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代理店教育の極意 優秀なスタッフを育て営業力の強化につなげる方法

代理店教育の極意 優秀なスタッフを育て営業力の強化につなげる方法

「我が社の代理店教育は、今のままで十分だろうか」

代理店戦略をお考えの方は、代理店との情報共有や関係強化策について検討される機会が多いかと思います。

代理店戦略は販売チャネル強化、マーケット拡大のための重要な施策の1つです。人材不足かつ新型コロナウイルスの影響で市場が不安定となる中、随所にテコ入れが必要と考えるのは当然といえるでしょう。

そこで鍵を握るのが、代理店教育です。

教育というと「研修をして終わり」というイメージをお持ちの方も多いかもしれませんが、きちんと設計して進めていくことで、知識の共有のみならず、長期的な行動変容や関係強化といった効果を得ることができます。eラーニングなどのオンラインツールを活用すれば、煩雑な作業もいりません。

代理店のスタッフは、本部からすると遠い存在かもしれません。しかし、しっかりと教育し、良い関係性を構築することで、彼らは大きな戦力となります。

本稿では、代理店戦略の中における教育の位置付けを整理するとともに、「売れる代理店」を育てるためにどのような施策が必要か、具体的に解説します。

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1. 代理店教育はなぜ必要か?

まずは、代理店教育の必要性について解説します。

1-1. 代理店戦略の在り方

代理店教育について知る前に、販売チャネルとして代理店を活用する意義やメリットについて改めて確認してみましょう。多くの企業で人材不足問題が顕在化している昨今において、代理店の営業力、販売ルートは極めて大きな戦力です。人件費や拠点にかかる固定費の軽減にもつながります。

代理店を持つということは、優秀な営業マンを全国に配置しているようなもので、彼らと良好な関係を保ち、そこから継続的に安定収益を上げる仕組みを築いておくことが代理店戦略においては何より重要です。

企業は優秀な営業マンを育てるためにさまざまな教育を行いますが、代理店教育もそれと同等に実施する必要があるということです。

1-2. 代理店戦略上の課題

一方でもちろん課題もあります。代理店は企業とエンドユーザーをつなぐという大きな役割を担いますが、顧客接点の数はもちろん、もコントロールできていなければなりません。具体的には以下のような課題が挙げられます。

  • 高い接客レベルを維持することが難しい
  • 商品やサービスの知識を均質的に届けるのが難しい
  • 代理店管理体制が形骸化しがち

エンドユーザーの購入の意思決定を左右するのは代理店であるといっても過言ではありません。代理店管理体制を持続的に整えることは極めて重要で、代理店戦略においては最も大きな課題といえるでしょう。

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2. 解決策としての代理店教育

代理店の管理や社内体制構築が課題であるとお伝えしましたが、これを解決する1つの手段が代理店教育です。代理店は自社の看板・ブランドを背負う存在であるため、質の維持はマストです。その方法について具体的にご紹介します。

2-1. 代理店教育の進め方

企業は、自社の営業マンを育てるのと同じレベルで代理店を教育する必要があります。もちろん社会人研修や営業研修などの基本的な教育は各代理店で行うので、売るためのツールがそろってさえいれば拡販できるスキルはあると考えます。

その上で、まずは以下のようなことが必要です。

(1) 代理店選定基準を満たしているかどうか審査を行う
(2) 教育プログラムおよびインフラを準備する
(3) 教育、サポートを行う人員を確保する
(4) 教育、サポートを行うための予算を確保する
(5) 成果を可視化し評価する仕組み、体制を整える

(1)代理店選定基準を満たしているかどうか審査を行う

そもそも代理店として適しているかどうかの見極めは必須です。

自社製品・サービスを能動的に売る体力とモチベーションがあるかどうかという自社メリットに加え、代理店側に自社代理店になることのメリットがあるかどうかも十分に検討する必要があります。

