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ロミンガーの法則とは?70:20:10を人材育成に生かすポイント

ロミンガーの法則

「優れた人材を育てるためには、OJTとOff-JTのどちらを強化すべきだろう」

高い成果を上げる理想的な教育プログラムの策定は、人事における永遠の課題といえるでしょう。

厚生労働省の「令和5年度能力開発基本調査」[1]によると、正社員に対する計画的なOJTOff-JTの実施割合はそれぞれ約67割ほどで、それほど大きな差はありません。

しかし、OJT重視か、Off-JT重視か」という問いに対しては、8割もの企業がOJTを重視している、またはそれに近いと回答しています。

OJTは実践的なスキルを身に付ける上で重要ですが、OJTに偏ると理論的・体系的な知識の習得が難しくなる可能性もあります。そこで参考にしたいのが、「ロミンガーの法則」です。

ロミンガーの法則とは、アメリカの研究機関の調査に基づいた人材育成の考え方で、業務経験(70%)、薫陶(上司など他者からの学び)(20%)、研修・自己学習(10%)という比率で学習を進めることが効果的であるというものです。

この記事では、ロミンガーの法則の概要や、関連する学習理論を紹介しながら、人事担当者が知っておきたい、人材育成におけるロミンガーの法則の活用術を解説していきます。

具体的な施策やポイントも紹介しますので、現状の人材育成施策を改善したいとお考えの方は、ぜひ参考にしてください。

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ロミンガーの法則とは?

ロミンガーの法則は、現在では国内企業でも広く知られるようになった、効果的な学習の比率を示す人材育成理論の1つです。

まずはロミンガーの法則の概要や問題点、関連するその他の理論について見ていきましょう。

ロミンガーの法則の概要

ロミンガーの法則とは、アメリカの研究機関センター・フォー・クリエイティブ・リーダーシップ(CCL)が1980年代にアメリカ国内のリーダー人材を対象に実施した調査に基づき、効果的な学習の比率を可視化したものです。

一般的には「70:20:10の法則」としても知られており、CCLの出身者たちが創設したロミンガー社によって発表されました。

ロミンガー社のマイケル・ロンバルドとロバート・アイチンガーは、下記の比率で学習することが、個人の成長に効果的に結び付くと唱えています。

業務経験:70%
薫陶(上司など他者からの学び):20%
研修・自己学習:10%

ロミンガーの法則

ロミンガーの法則は効果的な学習体験のバランスを示したものであり、決して割合が小さい要素を軽視するものではありません。

例えば研修・自己学習の割合は10%ですが、経験から学びを得るための土台となる知識やスキルを習得する上で重要な役割を果たしています。

経済産業省もOff-JT、つまり座学をOJTと同等に重要視しており、経営リーダー人材育成のガイドラインには「事業や企業経営を俯瞰したり、キャリアの棚卸をしたり、新しい気づきを得る機会としてのOff-JTの役割も大きい」[2]という記載があります。

学習に関するその他の理論

学習に関する理論は、ロミンガーの法則以外にもさまざまなものが提唱されています。人材育成においては複数の理論について学び、多角的な視点を持つことも重要です。ここでは3つの理論を紹介します。

アンドラゴジー

アメリカの成人教育研究者のマルカム・ノールズが提唱した成人学習理論です。アンドラゴジーでは、子どもと比べ、大人は内的動機から主体的に学習に取り組み、自身の経験を学習に生かそうとする傾向があるとしています。

さらに、学習者の学習目的や社会的役割に焦点を当て、仕事や将来のビジョンに関連し、課題解決を目的とした実践的な学習を求める場合が多いことも、大人の学習の特徴として挙げています。

コルブの経験学習モデル

組織行動学者のデイヴィット・コルブが提唱した経験学習モデルは、具体的な経験を通して学び、それを生活や仕事に生かすプロセスを体系化したものです。

「具体的な経験」→「内省的な観察」→「抽象的概念化」→「能動的な実験」というサイクルを回すことで、経験から学びを得て成長につながるとされます。

ダブルループ学習

ダブルループ学習とは、ハーバード大学の名誉教授でもある組織行動学者クリス・アージリスが提唱した学習スタイルです。

結果を踏まえて行動のみを改善するシングルループ学習に対して、ダブルループ学習は行動の前提となる思考パターンや制度そのものを見直そうとします。より根本的な原因を探ることで、新たな考え方や行動の枠組みを取り込んでいく学習スタイルです。

