リアルタイムフィードバックとは、時間を空けずに部下にフィードバックをすることで、その成果を高め、適切な評価をしていこうという人事評価制度です。
これまでの人事評価は、半年に1回、あるいは1年に1回、上司が部下と面談し、評価を決めるというやり方でした。
しかし、「期初に立てた目標が全く見直しされないままで現状と合っていない」、「半期に1度の面談では振り返りしようにも記憶が曖昧」、「上司が何を評価しているのかがよく分からない」など、人事評価に対して納得感が持たれていないというのが実態ではないでしょうか。
過去の業績評価から、評価を今後の成果向上に生かす方向へ、上司は部下の管理から成長を支援する立場へ、リアルタイムフィードバックを導入し、人事評価制度の転換を図る企業が増えています。
本稿では、リアルタイムフィードバックの概要やメリット、導入の注意点を解説します。
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1. リアルタイムフィードバックとは
リアルタイムフィードバックとは、都度、あるいは1、2週間に1度のような高い頻度で上司が部下に業務の振り返りやアドバイス、評価をする人事評価制度です。
このリアルタイムフィードバックが注目されているのは、これまでの人事評価の方法に次のような問題点があるからといえるでしょう。
- ビジネス環境の変化のスピードが速く、半年前あるいは1年前の目標では現状と合わなくなっている
- 振り返るときには記憶が曖昧だったり、状況が変わったりしているため、適切で効果的なフィードバックにならない
- 働き方や仕事への価値観が多様化する中で、単一的な基準による評価への不満が生じている
リアルタイムフィードバックの特長は、即時性、高頻度、具体的という点にあります。
では、リアルタイムにフィードバックを導入することで、どのようことが期待できるのでしょうか。次章で見ていきましょう。
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2. リアルタイムフィードバックのメリット
リアルタイムフィードバックを取り入れるメリットとして、次のことが挙げられます。
- フィードバックの効果向上
- 状況に合った目標に軌道修正しやすい
- モチベーションの向上
- 業務内容や課題の適切な把握
- 人事評価への納得感
フィードバックの効果向上
タイムリーなフィードバックにより、具体的に業務の振り返りができ、何をどう改善すればよいかの気付きにつながります。
状況に合った目標に軌道修正しやすい
目標に対して今、部下やチームがどの地点にいるのかを確認する機会になり、目標や業務内容を現状に照らして軌道修正することができます。
モチベーションの向上
部下にとって、上司が常に自分をサポートしてくれているという安心感はモチベーションの向上につながります。積極的に業務に取り組めるようになり、成長が期待できます。
業務内容や課題の適切な把握
上司は部下と接する機会が増えるため、部下の業務の状況や抱えている課題などを適切に把握することができるようになります。
人事評価への納得感
上司・部下間で日頃からコミュニケーションが取れるため、双方の認識のずれが生じにくく、人事評価に対する納得感が高まります。
リアルタイムフィードバックでコミュニケーションが増えれば、チームや職場が活性化し、組織力を向上させていく原動力にもなります。また、従業員のエンゲージメントが高まり、離職率の低下も期待できます。
3. リアルタイムフィードバックの注意点
リアルタイムフィードバックは、上司と部下の面談の機会を高い頻度で設ければよいというものではありません。導入や運用に当たっては、下記ような点に注意しましょう。
- 上司が積極的にフィードバックを行えるよう環境を整える
- 部下を「主役」に考える
- 関係者への負担増にならない工夫をする
- 上司がフィードバックに必要なスキルを習得できるようサポートする
上司が積極的にフィードバックを行えるよう環境を整える
リアルタイムフィードバックが制度として導入されても、部下から「やってください」とは言い出しづらいものです。上司自身がプレイングマネジャーとして多忙であることが珍しくない現在、上司がリアルタイムフィードバックに積極的でなければ制度が形骸化してしまう恐れがあります。
リアルタイムフィードバックを組織に定着させるには、上司のリアルタイムフィードバックへの取り組み方やその内容が評価されるような仕組みをつくるなど、環境整備が求められます。
部下を「主役」に考える
リアルタイムフィードバックには、個人の成長が組織全体の成長につながるという考えがベースにあります。目的は部下の成果を高め、成長を支援することであり、上司が部下を管理するための手段ではありません。上司は部下をフォローする立場として関わっていくことが求められます。
関係者への負担増にならない工夫をする
部下の人数が多くなれば、上司がリアルタイムフィードバックに割り当てる時間も増えます。負担の増加を抑えつつ、リアルタイムに質の高いフィードバックをするために、新しいツールやサービスを利用するのも有効でしょう。
上司がフィードバックに必要なスキルを習得できるようサポートする
効果的なフィードバックのためには、上司がコーチングや傾聴のスキルを身に付けていることも必要です。研修を実施したり、eラーニングを取り入れたりするなど、スキル習得に向けて教育制度の見直しも求められます。
人事だけでなく教育制度の刷新、そしてマネジメント層の意識改革が、リアルタイムフィードバックを組織に定着させるためには重要です。
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4. まとめ
リアルタイムフィードバックとは、1、2週間に1度のような短い間隔で、上司が部下に業務の振り返りやアドバイス、評価をする人事評価制度です。
リアルタイムフィードバックを導入する企業が増えているのは、これまでの年次評価が現状に合わなくなっているという実態があります。言い換えれば、リアルタイムフィードバックの即時性、高頻度、具体的という特長が、現状の変化の速いビジネス環境に即しているということでしょう。
リアルタイムフィードバックのメリットとして、下記のようなことが挙げられます。
- フィードバックの効果向上
- 状況に合った目標に軌道修正しやすい
- モチベーションの向上
- 業務内容や課題の適切な把握
- 人事評価への納得感
リアルタイムフィードバックによって、コミュニケーションが増えるため、チームや職場が活性化し、結果として組織力の向上が期待できます。働きやすい職場になれば、従業員エンゲージメントも高まり、離職率の低下につながっていきます。
しかし、リアルタイムフィードバックは導入すれば機能するというものではありません。効果的なリアルタイムフィードバックにするには、注意すべき点もあります。
- 上司が積極的にフィードバックを行えるよう環境を整える
- 部下を「主役」に考える
- 関係者への負担増にならない工夫をする
- 上司がフィードバックに必要なスキルを習得できるようサポートする
リアルタイムフィードバックは、個人の成長が組織の成長につながるという考え方に基づいた人事評価制度です。
具体的には、評価する側(上司)、される側(部下)とのコミュニケーションを増やし、目標や業務内容、課題意識を共有、確認しながら、上司が部下の成長を支援していく中で適切な評価をしていく仕組みといえます。
自社の人事評価制度にはどのような問題点があるか、リアルタイムフィードバックを取り入れる必要性はあるか、この機会に見直してみてはいかがでしょうか。
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