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社内表彰でエンゲージメント向上! 企業事例やメリット・デメリットを解説

「社内表彰を盛り上げ、ポジティブな職場環境を作りたい」

国内の労働人口の減少・働き方の多様化が進む今、従業員の生産性の低迷や離職者の増加に悩む人事担当者は多いのではないでしょうか。

これらの解決策の一つとして、従業員のエンゲージメント向上が挙げられます[1]

株式会社グローバルプロデュースが行った「大企業のエンゲージメント向上施策に関する調査」[2]によると、エンゲージメント向上施策として最も多く行われているのは、「評価・表彰制度の充実」(63.3%)でした。

この調査で、「評価・表彰制度の充実」を含むエンゲージメント向上施策の効果を実感している企業は7割に上ります

社内表彰の導入・充実は、従業員のエンゲージメントを向上させるために有効であると言えるでしょう。

近年は、社内表彰の効果アップを目的に、「失敗賞」のようなユニークな賞を設けたり、従業員の関心を引くよう景品を工夫したりする企業も見られます。

本稿では、社内表彰の概要重要性メリットだけでなく、導入によって生じるデメリットとその解決策についても解説します。

また、ユニークな社内表彰の導入手順景品選びのコツ、そして実際の導入事例も紹介します。自社の社内表彰と比較しながら、参考にしてみてください。

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1. 社内表彰とは

まずは、社内表彰の概要と、似た制度である「評価制度」と「レコグニション」との違いについて解説します。

1-1. 社内表彰の概要

社内表彰とは、従業員の優れた功績や組織への貢献に対し、企業が感謝と称賛の気持ちを込めて表彰する制度を指します。福利厚生の一つとして、主にモチベーション向上などを目的に、多くの企業で導入されています。

社内表彰は、法律上、社会保険などの「法定福利厚生」とは異なり、「法定外福利厚生」に該当するため、表彰の内容、例えば選考基準や時期などは企業が自由に決定できます。

ただし、社内表彰を行う場合は、表彰の内容を就業規則に記載することが、労働基準法で求められています[3]

1-2. 社内表彰と評価制度の違い

企業が従業員の成果を認める制度として、社内表彰と似たものに「評価制度」があります。

社内表彰は職種や業務内容を限定せずに称賛を行い、企業全体で共有して従業員のモチベーションを向上することを目的としています。

一方で評価制度は、特定の業務における成果に対して適用されます。評価結果は従業員個人に共有され、給与や人員配置に反映されます。

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1-3. 社内表彰とレコグニションの関係

近年では、社内表彰に似た制度として「レコグニション」も注目されています。

レコグニションとは、従業員の功績や活躍を認め合い、互いに称賛する制度を指します。レコグニションには、企業が従業員を称賛するものと従業員同士が称賛し合うものがあります。

レコグニションという大きな枠に、社内表彰や、従業員同士が互いの貢献を感謝しあう「サンクスカード」などの文化も含まれるイメージです。

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2. 社内表彰が重要な理由

社内表彰の重要度が高まっている理由として、労働力不足社会事情、そしてエンゲージメントの低さが挙げられます。

近年の日本では、少子高齢化により労働人口が減少しているだけでなく、働き方の多様化が進んでおり、社内表彰のような、優秀な人材に定着してもらうための人事施策が必須となっています。

また、新型コロナウイルスの感染拡大によるテレワーク浸透により、コミュニケーション機会の減少信頼関係の希薄化、そして仕事ぶりが見えにくいという、エンゲージメント低下につながる問題が生じました。

ニッセイ基礎研究所のレポート「日本の従業員エンゲージメントの低さを考える」によると、米調査会社GALLUP2022年に行った各国の従業員エンゲージメントについての調査では、日本のエンゲージメントは調査対象129カ国中128という結果が出ています[4]

このような状況の改善策として、社内表彰の充実・刷新は有効と考えられます。

実際に、少なくない企業がエンゲージメントを高める施策として社内表彰の充実をはかり、効果を得ています。

前出の株式会社グローバルプロデュースが行った「大企業のエンゲージメント向上施策に関する調査」では、調査対象の企業が最も多く行っているエンゲージメント向上の施策として「評価・表彰制度の充実(63.3%)」が挙がっています。そして、約7割の企業が「評価・表彰制度の充実」を含むエンゲージメント向上施策の効果を実感しているということです[5]


