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1on1ミーティングの目的は、個人の成長と会社の成長をつなげることー部下の自主性を促すには

1on1ミーティングの目的は、個人の成長と会社の成長をつなげることー部下の自主性を促すには

1on1ミーティング(1on1 MTG)という言葉が、最近よく聞かれるようになってきました。

ヤフーが2012年から全社的に実施し始めてポジティブな効果が表れ、2017年にその方法をまとめた書籍が出版されたこともあり、1on1 MTGに対する注目度が急速に高まってきているようです。読者の中には、既に1on1 MTGの社内導入が決まり、具体的な実施に迫られているマネージャーの方もいらっしゃるかもしれません。

1on1 MTGとは、いつも交わしている部下とのコミュニケーションや定例会議とどこがどう違うのでしょうか。わざわざ「1on1 MTG」と銘打つ理由、さらに「1on1 MTG」はどんな目的のために実施するのでしょうか。

本稿では、1on1 MTGの目的とそのメリットについて解説していきます。

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1.  1on1 MTGの目的

1on1 MTGの目的は、簡単に言えば「会社の持続的成長のために、部下のやる気を引き出して成長を促すこと」です。

会社にはそれぞれ達成すべき具体的な目的があり、その目的を目指して成果を上げ続けることが、社員一人ひとりに求められています。それは、単に今年だけ成果を上げればよいわけではありません。ゴーイングコンサーン(継続企業の前提)と言われるように、会社というものは、本質的に持続的成長を求められています。

その、会社の持続的成長を担う人材を育成することが、1on1 MTGの究極の目的なのです。
では、1on1 MTGをどう生かしていくのか、具体的に見ていきましょう。

1-1.  マネージャーの最重要任務である「部下育成」

マネージャーの任に就いておられる皆さんは、新卒社員やジュニアクラスの部下よりも、ずっと大きな成果を出す力を持っておられると思います。しかし、自分1人で2倍、3倍と成果を伸ばしていくだけでは、組織としての継続的な発展にはつながりません。

会社組織として発展するには、メンバーと協働して1+1を2よりも大きな成果につなげる必要があります。その成果をさらに大きくすべくお互いに協力し合い、成長し続けることが、組織の責務であるとともに、私たちが組織に所属して得られる醍醐味ともいえるでしょう。

マネージャーに求められているのは、自分1人が抜群の成果を上げるだけでなく、成果を上げる人間を育成することです。0.5しか能力を発揮できていない部下なら、0.8、1、1.2と引き上げていき、そのような部下を2人、3人と増やしていけば、組織の総和としてより大きな成果が出せるようになります。

マネージャーにとって最も重要な役割は、部下育成であると言っても過言ではありません。その任務を助けてくれるのが、1on1 MTGです。

1-2.  部下の自発性を促す

マネージャーは、部下の育成にあたって、彼/彼女がきちんと独り立ちして自発的に行動できるようになることを目指すことが肝要です。

大学を卒業したばかりの新卒社員には、仕事のイロハや社会人の心得を手取り足取り教えざるを得ませんが、それも最初のうちだけです。懇切丁寧に教え過ぎて、人から言われないと何もできない「指示待ち族」に育て上げてしまっては、上司の負担は増す一方です。

部下の業務内容、能力や成長度合いに応じて、一方的に教えるのではなく、自分の頭で考えて行動できるようにサポートを切り替え、段階的に権限移譲し、やがては自発的に行動できるよう育成していくことこそ、マネージャーの腕の見せ所です。

そのためには、部下のやる気を引き出して、成長志向になるよう促していくのが一番です。
部下の自発性を促す、という視点が、1on1 MTGには欠かせません。

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2.  1on1 MTGの定義

それでは、1on1 MTGとは具体的にどういうものなのでしょうか。
ヤフーでは、1on1 MTGを「定期的に上司と部下との間で行う1対1の対話」と定義づけ、原則として週1回、1人30分程度行っているようです。
本稿では頻度や時間を限定せず、上司と部下の1対1の対面による対話と定義したいと思います。この「対面」と「対話」が1on1 MTGにおける重要なキーワードとなります。