代理店の選定基準は必要項目を洗い出した上でフレームワークなどを用いながら可視化し、しっかりと分析しましょう。

(2)教育プログラムおよびインフラを準備する

次に、教育プログラムを準備します。

必要なのは商品知識や販売・営業推進に関するプログラムだけではありません。業界全体の動向や営業トーク、場合によってはコンプライアンスについてのプログラムなどが必要となることもあり得ます。

代理店が必要とするスキルと代理店に受けてほしい教育に関するプログラムを可能な限り準備しておきましょう。

さらにインフラについても検討します。オンラインで行う、研修センターなどの場を用意するなど、選択肢はいくつかありますが、昨今はオンラインが主流でしょう。後半で詳しくご紹介します。

(3)教育、サポートを行う人員を確保する

教育の内容が決まったら、指導・サポート担当者を確保します。

技術研修など、内容によってはエンジニアなど現場の従業員を巻き込むことも考えられます。組織として持続的に対応できるように体制を整えておくことが重要です。

(4)教育、サポートを行うための予算を確保する

代理店教育にかかる費用は基本的には事業部予算であり、代理店営業部門や代理店教育部門などが出すのが一般的です。

フランチャイズ契約をしている場合は代理店側が一部コストを負担するケースもありますが、基本は企業側(提供元)負担です。予算は継続して確保しておきましょう。

(5)成果を可視化し評価する仕組み、体制を整える

教育は行ったらそれで終わりではありません。知識やスキルとして定着しているか、成果にどれだけ結び付いたかはモニタリングを行います。場合によってはテストや認定といった仕組みも有効でしょう。

また、成果を求めるならきめ細やかなサポート体制を整えておくことが大切です。質問を随時受け付けたり、必要な情報をすぐに提示できるようにしたりするなど、代理店が求める情報をタイムリーに提供できる仕組みを検討しましょう。この点においても、オンラインの活用は効果的です。

2-2. 代理店教育のメリット

上記を実施した上で得られる代理店教育のメリットはどのようなものでしょうか。確認してみましょう。

(1) 代理店の営業力の底上げによるマーケット拡大と業績向上
(2) 人材不足の解消、自社従業員教育コストの削減
(3) 仕組みをつくれば複数代理店に展開可能

(1)代理店の営業力の底上げによるマーケット拡大と業績向上

代理店の営業力が強化され実績が増えていくことで、自社のマーケットは拡大します。このことは自社のみならず、代理店にとっても大きなメリットです。

(2)人材不足の解消、自社従業員教育コストの削減

人材不足が課題である企業が多い中、代理店が持つ販路、営業力は大きな戦力となります。既存の営業体制ではカバーしきれなかった地方案件に着手したり、代理店の提案力を掛け合わせたりすることで、新たなソリューションが生まれることも期待できます。

(3)仕組みをつくれば複数代理店に展開可能

代理店教育を仕組み化することで、複数代理店に展開が可能です。代理店からの問い合わせ内容をストックしておけば、ますます強固なインフラとなるでしょう。

ただし、代理店教育によって得られる自社のメリットだけを追求しては代理店との関係にアンバランスが生じる恐れがあります。必ずWIN-WINの関係を前提に、代理店側のメリットもしっかりと考慮して設計しましょう。

代理店教育推進における注意点!
・代理店とはWIN-WINの関係が前提
・双方にメリットがあるように丁寧に設計を行う

2-3. 代理店教育のデメリット・課題

次に、デメリットを考えてみましょう。成果を得るための教育である以上メリットの方が多いといえますが、挙げるとすれば以下のようなデメリットが考えられます。

(1) エリアや規模など代理店の性質によって同じ教育内容でも成果がまちまち
(2) 安定的に持続させることが難しい
(3) 自社とエンドユーザーとの接点の減少、営業ノウハウが社内に蓄積されにくい
(4) 代理店との関係性によっては強制力を持たせにくい

(1)エリアや規模など代理店の性質によって同じ教育内容でも成果がまちまち

例えば、東京か地方かによってエンドユーザーのニーズが異なる可能性があります。また、代理店の規模や既存販売ルートの違いによって売り方も変わってくるでしょう。このように、代理店の性質によって必要な教育が異なります。