3. 社内表彰を導入するメリット

社内表彰を導入することで、三つのメリットが得られます。

従業員のモチベーションアップが期待できる

企業が全従業員の前で功績や成果を表彰することで、表彰される従業員のモチベーション向上につながります。

特に、成果だけでなく努力したプロセスに焦点を当てると、従業員は、自社は自分の努力を認めてくれるのだと認識し、エンゲージメントが高まるきっかけにもなります。

また、表彰されなかった従業員も「あの人のように頑張れば認めてもらえる」と、モチベーション向上のきっかけになります。

従業員エンゲージメントが向上し、定着率向上につながる

社内表彰は、全ての職種を対象とします。そのため、例えば事務職のような、成果が数値化しにくく、仕事ぶりが評価されにくい職種の従業員も表彰の対象にできます。

その結果、従業員は、目立ちにくい自分の頑張りも認めてくれたと実感してエンゲージメントが高まり、優秀な人材の離職を防ぐことにつながります。

企業が求める従業員像を伝えられる

企業は従業員に対して、企業理念に沿う「理想の従業員像」を社内表彰によって暗に伝えられるというメリットを得られます。

併せて表彰の基準や称賛に至ったエピソード等を紹介することで、努力する方向性や理想のロールモデルも伝えることができます。

このように、社内表彰は従業員のモチベーションを高めてエンゲージメントを向上させ、企業が求める人材を育てるきっかけになるというメリットがあります。


4. 社内表彰のデメリットと解決策

社内表彰には次の四つのデメリットがあり、それらを把握しておかなければ運用がうまくいかなくなる可能性があります。そこで、ここではデメリット解決策を提示します。

不公平感やモチベーションダウンにつながる

営業職のような数字で成果が見える従業員ばかりが表彰の対象になると、事務職など、成果が見えにくい職種の従業員は、不公平感を覚えて業務へのモチベーションがダウンする恐れがあります。

社内表彰に公平性を持たせるには、従業員が納得できる評価の基準を明確に示すことが重要です。また、表彰対象となる部署や勤務年次に偏りを出さないようにしましょう。

そうは言っても、業績を数値化しにくい職種もあります。その場合は、部署ごとに表彰基準を設定すると良いでしょう。例えば事務職では、「事務処理能力が高く正確性に定評がある」などということも基準とすることができます。

対象者数が少なく、スピード感に劣る

社内表彰が、年に数人しか選ばれないものである場合、対象者以外の従業員が制度に関心をもてず、制度自体が形骸化してしまう可能性があります。

また、表彰の頻度が少ないと、成果を挙げてから時間が経っている場合があるため、表彰される喜びが薄れてしまうかもしれません。

このような対象者数の少なさやタイムラグをカバーするには、日常的に互いの貢献を認め合う習慣を根付かせることが効果的です。

従業員同士が称賛したり感謝したりし合うソーシャルレコグニションや、一定の成果に対して報酬を与えるリワードを活用するとよいでしょう。

社内表彰と併せて活用すれば、企業の一員として「もっと企業に貢献したい」という意識を高めることにつながります。

チームワークを阻害する可能性がある

社内表彰が個人の実績を対象としている場合、メンバー同士がライバル視し合って意思疎通や情報共有が十分でなくなり、チームワークが悪化する可能性があります。そうなれば業務に支障をきたしてしまうでしょう。

チームワークの悪化を避けるには、チームを対象にした社内表彰も用意するとよいでしょう。個人の力だけでは成し遂げられない業務は少なくないはずです。

「個人を対象にするもの」と「チームを対象にするもの」のバランスを考慮した制度設計をしてみましょう。

コストの増加

社内表彰にかかる費用は、給与等として所得税の課税対象になるケースと、非課税の表彰として福利厚生費で処理できるケースがあります。

国税庁のタックスアンサー(よくある税の質問)「No.2591 創業記念品や永年勤続表彰記念品の支給をしたとき」によると、例えば「永年勤続者に支給する記念品や旅行や観劇への招待費用」は社会一般的にみて相当な金額以内であることや、勤続年数が10年以上の従業員であること、そして前回の受賞から5年以上の間隔が空いていることなどが該当すれば課税しなくてもよいと記載されています[6]