2-1.  「対面」で信頼を深める

ビジネスの世界におけるコミュニケーションは、ITの発達でどんどんデジタル化しています。
近頃では、対面どころか電話さえも激減し、Eメールやチャットが社内外の通信手段としてすっかり定着してきました。

仕事の指示や業務報告、用件の問い合わせと回答だけならば、Eメールなどのほうがよほど効率的だし、「言った」「言わない」の誤解を防ぐこともできます。
にもかかわらず、1on1 MTGをあえて「対面」で行うのは、なぜでしょうか。

それは、面と向かってじっと観察しなければ分からない要素が非常に重要だからです。
部下に限らず、一般的に、コミュニケーションを通じて他者を理解するには、言葉よりもむしろ非言語による手掛かりのほうが貴重な情報源になると言われています。

「部下のやる気を引き出して成長を促す」という1on1 MTGの目的を効果的に行うためには、非言語的コミュニケーション、すなわち、しぐさや声のトーン、目線といったいわゆるボディーランゲージや、心身の調子をうかがわせる顔色や表情、動作などを観察することが、特に求められます。

「仕事で何か困ったことはありませんか?」
という問いかけを、Eメールで部下に送ったとしましょう。
「特にないです」
という返答が来たら、上司としては、おそらくそれ以上突っ込んで尋ねることはないと思います。
しかし、同じやりとりを対面で交わした場合、もしも答えの前に一瞬の間が空いたとしたら、あるいは「特にないです」と言いながら部下の目線が泳いでいたら、どうでしょうか。
本当は何か問題を抱えているのでは、と思い、「本当にない?」「大丈夫?」といった一言を付け加えたくなるのではないでしょうか。

部下の立場からしても、もし悩みを言いあぐねていたとしたら、上司からそうした働きかけをしてもらえば、「実は…」と打ち明けやすくなる可能性があります。たとえその場では打ち明けなかったとしても、上司が自分の言外の気持ちを汲み取ってくれていると思い、今まで以上の信頼感を抱くはずです。

1on1 MTGは、効率的かつ必要最低限の報連相より、さらに一歩踏み込むべきものです。「対面」することで非言語的コミュニケーションをフル活用できるので、上司と部下の信頼関係を強めるのに役立つのです。

2-2.  「対話」を通して共通の認識を見出す

もう一つのキーワードである「対話」について考えてみましょう。

「対話」とよく比べられる言葉が「会話」です。
両方とも、2人以上で言葉を交わし合うことですが、「会話」は、いわば単にお互いが話したり聞いたりすることです。「おはよう。最近元気?」「いやあ、風邪ひいちゃってさ」といったやりとりや時候のあいさつも、一種の会話です。また、「あの人とは会話がかみ合わない」という表現からも分かるように、かみ合わなくても一応は成立するのが会話です(そういう会話のあとは、その人とはあまり「会話」したくなくなるでしょうが)。

一方「対話」は、もう少し高度なものです。
「対話」の英訳はDialogue(ダイアローグ)ですが、この概念について、米国の物理学者デヴィッド・ボーム氏は独自の理論を打ち出しています。彼の理論によると、Dialogueには以下の定義があります。

  • 二者がお互いに平等な立場で、お互いの意見や仮説(思い込み)を一旦棚上げし、物事の「意味」に関する共通の理解を創り出すこと。
  • 相手を説得したり言い負かしたりといった勝ち負けではないWin-Winの関係、共通の意味を共有し合える信頼関係を築くこと。
  • そのためには、お互いが話すことのできる「場」を与え合い、また、その場や相手の中で何が起こっているか、それが何を意味するかを認識する感受性を発揮し合う必要がある。

1on1 MTGを「対話」と位置付ける以上、上司が自分の意見や仮説(思い込み)を一方的に部下に押し付けたり、上司が部下を(あるいは部下が上司を)言い負かしたりすることは想定されていません。
両者が平等に、腹を割って率直にものを言うことができる雰囲気を作り、相手の言葉や非言語的な手掛かりから相手の心の内を読み取れるよう五感を研ぎ澄ますことが求められます。
自分の個人的な考えや価値観は一旦脇に置いて、相手の言い分を尊重しつつ、仕事の意味や目的について考えを述べ合い共通の理解を創り出すプロセスこそが、1on1 MTGおける「対話」と呼べるのです。

