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アニバーサリー休暇とは 「記念日」休暇で有休取得率の向上を図る 

アニバーサリー休暇とは 「記念日」休暇で有休取得率の向上を図る 

アニバーサリー休暇とは、「記念日」を理由に取得できる有給休暇のことです。

日本は有休取得率が低い」、これはイメージだけではありません。政府は2007年に「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」を策定し、2020年までに年次有給休暇の取得率を70%まで引き上げる目標を立てました。しかし、いまだ60%に満たないのが現状です。

アニバーサリー休暇は、政府が有休休暇の取得率向上を目的として打ち出した休暇制度の1つです。この導入により、それまで20%未満だった有休休暇取得率が50%近くまで上昇した企業もあります。

本稿では、アニバーサリー休暇とは何か、なぜ有休休暇取得率が低いのかなどについて解説します。

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1. アニバーサリー休暇とは

アニバーサリー休暇とは、誕生日や結婚記念日など、「記念日」に有給休暇が取れる制度です。

有給休暇は、労働基準法によって定められています。その取得は従業員に認められた権利であり、取得時に理由を伝える必要はありません。しかし、実態は「職場に休める雰囲気がない」「自分が休むと同僚が多く働くことになる」と周囲への気遣いから取得しづらいと感じている従業員が多くいます。

そこで、誰にでも該当する理由で気兼ねなく休暇を取れるようにと考え出されたのがアニバーサリー休暇です。

従業員が有休休暇取得率の低さから働きづらさを感じ、より休みやすい企業へ転職することは、企業にとって避けたい事態といえるでしょう。このような制度を設けて働きやすい環境が整えられれば、従業員のエンゲージメントや定着率の向上を図ることができます。

企業によっては、「記念日」を自分で決められたり、家族の誕生日でも有給休暇が取れたりするなど制度に柔軟性を持たせる工夫や、アニバーサリー休暇を取得すると特別手当が出るなどメリットを増やして取得率を向上させる工夫をしているところもあります。

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2. なぜ有休休暇取得率が低いのか

そもそも日本はなぜ有休休暇取得率が低いのでしょうか。その理由は必ずしも職場環境にあるわけではなく、日本人特有の「考え方」も関わっています。

年次有給休暇の取得に関する調査によると、従業員が有給休暇を取り残す理由として一番多かったのが「病気や急な用事のために残しておく必要があるから」で64.6%でした。これは「念のため」という保険をかけておく日本人ならではの理由でしょう。

次いで「休むと職場の他の人に迷惑になるから」が 60.2%、「仕事量が多すぎて休んでいる余裕がないから」が 52.7%と、職場環境に起因する理由が続きます。

出典)独立行政法人労働政策研究・研修機構 「年次有給休暇の取得に関する調査」
https://www.jil.go.jp/institute/research/2011/documents/085.pdf

「いざというときのために取っておかないと不安」という理由が一番であるものの、「休みづらい」と思わせる雰囲気が有給休暇取得率を引き下げている実態が根強くあります。

以下は、有休取得に対する意識調査の結果です。

 

出典)内閣府 「仕事と生活の調和レポート2017第3章」
http://wwwa.cao.go.jp/wlb/government/top/hyouka/report-17/h_pdf/s3-3.pdf

2000年から2015年、2016年と順に減ってはいるものの、6割以上が有休休暇の取得に「ためらいを感じる」と回答しています。

また、その理由として「みんなに迷惑がかかると感じるから」が最も多く、2000年よりも2016年の方が10%以上も上昇しているのが目立ちます。業務量の増加や人手不足など職場環境の悪化が懸念されるところです。


3. 休暇制度は企業選びのポイント

株式会社マイナビによる大学生を対象とした就職意識調査によると、働きたくない企業の要素として「休日・休暇がとれない(少ない)会社」との回答が全体の4分の1にも及びました。

働きたい企業としての回答は9%ほどで重要視はされていませんが、これは「休暇が取れるのは当たり前」という思考の裏返しと考えられます。

また、「休日・休暇がとれない(少ない)会社」より上位に位置するのは「暗い雰囲気の会社」「ノルマのきつそうな会社」で、どちらも休暇を取りにくいイメージにつながります。