実際には、チームに対する社内表彰など課税対象かどうか判断しにくいケースも多いでしょう。自社で判断することが難しい場合には、税理士などの専門家に相談してみてください。

表彰にかかる費用は企業によって異なります。導入する前に、具体的にどのくらいかかるのかをしっかり把握しておく必要があります。

以上のようなデメリットや解決策を知っておき、効果の大きい社内表彰を行いましょう。


5. 社内表彰の具体例

社内表彰の種類は、企業が推進する働き方や文化に合わせて多様化しています。

5-1. 一般的な社内表彰 

まずは、多くの企業が導入している社内表彰の例を紹介します。

  • 永年勤続表彰
  • 新人賞
  • MVP
  • 目標達成賞
  • チーム賞
  • バリュー賞

永年勤続表彰

「長年勤続していること=企業への貢献度合いが大きい」という考えのもと、従業員の勤続年数に応じて表彰を行う制度です。

終身雇用制度が強く根付いていた頃から導入されているスタンダードな制度であり、定年退職者を対象とした「定年退職者表彰」もあります。

新人賞

新卒や中途入社など、入社して数年以内に最も優秀な成績を残した従業員を表彰する制度です。

同期の従業員が比較の対象になるため公平性が高く、モチベーションの維持・向上が期待できます。

MVP

その年や月などに最も活躍した従業員に対して表彰を行う制度です。

活躍の度合いを測る尺度は企業によって変わりますが、一般的には成果を数値化しやすい営業職の従業員を評価する制度として活用されることが多いでしょう。

目標達成賞

個人やチームが掲げた目標を達成できた従業員を表彰する制度です。

MVPと同様に、目標を数値化しやすい営業職の従業員が表彰されることが多いですが、人事部などでも採用目標などを達成した場合には対象となります。

チーム賞

MVPや目標達成賞と同様に、優れた成績を残した従業員を表彰する制度ですが、そのプロジェクトに関わった従業員全員を表彰したいときに適している社内表彰です。

表彰されるチームの在り方や業務の進め方などを、他のチームが学ぼうとすることも期待できます。

バリュー賞

企業が掲げる経営理念行動指針に沿った行動をした従業員を表彰する制度です。どんな活躍や行動をすれば評価されるかを明確に示せるため、従業員に企業バリューを浸透させることができます。

以上のように、さまざまな社内表彰があります。

5-2. ユニークな社内表彰

近年では、社内表彰のマンネリ打破策企業文化の変革、そして社内の雰囲気作りの一環としてユニークな社内表彰が導入されています。

  • 失敗賞
  • 自己推薦型の賞
  • チャレンジ賞
  • ピアボーナスやサンクスカー

失敗賞

「失敗賞」は、チャレンジした結果、失敗したことを称える賞です。

常に新商品の開発が求められるような、斬新な発想やチャレンジ精神が求められる職種において効果的な社内表彰です。

「失敗は成功のもと」、「失敗を恐れず前向きにチャレンジしてほしい」という思いが込められており、失敗を受け入れる雰囲気作りに役立つ制度です。

自己推薦型の賞

自己推薦型の賞は、従業員自身が最も力を入れた取り組みを発表し、その中から称賛すべきものを社内で選出する制度です。

この賞によって、目の前の業務を作業的にこなすのではなく、自分の仕事が業績にどのように貢献しているかを意識し、目的意識を持つことにつながります。また、普段接点の無い他部署の従業員の業務内容を知るきっかけにもなります。

チャレンジ賞

「チャレンジ賞」は、従業員が自ら考え行動した成果を表彰することで、企業文化の変革や行動指針の刷新につなげる効果が期待できる社内表彰です。

例えば、職場が潜在的に抱えている課題や改善点を自分ごと化し、周囲を巻き込んで取り組んだ従業員がいれば、そのプロセスを評価することで社内全体の意識改革に役立つと言えます。

ピアボーナスやサンクスカード

企業が従業員に対して行う社内表彰のほか、従業員同士が互いの貢献を称え合うピアボーナス制度やサンクスカードといった制度も活用できます。

ピアボーナス制度とは、従業員同士が日頃の貢献に対する称賛を報酬(ポイントなど)として贈り合う制度です。貢献の内容を社内で共有することで、よい行いを評価するポジティブな風土が醸成されます。

