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グローバル人材の育成方法とは?企業の課題と取り組みを紹介

グローバル人材の育成方法とは?企業の課題と取り組みを紹介

「グローバル人材を確保したいが、どのような要件で探せばよいのだろうか」

近年、グローバル化に伴い海外展開を進める企業は増加しており、そのための人材の重要性が至るところで語られています。しかし、多くの企業がグローバル人材の確保に苦戦しています。総務省の調査によると、約7割の企業が海外事業に必要な人材については「不足」または「どちらかといえば不足している」と回答しており、人材の確保に課題を抱えている現状にあります。

【海外事業に必要な人材の確保状況】
海外事業に必要な人材の確保状況

出典)総務省「グローバル人材の確保状況等に関する企業の意識調査」
https://www.soumu.go.jp/main_content/000496484.pdf

グローバル人材を確保する方法には「人材の育成」と「すでにグローバル人材である人材の採用」がありますが、自社ビジネスの理解の上に立って企業全体のグローバル化を推進し、中長期的にグローバルビジネスを担い得る人材の集団をつくるという点からは、人材の育成が合理的です。本稿では、グローバル人材の基本となる概念やその育成手法、効果を上げるポイントについてお伝えします。

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1. グローバル人材とは何か?

グローバル人材とは、異なる文化や国境を越えて活躍できる、広い視野を持ち合わせた人材のことを指します。言語能力だけでなく、異文化理解やコミュニケーション能力も必要とされます。グローバル人材の定義と注目されるようになった背景を解説します。

1-1. グローバル人材とは?定義を解説

グローバル人材の定義はさまざまですが、総務省では「グローバル人材」を次のように定義しています[1]

日本人としてのアイデンティティや日本の文化に対する深い理解を前提として、豊かな語学力・コミュニケーション能力、主体性・積極性、異文化理解の精神等を身に付けて様々な分野で活躍できる人材

また、文部科学省では「グローバル人材」を以下のように定義しています。

要素Ⅰ: 語学力・コミュニケーション能力
要素Ⅱ: 主体性・積極性、チャレンジ精神、協調性・柔軟性、責任感・使命感
要素Ⅲ: 異文化に対する理解と日本人としてのアイデンティティー
○ このほか、幅広い教養と深い専門性、課題発見・解決能力、チームワークと(異質な者の集団をまとめる)リーダーシップ、公共性・倫理観、メディア・リテラシー等。

引用:文部科学省「グローバル人材の育成について」https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/047/siryo/__icsFiles/afieldfile/2012/02/14/1316067_01.pdf

簡単にいえば「国や文化を越えて活躍できる人材」ということですが、それがどのようなスキルを身に付けている人材のことなのか、漠然としかイメージができない方も多いのではないでしょうか。

そこで、ビジネスをする上で具体的にどのようなスキルを持ち合わせる人物なのか、その要素については、第2章で詳しく解説します。

1-2. グローバル人材が注目されるようになった背景

ヒト、モノ、カネが国境を超えて活発に移動するグローバリゼーションの進展により、経済もグローバル化の一途をたどっています。「国内だけでビジネスを完結させたい」と思っても、もはやそれは非現実的といえるでしょう。

日本市場での自社の地盤を守りたくとも、海外から安価な商品が次々と流入している現実を受け止めなければなりません。今後人口減少が見込まれる日本市場だけに固執するよりも、攻めの姿勢に転じて、海外市場へ目を向けた方がビジネスチャンスは大きいといえます。

こうした背景から企業のグローバルビジネス推進に向けた動きは加速しており、それに伴って海外展開に必要な知識やスキルを持つ「グローバル人材」が必要となりました。


2. グローバル人材に求められる5つの要素

事業形態や企業規模によってもグローバル人材の要件は異なりますが、その中でも、求められる人物像にはいくつかの共通項があります。ここでは主な5つの要素を紹介します。

2-1. 語学力

今や、母国語が英語でない国同士においても、英語による商談が主流となっています。英語はグローバルビジネスにおいて必須のコミュニケーションツールといえるでしょう。英語での商談ができるだけでなく、英文ビジネスレターや契約書についての知識も求められます。

2-2. コミュニケーション能力

日本人同士であれば婉曲な言い回しでも分かり合えるバックグラウンドがありますが、異文化を持つ相手にはそうはいきません。外国人とコミュニケーションをとる際は、自分の言いたいことを細部に至るまで正確に表現する必要があります。

2-3. 主体性、積極性、チャレンジ精神

未知の世界や居心地の悪い環境に身を置かれても、「面白そうだ」「やってみよう」と前向きな気持ちでチャレンジする姿勢が求められます。また、最後までやり抜くタフネスさも必要です。

2-4.  自分で考え行動し、課題を解決しようとする力

異文化におけるビジネスでは、不測の事態に遭遇することも珍しくありません。そのような厳しい環境下においても冷静に対応できるよう、綿密な情報収集をして事前にリスクに備えるとともに、普段から多角的な視点を持って行動する必要があります。

2-5.  異文化に対する理解と日本人としてのアイデンティティ

異文化への理解とは、単に相手の文化を認識するだけでは足りません。いわゆる「ダイバーシティ」のことで、相手の文化に配慮したり適切な振る舞いをしたりする姿勢が求められます。

