成が課題となる中、ビジネススクールの活用は解決策の1つになるでしょう。実際に、従業員のビジネススクールへの派遣を、人材育成や福利厚生の制度に取り入れている企業もあります[3]。
1-3. オンラインビジネススクールの受講スタイル
ビジネススクールによってはオンラインで受講できるコースがあり、コロナ禍では特に注目されてます。
ビジネススクールの講義をオンラインで受講する場合、以下のようなスタイルがあります。
- 双方向ライブ配信
- オンデマンド(録画)配信
- eラーニング
- ブレンディッドラーニング
双方向ライブ配信
受講者は講師や他の受講者とリアルタイムでコミュニケーションを取りながら授業を進められます。
大抵はZoomやGoogle MeetなどのWeb会議システムを利用して行われ、講師と受講者全員が同時刻に受講する必要があります。Web会議システムの機能を利用すれば、実地の講義のように質疑応答やグループディスカッションなども可能です。
オンデマンド(録画)配信
録画された講義を、受講者がそれぞれ視聴します。
双方向ライブ配信のようにリアルタイムでのコミュニケーションはできません。しかし、受講者の都合のよい時間に視聴でき、わからない部分を繰り返し確認することができます。
関連記事:オンライン研修(Web研修)とは?導入のメリットとデメリット、成功させるポイント
eラーニングコンテンツ
テキストや動画などの教育コンテンツがあり、受講者がそれぞれ学習を進めます。
近年は、一つのコンテンツの時間を短くし、隙間時間でも学びやすくしたマイクロラーニングや、ゲームの要素を取り入れて楽しみながら学べるゲーミフィケーションなど、学習を習慣にしやすい工夫がされているものも多くあります。
関連記事:eラーニングとは?システムやメリット、導入事例、費用について解説
ブレンディッドラーニング
ブレンディッドラーニングは、eラーニングなどのオンライン教育と、集合研修やグループ学習といった実地の教育を組み合わせた学習方法です。双方のメリットを生かしつつ、デメリットをカバーします。
スクールによっては、このようなブレンディッドラーニングを取り入れている場合があります。
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2. オンライン受講のメリットと注意点
ここでは、ビジネススクールに通学した場合と比較したメリットと注意点を確認していきます。
2-1. オンライン受講のメリット
オンライン受講のメリットには、以下のようなものがあります。
- 仕事と両立できる
- 場所や時間の制約がない
- オンラインでもグループワークやディスカッションが可能
- 国内・海外の講師や仲間とつながりが持てる
仕事と両立できる
MBAを取得する場合は、大学院に通わなければなりません。海外の大学院に留学したり、国内でも全日制の場合は、退職や休職をすることは珍しくありません。
しかしオンラインコースであれば、時間や学習量をうまくやりくりできれば、仕事を続けながら学ぶことが可能です。キャリアを途切れさせることなく、学術的な知識を増やすことができます。
受講期間は、ビジネススキルを学んだり、資格取得をする場合は数カ月~、国内・海外MBAを取得する場合は1~5年ほどとなっています。
また、学んだことをすぐに仕事で実践することができるため、ビジネススクールの効果を早期に実感できるでしょう。
場所や時間の制約がない
転勤や出張の多いビジネスパーソンの場合、働きながらビジネススクールのキャンパスに通学するのはあまり現実的ではないでしょう。
オンラインコースであれば受講場所は問われないため、無理なく学習を継続することができます。講義の形態がオンデマンド(録画)配信の場合は、時間の制約もありません。
また、転勤や出張がない場合でも、通学にかける時間を学習時間に充てられるというメリットがあります。
オンラインでもグループワークやディスカッションが可能
通学の場合と異なり、グループワークやディスカッションができないのではないかと心配する人もいるかと思います。
しかし実際は、Web会議システムの機能を利用することで、グループワークもディスカッションも可能です。
画面越しになるため、相手の表情や雰囲気がわかりにくいという弱点は否定できません。しかし、遠隔地にいる人同士がリアルタイムでやりとりできるというメリットの方が大きいと考えられます。
国内・海外の講師や仲間とつながりが持てる
