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「相手の話を最後まで丁寧に聴いたら、相手から信頼されるようになった」
「自分の話をじっくり聴いてもらったら、今まで整理できなかったことがクリアになった」
傾聴とは、相手の話を注意深く、共感的に「聴く」ことを指します。
傾聴は、良好な人間関係を築くための大切なコミュニケーションスキルの一つとして「社会人に必要な能力」の一つとも言われており、ビジネスシーンでも役立つスキルです。
上手に傾聴を行うためには、いくつか押さえてえておくべきポイントがあります。
本稿ではこの傾聴について解説し、仕事でどのように活用できるかを考えていきます。また、傾聴の上手なやり方を5つ紹介します。4章では、「傾聴の3つのケーススタディ」資料をダウンロードできますので、ぜひご活用ください。
また、傾聴スキルを伸ばすためのトレーニング方法についても具体的に紹介します。ぜひ参考にしてください。
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1. 傾聴とは
傾聴の意味と定義をご紹介します。
1-1. 傾聴の意味と重要性
傾聴とは、相手の話を注意や関心を持って共感的しながら聴くことです。傾聴することで、聞き手は表面的な内容だけではなく、内に込められた相手の思いをくみ取り、相手を深く理解することができます。
一方、話し手の側も注意深く話を聴いてもらうことで、自分を受け止めてもらえたと感じ、自己肯定感を高めたり、自ら気付きを得たりすることができます。
傾聴の重要性は、日常やビジネスの場でコミュニケーション手法として活用することにより、より良い人間関係や信頼関係を構築することができる点です。
1-2. 傾聴の定義と特徴
傾聴の定義は、相手の話をただ聞くだけでなく、相手の感情や意図を理解しようとする姿勢を持つことが挙げられます。
傾聴の特徴は、相手の言葉を要約して繰り返すことや、適切な質問を投げかける点です。
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2. 傾聴の効果と重要性
ビジネスにおける傾聴の効果と重要性を説明します。
2-1. 社会人基礎力としての傾聴
2006年、経済産業省は産学の有識者による委員会で「職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力」を「社会人基礎力」として定義付けました。
社会人基礎力は、「前に踏み出す力(アクション)」「考え抜く力(シンキング)」「チームで働く力(チームワーク)」の3つからなります。
その中で、傾聴は「チームで働く力」に位置付けられ、多様な人々と一緒に働く上で重要な力とされています。
図)「社会人基礎力」の定義
引用元:経済産業省「社会人基礎力 「人生100年時代の社会人基礎力」説明資料」,http://www.meti.go.jp/policy/kisoryoku/(閲覧日:2021年8月18日)
ここからわかるように、「傾聴」とは、社会人にとって不可欠な、身に付けておくべき力なのです。
2-2. ビジネスにおける傾聴の3つの効果
実際のビジネスの場面で傾聴をすることによる効果を説明します。
傾聴には以下のような効果があります。
- 話し手を深く理解できる
- 理解しようとする聞き手の態度が話し手の心を開き、聞き手との信頼関係を築く
- 話すことで話し手は頭の中を整理でき、問題解決につながる
傾聴とは、相手の話をただ聞くことを指すのではありません。
相手の声の調子や変化を聞き取り、表情を見て、言葉の裏にある感情に気を配ることで、「相手の伝えたいこと」を理解することを指します。
傾聴することで、相手に寄り添い、気持ちを理解しながら話を聞くことができます。それにより、相手が心を開きやすくなり、信頼関係を築くことができます。
また、相手も話す中で自身の伝えたいことを整理することができます。その結果、何らかの気付きを得たり、問題解決の糸口をつかむ機会にもなり得ます。
3. 傾聴のビジネスへの応用
傾聴は、ビジネスでの次のような関係において活かすことができます。
- 職場の人間関係
- 顧客との関係
- 営業や交渉先との関係
職場の人間関係
一つの職場の中でも上司や部下、また正規・非正規などさまざまな立場の違いがあり、働き方も異なります。
立場が違えば考え方も違ってきます。こうしたとき、自分の立場から一方的に話をするのではなく、違う立場の相手を理解しようと傾聴することが相互理解に役立ちます。