称賛された従業員は、貯まったポイントを景品などと交換できるだけでなく、自身の行動を周囲に認めてもらえるというメリットがあります。

サンクスカードは、日々の業務でお世話になっている人や、些細なことでも称賛されるべき行動に対して感謝の気持ちをカードにしたためて送る制度です。オンライン版のサービスもあります。

従業員のモチベーション向上だけでなく、コミュニケーション活性化にもつながるというメリットがあります。

このように、企業のビジョンや文化に合わせて独自の社内表彰を導入することで、理想の従業員像を示せるだけでなく、従業員同士のコミュニケーション活性化にもつなげられます。

8章では、ユニークな社内表彰を活用している企業の事例を紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。


6. 社内表彰の景品選びも重要

近年では、社内表彰の景品もバリエーション豊かになっています。

6-1. 社内表彰の景品は種類豊富

社内表彰の景品には、主に次のようなものが挙げられます。

  • 金一封
  • 商品券や旅行券
  • 有給休暇
  • 記念メダルやトロフィー
  • 最新家電
  • お取り寄せ、カタログギフト
  • 業務に活用できるもの

例えば、最後の「業務に活用できるもの」は、スタンダードな高級万年筆などだけでなく、会話に特化した骨伝導イヤホンなども取り入れると、時代に合っていて喜ばれるかもしれません。

また、チームを表彰する場合には、チームで参加するアウトドア体験ギフトなどを選ぶと、よりチーム仲を深めるきっかけを提供できます。

6-2. 社内表彰の景品を選ぶポイント

社内表彰の景品を選ぶ際には、従業員がもらってうれしいものやモチベーションが上がるものをアンケート調査してみると良いでしょう。

また、「社内表彰の価値を高めるもの」を意識することも有効です。例えば、多大な活躍をした従業員を称えたい場合の景品には、自分ではなかなか買えない高級家電などもよいでしょう。

永年勤続表彰の景品では、退職後の生活を充実させるものとして、陶芸教室や料理教室の体験ギフトなどもふさわしいと言えます。


7. 社内表彰を導入する手順・ポイント

社内表彰を導入するには、次の四つの手順で進めます。

ステップ1:導入の目的を明確にする
ステップ2:表彰の種類、選考基準、褒賞の内容を決める
ステップ3:就業規則に記載し、従業員に周知して実施
ステップ4:実施後の効果を検証する

ステップ1:導入の目的を明確にする

まずは、従業員の業務への取り組み方について、企業が求める理想像を明確にします。また、社内表彰の導入によって実現したいことや解決したい課題がないかも確認しましょう。

例えば、「成果の見えにくい業務をコツコツこなす従業員も漏らさず評価し、エンゲージメントを高めたい」といった課題が挙げられます。

ステップ2:表彰の種類、選考基準、褒賞の内容を決める

次に、社内表彰の種類を決定し、選考基準や選考実施者、選考対象者、そして褒賞の内容を決めていきます。

選考実施者は推薦や合議制で決めましょう。あえて人数を増やすことで公平性を保つことができます。そして選考対象者は、正社員だけでなく契約社員やパート従業員なども含めると、従業員の参加意識向上につながります。

また、褒賞の内容を決める際も、企業理念や目指すビジョンに沿った表彰を意識します。

ステップ3:就業規則に記載し、従業員に周知して実施

社内表彰の内容が決まったら、就業規則に記載し全従業員に周知します。

前述のとおり、社内表彰の選考基準や時期といった内容については、企業が自由に決定できます。ただし、これらの内容は就業規則に記載することが労働基準法で求められています。

また、目指す方向性を言語化することで、従業員の意識を高められます。

ステップ4:実施後の効果を検証する

社内表彰を実際に導入した後は、定期的にその結果を振り返ります。導入して従業員の働きぶりや意識がどのように変わったかをアンケート調査し、制度が形骸化していないかを確認します。

このように、社内表彰は、目的を明確にして内容や対象人物を定義し、定期的に振り返りを行うことで効果が期待できます。


8. ユニークな社内表彰の事例を紹介

最後に、ユニークな社内表彰を導入している企業の事例を紹介します。ぜひ、自社でも導入できる制度が無いか検討してみてください。

太陽パーツ株式会社「大失敗賞」

 機械部品などの設計や製造を行う太陽パーツ株式会社は、半年に一度「チャレンジをした結果、失敗してしまったがノウハウを残した社員」を表彰し、金一封を渡す「大失敗賞」を設けています。