ロミンガーの法則に対する疑問 

ロミンガーの法則は広く知られていますが、学習比率の数値の根拠や法則の適用範囲などを疑問視する声も上がっています。

例えば、70:20:10という数値は、前述の通りCCLの調査によって導き出されたものですが、それを実証する定量的な研究データがないため、数値の根拠に懐疑的な専門家もいます。

また、学習効果は個人の学習スタイルや経験、置かれている状況などによって大きく異なり、一概にこの比率で効果が出るとは限りません。

さらに、業務内容や求められるスキルによっても最適な学習方法や比率は変化します。つまりロミンガーの法則は、全てのビジネスパーソンに当てはまるわけではないといえるでしょう。

ロミンガーの法則を絶対的な拠り所とするのではなく、あくまでも学習の割合を考える上での1つの目安として捉えることが大切です。

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研修や自己学習の重要性:残りの90%を最大限に生かす10%の力

ロミンガーの法則においては割合の小さな学習体験も、成長に欠かすことができない要素であると捉えます。ここでは、10%と最も割合の小さい研修や自己学習が人材育成において果たす重要な役割について詳しく解説します。

経験から得た知識の体系化

従業員は日々の業務を通して多くの経験を積みますが、そこから得た知識は断片的なものにとどまりがちです。研修や自己学習を通じて体系的に学ぶことで、点と点でしかなかった知識がつながり、より理解が深まります。

例えば、営業先で商談を経験しても、ほとんどの場合、その知識はその場限りのものにとどまるでしょう。しかし、研修や自己学習を通して顧客心理や営業戦略、コミュニケーションスキルなどを学ぶことで、体系的な知識として身に付くようになります。

体系化された知識によって応用力が格段に上がり、新たな課題にも対応できるようになるでしょう。

新たな視点や知識の習得

研修や自己学習は、これまでの経験だけでは得られなかった新たな視点や知識を習得する機会となります。

例えば、プレイヤーとして優秀な成績を収めてきた人がマネージャーの立場になったとします。これまでの経験から、個人の目標達成に向けて努力することの重要性は認識していても、チーム全体をまとめ、成果へと導くマネージャーとしての視点は持ち合わせていないかもしれません。

しかし、研修を通してチームビルディングやリーダーシップなどについて学ぶことで、新たな視点を得て、効果的なチーム運営につなげることが可能になります。

このように研修や自己学習は、経験からの学びをさらに発展させるための新たな視点や知識を得る場となるのです。

変化への対応力や問題解決能力の向上

研修や自己学習は、変化への対応力問題解決能力を高めるために有効です。現代のように変化の激しい時代においては、新しい知識やスキルを継続的に学ぶことが不可欠です。

例えば、研修で最新の知識や技術を学べば、新規事業に柔軟に対応できる力を養うことができます。業界のトレンド分析について学ぶと、市場の変化をいち早く察知できるようになり、適切な対応策の検討・実施につながるでしょう。

また、問題解決の手法を身に付けると、複雑な課題に直面しても臆することなく解決策を見いだせるようになります。

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自律的な行動やキャリア形成の促進

研修や自己学習は、従業員一人一人の自己成長を促し、主体的な学習姿勢を育む上でも重要です。従業員は新しい知識やスキルを獲得することで、自信が付き成長を実感できます。そして、この成功体験が、さらなる高みを目指して自律的に行動する意欲につながっていくのです。

また、研修や自己学習は、従業員が自身のキャリアプランを実現するために必要なスキルアップの機会にもなります。主体的に学ぶ姿勢を育むことで、従業員一人一人の自律的なキャリア形成が期待できるでしょう。

一人一人の従業員が主体性・自律性を持って行動できるようになれば、組織力の強化にもつながります。

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キャリア自律とは?強い組織作りのために企業がすべき支援、成功事例を紹介


人事担当者が知っておきたい!ロミンガーの法則を生かした人材育成術

ロミンガーの法則を人材育成に生かすためには、どのようなアクションを起こせばよいのでしょうか。ここでは「業務経験」「薫陶(上司など他者からの学び)」「研修・自己学習」のそれぞれの効果を最大化する、人材育成の施策を解説します。

経験:実際の業務を通して学びの価値を最大化する 

ロミンガーの法則で70%を占める「経験」の効果を最大化する取り組みとしては、下記の3つが挙げられます。

挑戦的な業務やプロジェクトへのアサイン

現状のスキルや知識レベルよりも少し高いレベルの業務やプロジェクトにアサインすることで、新たなスキルや知識の習得に対する意欲を向上させます。

従業員の飛躍的な成長を目的として、困難な目標を課すことはタフアサインメントとも呼ばれます。現状のスキルや知識だけでクリアできる目標ではなく、新たな経験や学びがなくては達成できないレベルで目標を設定することがポイントです。