また、傾聴することで人間関係を良好にし、結果として仕事の成果を高めることにつながります。
例えば、上司が部下の話に対して傾聴するとしましょう。上司が部下の話を丁寧に聞き、丁寧に返答することで、信頼されるようになり、良い関係性を築くことができます。
また、普段は部下が言いたくても言えない意見を聞くことで、業務や経営の改善につながるアイデアを得られるかもしれません。
顧客との関係
不満を抱いている顧客に対しては、傾聴しているという態度そのものが大切です。
そして、傾聴することでどのような点に不満を持っているのか、どうして怒っているのかが把握でき、次の対応や新しいサービスに活かしていくことができます。
不満を感じ、良くない印象を持っていた顧客も、傾聴されることで「自分は受け止められた」と感じ、顧客というよりもむしろファンのような存在へと転換するかもしれません。
営業や交渉先との関係
相手が何を求めているのか、注意深く話を聞くことで相手の真のニーズを理解できれば、的確な提案ができます。結果的に売り上げ増や業績の向上へとつながっていくでしょう。
このように、どのような立場の人にとっても、傾聴することは有効なコミュニケーション手段だと言えます。
4. 傾聴の上手なやり方
前述した通り、傾聴する際は、ただ話を聞けばよいわけではありません。相手に「話を聞いてもらっている」と感じてもらうことも大切な要素です。それには、ちょっとしたポイントがあります。
以下の通り、いくつかポイントをご紹介しますので、参考にしてみてください。
- 相づちを打つ、頷く、表情で答える
- 相手の言葉を繰り返す(聞き返し、オウム返しの技法)
- 相手の言葉を要約して繰り返す
- 適切な質問を入れて話を引き出すテクニック
- 傾聴の注意点(遮らない、話の腰を折らない、批判しない、アドバイスをしない、意見を言わない)
相づちを打つ、頷く、表情で答える(笑いかける、共感を示すために顔をしかめるなど)
こういった反応があるだけでも、話し手は「肯定的に聞いてくれている」と安心して話すことができます。
相手の言葉を繰り返す(聞き返し、オウム返しの技法)
例えば、話し手が「部長の方針に不満があるんだよね」と言ったときに、「あぁ、不満があるんだね」と、そのままオウム返しするだけでも効果があります。
相手の言葉を要約して繰り返す
オウム返しと同様ですが、相手の話が長い場合は要約して、「○○ということなんだね」と返すと良いでしょう。
適切な質問を入れて話を引き出すテクニック
話し手は、質問されることで「相手が何を知りたがっているのか」がわかり、それに対して答えることができます。また、話の全体像がどうなっているのか、話し手・聞き手の双方が整理するのにも役立ちます。
傾聴の注意点:遮らない、話の腰を折らない、批判しない、アドバイスをしない、意見を言わない
異なる考え方や反対意見があっても、まずは相手の話を聞き切ることが大切です。一方、共感できる部分は共感しつつも、できない部分は無理に共感したふりをしないことも大切です。わざとらしくなると逆効果になりますので、注意しましょう。
ここまで、傾聴の5つのポイントについて解説してきました。
以下は、傾聴の上手なやり方を会話形式で解説した、「傾聴の3つのケーススタディ」です。ぜひ、傾聴を実践する際の参考にしてください。
※画像をクリックすると、PDFファイルをダウンロードできます。
5. 傾聴のトレーニング方法〜日常生活で心掛けること〜
4章では、傾聴を上手に行うためのポイントをご紹介しましたが、それらをビジネスの場でいきなり自然に行うことは難しいかと思います。
より自然に傾聴をするためには、日ごろのトレーニングが必要です。とはいえ、人との対話に活用するものですので、トレーニングと考えて肩肘を張る必要はありません。ちょっとした工夫として、日常生活の中で心掛けてみてください。
傾聴のトレーニング方法は以下です。
- 印象の良い自然な笑顔を意識する
- 相手が落ち着く声のトーンを意識する
- 話の内容を要約する
- 共感の言葉を瞬時に伝えられるようになる
印象の良い自然な笑顔を意識する
どれだけ相手の話に耳を傾け、上手に話を聞けたとしても、怖い顔をしていては相手を萎縮させてしまいます。
笑顔は、相手をリラックスさせ、話しやすい雰囲気を作るために非常に効果的です。実際、笑顔が素敵な人と話すのはとても気持ちが良いものですよね。
まずは、自然で印象の良い笑顔が作れるよう、日常的に意識をしてみましょう。
