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仮説思考トレーニング ビジネスの意思決定効率を上げる考え方とは?

「仮説思考を鍛える良いプログラムはないだろうか?」

仮説思考を身につけたい方はこう思うかもしれません。何かを習得したいと思った時に、練習材料を探すのは素晴らしいことです。今はWeb上に無料で手に入る情報がたくさんありますので、その中から自分に合いそうなものを、と考えるのも当然でしょう。

ただ、仮説思考が扱うのは仮説であり、その実効性を確かめるには検証が必要です。仮説を作るところまではともかく、検証を行うのも一人でパソコンの前で、とはいきません。

しかも、あなたがビジネスパーソンなら、仮説思考を実践する題材が日々の業務の中にたくさんあるはずです。

仮説思考のトレーニングは、何かを記憶したり、勉強したりするよりも、仮説を考える「クセ」を付け、日ごろからこれを意識して実践することで行います。

本稿では、改めて「仮説思考」について解説しながら、日々の業務の中で意識的にトレーニングをする方法を紹介します。

一朝一夕でマスターできるというものではありませんが、コツを掴めば仕事の質とスピードを向上させることができます。ぜひ実践してみてください。

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1. 「仮説思考」はトレーニングできるのか?

ビジネスにおいて、非常に有効な「仮説思考」ですが、どのようにして活用すべきなのか、何から始めれば良いのかがわからないという方は多いのではないでしょうか。

また、仮説思考は、素質や才能にかかわらず、トレーニングをすれば、うまくできるようになるものなのかと感じる方もいらっしゃるでしょう。

結論から述べますと、仮説思考をトレーニングすることは可能です。

仕事を効率的かつスピーディに行いたいのであれば、ぜひ仮説思考のトレーニングを実践してみてください。トレーニング方法については後述します。

まずは「仮説思考とはそもそも何か」「仮説思考をトレーニングをすることでどのようなメリットがあるか」について見ていきましょう。

1-1. そもそも仮説思考とは何か

仮説思考を鍛える前に、仮説思考について知ることが大切です。

「仮説思考とは何なのか」「どのような手順で行うものなのか」をしっかりと理解しておきましょう。

1-1-1. 仮説思考とは「最も答えに近い答え」を検証して「答え」にすること

仮説思考とは、現時点で最も可能性の高い結論を「仮の結論(仮説)」として設定してから、その「仮の結論(仮説)」の検証・修正を繰り返し「真の結論」を導き出すまでの思考です。

多くの人は、解決策を見出すため、正しい意思決定をするためにはできるだけ多くの情報を集めるべきであると信じています。たくさんの情報から物事の本質を見極め、そこから明らかになった問題に対し、さらに情報を集めて解決策を導こうとするのです。

しかしこれでは、情報収集している間にどんどん時間が過ぎてしまい、結局時間切れとなってしまいます。一番肝心な意思決定についてはエイヤーで決めてしまうということもしばしばでしょう。

一方で、仕事ができると言われる人は、答えを出すのが早い傾向にあります。それは、情報が十分に集まっていない、分析が済んでいない場合でも、最も正しいと思われる「自分なりの答え」を持っているからです。

この「自分なりの答え」が仮説思考でいうところの「仮説」です。そして「自分なりの答え」を、より正しい答えへと近づけて行くのが仮説思考です。

「仮説」と言われると、馴染みが薄いかもしれませんが、みなさんも日常的に「仮説」を立てています。

例えば、「寒い日は、みんなアイスを食べたいと思わないから、いつも行列ができているあのアイス屋さんも空いているだろう」と考えて、出かけることはありませんか?これも立派な「仮説」です。

そして、実際にアイス屋さんに行ってみて、空いていたら仮説は正しかった、相変わらず行列ができていたら仮説は間違っていたということになります。これが「検証」です。

1-1-2. 仮説思考は科学のアプローチと似ている?