そのため、エリアごとに補強すべき分野を洗い出したり、受講促進策を検討したりするといった工夫が必要になるでしょう。

(2)安定的に持続させることが難しい

前述のように、教育プログラムを導入・運用し、予算や人員を確保し続けることは簡単なことではありません。その内容も随時アップデートする必要があり、その都度教育・サポートが必要となります。

自社側に代理店教育の専門チームを置くなど、管理体制を整備することが大切です。

(3)エンドユーザーとの接点の減少、営業ノウハウが社内に蓄積されにくい

代理店戦略は営業戦力の強化につながる一方で、エンドユーザーとの接点が自社から代理店に代わるというマイナスな側面もあります。エンドユーザーの声はマーケティングにとっても貴重な資源であるため、これらを吸い上げる仕組みは別途検討する必要があるでしょう。

また、直販が減ることで自社に営業ノウハウが蓄積されにくいというデメリットもあります。

(4)代理店との関係性によっては強制力を持たせにくい

代理店の立場が強い、または代理店が抱えている商材が多いようなケースでは、代理店教育に強制力を持たせにくいことが課題として挙げられます。「勉強してください」というお願いベースになってしまい、コンテンツよりもモチベーションの醸成・維持に悩むことも考えられるでしょう。

受講を促進するためには、例えば日頃からコミュニケーションを密に取る、キャンペーンやイベントで盛り上げる、eラーニングであればUI(ユーザーインターフェース)を改善するなどの工夫が必要です。

先にも述べたように、代理店と良い関係を構築しましょう。売るためのあらゆるツールを提供し、細やかなフォローや評価によってモチベーションを保つことが代理店戦略の成功につながります。

代理店教育を「教育を通じて代理店の販売力や代理店との関係を強化するもの」と捉え、代理店と協働することが重要です。


3. 代理店教育の方法

実際に代理店教育を進めていくには、どのような方法があるでしょうか。ここでは、代表的な施策をいくつかご紹介します。

定期的に勉強会を開催する

まずは定期的な勉強会や製品・サービス説明会が有効です。代理店によっては他に商材を扱っているケースも少なくありません。定期的に情報を発信することで自社製品・サービスに興味を持ってもらい、営業の機会を増やしましょう。代理店同士の情報格差をなくすためには動画配信がおすすめです。

マニュアル・パンフレット類や商品情報を積極的に共有する

情報は常に最新の状態で公開しておきましょう。動画での共有も効果的です。アップデートする際に必ず周知し、古くなった情報はアーカイブとして残します。

代理店ごとに担当者を明確にする

自社の管理体制の整備の一環として、各代理店の担当者を明確にしましょう。エリアごとで管轄を決めている企業も多いかもしれません。代理店教育のみならず、各種戦略を進めていく上で、細やかなサポートは不可欠です。少なくとも、オンラインでの窓口開設は必須でしょう。

eラーニングを活用する

従業員教育において、大人数が均質的な内容を「いつでも・どこでも」閲覧できる状態を提供するためには、eラーニングが最適です。LMS(学習管理システム:Learning Management System)をすでに導入している企業も多いと思いますが、自社内だけでなく代理店にも開放することを検討してみましょう。

例えば当社が提供する統合型学習管理システム「CAREERSHIP®」は大規模かつ複雑な組織構造に対応することができるので、代理店教育にも積極的に活用されています。

特に、初回ログイン時に自分でメールアドレスを登録してもらう機能は、代理店スタッフとのコミュニケーション強化に役立つと好評です。

メールアドレスの登録により、「受講促進メール」や「開講案内メール」などが送信できるようになるため、代理店教育の課題である受講促進に役立ちます。代理店にとっても商材の最新情報のキャッチアップや営業スキル向上につながるので、メリットは大きいといえます。

関連記事:LMS(学習管理システム)とは?専業ベンダーが基礎から選定ポイントまで徹底解説
関連記事:eラーニングとは?システムやメリット、導入事例、費用について解説

