「グローカル人材」とは、グローバルに物事を考える視点を持ち、その視点を活かして地域経済や社会に貢献する活動を行う人材のことです。
「グローカル」とは、「グローバル(Global、世界)」と「ローカル(local、地域)」を掛け合わせた造語。つまり「グローカル人材」は、海外マーケットとの橋渡し役や地域企業の海外進出を担う、世界に通用する能力を持った人材のことを指し、近年注目が集まっています。
このグローカル人材が果たす役割は、地域企業がグローバル市場に展開する、逆にグローバル企業が地域市場に進出する、あるいは地域と地域をつなぐなど多様に解釈することができますが、共通して求められるのは「地球規模で考え、地域で行動する」力です。
本稿では、このグローカル人材への期待が高まっている背景や、グローカル人材が持つ強み、またどうすればこのような人材を育てられるのかなどをご紹介します。
ライトワークスブログに掲載された記事からピックアップした企業の人事に関連する163の用語が収録されています。
以下6つのカテゴリに用語を分類し、検索しやすいようまとめています。
- 教育・育成
…ARCSモデル、アクションラーニング など - 教育テーマ
…アンコンシャスバイアス、サーバントリーダーシップ など - 採用・雇用
…インフルエンサー採用、エンプロイアビリティ など - 人事企画
…健康経営、従業員エンゲージメント など - 制度・環境の整備
…インクルージョン、ピアボーナス など - 労務管理
…がんサバイバー、36協定 など
ぜひ様々なシーンでお役立てください。
目次
1. グローカル人材が注目を集める背景とは
グローカル人材は、グローバルな視点・経験を活かして地域の発展に貢献する人材のことです。ここでいう「グローバルな視点」とは、外国語スキルだけではなく、異文化への理解力を活かし世界中の人々とコミュニケーションをとる能力のことを指します。
グローカル人材が注目される理由は、「グローバル人材」との性質の違いにあります。両者はどういった点で異なっているのでしょうか?
「グローバル人材」とはご存知の通り、日本人としてのアイデンティティを持ちながら、行動力を活かして海外で活躍できる、いわゆる「世界規模で活躍する」人材のことを指します。一方、「グローカル人材」は、海外でも活躍できるスキルや考え方を持ちつつも、あくまでその地域に貢献する人材のことです。「世界規模の視点と地域性の組み合わせ」の性質を持つ人材といえるでしょう。
ここに、グローカル人材が求められる理由があります。グローバル化の時代の流れは各国の都市部だけでなく、地域社会にまで浸透しました。地方企業はかつての「地産地消」の形態から海外への事業展開へとモデルチェンジすることで、より大きな利益を確保しようと動いています。その際、どうしても自分たちの企業を海外マーケットに受け入れられる形で結びつける「橋渡し役」が必要となるというわけです。
今や、規模の小さい会社であってもインターネットを駆使することで海外展開が比較的容易な時代となりました。また、地域企業がグローバルに活躍することで国全体を豊かにするためにも、多くの会社にグローカル人材が必要とされているのです。
2. 「グローカル人材」の人材像
それでは、グローカル人材にはどのようなスキルが求められるのでしょうか? 大きく2つ挙げることができます。
① コミュニケーション能力
② ローカライズ能力
それぞれ説明していきます。
2-1. コミュニケーション能力
グローカル人材に求められる最大の役割は、企業を海外マーケットと結びつけるための「橋渡し」です。そのためには、異なる文化・価値観を持つ人とコミュニケーションをとる能力が必須と言えます。外国語の会話スキルや相手の国の文化・礼儀作法といったものに関しては、現地に行ってから慣れるのではなく、事前にしっかりと勉強しておく必要があるでしょう。
2-2. ローカライズ能力
何より重要なのが、異なる価値観を理解し現地の人々に受け入れられるビジネスを展開する姿勢です。自国で培ったノウハウが絶対のものであると思い込まずに、その地域の人々の嗜好を理解しようとすることが、企業のグローカル化には必要となります。
例えば、マクドナルドの営業戦略などは、このローカライズをうまく行った例といえるでしょう。マクドナルドの商品の中には、販売する地域に合わせて味を独自に調整しているものがあります。日本店舗での「てりやきマックバーガー」は、分かりやすい例です。このように、他国の企業が海外で成功するためにはローカライズ能力を持つ人材が重要な役割を果たすのです。
3. グローカル人材の育て方・見極め方
こうしたグローカル人材にはどうしたら出会えるのでしょうか? 京都のNPO法人グローカル人材開発センターの取り組みから、グローカル人材の育て方や見極め方について考えてみましょう。
同センターでは、京都府の経済団体・大学と共同でグローカル人材の育成を目的としたさまざまなプロジェクトに取り組んでいます。取り組みの内容は大きく分けて次の2つがあります。
① 教育プログラムの開発支援
② 学生事業プロジェクトの運営
①の取り組みとしては、課題解決型の教育科目を大学に導入する支援をしています。プロジェクトチームとして課題に取り組む経験を積ませることで、社会人生活において大学で学んだことを活かす力を身に着けさせることが目的です。
②の学生事業プロジェクトの運営では、同センターが学生側と企業・地域との連携をプロデュースする役割を果たします。インターンシップのように行動がはっきりと規定されたものではなく、地域に対する関心を深めることを目的とした自由度の高いプロジェクトもあるようです。
この他にも、官民協働で海外留学支援プロジェクトを立ち上げた事例もあります。
これらの取り組みに共通して言えることは、グローカル人材として活躍するには実地体験が重要だということです。海外留学や海外研修で異文化を体験する過程を経て、グローバルな視野・視点を獲得した人は、グローカルな人材として成長していく可能性があります。ただし、海外に行けば無条件、グローバルな視野・視点が形成されるわけではなく、異文化を理解し積極的に学ぼうとする姿勢が欠かせません。
このように、現地での体験と積極的に学ぶ姿勢、という2つの要素を備えているかどうかがグローカル人材として活躍出来るかどうかのポイントになるでしょう。
4. まとめ
グローカル人材とは、グローバルな視点や経験を活かして地域社会・地域経済に貢献出来る人材です。
そして、グローカル人材として活躍するには異文化に対するコミュニケーション能力や、地域の人々の側に立ったローカライズ能力が必須となります。
こういった人材が育つには、海外での学習経験と積極的に学ぶ姿勢が必要だということができます。
(参考)
https://jinjibu.jp/keyword/detl/800/
http://glocalcenter.jp/
https://bizhint.jp/keyword/78897
https://bizhint.jp/keyword/97269
https://paraft.jp/r000017002541