「世界では食料生産量の3分の1が毎年廃棄されている」
世界では9人に1人が栄養不足と言われている一方で、毎年約13億トンもの食料が破棄されています。
また、大量の食品廃棄物の焼却や埋め立てによって多くの温室効果ガスを発生させています。
食品ロスは、ただ「もったいない」というだけでなく、人々の生死や自然環境破壊にもつながる問題なのです。
SDGs目標12「つくる責任、つかう責任」は、こうした食品ロスをはじめ、大量生産・大量消費による廃棄物の排出を減らし、環境への負荷を減らそうとする目標です。
本稿では、SDGs目標12「つくる責任、つかう責任」の概要や国内外のサプライチェーンが抱える課題、企業の取り組み事例などをご紹介します。
ぜひ、参考にしてください。
「sdgs12」以外にも、「ARCSモデル」や「エンプロイアビリティ」など、近年話題の人事系キーワードについて詳しく知りたい場合は、163の用語を解説している「人事用語事典」をご利用ください。
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目次
1.SDGs目標12「つくる責任、つかう責任」企業がまず知っておくべきこと
SDGs(持続可能な開発目標)は、国連により採択された、2030年までに世界全体で達成を目指す目標です。環境や社会、経済などに関する17の目標で構成されています。
その12番目に掲げられている目標が「つくる責任、つかう責任」です。まずは目標の内容や必要性を正しく理解しましょう。
1-1. SDGs目標12「つくる責任、つかう責任」の正式な目標とは
SDGsの目標12「つくる責任、つかう責任」は、正式には「持続可能な消費・生産形態を確実にする」と定められています。
今後も地球上で豊かな暮らしを続けていけるよう、生産者も消費者も限りある資源を大切に使い、無駄な消費を減らそうという目標です。
1-2. SDGs目標12「つくる責任、つかう責任」のターゲット内容
目標12「つくる責任、つかう責任」をより深く理解するために、具体的な目標が示されているターゲット[1]を一通り見てみましょう。
12.1
先進国主導のもと、開発途上国の開発状況や能力を考慮しつつ、すべての国々が行動を起こし、「持続可能な消費と生産に関する10年計画枠組み(10YFP)」を実施する。
12.2
2030年までに、天然資源の持続可能な管理と効率的な利用を実現する。
12.3
2030 年までに、小売・消費者レベルにおける世界全体の一人あたり食品廃棄を半分にし、収穫後の損失を含めて生産・サプライチェーンにおける食品ロスを減らす。
12.4
2020 年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクル全体を通して化学物質や廃棄物の環境に配慮した管理を実現し、人の健康や環境への悪影響を最小限に抑えるため、大気、水、土壌への化学物質や廃棄物の放出を大幅に減らす。
12.5
2030 年までに、廃棄物の発生を、予防、削減(リデュース)、再生利用(リサイクル)や利用(リユース)により大幅に減らす。
12.6
企業、特に大企業や多国籍企業に対し、持続可能な取り組みを導入し、持続可能性に関する情報を定期報告に盛り込むよう促す。
12.7
国内の政策や優先事項に従って、持続可能な公共調達の取り組みを促進する。
12.8
2030 年までに、人々があらゆる場所で、持続可能な開発や自然と調和したライフスタイルのために、適切な情報が得られ意識がもてるようにする。
12.a
より持続可能な消費・生産形態に移行するため、開発途上国の科学的・技術的能力の強化を支援する。
12.b
雇用創出や地域の文化振興・産品販促につながる持続可能な観光業に対して、持続可能な開発がもたらす影響を測定する手法を開発・導入する。
12.c
税制を改正し、有害な補助金がある場合は環境への影響を考慮して段階的に廃止するなど、各国の状況に応じて市場のひずみをなくすことで、無駄な消費につながる化石燃料への非効率な補助金を合理化する。その際には、開発途上国の特別なニーズや状況を十分に考慮し、貧困層や影響を受けるコミュニティを保護する形で、開発における悪影響を最小限に留める。
以上が、目標12「つくる責任、つかう責任」のターゲットです。
簡単にまとめると、天然資源の持続可能な管理と効率的な利用、サプライチェーンにおける食品ロスの削減、廃棄物の削減、化学物質の排出抑制といった内容が盛り込まれています。
