オンボーディングとは、新入社員を企業に馴染ませ、早期に活躍ができるように、組織としてサポートする仕組みのことです。
「中途採用をしても、すぐ辞めてしまう」
売り手市場でなかなか優秀な人材が採用できないと悩む中、ようやく採用した人材がすぐ離職してしまったり、期待通りのパフォーマンスが発揮されなかったりするという悩みを抱える企業は多いのではないでしょうか。今や「人材の定着」と「早期戦力化」は企業の大きな課題となっています。
そこで注目を浴びるようになったのが、オンボーディングです。これは、新卒一括採用ではなく、その都度人材を採用する欧米企業で一般的なサポートプログラムで、新入社員のパフォーマンスを早く発揮する工夫が詰まっています。
本稿では、オンボーディングについて、その内容を企業事例を交えて解説します。
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目次
1. オンボーディングとは
「オンボーディング」とは、 “on-board(船・飛行機に乗っている)”から派生した造語で、企業という船に乗る新入社員が一日も早く組織に慣れて、パフォーマンスを発揮できるようにするためのプロセスを意味します。オンボーディングの対象となるのは、新卒・中途を問わず全ての新入社員です。
一般的に、新入社員が成果を上げられるようになるには半年かかると言われています。そして、最初の90日間で適切な研修をしなければ、その後の定着率にも影響します。
一連のプロセスにより新入社員を継続的にサポートしながら、なるべく早く活躍できる環境を整えること、組織の生産性を高めることがオンボーディングの目的です。
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2. オンボーディングが注目される背景
近年、入社しても数年以内に離職をする「早期離職」が増加しています。労働力人口が減少している中、「いかに組織に定着させるか」「いかに早く活躍できる環境をつくるか」が企業の重要な課題となっています。
早期離職の原因のひとつは、入社後の短期間しか研修・フォローがないことです。画一的な内容で、個々の能力やバックグラウンドを考慮していない場合もあります。また、中途入社に関して言えば、企業文化などにすぐに馴染めないことも挙げられます。こうした背景を受けて、企業へのスムーズな適応、早期の戦力化を図るオンボーディングが注目されるようになりました。
3. オンボーディングの内容
オンボーディングでは個々のキャリア・能力に応じたプログラムを実施していきます。また、既存メンバーとのコミュニケーションを取る機会を積極的に設け、組織全体として新入社員を受け入れる体制をつくります。
新しい環境に不安を抱きがちな新入社員を継続的に、きめ細かくサポートしていくことで、モチベーションや企業へのエンゲージメントを高められるようにするのです。
具体的な施策は企業によって異なりますが、例としては次の通りです。
入社前のオンボーディング
- 入社前ミーティング
- 働き方、価値観のすり合わせ
入社直後のオンボーディング
- オリエンテーション
- マニュアル配布(社内用語や専門用語の明確化)
- 社員紹介、メンター紹介
- 歓迎ランチ
- OJT、Off-JTなどの各種研修
入社~3カ月のオンボーディング
- メンタリング
- 1on1ミーティング、フォロー面談
- オンラインサポート
人手不足で優秀な人材を確保することが難しい昨今、個々人に合わせた採用・育成プログラムにより、短期間での戦力化、定着率の向上を図ります。
早期退職を防ぐには、研修期間での人間関係構築も重要なポイントです。 ライトワークスのeラーニングは学びやすい短時間の教材がほとんど。基礎教育の時間を削減し、フォローアップや動機やメンバーとのコミュニケーションに貴重な研修期間を活用できます。新入社員研修向けeラーニングコースラインナップを詳しくみる。
4. 企業の導入事例
実際に導入している企業は、どのようなオンボーディングをしているのでしょうか。今回は2社の事例を紹介します。
4-1. 株式会社メルペイ
フリマアプリの大手・メルカリ社の金融領域として誕生したメルペイ社では、業務知識の支援策に加えて、チームビルディングや経営陣とのコミュニケーションを促進する支援策など、さまざまなオンボーディングを用意しています。
出典)東洋経済ONLINE https://toyokeizai.net/articles/-/234476?page=2
同社の特徴は、コミュニケーションを意識した施策が多いことです。フラットに意見を共有しあえるよう、食事会をしたり、チャットツール上で同期グループを作ったりすることで、コミュニケーションが生まれる工夫をしています。
4-2. LINE株式会社