同じ目標を持って学ぶ仲間の存在は心強いものです。この点、個人で受講するオンラインコースでは、仲間とのつながりが希薄になるのでは、と考える人もいるかと思います。
しかしこちらも心配することはありません。前述のとおりオンラインでもグループワークは可能です。また、SNSを利用したコミュニティで講師や受講者同士での質疑応答や情報交換のほか、オンライン飲み会が行われることもあるといいます。
また、スクールによっては、数百人規模の受講生が参加するオンライン・実地イベントや、通学の受講生と一緒にキャンパスで学ぶプログラムなどを行っている場合もあります。
以上がオンライン受講のメリットです。オンラインだから不利になる、というものは特になく、仕事を辞めたくない、時間を効率的に使いたいという人にはメリットが大きいでしょう。
2-2. オンライン受講の注意点
メリットが大きいオンライン受講ですが、以下のような注意点もあります。
- 受講が強制ではない
- モチベーションの維持が難しい
- 休日が忙しくなる
受講が強制ではない
通学の場合は、決まった日時にスクールに通うことで強制的に学習のリズムが作られます。しかしオンライン受講の場合は、自分でそのリズムを作らなければなりません。
学習の時間をうまく確保できないと、講義についていけなくなったり、単位を落としてしまったりすることがあります。
計画的に学習を進め、レポートの提出期限や単位の取得要件などをクリアできる自己管理能力が自分にあるか、よく検討するべきでしょう。
対面交流の機会が少なくモチベーションの維持が難しい
受講者同士のコミュニケーションはオンライン上で可能ですが、その機会は通学の場合に比べるとどうしても少なくなってしまいます。
異なる年齢や役職、業界・業種の同級生と交流して受ける刺激は、モチベーションアップや新しいビジネスの可能性を与えてくれます。その機会が少ないということは、人によってはモチベーションの維持がしにくかったり、新たなアイディアが浮かびにくかったりする場合があります。
ただし、スクールによっては勉強会や交流会、現地プログラムなどによって、実地での交流の機会が確保されている場合もあります。
休日が忙しくなる
通学や、オンラインでも双方向ライブ配信の場合は、決まった時間に学習する必要がありますが、オンデマンド(録画)配信であれば、自分の都合の良い時間に受講することができます。
仕事が忙しい場合は、休日にまとめて数時間かけて学習を進めることも可能です。しかし、家事・育児や趣味の時間を十分に取ったり、平日の疲れをゆっくり癒したりすることは難しくなるでしょう。
そのようなライフスタイルが許容できるかも、オンライン受講を検討する際のポイントです。
以上が、オンライン受講の注意点です。性格や自己管理能力、ライフスタイル次第で、オンライン受講が向いているかどうか判断できます。よく検討してみましょう。
3. どのようなオンラインビジネススクールを選ぶべきか
ビジネススクールのオンライン受講が自分に向いていそうだと判断できたら、次はスクール選びです。その際は、以下のような点を確認しましょう。
- 国際認証を取得しているか(MBA取得の場合)
- 卒業生は活躍しているか
- 講師や授業の質はどうか
- オンライン学習をサポートする体制が充実しているか
国際認証を取得しているか(MBA取得の場合)
国際認証を取得していない=質の悪いスクールであるとは言えません。
しかし、国際認証を取得するための評価基準には、教員や学生数、カリキュラムの質、スクールの規模など多くのチェック項目があります。
国際認証を取得しているスクールは、これらについて世界的な評価水準をクリアしていることが証明されています。スクール選びにおいて、信頼できる検討材料となることは間違いないでしょう。
ビジネススクールの国際認証を行っている代表的な団体は、以下の3つです。
・AMBA(The Association of MBAs)(イギリス)
・EFMD(European Foundation for Management Development)(ベルギー)
国内にも国際認証を取得している大学や大学院があります。
卒業生は活躍しているか
スクールを卒業した後、自分の希望するキャリアや目的を達成できるかどうかも重要です。
自分のロールモデルとなる卒業生や在校生がいるか、確認しておきましょう。例えば、国内外の有名企業への就職者が多い、起業で成功している人が多い、資格の合格率が高い、などがチェックポイントになります。