1-3. SDGs目標12「つくる責任、つかう責任」の意義
世界では今後、大量生産・大量消費によって資源や食料が枯渇することが懸念されています。また、生産・製造を通じて放出される化学物質や廃棄物は、環境破壊の一因となっています。
人口が増え続ける中で今後も豊かな暮らしを維持・発展させていくためには、大量生産・大量消費のサイクルを脱し、資源を効率よく活用していくことが必要です。
こうした理由から、目標12「つくる責任、つかう責任」は存在します。
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2.サプライチェーンに関する国内外の課題
次に、目標12「つくる責任、つかう責任」で扱われているサプライチェーンに関する課題を、国内外に分けて見てみましょう。
2-1. 世界では「天然資源の消費量」、「食品ロスの削減」、「電子ごみの管理」、「再生可能エネルギーの普及」が課題
サプライチェーンに関する世界的な課題としては、以下の四つが挙げられます。
・天然資源の消費量
・食品ロスの削減
・電子ごみの管理
・再生可能エネルギーの普及
天然資源の消費量
天然資源には、石油や天然ガス、木材などがあります。
人口密度の増加や工業化、先進国から発展途上国への材料集約型の生産のアウトソーシングが増えるにつれ、世界中でこれらの消費量は増加の一途をたどっています。一国の経済活動のために使用される材料の総量を示す国内材料消費量(DMC)は過去およそ20年間で65%増加し、2019年時点で951億トンに到達しています。
しかし、天然資源は使えば使うほど、排出されるCO₂は増えます。地球温暖化の原因となり、地球から森林が減り、生態系の崩壊につながります。
温暖化を防ぎ生態系を守っていくためには、資源の採掘量(マテリアルフットプリント)や消費量を減らしていくことが必要です。
食品ロスの削減
食料不足が叫ばれる中、世界ではたくさんの食品ロスが起こっています。食品ロスとは、本来食べられるにも関わらず捨てられてしまう食べ物のことです。食品製造業者や小売業者などから出される事業系の食品ロスと、一般家庭で発生する家庭系の食品ロスの二つに分けられます。
事業系食品ロスは、主に発展途上国で発生しています。2020年時点で、世界の食料の推定約13%が事業系食品ロスとして失われています。農畜水産物の採れ過ぎや食品製造業者の作りすぎ、パッケージの印字ミスや破損、売れ残り、返品などといった理由で、多くの食品が消費者に届けられることなく捨てられています。
一方、先進国に多いのが家庭系の食品ロスです。推定では総食料の17%が食べ残しや賞味期限切れなどにより廃棄されています。
食品ロスは、食料不足の問題だけではなく地球環境にも悪影響を及ぼしています。例えば、世界の温室効果ガスの8~10%は、食品ロスによって埋め立てられた生ごみから発生しています。
食料問題を改善したり温暖化を抑制したりするためにも、生産者と消費者の双方に食品ロスを減らすよう努力が求められています。
電子ごみの管理
電子ごみとは、廃棄された電気製品や電子機器のことです。例えば、不要になった携帯電話やテレビ、冷蔵庫などは、電子ごみの一つです。
2019年に世界全体で発生した電子ごみは5360万トン(1人当たり約7.3kg)です。これが、2030年には7400万トン、2050年には1億1000万トンまで増加すると予想されています。
電子ごみが増えている背景には、世界的な都市の増加やグローバル化、IT化などによって製品のライフサイクルが短くなっていることが挙げられます。しかし、電気・電子機器を作るにはたくさんの資源やエネルギーが使われています。そのため、短期間で電気・電子機器を捨ててしまうと、資源やエネルギーの無駄遣いにつながります。
また、電子ごみにはさまざまな有害物質が含まれています。そのため、適切に処理をしないと環境や健康に悪影響を及ぼします。例えば、古いパソコンのバッテリーやモニターには、「イタイイタイ病」の原因物質であるカドミウムが使われています。
これらの電子ごみの多くは、適切な処理が難しい発展途上国へ輸出されています。使える部品や金属を取り出すのに素手で分解をするため有害物質による健康被害を受けやすく、不適切な処理によるダイオキシンやフロンガスなどの発生も問題となっています。
再生可能エネルギーの普及