つまり1on1 MTGの対話では、
① 組織の目的とその実現のために部下が担うべき役割や開発すべき能力について、上司と部下が共通の認識を持つこと、
② 部下が成長意欲を高めて能動的に行動するのを促すこと
を目指すことが重要です。

2-3.  1on1 MTGの頻度

1on1 MTGの具体的な頻度や所要時間については、ここではあえて限定しませんが、少なくともあらかじめ決められた頻度で定期的に行い、1回あたりの所要時間も決めておくことが望ましいといわれています。

「部下のやる気を引き出して成長を促す」という1on1 MTGの目的を考えると、年に1、2回行うだけではとても足りないことは明らかです。ヤフーのように週1回を厳守できれば理想的ですが、会社によっては難しい場合もあると思います。上司の業務内容やプレイングマネージャーの度合い、直属の部下の人数などにより、隔週1回や月1回とせざるを得ないこともあるでしょう。

大切なのは、頻度と所要時間のルールをあらかじめきちんと決め、上司と部下の間で合意を取り、1on1 MTGをルーティンに組み込み、定着を図ることです。

1on1 MTGに限らず、新しい仕組みを社内導入する際は、なかなかうまく定着させられず、気づいたら立ち消えになっていた、という状況も珍しくありません。特に、これまであまり上司と部下のコミュニケーションが活発でなかった職場では、1on1 MTGをすること自体、なんとなく気恥ずかしく、ぎこちないものです。日常業務の忙しさにかまけて、ついプライオリティー(優先度)を下げたくなります。ましてや1on1 MTGが目指す信頼関係構築は、一朝一夕に出来上がるものではないため、「なかなか効果が見えないからやめようか」と思ってしまいがちです。

しかし、だからこそ、定期的に行い、地道に続けることが大切なのです。
回を重ねるうちに、お互いに慣れてきて、自ずとリズムが出来てきます。1on1 MTGが日常業務の一環になってくればしめたものです。

1on1 MTGを継続できるかどうかは、一重に上司であるあなたの肩にかかっていることを忘れないでください。
というのも、通常、部下の側からは、よほどの突発事項が起こらない限り、上司からのミーティング要請を断ったりキャンセルしたりはしません。実施するかしないかは、上司側の判断次第なのです。一旦決めたことを、なし崩し的にやらなくなってしまうような上司が、果たして部下の信頼を得られるか。そう自問すれば、答えは自ずと明らかでしょう。

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3.  1on1 MTGを行うメリット

1on1 MTGを続けることで、上司と部下の間の理解が深まり、以下のようなポジティブスパイラルが生まれます。

 自分が求められている役割を正しく認識し、より適切に行動できる
 →仕事のパフォーマンスが上がり、成功体験を共有できる
 →お互いの信頼関係が高まる
 →腹蔵なく話し合うことが容易になる
 →お互いの理解が一層深まる→……

この流れが、上司と部下それぞれにとってプラスなだけでなく、チーム全体、ひいては会社全体のメリットとなっていきます。上司、部下、チームそれぞれにとってのメリットを考えてみましょう。

3-1.  上司にとってのメリット

上司にとってのメリットは、部下の人となりに関する理解を深め、より適切なサポートを提供することができる点です。

上司の皆さんは、日頃から部下の方々と緊密なコミュニケーションをとっていることと思います。例えば、具体的な業務の指示を出したり、部下から週次、月次の業務報告を受けたり、部内外の会議で業務改善や事業戦略について話し合ったり……。

しかし、そうしたコミュニケーションだけでは、必ずしも「お互いの理解を深める」のに十分とは限りません。部下のスキルや実務能力の有無、パフォーマンスの良し悪しは理解していても、何の仕事に最もやりがいを感じているか、どんな能力を身につけたいと思っているか、実現したい夢は何なのかなど、その人の「成長」に関する情報は、意識して知ろうとしない限り、なかなか把握できるものではありません。

1on1 MTGでは、あえてこのような内容を取り上げ、部下に対する理解を深めていきます。そうすることで、部下の成長を促すために必要な手助けが明確になり、より適切にサポートできるようになるからです。

その結果、部下が成長して上司が手取り足取り指示しなくても自発的に仕事をこなせるようになれば、上司であるあなたの負担も軽減されます。他の業務に割く時間が増え、マネージャーとしてのパフォーマンスが向上するでしょう。