修了後、転職や起業のサポートを行っているスクールもあります。
講師や授業の質はどうか
講師については、実務に強い講師と、研究で成果を挙げている講師がバランスよく在籍しているか、論文や書籍の発表数、どのような評価を受けているかなどに注目するとよいでしょう。
実際に体験授業に参加したり、学校説明会などで在校生に話を聞いたりして、授業の進め方や内容のクオリティなどを確認し、自分に合うかどうか体感してみることも大切です。
授業については、双方向ライブ配信のものがあるか、確認しておきましょう。
オンデマンドでも知識はつけられますが、ディスカッションやグループワークは不可能です。対話における瞬発力や、臨機応変に対応するスキルをつけるには、やはり双方向ライブ配信の講義があった方がよいでしょう。
オンライン学習をサポートする体制が充実しているか
オンライン学習では、受講制度や個人での学習の進め方、Web会議システムの操作など、独特の悩みやトラブルがつきものです。
そのため、チャットやWeb会議システムなどですぐにスタッフに相談できる体制が整っているスクールを選びましょう。
加えて、オンラインでは少なくなりがちな、受講者同士のコミュニケーションをサポートするシステムがあるとよいでしょう。SNSなどを利用した交流が活発であれば、同じ目標達成を目指す仲間の存在を意識でき、モチベーションを維持しやすくなります。
以上のような点に注目して、自分に合ったスクールを選びましょう。
4. オンラインビジネススクールにかかる費用
自分にぴったりのオンラインのビジネススクールが見つかったら、次に気になるのは費用です。
まず、MBA取得以外の、ビジネススキルの習得や資格取得を目的とするスクールについてご紹介します。
具体的な金額はスクールにより異なりますが、例えば、以下のようなパターンがあります。
・月額数千円~、年額数万円~で動画教材が見放題、ワークショップ等にも参加できる
・資格試験対策の教材+双方向ライブ配信講義もありで十数万円~
法人向けに一定人数以上で割引や、受講内容のカスタマイズなどが可能な場合もあります。
次に、国内のオンラインMBAの場合、入学金、学費、その他教材費やシステム利用料なども合わせて250万~500万円ほどが相場のようです。
国内では、ビジネススキルや資格取得のスクール、MBAが取得できる教育機関ともに、教育訓練給付金[4]や、スクール独自の奨学金や学費減免、教育ローンなどが利用できる場合があります。特に教育訓練給付金は、条件を満たすと、場合によっては100万円以上負担を減らせるため、条件が合えばぜひ活用しましょう。
海外のオンラインMBAは、約250万~1,000万円超と幅が広くなっています。通学型のコースと比較すると、半額ほどになっているようです。海外MBAで通学型の場合は、現地での生活費もかかるため、費用面ではかなりお得であると言えるでしょう。
5. 代表的なオンラインビジネススクール
おおよその費用を把握したところで、代表的なオンラインビジネススクールをご紹介します。ぜひ参考にしてください。
5-1. ビジネススキルを学ぶスクール
まず、ビジネススキルなどを学ぶスクールをご紹介します。
- 日経ビジネススクール オンライン講座
- Udemy
- UR UNIVERSITY
日経ビジネススクール オンライン講座
日経ビジネススクールのオンライン講座は、株式会社日本経済新聞社が主催するオンライン講座です。受講期間は2カ月(一部は3カ月)で、毎月1日、15日に開講しています。
全部で60講座があり(2021年11月24日現在)、経営・マネジメント、会計・財務、DX等デジタル分野などのほか、リーダーシップやコミュニケーションといったソフトスキルも学ぶことができます。
基本的にはeラーニング(オンデマンド配信)になりますが、講座によってはレポート添削があります。また、コンテンツには、日経新聞の記事や企業の会計報告など、実際のビジネスに役立つ実例が豊富に含まれています。
Udemy(ユーデミー)
Udemyは、米国のUdemy,Inc.が運営するオンライン教育プラットフォームです。株式会社ベネッセコーポレーションが、Udemy社の日本における事業パートナーとなっています。
Udemy にはIT・ソフトウェア、ビジネススキル、マーケティングやデザイン、音楽などのジャンルについて、183,000(2021年11月5日現在)を超えるオンラインビデオコース(オンデマンド配信)があります。講座は一つずつ買い切りで、受講に要する時間はそれぞれ異なります。