再生可能エネルギーとは、太陽光や風力、地熱など自然界に常にあるエネルギーのことです。石油や天然ガスなどの化石エネルギーとは異なり、「枯渇しない」「どこにでもある」「CO₂を出さない」といった特徴があります。
人口増加や産業の工業化によって開発途上国のエネルギー需要が急増する中、開発途上国全体における再生可能エネルギーの発電力は、2020年までの10年間で急増しました。総発電容量の3分の1以上(36.1%)が再生可能エネルギーでまかなわれるようになっています。
しかし、カンボジアやスーダンなどの後発開発途上国(LDC:Least Developed Country)や、カザフスタンやパラグアイといった内陸開発途上国(LLDC:Landlocked Developing Countries)では、依然として再生可能エネルギーの普及があまり進んでいません。
再生可能エネルギーの年平均成長率は、後発開発途上国で5.2%、内陸開発途上国が2.4%です。2020年の発展途上国と同じレベルになるには約40年かかります。
また、世界各国で運用されている化石燃料の補助金の仕組みも問題です。化石エネルギーの方が財政的メリットが高くなってしまうため、再生可能エネルギーへの移行がしづらくなってしまいます。
再生可能エネルギーの導入に必要な技術・資金の援助や、補助金制度の見直しといった対策が求められます。
2-2. 日本では「食品ロス」、「衣服ロス」、「電子ごみ」が課題
サプライチェーンに関する日本の課題としては、以下の三つが挙げられます。
・食品ロス
・衣服ロス
・電子ごみ
食品ロス
農林水産省の推計によると、日本では、売れ残りや規格外品の処分、食べ残しなどを理由に事業者からは275万トン(53%)、家庭から247万トン(47%)、合計年522万トンの食品ロスが起こっています。
食料自給率が低く食料の多くを輸入に頼っている日本において、これだけの食品が無駄になってしまっていることは問題です。
また食料を船舶や飛行機で運んだり廃棄された食料を燃やしたりすると、CO₂が発生します。燃やした灰を埋める土地も必要になります。食品ロスが増えると、その分環境への負荷も高くなります。
そのため政府では、2030年度の食品ロスを2000年度の半分まで減らすことを目指しています。生産者と消費者双方に、食品ロスを減らす取り組みが求められています
衣服ロス
衣服ロスとは、新品であったり、まだ使えたりするにも関わらず捨てられてしまう洋服のことです。
日本では、洋服を一着作るのに25.5kg(500mlペットボトル255本製造分)のCO₂を排出し、2300リットル分(浴槽約11杯分)の水を消費しています。そして、作られた衣服は毎年一人あたり18着購入され、12着は手放されます。
手放された衣服の約7割はごみとして廃棄され、毎日大型トラック130台分の衣服が償却・埋め立て処分されています。環境に多くの負荷をかけながら作られた衣服の多くが、あっという間にごみとなってしまっています。
こうした問題を解決するには、サーキュラーエコノミー(循環経済)への移行が大切です。サーキュラーエコノミー(循環経済)とは、製品を再利用・再販売・リサイクルしたりシェアしたりすることで、資源の消費と廃棄物の発生を最小化した経済のことです。
例えば、使わなくなった衣服をバザーやリサイクルショップなどで再流通させたり、古着から再生ポリエステルを作ったりするなど、衣服に使われた資源ができるだけ長く維持・活用されるような取り組みが求められています。
電子ごみ
日本の電子ごみの排出量は、年間257万トン、1人当たり20kgです。これは、世界第4位の排出量にあたります。
さらに、日本は他の先進国と同様に電子ごみの輸出も多く行っています。電子ごみを含む「特定有害廃棄物」の輸出量は、2001年の1515トンから2017年には約25万トンまで増加しました。
電子ごみには、金、銀、銅やレアメタルなど人工では作り出せない貴重な金属が含まれています。これらは、回収・リサイクルすることで新たな製品に生まれ変われます。
しかし、家電リサイクル法や小型家電リサイクル法が整備されている日本でも、リサイクル料金の支払いを避けるために人目に付かない場所に不法投棄する人や、無許可で廃品を回収して適切な処理を行わないまま廃棄してしまう業者がいます。
環境汚染や健康被害を防ぎ、貴重な金属資源を無駄にしないためにも、効率的な回収と適正な処理が求められています。
3.SDGs目標12に企業が取り組むアプローチ法とメリット・注意点とは?