1on1 MTGの実施にあたって最大のネックのひとつは、「上司が忙しくて時間がない」という点でしょう。しかし、「忙しい」からこそ、むしろ優先的に1on1 MTGを行うべきです。部下たちが独り立ちすれば、上司自身が不必要に忙しく動き回らずにすみます。出来るだけ効率的に彼らの成長をサポートするには、1on1 MTGが不可欠なのです。

3-2.  部下にとってのメリット

そもそも1on1 MTGの目的は「部下のやる気を引き出して成長を促す」ことですから、部下にとってメリットがないはずはありません。もう少し具体的なメリットが3つあります。

ひとつは、部下から上司へ相談しやすくなる点です。

通常、部下から上司に直接話しかける頻度は、「上司から部下」に比べてずっと少ないと思います。目上の人間に声をかけるのは、ただでさえ気を遣うものですし、毎日忙しく立ち回っている上司に、声をかけるタイミングを見計らうのは容易ではありません。
1on1 MTGが定期的に行われれば、それは部下にとって安心して上司に相談を持ち掛ける機会となるのです。

また、上司と部下のコミュニケーションは、どうしても上司からの指示に偏りがちで、部下の側は言いたいことを言えなかったり、不要不急と思われる相談事を切り出しづらかったりする場合も少なくありません。ところが、1on1 MTGは基本的に「部下のための時間」ですから、部下が何でも率直に話してよい貴重な場となるわけです。

言い換えれば、1on1 MTGは部下が安心してさまざまな相談ができる場だという共通認識をしっかり共有し、安心して対話できる場作りを心掛けることが大切なのです。

部下にとっての2つめのメリットは、自分が求められている役割や期待される成果と、それに対する達成度合いを頻繁に確認できる点です。

どの会社でも、正式な人事評価面談を年に1、2回程度は行っていると思いますが、部下の自己評価と上司の評価に大きな乖離が見られ、お互いがかみ合わずにフラストレーションが強まる、といったことがありがちです。

こうしたすれ違いは、もっと頻繁に上司と部下が対話をしていれば、避けられるはずです。
部下の視点から考えると、
 ●具体的な業務の進め方やパフォーマンスに対して、上司が百点満点と思っているのか改善の余地大と考えているのか
 ●チーム内で果たすべき役割や身につけるべきスキル・能力について、どこまでのレベルを期待されているのか
といった疑問があるかもしれません。日頃から1on1 MTGをやっていれば、このような点に関する共通理解が深まり、部下はリアルタイムで自分の行動を改めたり、必要とされるスキルの習得に努めたりできるようになります。

部下にとっての3つめの、そして最大のメリットは、上司に対する信頼感の醸成に役立つことです。
ある調査によると、従業員のエンゲージメントレベル(※)に最も影響を与えるのは自分の上にいるマネージャー、つまり上司だそうです。職場における様々な人間関係の中でも、特に上司がどれだけ自分を気にかけてくれているかが、部下のやる気や前向きな姿勢の源泉となります。
「気にかけている」ことを示すには、1on1 MTGを行うこと自体がとても有効なのです。

これら3つのメリット、つまり部下が上司を信頼して、気軽に相談することができ、自分の役割や具体的なパフォーマンスに対するフィードバックを頻繁に受けられれば、当然ながら彼らのパフォーマンスレベルもぐんとアップしていくでしょう。

(※エンゲージメント:社員がやる気を抱き、自らの業務に責任を持って能動的に取り組む姿勢)

3-3.  チームにとってのメリット

上司が、チームメンバーの一人ひとりと1on1 MTGを行うことによって、チーム全体のパフォーマンスがアップするポジティブスパイラルが生まれます。

ここでは、上司による公平性と部下のモチベーションアップがキーとなります。

上司が部下一人ひとりと定期的に1on1 MTGを行うことは、「上司が部下全員に対して同じだけ時間を割いている」という公平性の現れとなります。通常は、上司がどんなに留意したとしても、普段のコミュニケーションで複数の部下たちとそれぞれ全く同じ時間を費やすことは不可能です。部下の任務やその難易度、またスキルレベルや経験によって、声をかける割合にばらつきが出ます。このような対応差に対して、部下は上司が思っている以上に敏感で、ときに「ボスは〇〇さんをえこひいきしている」と勘ぐる部下も出てきかねません。1on1 MTGは、コミュニケーション面でのそうした誤解や不必要な軋轢(あつれき)をなくします。上司が部下全員と平等に接することで部下の安心感や満足度を上げ、それが部下のモチベーションアップにつながります。