同社の城岡会長は、失敗による損失は教育費用と割り切り、従業員の失敗を怒るよりも激励する方が社内の雰囲気も良くなって新たなチャレンジにつながるとしています。

同社には、他にも「縁の下の力持ち賞」といった頑張りを評価する賞が多数あり、従業員がのびのびと仕事に取り組める風土が根付いています。

株式会社CICN 「ベスト・オブ・自画自賛で賞」

ソリューション事業やアナリティクス事業を展開する株式会社CINCは、毎月「自画自賛で賞」を実施しています。従業員が自ら最も力を入れた取り組みを提出し、役員による討議や社内投票で受賞者が選ばれます。

そして毎月の大賞受賞者の中で、最も称賛すべきものに対して「ベスト・オブ・自画自賛で賞」が贈られます。

この賞では、直接売上につながることの少ない部署の頑張りにもフォーカスすることができ、他の部署が何をしているのかを可視化できるものとして従業員にも評価されています。

株式会社ローソン 「ローソン・チャレンジ大賞」

コンビニエンスストアのフランチャイズチェーン展開を行う株式会社ローソンは、社内表彰「LAWSON AWARD」について、2018年度から「ローソン・チャレンジ大賞」=「Lチャレ」に刷新し、自身の仕事の枠にとらわれない全社的な視点で業務の改善や改革を行った従業員を表彰しています。

この制度により、立場の違う従業員がさまざまな視点で意見を出し合い、より良い商品やサービスを開発することに役立てています。

以上、ユニークな社内表彰を取り入れ成功している企業を紹介しました。


9. まとめ

社内表彰とは、従業員の優れた功績や組織への貢献に対し、企業が感謝と称賛の気持ちを込めて表彰する制度を指します。

社内表彰と似た制度には、特定の業務の成果に対して行われる「評価制度」と称賛する制度全体を指す「レコグニション」があります。

社内表彰が重要な理由として、近年の日本の労働力不足社会事情、そしてエンゲージメントの低さが挙げられます。

社内表彰を導入するメリットは次の三つです。

・従業員のモチベーションアップが期待できる
・従業員エンゲージメントが向上し、定着率向上につながる
・企業が求める従業員像を伝えられる

そして、社内表彰の四つのデメリットと解決策については、以下のようになります。

<社内表彰のデメリット>

<解決策>

不公平感やモチベーションダウンにつながる

公平性と透明性を意識し、納得できる根拠を示す

対象者数が少なく、スピード感に劣る

日常的に行うソーシャルレコグニション、リワードなども活用する

チームワークを阻害する可能性がある

表彰の対象を個人・チームで設定し、バランスの良い制度設計をする

コストの増加

導入や管理にかけるコストや課税についても把握する

社内表彰の例として、一般的なものとユニークなものは以下のようになります。

<一般的な社内表彰>

<ユニークな社内表彰>

・永年勤続表彰

・新人賞

MVP

・目標達成賞

・チーム賞

・バリュー賞

・失敗賞

・自己推薦型の賞

・チャレンジ大賞

・ピアボーナスやサンクスカード

 

社内表彰の景品には主に次のようなものが挙げられます。

・金一封
・商品券や旅行券
・有給休暇
・記念メダルやトロフィー
・最新家電
・お取り寄せ、カタログギフト
・業務に活用できるもの

社内表彰の景品を選ぶ際は、従業員にアンケートを取り、もらってうれしいものやモチベーションが上がるものを調査したり、社内表彰の価値を高める景品を選んだりすると効果的です。

社内表彰は次の手順で導入します。

ステップ1:導入の目的を明確にする
ステップ2:表彰の種類、選考基準、褒賞の内容を決める
ステップ3:就業規則に記載し、従業員に周知して実施
ステップ4:実施後の効果を検証する

企業の文化や部署の特徴に合った社内表彰を導入することで、従業員のエンゲージメントやモチベーションの向上につながり、生産性向上や離職者の減少が期待できます。

まずは現在の社内表彰を見直し、従業員の働きぶりを称賛する制度をどのように充実させられるか検討してみてはいかがでしょうか。

社内表彰の例は?