出勤や退勤時の挨拶や、お礼を述べる時に、意識的に笑顔を作ってみてください。
自然な笑顔を作るためには、表情筋を鍛えることが大切です。一日、短時間でも良いですので、笑顔を作る表情筋のトレーニングをするのもお勧めです。
相手が落ち着く声のトーンを意識する
笑顔と同じくらい大切なのが、「声のトーン」です。
とはいえ、傾聴の場面では「これが正解」というトーンはありません。あくまで話している相手が「落ち着いて話せる」「話しやすい」と感じるトーンにする必要があります。
声のトーンが大きく違えば、「いい人なのに、なんとなく受け付けない……」といった印象を持たれてしまうものです。
元気な子どもたちと話をする保育士は、少し高いトーンで元気に話をしますよね。一方、お年寄りと対話をする介護士や医師は、低いトーンで、ゆっくりと話します。
ビジネスでも、このように相手のトーンに合わせて調整する必要があります。
最初は少し難しいですが、人と会話をする際には「相手のトーンに合わせる」ということを意識するようにしてみましょう。
話の内容を要約する
前章で「相手の言葉を要約して繰り返す」ということも傾聴のポイントである、と紹介しました。
これができなければ、ただオウム返しをするしかなくなります。それだけでは、相手に「自分の話を理解してもらえている」ということを伝えられません。
話をする人によっては、話にまとまりがなく、何を伝えたいか分かりにくいケースもあるでしょう。そのような場合にも、「相手の伝えたいことは何か」を理解して、その内容を要約し、繰り返す必要があります。
特に、「上司と部下」という立場の場合、部下は上司の前では緊張してしまい、上手に話せないことも多いでしょう。
例えば、部下があなた(上司)に以下のような相談をしてきたとします。
実は、最近困っていることがありまして…。A先輩が…。えーっと…、A先輩と一緒に仕事をするようになってから、雑務ばかりをしていて。でもA先輩は、営業先にアポをたくさん取っていて…。僕の成績が上がらないんです。なので、チームを変えていただきたく…。えっと…つまり…
この場合、この部下は
先輩が自分に雑務ばかりを押し付けてきて、自分は営業先にアポを取りに行くことができず、自分の成績を上げることができない。
ということをあなたに伝えて、助けを求めているのでしょう。
「それはつまり、〇〇ということなのだね。」というように、部下の話を要約し、繰り返してあげると、部下は「自分の話を理解してもらえた」と感じられるでしょう。
このように部下の気持ちを否定することはせず、まずは受け止めてから、必要なコミュニケーションに入りましょう。
否定しないというのは、部下の希望のとおりにすべきということはありません。実際に先輩に問題があるのか、部下に誤解があるのかは、まだ不明です。
真相を確認してから、必要なアドバイスや指導を行いましょう。もちろんその際も、傾聴を心掛ける必要があります。
話の内容を要約することは、最初のうちは難しいかもしれませんが、友人と気さくに話しているときでも、それを意識して聞いてみるとコツを掴めるはずです。
共感の言葉を瞬時に伝えられるようになる
「相手の言葉を要約して繰り返す」ことの応用ですが、相手の話から相手の気持ちを汲み取り、共感の言葉を瞬時に伝えることも、傾聴においては大切です。
話の中で、必ずしも相手が自身の感情を言葉にするとは限らないからです。
また、対話をしているときに、ついつい「でも」「しかし」と相手の話を否定し、自身の意見を言ってしまう人は少なくありません。
本人は無意識であっても、相手にとってその返答は、決していい気分になるものではありません。
どれだけ、「相手の意見が間違っている」「おかしなことを言っている」と感じたとしても、共感の言葉を用いて、相手の気持ちを汲み取った言葉を伝えるようにしましょう。
例えば同僚がこんなことをあなたに言ってきたとします。
最近、○○部長はトップダウンばかりで、部下の意見や発案を一切聞いてくれないんだよ。
その際には、このように答えるのが「共感」です。
せっかく会社のためを思って色々考えているのに、それを聞いてもらえないのは悲しいよね。
相手が「部長に話を聞いてもらえないから辛い」ということに「共感」するのです。
このようなときは、あくまで「そのような状況になった時、あなたはこういう気持ちになりますよね」と共感することが大切です。相手が挙げた人物(ここでいう「部長」)については、触れないようにしましょう。
一方、以下のように返すのは「同感」となります。
そんな部長、腹立つよな!