次に、国内外のサプライチェーンの課題に対する企業のアプローチ方法や、取り組みのメリット、注意点を見てみましょう。
3-1. SDGs目標12「つくる責任、つかう責任」への企業のアプローチ法
SDGs目標12「つくる責任、つかう責任」の企業のアプローチ方法は大きく以下の三つが挙げられます。
・エネルギー効率の向上
・サーキュラーエコノミーへの取り組み
・天然資源の管理
エネルギー効率の向上
まずは、エネルギー効率の向上です。例えば、熱回収装置を設置して製造時に発生する余剰熱を再利用する、LED照明などの省エネルギー設備を導入する、ソーラーパネルなどを設置して化石エネルギーを再生可能エネルギーに置き換える、といった方法が挙げられます。
また、エコカーやエコ家電といった省エネルギー製品を開発・販売するなど、製品使用時のエネルギー効率を高める方法もあります。
これらは、化石燃料などの天然資源の消費を減らし、製品を作ったり使ったりする際に発生する温室効果ガスの抑制にもつながります。
サーキュラーエコノミーへの取り組み
次は、サーキュラーエコノミーへの取り組みです。サーキュラーエコノミーでは、一度使用した資源をリサイクルしたり再利用したりして、サプライチェーンの中で何度も循環させていくことで、投入される資源の量と廃棄されるごみの量を最小化します。
例えば、店舗から出た食品廃棄物を自社農場の堆肥として使い、その堆肥で育った農産物を再び店舗で販売する、廃棄された衣類を粉砕・分解し、精製されたポリエステル繊維から再び衣料品を作る、といった取り組みがあります。
また、カーシェアリングやファッションシェアリングといったシェアリングサービスの提供は、製品のライフサイクルを延ばし、ごみの削減につながります。
天然資源の管理
最後が、天然資源の管理です。
例えば、植林活動を通じて森林資源の消失を防いだり、水や土壌が汚染されないよう工場などで発生する化学物質を適切に管理したりすることなどが挙げられます。
また、サプライヤーのリスク評価を行い、できるだけ環境負荷の少ない物品を調達するグリーン購入という方法もあります。
これらの取り組みが生物多様性を守り、地球温暖化を抑制することにつながります。
以上が、SDGs目標12「つくる責任、つかう責任」への企業のアプローチ法です。
3-2. SDGs目標12「つくる責任、つかう責任」に企業が取り組むメリット
SDGs目標12「つくる責任、つかう責任」に企業が取り組むメリットは主に次の三つが挙げられます。
・企業イメージの向上
・ビジネスチャンスの創出
・コストの削減
企業イメージの向上
SDGs目標12「つくる責任、つかう責任」への取り組みを通じて、サプライチェーン全体で排出されるCO₂や化学物資、廃棄物を減らすことで、環境に配慮した企業として消費者からの信頼獲得につながります。
また、近年拡大しているESG投資(環境・社会・ガバナンスにおける課題の解決に資する投資)の中でも、サーキュラーエコノミーは、気候変動に次ぐ重要な環境分野の投資テーマとなっています。そのため、サーキュラーエコノミーに取り組むことで、投資家からの評価アップが期待できます。
ビジネスチャンスの創出
SDGs目標12「つくる責任、つかう責任」への取り組みを通じて、環境に優しい製品を開発したり生産プロセスを最適化したりすることは、新しい技術の開発や既存の技術の改良につながることがあります。技術革新によって競争力が高まり、新たなビジネスチャンスの創出が期待できます。
コスト削減
再生可能エネルギーや再生資源の活用などによってエネルギー・資源効率が高まることで、燃料費や原材料費といったコストの削減につながります。
以上が、SDGs目標12「つくる責任、つかう責任」に企業が取り組む主なメリットです。
3-3. SDGs目標12「つくる責任、つかう責任」に企業が取り組む注意点
SDGs目標12「つくる責任、つかう責任」に企業が取り組む注意点は、主に次の三つが挙げられます。
・ステークホルダーの理解・協力を仰ぐ
・効果を検証する
・取り組みを可視化する
ステークホルダーの理解・協力を仰ぐ
SDGs目標12「つくる責任、つかう責任」に取り組む際は、ステークホルダーの理解や協力が必要になる場合があります。
例えば、環境に配慮したサプライヤーから優先的に原材料や製品を調達するグリーン購入では、サプライヤーにグリーン購入の方針や納入基準についてしっかりと説明を行い、協力を仰ぐことが求められます。
また、環境に配慮した製品を購入する際、手続きの煩雑さやコストがネックとなる場合には、他の企業や自治体に声を掛け共同調達を行うことで、金銭的コストと事務的コストの両方を削減することができます。
効果を検証する
SDGs目標12「つくる責任、つかう責任」に取り組む際は、本当に意図した効果を得られるかどうかを検証することが必要です。