出典)株式会社マイナビ 「2018年卒マイナビ大学生就職意識調査」
http://mcs.mynavi.jp/enq/ishiki/data/ishiki_2018.pdf

これらのことから、既存の従業員だけでなく、これから入社する従業員のためにも休みやすい環境づくりが求められているといえるでしょう。


4. その他の休暇制度

アニバーサリー休暇以外に独自の休暇制度を導入し、有休休暇取得率の向上につなげている企業もあります。その一部をご紹介します。

サポート休暇―ミサワホーム株式会社

年次有給休暇の未消化分のうち、失効時に年当たり最大 7 日、合計100 日まで積み立てることができる「サポート休暇」を導入しています。従業員本人の病気療養、家族の介護、子どもの看護が必要な際の支援をすること、将来の万が一に備え、安心して仕事ができる職場環境をつくることが制度の目的です。

ボランティア休暇―オエノンホールディングス株式会社

東日本大震災をきっかけに5日間の特別休暇として「ボランティア休暇」を設けています。この制度の導入により被災地の復興支援に行ったり、地域貢献として介護施設・養護施設などで活動したりする従業員が増えています。

プロジェクト休暇―東京海上日動システムズ株式会社

プロジェクト終了後に心身をリフレッシュさせることを目的に特別休暇(有休で年1回2日)を与える「プロジェクト休暇」を設けています。プロジェクト型の業務が多い情報通信業において、プロジェクトの終了時という休みやすいタイミングで休暇が取れるため効率良く取得ができます。

子の看護休暇―生活協同組合コープみらい・コープデリ生活協同組合連合会

育児をしながら働く従業員のため「子の看護休暇」を導入しました。この制度は小学校入学前の子どもを育てる従業員が、子ども1人の場合は年5 日まで、2 人以上の場合は年 10 日まで半日単位で休暇を取得できるものです。

「子どもを病院に連れて行った後、出勤したいときに便利」といった職場の声を吸い上げ、導入されました。

裁判員休暇―株式会社Z会

裁判員制度がスタートした 2009 年度から、裁判所に行って審議に参加するという国民としての義務を果たしてもらうため「裁判員休暇」を導入しました。裁判員であることは総務人事部や直属の上司以外には公にしないことになっており、安心して利用することができます。

このような取り組み事例は、厚生労働省の「働き方・休み方改善ポータルサイト」で紹介されており、社会への周知が進み、多くの企業で活用されることが期待されます。

参考)
厚生労働省「特別な休暇制度導入事例」,『働き方・休み方改善ポータルサイト』,
https://work-holiday.mhlw.go.jp/kyuukaseido/search.php

5. まとめ

アニバーサリー休暇とは、「記念日」を理由に取得できる有給休暇のことです。有給休暇に「記念日」という大義名分を付けることで、有給休暇を取得しやすくするのが狙いです。

アニバーサリー休暇を始めとした、さまざまな休暇制度を導入したことで有休休暇取得率が上がった企業は多くあります。しかし、業種や企業の規模によって取得率にバラつきがあり、全体の有休休暇取得率は60%に満たないのが現状です。

休みやすい環境づくりは同時に働きやすい環境づくりであり、従業員のエンゲージメントや定着率の向上につながります。今一度、休暇制度をはじめ自社の職場環境を見直してみてはいかがでしょうか。

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参考)
人事のミカタ 人事労務Q&A「アニバーサリー(anniversary)休暇とは何ですか?」
https://partners.en-japan.com/qanda/desc_408
ビッグローブ株式会社 「有給休暇に関する意識調査」
https://www.biglobe.co.jp/pressroom/info/2017/07/170731-1
厚生労働省 「平成29年就労条件総合調査の概況」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/17/dl/gaikyou.pdf
独立行政法人労働政策研究・研修機構 「早わかり グラフでみる長期労働統計 図4 年次有給休暇」
https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/timeseries/html/g0504.html
厚生労働省 「人と企業を活性化する休暇制度を導入しましょう」
https://work-holiday.mhlw.go.jp/material/pdf/category4/h26_kyuuka.pdf

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