法人向けに特化したUdemy Businessでは、この183,000超のコースのうち、一般レビューで厳選された約6,000講座(2021年11月5日現在)が定額で学び放題となっています。
UR UNIVERSITY(ユアユニバーシティ)
株式会社MDSグループが運営するUR UNIVERSITYは、社会人向けの定額制オンラインビジネススクールです。専用のアプリをダウンロードして受講します。
各種スクールや専門学校などは一つの分野に特化しているため、学びたいことが複数あれば、複数のスクールを契約し、個別に料金を払わなければなりません。この点、UR UNIVERSITYでは、各業界のプロフェッショナルを1つのアプリに集約し、同一価格で提供することから、「大学型システム」としています。
基本的には講義動画(オンデマンド配信)での学習になりますが、ライブ配信で行われる講義もあります。
デザイン、マーケティング、SNS運用、起業/会社経営などの「明日から使える知識」を、各分野の専門家がレクチャーします。
5-2. MBA取得を目的としたスクール(国内)
次に、オンラインでMBAを取得できる国内のビジネススクールを2つご紹介します。
- ビジネス・ブレークスルー大学大学院
- SBI大学院大学
ビジネス・ブレークスルー大学大学院
ビジネス・ブレークスルー大学大学院は、2004年に「オンライン教育のビジネスモデル特許」を日米2カ国で取得しています。
2005年に、日本初のオンライン学習でMBAを取得できる経営大学院として開学して以降、2019年までの卒業生は、世界35か国からの学生が延べ1,367名となっています。
オンライン授業については、コロナ禍で急激に需要が高まったため、多くの学校や各種スクールでは手探り状態で行われている場合もあります。しかし同スクールでは、今まで蓄積してきたオンライン授業の知見を活かしつつ、最新のオンライン学習プラットフォームによって、実践的なMBAプログラムを提供しています。
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SBI大学院大学
SBI大学院大学は、文部科学省の認可を受けた通信制(オンライン)の専門職大学院です。同スクールのオンライン学習システムはマルチデバイスに対応しており、授業や課題はすべてオンラインで完結します。
オンラインに加えて、東京キャンパスでの実地のディスカッションやプレゼンテーションも行われており、講師や受講者同士でコミュニケーションを取りながら学ぶことも可能です。
カリキュラムについては、アメリカのビジネススクールのカリキュラムをベースにした国内のスクールの事例を研究したうえで、日本社会や今後成長が期待されるアジア市場に向け、テクノロジートレンドをリードする実学重視の内容となっています。
5-3. MBA取得を目的としたスクール(海外)
最後に、オンラインでMBAを取得できる海外のビジネススクールをご紹介します。
これらは、QS Online MBA Rankings 2021[5]で第1位から第3位を獲得したスクールです。
- IEビジネススクール
- インペリアル・カレッジ・ビジネススクール
- ウォーリック・ビジネススクール
IEビジネススクール
QS Online MBA Rankings 2021で第1位を獲得した、スペインのマドリードにあるビジネススクールです。若い起業家集団が創立したため、起業家精神が根付いているのが特徴です。欧州のスタートアップ・エコシステム[6]に40年以上貢献してきた実績があり、高く評価されています。
オンラインコースでは、ケーススタディ、講義、ゲーム、対面でのワークショップなどさまざまな学びを取り入れています。フルタイムMBA(全日制のMBA)と同じ水準の入学審査があり、質の高い授業とオンライン授業経験豊富な教授陣が魅力であるとしています。
インペリアル・カレッジ・ビジネススクール
QS Online MBA Rankings 2021で第2位を獲得した、イギリスのロンドンにあるビジネススクールです。インペリアル・カレッジ・ロンドン(ICL)の一部となっています。世界大学ランキングトップ10常連の有名大学で学習しながら、キャリア形成ができます。