上記のアイス屋さんについての「仮説を検証して結論を導く」という過程は、科学的なアプローチそのものです。仮説思考とは、ビジネス上で発生した課題に対して、「客観的なデータ」を用いながら科学のアプローチ方法で対処することであると言えます。

しかし、ビジネスにおいては、科学の実験のように「Q.E.D.」へ確実に導くことは難しいということは理解しておく必要があります。

例えば「AさんとBさんでは、Aさんのほうが営業成績がいいからAさんのほうが優秀である」というのは、全くを持って不明確な結論です。

なぜなら、人間の能力や感情、行動は論理的に説明することができるものではなく、「人間」が集合することで成り立つビジネスという世界では「1+1=2」のように明確な答えを出すことはできないからです。

確かに、営業成績のいいAさんは優秀かもしれません。しかし、例えば、現場仕事を卒業させてマネジメントをする立場にすることを考える際、Aさんに他の人の立場に立って考えたり、能力の管理が適切にできたりするかどうかは営業成績だけでは計れません。

また、営業成績の低いBさんでも、実際その内訳を見てみるとAさんよりも顧客の満足度が高く、継続して顧客を繋ぎ止めているということもあります。

そのため、【どちらが優秀か】という問題に対しても、「営業成績がいい=優秀」と短絡的に結論を出すのではなく、「営業成績の良い人物は優秀である」ということはあくまで仮説として考え、その上で「視野を広く持っているか」「仕事効率はどうか」「営業後の顧客へのフォローはできているか」「本当に顧客が必要なものを理解しているか」など多角的に客観的なデータを収集し、本当にそうなのか、慎重に結論を出さなければいけません。

仮説思考では、科学のように「正解」を導くことは難しいですが、「客観的なデータ」に基づいて吟味し、「限りなく正解に近い結論」にたどり着くことを目指すよう心がけることが大切です。

1-2. 「仮説思考」をトレーニングして仕事を効率化する

冒頭でもお話したように、仮説思考はすぐにできるようになるものではありません。また、仮説思考のトレーニングは、仕事上だけでなく、日常生活でも意識的に行う必要があるため、大変に思う方もいらっしゃるでしょう。

では、そんな大変な思いをしてまで「仮説思考」は必要なのでしょうか。

仮説思考の必要性やメリットについて見ていきましょう。

1-2-1. 仮説思考の必要性

ビジネスパーソンには、常に問題の解決が求められます。特に近年では、IT化が進んだことで、状況や環境が日々めまぐるしく変化しており、その分直面する問題が急増しているのではないでしょうか。

そのため、ビジネスパーソンには「迅速」に問題を解決することが求められているのです。

問題を解決しようとする際、原因の究明と解決策の確立のため、どうしても多方面からあらゆる情報を収集し、すべての分析を行ってしまいがちです。しかし、それではかなりの時間を要します。

そこで有効なのが「仮説思考」です。仮説思考は、最初に仮説を立て、その仮説の検証に必要な情報収集と分析だけを行うものです。無駄な情報収集・分析をする必要がなく、迅速に問題の解決を図ることができます。

また、インターネットなどであらゆる情報が手に入る現代では、その情報量の多さによって「情報に惑わされる」ことも懸念されます。

自身では、「自ら考えた上での結論」であると思っていても、実はどこかの情報を鵜呑みにして思い込みをしている可能性も否めません。

「仮説思考」では、情報ではなく仮説を先行して考え、検証するため、情報に惑わされることなく客観的な視点から結論を導き出すことができます。

1-2-2. 仮説思考のメリット

仮説思考をトレーニングすると、以下のようなメリットが得られます。

・必要な情報だけを効率よく集められる
・大局観を持って仕事を進めることができる
・思い込みを回避することができる
・迅速な問題解決が見込める

必要な情報だけを効率よく集められる

問題解決や意思決定をするには「情報が多いほど良い」と思いがちですが、そうとは限りません。情報量が多いと、実は重要でない情報についても検証しなければならず、結論に達するのに時間がかかります。

対して、仮説思考を用いれば、最初に立てた仮説を検証するために必要な情報だけを集めればよいため、効率のよい情報収集が可能になります。

大局観を持って仕事を進めることができる

仮説思考では、まずはじめに仮説を立て、それを立証するための証拠(情報)を集めると同時に、結論に至るまでの軌道修正をしていきます。仮説における重要なポイントを深堀りし、検証を繰り返すのです。そのため、問題の全容と結論があらかた想像でき、問題解決までの道筋も立てやすくなります。