また、質疑応答や代理店同士のナレッジ共有会など双方向のコミュニケーションも代理店教育には有効です。その場合は、集合研修とe-ラーニングを組み合わせた学習形態「ブレンディッド・ラーニング」がおすすめです。

CAREERSHIP®」による代理店教育の活用事例
以下に「CAREERSHIP®」による代理店教育の活用事例をご紹介します。eラーニングを用いた代理店教育のイメージ確認にご利用ください。

A社

B社

業種

製造販売業

金融業

規模

5万人

30万人以上

教育内容

商品教育

商品教育

利用教材

動画配信
(教材作成支援ツールで内製)

スライド+ナレーション解説の動画

LMS予算

1千万円以上

2千万円以上

「CAREERSHIP®」導入背景

集合研修で実施していた代理店教育のeラーニング化を本格化させるに当たりCAREERSHIP®を選定

他社LMSを使っていたが、直観的な操作と管理効率化を重視しCAREERSHIP®に乗り換え

統合型学習管理システム「CAREERSHIP」

CAREERSHIP

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*出典:富士キメラ総研「2023 SX/GXによって実現するサステナビリティ/ESG支援関連市場の現状と将来展望」
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4. まとめ

代理店戦略は販売チャネル強化、マーケット拡大のための重要な戦略の1つです。そのため代理店を教育し、良い関係を保つことは必要不可欠です。

代理店は、企業とエンドユーザーをつなぐという大きな役割を担っています。つまり、エンドユーザーの購入の意思決定を左右するのは代理店であるといっても過言ではありません。

そのため、代理店を自社の営業マンを育てるのと同じレベルで教育しフォローすること、それを持続できる体制を整えておくことが必要です。その実現に必要な施策には、以下のようなものがあります。

(1) 代理店選定基準を満たしているかどうか審査を行う
(2) 教育プログラムおよびインフラを準備する
(3) 教育、サポートを行う人員を確保する
(4) 教育、サポートを行うための予算を確保する
(5) 成果を可視化し評価する仕組み、体制を整える

代理店として適しているかどうかを見極めた上で、代理店と自社にとって必要な教育の仕組みと体制を整え、それを持続的に管理・運営していくイメージです。

このようにしてつくり上げた代理店教育の仕組みを回すことで、以下のようなメリットが期待できます。

(1) 代理店の営業力の底上げによるマーケット拡大と業績向上
(2) 人材不足の解消、自社従業員教育コストの削減
(3) 仕組みをつくれば複数代理店に展開可能

一方で、以下のようなデメリット・課題も挙げられます。

(1) エリアや規模など代理店の性質によって同じ教育内容でも成果がまちまち
(2) 安定的に持続させることが難しい
(3) 自社とエンドユーザーとの接点の減少、営業ノウハウが社内に蓄積されにくい
(4) 代理店との関係性によっては強制力を持たせにくい

代理店教育は、人材不足の解消や営業力強化、さらにはマーケット拡大にも影響する重大なものです。これを成功させるためには、自社と代理店双方にメリットがあるように丁寧に設計する必要があります。

また、代理店の積極的な受講を促すための工夫や、代理店を経由してエンドユーザーの声を吸い上げる仕組みなども検討する必要があるでしょう。

代理店教育を「教育を通じて代理店の販売力や代理店との関係を強化するもの」と捉え、協働していく姿勢が何より大切です。

具体的な教育方法についてもご紹介しました。勉強会の定期開催やマニュアル類の整備など、代理店側のニーズをくみ取った上で丁寧に設計していきましょう。管理体制を確立し、各代理店の担当者を明確にしたり、エリアごとに管轄を分けたりするといったことの検討も綿密に行いましょう。

従業員教育において、大人数が均質的な内容を「いつでも・どこでも」閲覧できる状態を提供するためには、eラーニングが最適です。LMS(学習管理システム:Learning Management System)をすでに導入している企業も多いと思いますが、自社内だけでなく代理店にも開放することを検討してみましょう。

当社が提供する統合型学習管理システム「CAREERSHIP®」による代理店教育の活用事例も、ぜひ参考にしてださい。

 

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