社内表彰には、永年勤続表彰や新人賞、明確な成果を称えるMVPや目標達成賞、チームを表彰するチーム賞、そして企業理念を体現した従業員を称賛するバリュー賞などがあります。従業員のチャレンジを応援する失敗賞やチャレンジ賞などユニークな制度もあります。

社内表彰とは何ですか?

社内表彰とは、従業員が優れた功績を残した場合や組織への貢献に対し、企業が感謝と称賛の気持ちを込めて表彰する制度を指します。選考基準など表彰の内容は企業が独自に決定できますが、労働基準法では、その内容を就業規則に記載することが求められています。

社内表彰のデメリットは?

社内表彰のデメリット四つあります。

・不公平感やモチベーションダウンにつながる

・対象者数が少なく、スピード感に劣る

・チームワークを阻害する可能性がある

・コストの増加

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[1] ニッセイ基礎研究所「4―従業員エンゲージメントの効用」、『日本の従業員エンゲージメントの低さを考える』,https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=71887(閲覧日:2023年3月26日)
[2] 株式会社グローバルプロデュース「【大企業のエンゲージメント向上施策の実態】6割以上が「評価・表彰制度の充実」を実施「離職率改善」など、7割以上が施策の効果を実感」,『PR TIMES』, https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000021.000075828.html
(出典元:株式会社グローバルプロデュース https://www.global-produce.jp/(閲覧日:2023年4月4日))

[3] e-GOV 「昭和二十二年法律第四十九号 労働基準法 第九章 就業規則 第八十九条(作成及び届出の義務)」,https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=322AC0000000049(閲覧日:2023年4月28日)
[4] ニッセイ基礎研究所「日本の従業員エンゲージメントの低さを考える」,https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=71887(閲覧日:2023年3月26日)
[5] グローバルプロデュース「【大企業のエンゲージメント向上施策の実態】6割以上が「評価・表彰制度の充実」を実施「離職率改善」など、7割以上が施策の効果を実感」,https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000021.000075828.html(閲覧日:2023年3月26日)
[6] 国税庁「No.2591 創業記念品や永年勤続表彰記念品の支給をしたとき」,https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2591.htm(閲覧日:2023年3月26日)

参考)
日本の人事部「福利厚生」,https://jinjibu.jp/keyword/detl/955/(閲覧日:2023年4月27日)
NEWSBASE「社員への報奨金や表彰金には税金がかかる⁉︎それぞれの事例について解説」,https://www.newsbase.co.jp/blog/event-knowhow/company-awards-taxation/(閲覧日:2023年4月1日)
Act And Act「モチベーションアップに社内表彰制度はいらない?」,https://actandact.com/hyosho/(閲覧日:2023年4月1日)
ITmediaビジネス『戦略人事の時代』,「社内表彰をしても、若手が辞めてしまうのはなぜか」,https://www.itmedia.co.jp/business/articles/1807/02/news012.html(閲覧日:2023年4月1日)
CINC『CINCニュース』,「【CINCAWARD受賞者インタビュー】応募者数11倍を実現したAyako.Sと開発部の組織づくりを支えたYoshifumi.Tの挑戦」,https://www.cinc-j.co.jp/recruit/cinctimes/1704/(閲覧日:2023年4月1日)
CINC『CINCニュース』,「【CINC AWARD 受賞者インタビュー】CINCが誇る2人のプロフェッショナル!Takeshi.SとTakumi.H」,https://www.cinc-j.co.jp/recruit/cinctimes/2661/(閲覧日:2023年4月1日)
LAWSON「ローソンの人財に対する考え方」,https://www.lawson.co.jp/company/activity/social/employee/training/(閲覧日:2023年4月1日)
宣伝会議『広報会議』,「ローソンの表彰制度「自律型挑戦大賞」で生みだす企業変革」,https://mag.sendenkaigi.com/kouhou/201608/pickup/008395.php(閲覧日:2023年4月1日)
太陽パーツ「失敗は挑戦したものだけに与えられる勲章「大失敗賞」でモチベーションUP!」,https://www.taiyoparts.co.jp/recruit_form/welfare/(閲覧日:2023年4月1日)

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