思い込みを回避することができる

「上司が言っているから」「会社がそう動いているから」ということから、ある事柄を思い込んでしまうケースは多くあります。例えば、上司が「営業成績を上げるにはとにかくテレアポをすることだ」と言い、部署全体がそれを正しいと思い込み、指示に従っていたとします。しかし、その上司の言うことは必ずしも正しいとは限りません。

仮説思考を用いて「営業成績を上げるにはテレアポは必須である」という仮説を立て、順序立てて検証することでその真偽に気づくことができます。思い込みを回避して、最善の方法を探すことが可能になるのです。

迅速な問題解決が見込める

問題の解決策を導くために、すべての可能性を並べ、それを検証していては莫大な時間がかかってしまいます。

仮説思考では、まずあらゆる可能性から自身が最も正しいとと思うものを「仮説」として挙げ、それを検証します。そのため解決策を迅速に導くことが可能です。

「間違った仮説を立てたら逆に時間がかかるのでは?」と思うかもしれませんが、もし仮説が間違っていた場合、情報を収集する上で、仮説を肯定するための情報がなかなか集まりません。そのため、すぐに間違っていることに気づくことができ、余裕を持って軌道修正・仮説の立て直しが可能になります。

また、間違った仮説を立て、軌道修正が必要であっても、比較的少ない回数で済みます。すべての可能性を網羅的に検討するより問題解決スピードは速くなる可能性が高いでしょう。

このように、仮説思考には様々なメリットがあります。うまく活用することで迅速に問題を解決でき、仕事の効率化が見込めます。

しかし、いきなり「この問題に対しては仮説思考で行こう」と思っても、うまくいくものではありません。

仮説思考を使いこなすためには、思考の「クセ」をつけることがポイントになります。日々トレーニングを重ねることが大切です(3章を参照)。

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2. 仮説思考のトレーニング方法

既述の通り、仮説思考は思い立ったらすぐに始められるものではありません。日頃からトレーニングを重ねる必要があります。

トレーニングと言っても、机に向かって学ぶと言うよりは、「物事を深堀りする思考をクセづける」トレーニングです。

そのため、仕事中だけでなく、日常生活でも意識的に行うことが大切です。

最初のうちは大変ですが、慣れてくると自然に行うことができますので、ぜひ実践してみてください。

2-1. 仮説思考の手順を把握する

まずは、基本的な仮説思考の手順について理解しておきましょう。

仮説思考の基本的な手順は以下のとおりです。

(1) 仮説の構築
(2) 仮説の検証
(3) 検証結果の判断

(1) 仮説の構築

現時点で入手できるあらゆる情報から、最も正解に近いと思う解決策を「仮説」として引き出す作業です。インターネットでの情報や、自身の経験則、客観的なデータなどから模索しましょう。

慣れてくると、この段階で最善の解決策を導き出せるようになることもありますが、最善であることを確認するためにも、次の手順にある「検証」と「判断」は必ず行うようにしてください。

(例)

【課題】
離職率が上がってきているので、離職率を下げたい

 

【仮説の構築】
何故、離職率が上がっているのか?
→残業時間が増えていることに従業員が不満を持っている(自身の経験則など)
→1人ひとりの残業時間を減らすために人員を増やせばいい(仮説)

(2) 仮説の検証

(1)で立てた「仮説」が正しいか、正しくないのかを具体的な言葉で検証します。「Aという仮説は正しい(正しくない)」で終了するのではなく、「Aという仮説は正しい(正しくない)」→「何故正しくない(正しい)のか」というところまでしっかりと考えましょう。
「正しい・正しくない」の判断だけでは、それは“勘”のようなものであり、「何故」の部分を具体的に考えることで初めて、仮説が精査されていくのです。

また、検証するにあたって決してやってはいけないのは、「仮説が仮説であることを忘れて正解であると決めつけること」です。正解なのであれば、なぜ正解であるかを明確にしなければいけません。

検証する際には、自身が思うよりも厳しく判断するように心がけなければいけません。まずは、自身が立てた仮説を疑うようにしましょう。

(例)

【課題】
離職率が上がってきているので、離職率を下げたい

 

【仮説の構築】
何故、離職率が上がっているのか?
→残業時間が増えていることに従業員が不満を持っている(自身の経験則など)
→1人ひとりの残業時間を減らすために人員を増やせばいい(仮説)