タフアサインメントでは、従業員の問題解決能力や創意工夫する力を伸ばすことが期待できます。

ジョブローテーションによる経験の幅の拡大

戦略的に定期的な部署異動や職種転換を実施するジョブローテーションによって、従業員は異なる業務や役割、組織文化などを経験することができます。

さまざまな配属先で多様な視点や考え方に触れ、より柔軟な思考力や問題解決能力が身に付くでしょう。また、組織全体の業務理解が深まり、部門を超えた連携やコミュニケーションを円滑にする効果も期待できます。

失敗を恐れずに挑戦できる環境づくり

新しい業務や難しい業務に挑戦する際には、失敗はつきものです。しかし失敗が許容されない組織文化の中では、従業員は挑戦を避けるようになり、経験を増やすことができません。

失敗を恐れずに挑戦できる環境をつくるためには、上司や先輩の積極的なサポートと、失敗を責めるのではなく、失敗から学ぶよう促す姿勢が重要です。

失敗を許容し、新しい業務や困難な業務に取り組む意欲を評価する組織文化を醸成すれば、従業員のチャレンジ精神や創造力を育むことができます。

薫陶:上司・先輩からの効果的な指導とフィードバック

ロミンガーの法則で20%を占める薫陶、つまり上司・先輩からの効果的な指導やフィードバックは、経験から得た学びを深化させ、さらなる成長を促します。その具体的な施策としては、以下の3つが挙げられます。

定期的な1on1ミーティングの実施

部下が上司・先輩からよりよい学びを得るためには、互いに心を開いている必要があります。

定期的な1on1ミーティングを通して、上司と部下の間で気軽に相談・報告できる関係性を築くことが重要です。

上司が自身の経験を踏まえた具体的なアドバイスをする、部下と対話を重ねて部下自身の改善すべき点に気付かせるといったアクションによって、部下の学びや成長につなげることができます。

具体的な行動指針を示したフィードバック

漠然としたアドバイスではなく、具体的な行動指針を示したフィードバックを受けることで、従業員は自身の行動の改善点を理解し、次の行動を取りやすくなります。

例えば、商談のスキルを身に付けようとしている従業員へのフィードバックには「商談では、この3つの情報を顧客から引き出すようにしよう」といった具体的なアドバイスを含めると効果的です。

ロールモデルとなる上司・先輩との交流機会の提供

上司・先輩の働き方や行動を手本として示し、「自分もこうなりたい」という意欲をかき立てることも効果的です。経験豊富な上司・先輩をロールモデルとすることで、自身のスキルアップにつながり、成長のイメージを具体的に描きやすくなります。

例えば、顧客と良好な関係を築いている先輩の商談に同行し、顧客とのコミュニケーション方法を学ぶ機会を得れば、自身の商談方法の見直しに役立ちます。

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ロールモデルとは 「なりたい人」を持つことで自身のスキル向上を図る

研修:研修や自己学習による知識・スキルの体系化

ロミンガーの法則で10%を占める研修や自己学習も、従業員の自主性に全て任せるのではなく、人事部門が適切な制度を整えることが必要です。従業員に最適な学習環境を提供し、成長を促進するための施策として以下の3つが挙げられます。

OJTと連動した実践的な研修プログラムの設計

OJTだけでは、体系的な知識やスキルの習得が難しい場合があります。そこで、OJTで得た経験を踏まえ、必要な知識やスキルを補完できるような実践的研修プログラムの設計が重要です。

公益財団法人労働問題リサーチセンターの資料でも、「有効な人材育成を行うには、企業が育成プログラムに積極的に関与し、実習機会や就労の経験を提供することが極めて重要なのである」[3]と述べられています。

例えば、営業部門であれば、顧客との商談を想定したロールプレイング研修や、成約率を高めるための提案資料作成研修などが考えられます。このような研修を通してOJTで得た知識やスキルを実践的に活用すれば、より確実に身に付けることができるでしょう。

eラーニングの活用による学習機会の提供

近年では、LMS(Learning Management System:学習管理システム)などのオンライン学習プラットフォームを活用することで、場所や時間に縛られず、eラーニングで学習できる環境が整っています。

