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ピアボーナスとは 社員が報酬を送り合う「第3の給与」制度、導入広がる

ピアボーナスとは 社員が報酬を送り合う「第3の給与」制度、導入広がる

ピアボーナスとは、従業員同士で報酬を与え合う仕組みのことです。

「資料作成を手伝ってもらってありがとう」
「教えてもらった情報が役に立ちました」

このような日常的な行動に対する感謝の気持ちを報酬という形で表すのがピアボーナスです。従来の給与やボーナスとは違う、第3の給与とも呼ばれています。

本稿では、ピアボーナス導入のメリットや注意点、導入事例などについて解説します。

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1. ピアボーナスとは

ピアボーナスとは、仲間や同僚を意味する「peer」と報酬を意味する「bonus」を組み合わせた言葉で、従業員同士が日常の行動や貢献に対して報酬を与え合う仕組みのことです。報酬の種類はさまざまで、金銭に限らず、ポイント、社内通貨などがあります。

協力してもらったときの感謝の気持ちや成果に対しての賞賛などを、報酬として従業員が自分の意思で付与でします。業績や数値に反映されないものにも適用できるため、管理職や人事部では認識しにくい現場の細かい点も評価することができます。

ピアボーナスの特徴は、以下の3点です。
・従業員が評価者になる
・いつでも誰にでも報酬を付与できる
・業績に直結しない行動を評価できる

労働力人口が減少している現在、人材の確保・定着を目指し、職場環境の整備や人事評価制度の改善に取り組む企業が増えています。そのような施策の一つとして、ピアボーナスが注目されています。

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2. ピアボーナスのメリット

ピアボーナスを導入するメリットとして以下のことが挙げられます。

  • 従業員のモチベーションアップ
  • 職場内のコミュニケーションの促進
  • 褒め合う文化の醸成
  • 企業イメージの向上

従業員のモチベーションアップ

金銭、社内通貨、ポイントなどの報酬を受け取れること自体が、モチベーションの喚起になります。それだけではなく、自分の行動が他者に認められることで得られる満足感達成感も、さらなるやる気につながるでしょう。

職場内のコミュニケーションの促進

ピアボーナスを取り入れることで、それまで見過ごしていたような小さな貢献や協力にも改めて気付くようになります。

承認・感謝などがメッセージやポイントといった形で可視化され、組織内で共有されます。このようなやりとりによって従業員の信頼関係が深まり、コミュニケーションの促進につながるでしょう。

褒め合う文化の醸成

従業員同士がお互いの行動を承認し、感謝の気持ちを伝える機会が増えることで、良い行動をしよう、それを評価していこうというポジティブな風土や環境が育まれます。

企業イメージの向上

ピアボーナスによって、現場の目でしか拾えない努力や気遣いを吸い上げることができます。働き方が多様化し、労働環境が著しく変化する昨今、評価制度に対する注目度も高まっています。ピアボーナスを導入することで、組織活性や成長を目指す企業として、とくに若手層から好意的に受け入れられているようです。

企業理念や行動指針を評価基準に落とし込むことで、普段の行動に意識づけることも可能でしょう。また、承認欲求が満たされることで企業や他の従業員への愛着が生まれ、従業員エンゲージメントの向上が期待できます。


3. ピアボーナス導入時の注意点

ピアボーナス制度を導入する際は、以下のような点に注意しましょう。

  • 費用対効果を考えること
  • 自社に合う仕組みにすること

費用対効果を考えること

報酬の財源を確保する必要があります。費用対効果までを鑑みて、何を報酬とするか、どのような仕組みで進めるかを判断しましょう。

自社に合う仕組みにすること

全ての従業員が利用しやすい仕組みにすることが重要です。一部の従業員だけが頻繁に使うような制度では、公平性を保てないでしょう。また、賞賛プロセスが面倒だったり、使いこなせないツールだったりすると制度が形骸化してしまいます。