「同感」は傾聴には向いていません。相手の気持ちの全てに同調して、思いを背負ってしまうのは聞き手の負担にもなりますし、もし相手の意見が間違っていたら、軌道修正することが難しくなるからです。
「共感」では、話の内容を聞くのはもちろん、相手の表情や仕草、声のトーンから気持ちを汲み取ることが必要です。
最初は難しいかもしれませんが、相手の話は決して否定せず、「今どんな気持ちなのか」を読み取り、共感の言葉を伝えられるようにしていきましょう。
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7. まとめ
傾聴とは、相手の話を注意や関心を持って共感的しながら聴くことです。傾聴を用いることで聞き手は表面的な内容だけではなく、内に込められた相手の思いをくみ取り、相手を深く理解することができます。
経済産業省が、2006年に「職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力」を「社会人基礎力」と定義付けましたが、「傾聴」はそのうちの一つとして挙げられています。
傾聴は、ビジネスの場面でも活用することができます。
傾聴の具体的な効果は以下の通りです。
- 話し手を深く理解できる
- 理解しようとする聞き手の態度が話し手の心を開き、聞き手との信頼関係を築く
- 話すことで話し手は頭の中を整理でき、問題解決につながる
そして、以下のような場面で活用することができます。
- 職場での円滑な人間関係の構築
- 顧客との良好な関係の構築
- 営業や交渉先との良好な関係の構築
傾聴の上手なやり方として、以下が挙げられます。
- 相づちを打つ、頷く、表情で答える(笑いかける、共感を示すために顔をしかめるなど)
- 相手の言葉を繰り返す(聞き返し、オウム返しの技法)
- 相手の言葉を要約して繰り返す
- 適切な質問を入れて話を引き出す
- 遮らない、話の腰を折らない、批判しない、アドバイスをしない、意見を言わない
上記の内容を実践するためには、日ごろのトレーニングが必要です。トレーニングといっても、難しく捉えずに、以下のことを日常生活で心掛けると良いでしょう。
- 印象の良い自然な笑顔を意識する
- 相手が落ち着く声のトーンを意識する
- 話の内容を要約する
- 共感の言葉を瞬時に伝えられるようになる
「話を聞く」だけであればそれほど難しくありませんが、「傾聴」となると「自然な笑顔」や「落ち着く声のトーン」などが必要となってきます。日常生活での積み重ねがトレーニングとなり、上手な傾聴へとつながっていくでしょう。
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参考)
厚生労働省「話を「聴く」~積極的傾聴とは~」,『こころの耳』,https://kokoro.mhlw.go.jp/listen/listen001/(閲覧日:2021年8月18日)
経済産業省「社会人基礎力 「人生100年時代の社会人基礎力」説明資料」,http://www.meti.go.jp/policy/kisoryoku/(閲覧日:2021年8月18日)