従業員は自分のペースで学習を進めることができ、企業側は研修にかかる時間やコストを削減できるというように、eラーニングの導入は双方にメリットがあります。

eラーニングでITスキル、リーダーシップ、マネジメントなどのさまざまなテーマを体系的に学ぶことで、業務経験や上司・先輩からのアドバイスで得た学びを大きな知識体系の中の1つとして整理して理解できるようになるでしょう。

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eラーニングを効果的に活用するには?運用方法を見直して効率を向上する方法

自己啓発支援制度の導入

従業員の学習意欲を高めるためには、自己啓発支援制度の導入も有効です。例えば、業務関連書籍の購入費や外部研修の受講費の補助制度を設けると、従業員の費用負担を軽減し、新しい知識・スキル習得のハードルを下げることができます。

従業員が積極的に最新の知識やスキルを習得する環境を整備すれば、従業員のパフォーマンスや生産性の向上、企業の競争力強化が期待できます。


ロミンガーの法則を意識した人材育成のポイント

最後に、ロミンガーの法則に基づいた人材育成施策を成功させるためのポイントを紹介します。従業員の指導やマネジメントを担う方は、以下の3点に留意しましょう。

適切な指導・フィードバックを行う

業務経験や上司・先輩とのやりとり、研修などを通して得た学びを最大化するためには、適切な指導とフィードバックが欠かせません。

適切な指導とは、従業員の状況に応じて具体的な行動に移せるような指示を与えたり、自身で考えるよう促し、答えを導き出すサポートをしたりすることです。

業務経験が浅い従業員に基本的な知識やスキルを教える場合には前者、ある程度業務経験を積んだ従業員の指導には後者が適しているケースが多いと考えられます。

例えば、新入社員が作成したプレゼン資料について、「もっと分かりやすく」と伝えるよりも「前年度の売り上げを追記して、売り上げが上がっている点を強調しよう」のように具体的に指示する方がよいでしょう。

また、フィードバックをタイムリーに行うことも重要です。課題解決に取り組んだ直後など、経験が鮮明な記憶として残っているうちに改善点などを伝え、振り返りを促しましょう。

従業員の成長のためには、ポジティブなフィードバックも大切です。改善点だけでなく、良かった点や成長した点も積極的にフィードバックすると、従業員の意欲を高められます。

目標設定やアサインによって主体性を引き出す

目標設定やアサインにおいては、一方的に指示するのではなく、本人が主体的に行動できるよう配慮することが重要です。

例えば目標設定を行う際には、従業員のキャリアプランを踏まえ、従業員自身が本当に達成したい目標や挑戦したい業務は何かを事前にヒアリングします。

本人が主体的に関われるよう配慮する点は、業務にアサインするときも同様です。従業員のスキルや経験、成長機会を考慮した上でアサインする業務を決定し、アサインの意図や期待する成果を従業員に明確に伝えなくてはなりません。

このような配慮をすることで、「自分が成長するため、この目標を達成しよう」「この業務を通して、新しいスキルを身に付けたい」という意識が従業員に芽生え、さまざまな経験や学習機会を通して積極的に学ぶ姿勢を持つようになるでしょう。

定期的な面談でモチベーションを高める

長期的な目標の達成に向けて困難な業務や学習に取り組んでいくためには、モチベーションの維持・向上が必要です。定期的な面談を実施し、従業員のモチベーションを引き出すよう心がけましょう。

面談では業務・学習の進捗状況や課題を共有するだけでなく、キャリアプランについても話し合うと効果的です。

例えば、面談時に将来的にどのような業務に挑戦したいかを尋ねると、従業員が自身の将来像をイメージしやすくなり、キャリア形成の支援につながります。また、従業員がすでに明確なキャリアプランを持っていた場合、そのキャリアプランと任せる業務のミスマッチを防止できます。

従業員のキャリアプランを実現するために必要な業務経験やスキルを示せば、学習に対するモチベーションの向上が期待できます。さらに、経験を積んだり、スキルを習得したりすることで従業員自身が成長を実感できると一層モチベーションが高まるでしょう。

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キャリア面談で従業員の意欲を引き出す!上手な質問の仕方と対応策


まとめ

ロミンガーの法則とは、ロミンガー社のマイケル・ロンバルドとロバート・アイチンガーによって提唱された成長の要因に関する法則です。

ロミンガーの法則では、個人の成長に効果的に結び付く学習体験の比率を、業務経験(70%)、薫陶(上司など他者からの学び)(20%)、研修・自己学習(10%)としています。