 

【仮説の検証】
本当に人員を増やせば離職率は下がるのか?
→従業員アンケートを見ると、会社への不満として「残業時間」を挙げた人はそれほど多くない
→「1人ひとりの残業時間を減らすために人員を増やせばいい」という仮説は正しくない

(3) 検証結果の判断

仮説を検証したら、その仮説が正しいか正しくないかの判断をします。ただし、最初の仮説は正しくないことがほとんどです。

仮説が正しくない場合は、仮説を修正する必要があります。検証結果を元に、修正の方向性を考えましょう。

時には、仮説が大幅に間違っていることがあります。その場合は、仮説を修正するのではなく、破棄して、最初から仮説を作り直さなければいけません。

修正するか、破棄するかを判断したら、また(1)に戻り、(3)までのサイクルを繰り返します。

なお、この段階で仮説が正しいと判断できた場合は、終了となります。

(例)

【課題】
離職率が上がってきているので、離職率を下げたい

 

【仮説の構築】
何故、離職率が上がっているのか?
→残業時間が増えていることに従業員が不満を持っている(自身の経験則など)
→1人ひとりの残業時間を減らすために人員を増やせばいい(仮説)

 

【仮説の検証】
本当に人員を増やせば離職率は下がるのか?
→従業員アンケートを見ると、会社への不満として「残業時間」を挙げた人はそれほど多くない

 

【仮説の判断】
検証の結果、「1人ひとりの残業時間を減らすために人員を増やせばいい」という仮説は正しくない
→従業員アンケートを詳しく見ると、会社への不満として最も多く上がっているのは「上司とのコミュニケーション不足」であった。このアンケートを元に、改めて仮説を構築しよう。
→「仮説の構築」に戻る

2-2. アブダクション思考を常に意識する

仮説思考における「仮説の構築」を的確かつ迅速に行うために有効な方法として、「アブダクション思考」があります。

アブダクション思考とは、起こった現象に対して、自身が知っている法則を当てはめることで、仮説を導き出す思考方法です。

アブダクション思考を上手に行うことができれば、優れた仮説を速く立てられるようになるため、2-1.のサイクルを回す回数が少なくて済みます。

アブダクション思考は、以下のように行います。

【起こった現象】売上が落ちた
→【法則】景気が悪くなると売上が落ちる
→【仮説】売上が悪くなったのは、景気が悪くなったからだ

ここで用いる【法則】は、1つではありません。自身が知っている限りの法則を当てはめることが可能であり、法則によって導かれる仮説は異なります。つまり、どれだけ法則を知っているかが鍵となるのです。

仮説思考で重要なのは優れた仮説を立てることであり、そのためには、【法則】のストックが多い方が好都合です。

アブダクション思考を常に意識することで、この【法則】のストックを蓄積することが可能になります。

2-3. Why So? So What?の考えを習慣づける

ものごとを考える時、常に「なぜそうなのか(Why So?)」「だからどうした(So What?)」を考えることをクセづけましょう。

仮説が正しいか正しくないか検証するには、仮説に対してあらゆる疑問を持ち、解決していくことが必要であり、「Why So? So What?」の考え方が非常に重要になるからです。

例えば、日常生活の上で以下のように考えます。

  • 「家の近くにスーパーが2つある」
    →「なぜスーパーAのほうがスーパーBよりも人が多いのだろう?」(Why So?)

  • 「今日はスーパーBが特売セールをしている」
    →「だから今日はスーパーAよりもスーパーBのほうが人が多いな」(So What?)