また、異文化理解と同じくらい大切なのが、日本人としてのアイデンティティを持つことです。激しさを増すグローバル競争の中、他国には真似できない日本人ならではの視点で製品やサービスを差別化することが、グローバルビジネス成功への鍵となります。

このように、グローバル人材には広い視野を持ち、異なる言語、文化、価値を乗り越えて関係を構築するためのビジネススキルが求められます。採用基準にもこれらの要素を盛り込むことで、将来的にグローバル人材になり得る人材を採用することが可能となります。


3. 育成に向けた課題とは

グローバル人材が不足する背景には、企業におけるグローバル人材育成が海外事業展開のスピードに追いついていないという要因が挙げられます。

グローバル人材を教育するためのノウハウが十分に蓄積・浸透していない状態にあるせいで、上記に挙げたグローバル人材の要素を高める教育をしないまま、語学力の強化ばかりに目が行っているケースも多いようです。

【グローバル経営を進める上での課題(複数回答)】
グローバル経営を進める上での課題(複数回答)

出典)経団連「グローバル人材の育成・活用に向けて求められる取り組みに関するアンケート」
<http://jinzainews.net/articles/mYspR>

時代の変化に合わせたスピード感のある対応が求められるだけに、いかにシステマティックな育成体制を構築するかが難しいところではありますが、自社のグローバル人材像を見定めた上で、「全従業員」を対象とした「体系的」な教育を展開することが理想的です。

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4. グローバル人材育成・開発の方法

海外事業をスムーズに展開していくために必要な教育とは、どのようなものがあるのでしょうか。実践的な育成プログラムについて見ていきましょう。

4-1. グローバル人材を育成するための実践的な手法一覧

グローバル人材を育成するには、「グローバル標準のスキル研修」ならびに「グローバル意識の醸成」体系立てて計画するとよいでしょう。具体的なプログラム例は次の通りです。

階層別グローバル人材育成プログラム例

最初にすべきことは、英語教育や一部の選抜した従業員への教育ではなく、組織全体にグローバル化の必要性や異文化理解を浸透させることです。全従業員にダイバーシティや異文化理解に関する研修をして、多様性を受け入れる土壌を整えましょう。

その上で、求める人材要件に適した従業員に対して、海外研修やグローバルビジネスに必要なスキルに関する研修を実施します。こうした教育は3~5年のスパンで包括的に取り組み、組織全体のグローバル化を図ります。

4-2. グローバル人材研修の効果を高めるポイント

グローバル人材を育成するにはさまざまなプログラムを実施する必要がありますが、その全てを集合研修にすると費用がかかります。効率化を図るためにも、全社教育に関するものにはeラーニングを活用しましょう。

例えば、統合型学習管理システム(LMS)CAREERSHIP®なら、ダイバーシティやグローバルビジネスに関する教材が幅広くそろっており、選抜した人材のみに特定の教材を提供することもできます。

さらに、海外研修をする場合は、渡航前後に参加者のEQ診断・スキル診断を実施して能力の変化を見たり、レポートを一括管理したりすることもできます。必要に応じて検討してみるとよいでしょう。


5. まとめ

企業のグローバルビジネス推進に向けた動きは加速し、それに伴い、海外展開に必要な知識やスキルを持つ「グローバル人材」が必要となりました。グローバル人材の具体的な要素は次の通りです。

(1)語学力
(2)コミュニケーション能力
(3)主体性、積極性、チャレンジ精神
(4)自分で考え行動し、課題を解決しようとする力
(5)異文化に対する理解と日本人としてのアイデンティティ

グローバル人材を育成するには、「グローバル標準のスキル研修」ならびに「グローバル意識の醸成」を体系立てて計画するとよいでしょう。

まずは全従業員向けに語学研修や異文化理解に関する研修をして、一人一人のグローバル意識を醸成します。その上で、選抜対象者に海外研修やグローバルビジネスに必要なスキルに関する研修を実施します。

企業全体にグローバルマインドを醸成することは、海外でのビジネスを推進するだけでなく、長期的にはダイバーシティを生かして組織全体のパフォーマンスを上げる効果も期待できます。ぜひ計画的にグローバル人材を育成し、企業力の向上を図りましょう。

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[1]総務省「グローバル人材育成の推進に関する政策評価」https://www.soumu.go.jp/main_content/000496468.pdf

<参考>
三菱UFJリサーチ&コンサルティング「大企業におけるグローバル経営人材の育成に関する実態調査」
https://www.murc.jp/wp-content/uploads/2018/04/cr_180404.pdf

総務省「グローバル人材育成の推進に関する政策評価」
https://www.soumu.go.jp/main_content/000496468.pdf

経団連「グローバル人材の育成・活用に向けて求められる取り組みに関するアンケート結果」
https://www.keidanren.or.jp/policy/2015/028.html
財団法人 企業活力研究所「企業におけるグローバル人材の育成確保のあり方に関する調査研究報告書」
http://www.bpfj.jp/act/download_file/68127081/50036936.pdf

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