例えば、環境への負荷を考えた時にプラスチックの代替品として挙がってくる素材の一つに、紙があります。確かに、海洋汚染などの問題を考えると、プラスチックカップを紙カップに替えるなどしてプラスチックの使用量を削減することは、環境にとってプラスとなります。しかし、紙製品の製造には大量の木や水が使われていたり、プラスチック製品を製造する時以上のCO₂が排出されていたりする場合があります。
環境負荷を減らすための取り組みが、別の視点から見た時にかえって環境に悪影響を与えるものとならないよう、多角的な視点で検証することが求められます。
取り組みを可視化する
SDGs目標12「つくる責任、つかう責任」への取り組みは、企業のイメージをアップさせ消費者や投資家からの支持を得やすくなるメリットがあります。
そのためには、取り組みの進捗や成果を社外に可視化する必要があります。一例として、食品ロスの量や廃棄物の再生利用率、CO₂の排出量などの指標を設定し、達成度をWEBサイトやサステナビリティ・レポートなどで公表する方法があります。
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4.SDGs目標12「つくる責任、つかう責任」への企業の取り組み事例四つ
最後に、目標12「つくる責任、つかう責任」の企業の取り組み事例を、日本企業と海外企業に分けて紹介します。
4-1. 日本企業の取り組み事例
まずは、日本企業の取り組み事例です。外務省サイト「JAPAN SDGs Action Platform」のジャパンSDGsアワードの受賞団体と環境省サイト「SUSTAINABLE FASHION」の企業の取り組み好事例の中から以下の二社についてご紹介します。
・株式会社日本フードエコロジーセンター
・株式会社アダストリア
株式会社日本フードエコロジーセンター
「食品ロスに新たな価値を」という企業理念を掲げる株式会社日本フードエコロジーセンターは、食品工場の余剰品やスーパーなどで賞味期限切れとなった食品を活用して、リキッド発酵飼料を開発。養豚農家へ飼料を供給し、そこで育った豚をブランド肉として販売しています。
これは、輸入に依存していた飼料の自給率をアップさせ、飼料穀物の相場に左右されない安定した食料の生産・供給につながっています。
株式会社アダストリア
衣料品や雑貨等を製造・販売する株式会社アダストリアは、売れ残った商品の大量廃棄問題を解決するため、売上や粗利に応じて仕入れや在庫を調整するOTB(open to buy)管理の徹底といった適正在庫に向けた取り組みを実施。さらに、売れ残った在庫を黒染めしてアップサイクルすることで、「FROMSTOCK」というブランドでの再販売を実現しています。
同社はこれらの取り組みによって、残在庫の焼却廃棄ゼロを達成しました。
4-2. 海外企業の取り組み事例
次に、海外企業の取り組み事例です。「SDG INDUSTRY MATRIX —産業別SDG手引き」に掲載されている企業の中から以下の2社をご紹介します。
・ファッツェル・グループ(フィンランド)
・ペプシコ(アメリカ)
ファッツェル・グループ(フィンランド)
カカオ産業を取り巻く問題の一つに、森林破壊があります。カカオ豆の生産量世界第1位のコートジボワールを中心に、西アフリカではカカオ豆を栽培する農地を開拓するために多くの熱帯雨林が焼き払われています。
そこで、チョコレート菓子などの製造・販売を行うファッツェル・グループは、カカオ農家の安定した生活と森林の保全、カカオの持続可能な生産と消費を実現するため、コートジボワールやナイジェリア、エクアドルで「Fazer for Better Cocoaプログラム」に取り組んでいます。
「Fazer for Better Cocoaプログラム」は、ガバナンス、社会、環境、品質、トレーサビリティの五つの観点からカカオの調達基準を定め、農家をはじめとしたサプライヤーに遵守するよう求めたものです。具体的には、児童労働や賃金の支払い、生物多様性などの基準があります。
また、農家への直接的な働きかけも行っており、農業排水によって海が汚染されないよう指導したり、カカオの生育を助けるために側にシェードツリーを植えるようアドバイスしたりしています。
こうした一連の活動は、カカオ生産者の生活の向上と生物多様性の保全につながっています。
ペプシコ(アメリカ)
ペプシコは、サーキュラーエコノミーの実現に向け、2025年にパッケージの100%をリサイクル可能、堆肥化可能、生分解性または再利用可能にすることを目指し、ペプシブランドの全ての飲料ボトルを再生プラスチックへと切り替える取り組みを進めています。
再生プラスチックへ100%移行した場合、化石燃料をベースとした未使用のプラスチックは年間7万トン以上削減され、1本あたりの炭素排出量が約40%減ると推定しています。