LINEアプリをはじめ、電子書籍、決済に至るまで、多様なサービスを展開するLINE社では、入社後速やかに成果を上げられるよう、きめ細やかなオンボーディングを実施しています。そのひとつとして、「LINE CARE」というオンラインサービスがあります。これは、社員が分からないことをなんでも聞ける、いわば「駆け込み寺」のような存在です。入社初期は、「細かいルールが分からない」「誰に聞けば良いのか分からない」などのハードルに遭遇します。LINE CAREはそのような些細なつまずきを防ぎ、業務に注力できる環境を整えることで、早期の戦力化を図る施策だと言えるでしょう。
さらに、対面でも同じサービスが受けられるように、東京のオフィス内にはLINE CAREのサービスカウンターも設置しています。
(出典)LINE HR BLOG http://line-hr.jp/archives/45748964.html
「誰に聞いたらいいかわからない細かいことを気軽に聞けて助かっている」「直接話してすぐに解決してもらえるし、気分転換にもなる」など、社員からの評価も高いようです。
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5. まとめ
「オンボーディング」とは、 “on-board(船・飛行機に乗っている)”から派生した造語で、企業という船に乗る新入社員が、一日も早く組織に馴染み、パフォーマンスを発揮できるようにするためのプロセスを意味します。近年、入社しても数年以内に離職をする「早期離職」が増加していることから、新入社員が企業にスムーズに馴染み、「早期の戦力化」と「組織の生産性向上」を図るオンボーディングが注目されるようになりました。
オンボーディングでは個々のキャリア・能力に応じたプログラムを実施していきます。また、既存メンバーとのコミュニケーションを取る機会を積極的に設け、組織全体として新入社員を受け入れる体制をつくります。
新しい環境に不安を抱きがちな新入社員を継続的に、きめ細かくサポートしていくことで、モチベーションや企業へのエンゲージメントを高められるようにするのです。
オンボーディングの施策例は次の通りです。
◆入社前
・入社前ミーティング
・働き方、価値観のすり合わせ
◆入社直後
・オリエンテーション
・マニュアル配布(社内用語や専門用語の明確化)
・社員紹介、メンター紹介
・歓迎ランチ
・OJT、Off-JTなどの各種研修
◆入社~3カ月
・メンタリング、
・1on1ミーティング、フォロー面談
・オンラインサポート
オンボーディングを導入している2社の事例を紹介します。
株式会社メルペイ
メルペイ社のオンボーディングの特徴は、コミュニケーションを意識した施策が多いことです。フラットに意見を共有しあえるよう、食事会をしたり、チャットツール上で同期グループを作ったりすることで、コミュニケーションが生まれる工夫をしています。
LINE株式会社
LINE社では、入社後に速やかに成果を上げられるよう、きめ細やかなオンボーディングを実施しています。その一つとして、「LINE CARE」というオンラインサービスがあります。これは、社員が分からないことをなんでも聞ける、いわば「駆け込み寺」のような存在です。
労働力人口が減少し、人材の確保が厳しくなっている現在、採用した人材の定着や即戦力化は企業の重要な課題です。それにもかかわらず、早期離職が多い、期待したパフォーマンスに応えていなどの課題を抱えている企業は少なくありません。
新人、中途採用者問わず、個々の能力やスキルに合わせた育成プログラムと組織全体で継続的なサポートを実施するオンボーディング。この機会に導入を検討してみてはいかがでしょうか。
参照
厚生労働省 新規学卒就職者の離職状況
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000177553.html
“未来を変える”プロジェクト Google、メルカリも採用。新メンバーのパフォーマンス&定着率を上げる「オン・ボーディング」
https://mirai.doda.jp/series/interview/piotr-feliks-grzywacz-3/
東洋経済ONLINE メルカリが挑む新事業「仕掛け人」の素顔
https://toyokeizai.net/articles/-/234476?page=2
SELEK メルカリをコピーするだけではダメ。設立9ヶ月で200名を超えた、メルペイの組織づくり
https://seleck.cc/1254
SELEK 急拡大する組織でも「チャレンジ」できる環境を。LINE社のマネジメントを支える仕組み
https://seleck.cc/1239
LINE HR BLOG 社内専用のスタッフ向け相談窓口「LINE CARE」を紹介します
http://line-hr.jp/archives/INE45748964.html