普通であれば「今日はここのスーパーは混んでいるなぁ」で終わってしまいそうなことも、上記のように少し深堀りして考えることが大切です。

そうすることで、ビジネス上でも自然に「Why So? So What?」を考えられるようになるでしょう。

2-4. 反対側の視点で考える

仮説を見出すには、自身と反対側の立場に立って物事を考えることが大切です。

商品などを売るのであれば、「消費者・顧客の視点」、社内環境を考えるのであれば「現場で働く従業員の視点」、同業他社との競争で勝ち抜きたいのであれば「競合会社の視点」など、自身が置かれている立場と反対側の視点で考えます。

そうすることで、問題に対して自身の主観だけでなく、客観的な視点から見ることができ、新たな仮説を見出すことが可能になります。

2-5. 両極端に振って考える

例えば、競合が相次いで値下げをする状況となった場合、大抵の企業が商品の値下げを考えるでしょう。そこであえて「商品を値上げしたらどうなるか」を考えてみます。

1本100円で、買い求めやすい価格で販売しているごく普通のボールペンを、他が値下げしている中で130円に値上げしたら売上が下がることが予想されます。

一方で、1本3万円の高級万年筆ではどうでしょうか。3万5,000円に値上げしたところで、それほど売上は落ちないでしょう。高級なものを購入する人は「高級」であること自体に付加価値を感じている人や、質のいいものであれば多少高くなっても気にしない人が多いからです。

逆に2万5,000円に値下げをした場合、一時的に売上は上がるかもしれませんが、中期的に見るとその値下げが「人気が落ちたのか」「流行遅れになったのか」など印象を悪くする要因になってしまう可能性があります。

このように、両極端の発想をすることで、商品やサービスに対するニーズの所在を浮き彫りにすることができ、仮説の方向性を定めることができます。


3. まとめ

仮説思考とは、現時点で最も可能性の高い結論を「仮の結論(仮説)」として設定してから、その「仮の結論(仮説)」の検証・修正を繰り返し「真の結論」を導き出すまでの思考です。

「仮説を検証して結論を導く」という過程は、科学的なアプローチそのものです。仮説思考は、発生した課題に対して、「客観的なデータ」を用いながら科学のアプローチ方法で対処することであると言えます。

ビジネス環境が目まぐるしく変化する現代では、迅速に問題を解決できる「仮説思考」の必要性が高まっています。

ただし、ビジネスにおいては、科学の実験のように「Q.E.D.」へ確実に導くことは難しいということは理解しておく必要があります。

なぜなら、人間の能力や感情、行動は論理的に説明することができるものではないため、「人間」が集合することで成り立つビジネスという世界では「1+1=2」のように明確な答えを出すことはできないからです。

科学のように「正解」を導くことは難しいですが、「客観的なデータ」に基づいて「限りなく正解に近い結論」にたどり着くことを目指すよう心がけることが大切です。

仮説思考の具体的なメリットとして、以下のものが挙げられます。
・必要な情報だけを効率よく集められる
・大局観を持って仕事を進めることができる
・思い込みを回避することができる
・迅速な問題解決が見込める

このようなことからも、ビジネスパーソンが仮説思考をトレーニングする必要があることがわかります。

仮説思考をトレーニングするには、まず仮説思考の手順を把握しておきましょう。

仮説思考の手順は以下のとおりです。
(1) 仮説の構築
(2) 仮説の検証
(3) 検証結果の判断

この手順を理解したら、日常生活で以下のようなことを意識しましょう。

・アブダクション思考を常に意識する
・Why So? So What?の考えを習慣づける
・反対側の視点で考える
・両極端に振って考える

仮説思考のトレーニングは、机に向かって学ぶと言うよりは、「物事を深堀りする思考をクセづける」トレーニングです。

そのため、仕事中だけでなく、日常生活でも意識的に行うことが大切です。

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参考)
学校法人グロービス経営大学院「仮説思考を鍛える3つの方法。仕事の効率化と質向上を目指そう」,『GLOBIS CAREER NOTE』, https://mba.globis.ac.jp/careernote/1008.html(閲覧日2021 年5月1日)
藤井孝一「3分でわかる仮説思考!結論から考えて、問題の全体像を一気につかむ」,『DIAMOND online』,2016年7月19日, https://diamond.jp/articles/-/95751(閲覧日2021年5月2日)
k_bird「仮説思考とは|仮説の立て方と仮説構築力を身につける方法|例題有」,『Mission Driven Brand』,2020年8月6日, https://www.missiondrivenbrand.jp/entry/thinking_abduction(閲覧日2021年5月1日)
江口夏郎・山川隆史(著者)ライトワークス(監修)『仮説思考』,ファーストプレス,2007年
内田和成『仮説思考 BCG流問題発見・解決の発送方法』,ファーストプレス東洋経済新報社,2006年

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