また、ブラジルのココナツサプライヤーと連携し、廃水を肥料として再利用する取り組みも行っています。ココナツ栽培に欠かせない多くの栄養素を含んだ処理済みの廃水は近隣農場へと送られ、かんがいや肥料として活用されています。
本ブログではSDGsの17の目標について、それぞれ詳しく解説した記事を公開しています。
1. 貧困をなくそう | 2. 飢餓をゼロに | 3. 全ての人に健康と福祉を | 4. 質の高い教育をみんなに | 5. ジェンダー平等を実現しよう | 6. 安全な水とトイレを世界中に | 7. エネルギーをみんなに そしてクリーンに | 8. 働きがいも経済成長も | 9. 産業と技術革新の基盤をつくろう | 10. 人や国の不平等をなくそう | 11. 住み続けられるまちづくりを | 12. つくる責任 つかう責任 | 13. 気候変動に具体的な対策を | 14. 海の豊かさを守ろう | 15. 陸の豊かさも守ろう | 16. 平和と公正を全ての人に | 17. パートナーシップで目標を達成しよう
5.まとめ
SDGsの目標12「つくる責任、つかう責任」は、正式には「持続可能な消費・生産形態を確実にする」と定められています。
今後も地球上で豊かな暮らしを続けていけるよう、生産者も消費者も限りある資源を大切に使い、無駄な消費を減らそうという目標です。
目標12「つくる責任、つかう責任」のターゲットを簡単にまとめると、天然資源の持続可能な管理と効率的な利用、サプライチェーンにおける食品ロスの削減、廃棄物の削減、化学物質の排出抑制といった内容が盛り込まれています。
サプライチェーンに関する世界的な課題としては、以下の四つが挙げられます。
・天然資源の消費量
・食品ロスの削減
・電子ごみの管理
・再生可能エネルギーの普及
サプライチェーンに関する日本の課題としては、以下の三つが挙げられます。
・食品ロス
・衣服ロス
・電子ごみ
SDGs目標12「つくる責任、つかう責任」の企業のアプローチ方法は大きく以下の三つが挙げられます。
・エネルギー効率の向上
・サーキュラーエコノミーへの取り組み
・天然資源の管理
SDGs目標12「つくる責任、つかう責任」に企業が取り組むメリットは主に次の三つが挙げられます。
・企業イメージの向上
・ビジネスチャンスの創出
・コストの削減
注意点は以下の三つです。
・ステークホルダーの理解・協力を仰ぐ
・効果を検証する
・取り組みを可視化する
具体的な企業の取り組み事例として、以下の四社についてご紹介しました。
・株式会社日本フードエコロジーセンター
・株式会社アダストリア
・ファッツェル・グループ(フィンランド)
・ペプシコ(アメリカ)
目標12「つくる責任、つかう責任」では、一つ一つの企業がどう行動するかで地球の未来が変わります。持続可能な社会の実現にむけて、ぜひ本稿を参考に取り組みを検討してみてください。
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[1] 慶應義塾大学SFC研究所×SDG・ラボ,「SDGsとターゲット新訳 Ver.1.2(2021.3)」, https://xsdg.jp/pdf/SDGs169TARGETS_ver1.2.pdf (閲覧日:2023年3月24日)
参考)
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慶應義塾大学SFC研究所×SDG・ラボ「SDGsとターゲット新訳 Ver.1.2(2021.3)」, https://xsdg.jp/pdf/SDGs169TARGETS_ver1.2.pdf (閲覧日:2023年3月24日)
国際連合広報センター「『責任ある消費と生産はなぜ大切か』はなぜ大切か」,https://www.unic.or.jp/files/12_Rev1.pdf(閲覧日:2023年3月24日)
農林水産省「国内の現状と課題と事例」,https://www.maff.go.jp/j/shokusan/sdgs/goal_12.html#goal_top(閲覧日:2023年3月24日)
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経済産業省資源エネルギー庁「総論」,『なっとく!再生可能エネルギー」,https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/renewable/outline/index.html(閲覧日:2023年3月25日)
独立行政法人国際協力開発機構「なんとかしなきゃ!プロジェクト」,https://www.jica.go.jp/nantokashinakya/sekatopix/article0147/index.html(閲覧日:2023年3月26日)
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