つまり、1on1 MTGによって、部下一人一人のパフォーマンスが上がるのはもちろんのこと、

 チーム内での公平感が高まり、チームワークが改善する
 →チームとしてのパフォーマンスが向上し、メンバーが成功体験を共有する
 →チーム内全体の信頼関係が強まる。
 →より率直なコミュニケーションができるようになり、さらに緊密な協力関係が築かれる

・・・というポジティブスパイラルが続いていくと想定されます。


4.  1on1 MTGが生み出すポジティブスパイラル(成功イメージ)

1on1 MTGが功を奏している組織を簡潔に表現すると、「強固な信頼関係に支えられ、風通しがよくて言いたいことが言える、ハイパフォーマンスなチームです。
ここでいう「言いたいこと」とは、自分勝手な言い分ではなく、「会社の持続的成長のために、部下のやる気を引き出し、成長を促す」という大きな目的に沿ったものという意味です。

自由でオープンな環境のもとで、上司も部下も、会社やチームメンバーの成長に資するアイデアを遠慮なく出し合い、その実現に向けて能動的に行動しているので、おのずと高いパフォーマンスを出し続けることができます。

1on1 MTGを通じてお互いの信頼関係が出来上がっているので、多少きついことを言われても、むやみに腹を立てたり疑心暗鬼になったりしません。相手が自分の成長を慮(おもんぱか)ってくれていると前向きに受け止め、そのアドバイスを自分の成長の糧とすることができます。

また、信頼し合うからこそ、隠し立てせずに報告できる環境が醸成されます。ネガティブな状況が発生しても、全社挙げて迅速に対応する体制が整ってくるのです。

1on1 MTGは、個々の信頼関係の構築→チームワーク向上→パフォーマンスアップ→より強固な信頼関係→……、というポジティブスパイラルを実現する、最初の一歩と言っても過言ではないのです。


5.  まとめ

1on1 MTGの目的は、会社の持続的成長のために、部下のやる気を引き出して成長を促すことであり、特に部下の自発性発揮を重視します。

本稿では、1on1 MTGを「上司と部下の1対1の対面による対話」と定義づけました。

対面」で行うのは、面と向かってじっと観察しなければ分からない非言語コミュニケーションをフル活用することで、上司と部下の信頼関係を強めるためです。また「対話」は、上司と部下がその上下関係に関わらず平等な立場で、お互いの言い分を尊重しつつ、仕事の意味や目的について率直に考えを述べ合い、共通の理解を創り出すプロセスになります。

1on1 MTGのメリットは、上司にとっては部下の人となりに関する理解を深め、成長のためにより適切なサポートを施すことができる点です。
部下にとっては、上司への信頼が高まり、相談がしやすくなること、また自分が求められている役割や期待される成果、それに対する達成度合いをより頻繁に確認することができる点です。
結果として、チーム全体の信頼関係が高まり、パフォーマンスが向上し、それがさらなる信頼関係につながる、というポジティブスパイラルが生まれます。

1on1 MTGは、所属するメンバー全員が尊重し合い、成長することによって、会社が持続的成長を遂げるための有用な手段なのです。

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<参考文献・参考>
・「ヤフーの1on1」 本間浩輔 ダイヤモンド社 2017年
・「On Dialogue」David Bohm, Routledge,1996年
・「心理学」 無藤隆・森敏昭・遠藤由美・玉瀬耕治 有斐閣 2004年
・「Managers Account for 70% of Variance in Employee Engagement」Randall Beck & Jim Harter  Gallup Business Journal 2015年4月21日
https://news.gallup.com/businessjournal/182792/managers-account-variance-employee-engagement.aspx
・「Character Strengths Intervention」Ryan Niemiec, hogrefe, 2017年
・「On Emotional Intelligence」Daniel Goleman, Harvard Business Review Press, 2015年

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