少ない負荷でボーナス付与ができるツールを取り入れるなど、自社の業務や従業員に合う仕組みが求められます。

導入に当たっては、評価基準を明確に示すことが重要です。それにより、評価する側は客観的に評価ができ、また評価される側は納得感が得られます。運用開始後は、報酬の効果と使われ方のバランスをチェックするようにしましょう。


4. ピアボーナスの事例と活用ツール

ピアボーナスを導入している企業の事例と活用されているツールをご紹介します。

4-1. 株式会社メルカリ

株式会社メルカリでは、四半期ごとに手書きメッセージで感謝を伝え合う「All for One賞」の制度を設けていましたが、2017年に、よりリアルタイムでやりとりができるピアボーナス「mertip(メルチップ)」を導入しました。

毎週月曜に従業員1人当たり400Tipが配布され、業務上で利用するSlackや、ピアボーナスツール「Unipos」上で簡単に贈ることができます。受け取ったポイントは、1tip=1円換算で給与とともに支払われる仕組みです。

どのようなことに対してポイントを付与するかの制限を緩め、コミュニケーションの創出を重視することで成功につなげています。

4-2. 株式会社Take Action

ピアボーナスアプリ「THANKS GIFT」の提供元でもある株式会社Take Actionは、企業の行動指針をピアボーナス要件に落とし込んでいます。

具体的には、仕事のスピードと期日の徹底に対するコイン、チームワークを称賛するコインなど、ピアボーナスとしてやりとりするコインを9種類に分けました。これにより、コインがやりとりされるごとに、付与する側も受け取る人も行動指針を意識できるわけです。

4-3. 株式会社ユニークワン

株式会社ユニークワンは、「HeyTaco!」というツールを活用してピアボーナスを導入しています。

従業員1人当たり、毎日5個のタコスが配布され、同社の5つのバリューに沿った行動に対してメッセージとともにタコスを贈ります。タコス1個30円の換算で、100タコス(3千円)から換金でき、給与に反映される仕組みです。

社内SNSを使う、手軽なやりとりのため、社内に感謝の気持ちが飛び交うようになったそうです。


5. まとめ

ピアボーナスとは、従業員同士が日常の行動や貢献に対して報酬を与え合う仕組みです。報酬の種類はさまざまで、金銭の他に、ポイント、社内通貨などがあります。業績や数値に反映されないものにも適用できるため、管理職や人事部では認識しにくい現場の細かい点も評価することができます。

ピアボーナスの特徴は、以下の3点です。

・従業員が評価者になる
・いつでも誰にでも報酬を付与できる
・業績に直結しない行動を評価できる

ピアボーナスを取り入れるメリットは次の通りです。

・従業員のモチベーションアップ
・職場内のコミュニケーションの促進
・褒め合う文化の醸成
・企業イメージの向上

ピアボーナスによって、見過ごされがちな従業員の頑張りや貢献を社内で可視化・共有することができます。

ピアボーナス導入の際、注意点として以下のことが挙げられます。

・費用対効果を考えること
・自社に合う仕組みにすること

評価する側にとっては客観的に評価ができる、評価される側にとっては納得感が得られる仕組みにするために、評価基準を明確に示すことが重要です。

ピアボーナスの導入が多くの企業で広がっているのは、従業員同士のコミュニケーションが活発になることで組織が活性化し、企業の成長につながるからでしょう。人材の採用や定着を強化するための施策の一つとして、ピアボーナス導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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参考)
株式会社メルカリ「贈りあえるピアボーナス(成果給)制度『mertip(メルチップ)』を導入しました。」,
https://mercan.mercari.com/entry/2017/10/24/151523
THANKS GIFT, https://thanks-gift.net/
株式会社ユニークワン「『日本一褒め合う会社へ』ピアボーナスを導入したら、社員同士の「ありがとう」が止まらなくなった。」,https://www.wantedly.com/companies/unique1/post_articles/146552

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