オンラインコースでは、他のMBAプログラムの学生と一緒に、キャンパスで最大2つの選択科目を教室で受講することができます。また、21か月(早期)、24か月(標準)、または32か月(延長)を選択し、自分のペースでプログラムを完了できます。
ウォーリック・ビジネススクール
QS Online MBA Rankings 2021で第3位を獲得した、イギリスのコヴェントリーおよびロンドンにある、ウォーリック大学のビジネススクールです。
オンラインコースでは、リアルタイムで配信される講義を受けられるほか、オンデマンド講義の視聴、他の学生との交流、コミュニティへの参加、さらに講師と直接話すことなどが可能です。
同スクールが独自に開発・管理するオンライン学習システム「my.wbs」は、世界をリードする学習体験を提供できるよう、常にアップデートし続けています。
こちらでご紹介したオンラインビジネススクールは代表的なものです。自分が獲得したい学位やスキル、興味のある分野、教わってみたい教授など、さまざまな角度からスクールを検討してみましょう。
6. まとめ
海外と日本と海外では、「ビジネススクール」の意味が異なります。
日本で一般的に「ビジネススクール」と言えば、まず、経営や関連する科目を学び、経営学修士(Master of Business Administration:MBA)の学位を取得できる大学院が挙げられます。
また、リーダーシップやコミュニケーション、PC操作といった一般的なビジネススキルを学んだり、簿記や会計などビジネス関連の資格取得や、実務セミナーを行う スクール・予備校も「ビジネススクール」と呼ばれます。
そのため日本における「ビジネススクール」とは、MBAの取得に限らず、ビジネスに関する幅広いスキルを学ぶスクールとして認識されています。
一方で、海外、特に欧米で「ビジネススクール」と言えば、100年以上の歴史がある伝統的な教育課程であり、一般的には、MBAを取得するために経営学や関連した科目を学ぶ大学院を指します。
大学院だけでなく、4年制大学や2年制大学で学士・準学士を取得したり、ノンディグリープログラム(入学審査がなく、学位の取得を目的としない)によって講義を受けられる場合もあります。
このようなことから、「ビジネススクール」の定義は、海外よりも日本の方がかなり広いと言えます。
ビジネススクールに通うのは、30代~40代が中心です。プレーヤーからマネジャーになったり、上級の役職についたりするタイミングで、さらに知識やスキルをつけたい場合が多いと考えられます。
ビジネススクールで研さんする従業員がいると、企業にもメリットがあります。例えば、次世代リーダー候補をビジネススクールに派遣することによって、経営に関する知識やリーダーとしての意識の持ち方を効率的に身に付けてもらうことができます。
実際に、従業員のビジネススクールへの派遣を、人材育成や福利厚生の制度に取り入れている企業もあります。
ビジネススクールによってはオンラインで受講できるコースがあり、コロナ禍では特に注目されています。
ビジネススクールの講義をオンラインで受講する場合、以下のようなスタイルがあります。
・双方向ライブ配信
・オンデマンド(録画)配信
・eラーニングコンテンツ
・ブレンディッドラーニング
オンライン受講のメリットには、以下のようなものがあります。
・仕事と両立できる
・場所や時間の制約がない
・オンラインでもグループワークやディスカッションが可能
・国内・海外の講師や仲間とつながりが持てる
メリットが大きいオンライン受講ですが、以下のような注意点もあります。
・受講が強制ではない
・モチベーションの維持が難しい
・休日が忙しくなる
スクール選びの際に気をつけるべき点は以下の通りです。
・国際認証を取得しているか(MBA取得の場合)
・卒業生は活躍しているか
・講師や授業の質はどうか
・オンライン学習をサポートする体制が充実しているか
費用については、ビジネススキルの習得や資格取得を目的とするスクールは、具体的な金額はスクールにより異なりますが、法人向けに一定人数以上で割引があるほか、受講内容のカスタマイズなどが可能な場合もあります。
国内のオンラインMBAの場合、入学金、学費、その他教材費やシステム利用料なども合わせて250万~500万円ほどが相場のようです。
海外のオンラインMBAは、約250万~1,000万円超と幅広くなっています。
代表的なオンラインで受講できるビジネススクールは以下の通りです。
- ビジネススキルを学ぶスクール
・日経ビジネススクール オンライン講座