ロミンガーの法則の他に、学習に関する代表的な理論として、以下の3つが挙げられます。

  • アンドラゴジー
  • コルブの経験学習モデル
  • ダブルループ学習 

ロミンガーの法則には、「70:20:10」という数値の根拠を疑問視する声もあります。また、業務内容や求められるスキルなどによっても最適な学習方法や比率は変化するため、全てのビジネスパーソンに当てはまるわけではありません。学習の割合を考える上での1つの目安として捉えることが大切です。

ロミンガーの法則で、最も割合が少ない研修・自己学習(10%)には以下のような重要な役割があります。

  • 経験から得た知識の体系化
  • 新たな視点や知識の習得
  • 変化への対応力や問題解決能力の向上
  • 自律的な行動やキャリア形成の促進

ロミンガーの法則を活用した人材育成において、「業務経験(70%)」「薫陶(上司など他者からの学び)(20%)」「研修・自己学習(10%)」のそれぞれの効果を最大化する人材育成施策には以下が挙げられます。

業務経験

  • 挑戦的な業務やプロジェクトへのアサイン
  • ジョブローテーションによる経験の幅の拡大
  • 失敗を恐れずに挑戦できる環境づくり

【薫陶(上司など他者からの学び)】

  • 定期的な1on1ミーティングの実施
  • 具体的な行動指針を示したフィードバック
  • ロールモデルとなる上司・先輩との交流機会の提供

【研修・自己学習】

  • OJTと連動した実践的な研修プログラムの設計
  • eラーニングの活用による学習機会の提供
  • 自己啓発支援制度の導入

ロミンガーの法則を活用した人材育成施策を成功させるためのポイントは以下の3つです。

  • 適切な指導・フィードバックを行う
  • 目標設定やアサインによって主体性を引き出す
  • 定期的な面談でモチベーションを高める

ロミンガーの法則に基づいた人材育成は、従業員の主体的な成長を促し、組織の競争力向上に貢献します。

効果的な人材育成施策を打ち出したいとお考えの方は、ロミンガー法則に示される「70:20:10」の比率を一つの目安として、教育プログラムを策定してみてはいかがでしょうか。

[1] 厚生労働省「令和5年度 能力開発基本調査 調査結果の概要」,2024年6月28日公表,P5,P14-15,P19-20,(閲覧日:2024年8月30日)
[2] 経済産業省「企業価値向上に向けた経営リーダー人材の戦略的育成についてのガイドライン」,2017年3月公表,P21,(閲覧日:2024年8月20日)
[3] 公益財団法人 労働問題リサーチセンター「社会構造の変化とキャリア保障をめぐる課題」,2023年3月公表,P70,(閲覧日:2024年8月30日)

参考)
株式会社あしたのチーム「ロミンガーの法則とは?人材育成に必要な要素や人事が考えるべきこと」,『あしたの人事Online』,https://www.ashita-team.com/jinji-online/personnel_management/16801(閲覧日:2024年8月20日)
アチーブメントHRソリューションズ株式会社「アンドラゴジーとは?成人学習における5つの観点とペタゴジーとの違い」,『アチーブメントHRソリューションズ』,https://achievement-hrs.co.jp/ritori/andoragogy/(閲覧日:2024年8月30日)
株式会社ダイヤモンド社「落日のOJT「神話」を捨て去るときが来た」,『ハーバード・ビジネス・レビュー』,https://dhbr.diamond.jp/articles/-/1464?page=3(閲覧日:2024年9月9日)
KBE株式会社「「ロミンガーの法則(70:20:10)」とは、活用するためのコツとその限界」,『researcHR』,https://app.researchr.work/researchrblog/70-20-10-model(閲覧日:2024年8月20日)
株式会社Schoo「ロミンガーの法則とは?「70:20:10」の法則の内容を徹底解説」,『Schoo for Business』,https://schoo.jp/biz/column/1234(閲覧日:2024年8月20日)
一般社団法人日本能率協会「人材育成の「70:20:10」の法則」,https://jma-news.com/archives/aw_compass/4928(閲覧日:2024年8月20日)
櫻井優一「複雑化する世界を生き抜くためのマインドセットを醸成するために、
日本人勤労者が必要とする経験とは何か
~「ロミンガーの法則」のフレームワークによる考察~」,『早稲田大学リポジトリ』,https://waseda.repo.nii.ac.jp/records/72859(閲覧日:2024年9月9日)

 

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