・Udemy
・UR UNIVERSITY - MBA取得を目的としたスクール(国内)
・ビジネス・ブレークスルー大学大学院
・SBI大学院大学 - MBA取得を目的としたスクール(海外)
・IEビジネススクール
・インペリアル・カレッジ・ビジネススクール
・ウォーリック・ビジネススクール
収束が見通せないコロナ禍において、オンライン教育の重要性はますます高まると考えられます。
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[1] 光谷 好貴、高橋 洸介「デジタル時代の従業員エンゲージメントの高め方」,『株式会社野村総合研究所』, 2021年10月14日, https://www.nri.com/-/media/Corporate/jp/Files/PDF/knowledge/report/cc/mediaforum/2021/forum321.pdf?la=ja-JP&hash=94CED7273093CC55C6BE8C35715B205D0D69D1FD (閲覧日:2021年11月26日)
[2] 「組織が社会のための投資をしている」、「組織のミッション・ビジョンを従業員に伝達している」、「ミッション・ビジョンが働く意義を感じさせてくれる」、「経営層がオープンで透明性があり、正直である」、「誠実さや助け合いが組織文化の中核にある」、「生産性向上・幸福度最大化が図られている」、「従業員の継続的な成長にサポートがある」の7つ。
[3] 「人材開発制度・福利厚生」,『ライオン株式会社』, https://www.lion.co.jp/ja/company/recruit/graduate/recruit/support/ (閲覧日:2021年11月22日)
「福利厚生」,『アコム株式会社』, https://www.acom.co.jp/recruit/graduates/pages/workstyle/benefits.html (閲覧日:2021年11月22日)
「教育研修制度/福利厚生」,『ヒューリック株式会社』, https://www.hulic.co.jp/recruit/graduate/recruit04.html (閲覧日:2021年11月22日)
[4] 働く人の主体的な能力開発やキャリア形成を支援し、雇用の安定と就職の促進を図るため、厚生労働大臣が指定する教育訓練を修了した場合に受講費用の一部が支給される。
「教育訓練給付制度」,『厚生労働省』, https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/jinzaikaihatsu/kyouiku.html (閲覧日:2021年10月12日)
[5] 「QS Online MBA Rankings 2021」,『QS Quacquarelli Symonds Limited』, https://www.topmba.com/mba-rankings/online-mba-rankings/2021 (閲覧日:2021年11月16日)
[6]起業家やその支援者、企業、大学、金融機関、公的機関などが結びついてスタートアップ企業を生み出し、それがまた優れた人材・技術・資金を呼び込んで発展を続けることを生態系になぞらえた言葉。
参考)
栗本博行「MBA取得のメリット」,『NUCB BUSINESS SCHOOL』, https://mba.nucba.ac.jp/about-mba/mba-10007.html (閲覧日:2021年11月17日)
栗本博行「ビジネススクールとは《誤解と疑問》」,『NUCB BUSINESS SCHOOL』, https://mba.nucba.ac.jp/about-mba/bschool.html (閲覧日:2021年11月17日)
「オンラインMBAのメリットとデメリット」,『名古屋でMBAを取るなら貴方はどっち? 「グロービス経営大学院」or「名古屋商科大学」徹底比較』,2019年6月12日, https://www.mba-acquisition.net/question/online.html (閲覧日:2021年11月17日)
「オンラインMBAの費用はどれくらい?入学金や学費、その他の費用も紹介」,『アガルートアカデミー』, 2021年6月22日, https://www.agaroot.jp/domestic_mba/column/online-mba-cost/ (閲覧日:2021年11月17日)
「オンラインMBAで学ぶ意味|メリットとデメリットを紹介」,『しがないマーケターの戯言』,2019年1月4日, https://iroiromanabu.hatenadiary.jp/entry/online_mba (閲覧日:2021年11月17日)
「ビジネススクールって何するところ?社会人の学びのススメ」,『デキルニン』, 2018年4月4日, https://www.dekirunin.com/media/qualification-story/5041 (閲覧日:2021年11月17日)
NiSH「無料あり!オンラインビジネスセミナーの探し方|ハズレなしのおすすめ講座&人気スクール5選」,『LIFE WORK CAFE』, 2021年10月22日, https://abc-by.com/business-skill-seminar/ (閲覧日:2021年11月17日)
「オンラインで学べる海外ビジネススクールMBAトップ10校を徹底調査」,『SOLO IELTS TOEFL』, 2020年3月24日, https://solo-ielts-toefl.com/mba-abroad-online/#%E3%82%AA%E3%83%B3%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%B3%E6%B5%B7%E5%A4%96MBA%E3%83%88%E3%83%83%E3%83%9710%E6%A0%A1_%E3%81%BE%E3%81%A8%E3%82%81 (閲覧日:2021年11月17日)
Michael T. Nietzel、編集:江戸伸禎「最新版、世界オンラインMBAランキング」,『Forbs JAPAN』, 2021年4月26日, https://forbesjapan.com/articles/detail/41059 (閲覧日:2021年11月17日)
「後悔しないオンラインMBA。海外・国内プログラムの賢い選び方」,『There is no Magic!!』,2021年9月9日, https://www.path-to-success.net/online-mba#MBA-5 (閲覧日:2021年11月26日)
「日経のEラーニング 日経ビジネススクール オンライン講座」,『株式会社日本経済新聞社』https://school.nikkei.co.jp/feature/online/ (閲覧日:2021年10月21日)
「Udemy」,『Udemy、Benesse』https://www.udemy.com/(閲覧日:2021年11月5日)
「最先端ビジネススクールUR UNIVERSITY」,『MDS FUND LLC』https://www.ur-uni.com/ (閲覧日:2021年11月5日)
mbaSwitch編集部「日本国内のMBA大学院ランキングを紹介。海外との違いや特徴・選び方」,『ビジネス・ブレークスルー大学大学院|BBT Online MBA』, 2020年9月9日,https://www.ohmae.ac.jp/mbaswitch/mba_japan_feature/ (閲覧日:2021年11月8日)
「SBI大学院大学のご紹介」,『SBI大学院大学』, https://www.sbi-u.ac.jp/a_about_us (閲覧日:2021年11月8日)
「ie BUSINESS SCHOOL Japanese Alumni Chapter」(IE Business School/MBA Programに在籍/卒業した日本人学生が中心となり編集/管理) , https://iemba.jp/ (閲覧日:2021年11月8日)
「Global Online MBA:The programme」,『Imperial College Business School』, https://www.imperial.ac.uk/business-school/programmes/global-mba/programme/ (閲覧日:2021年11月8日)
「Distance learning MBA」,『Warwick Business School』, https://www.wbs.ac.uk/courses/mba/distance-learning/ (閲覧日:2021年11月8日)