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在宅勤務とは 働き方改革で導入進める メリット・デメリットを紹介

在宅勤務とは 働き方改革で導入進める メリット・デメリットを紹介

在宅勤務とは、ICT(情報通信技術)を活用して従業員が自宅で業務に従事する勤務形態のことです

ICTの進歩や家庭環境の変化に伴う多様な働き方へのニーズを背景に、導入する企業が増えています。また、政府も「働き方改革」を提唱する中で、在宅勤務の浸透を支援しています。

本稿では、在宅勤務とは何か、メリット・デメリットや導入の際に利用できるICTのシステムなどについてご紹介します。

「在宅勤務」のほか、「ARCSモデル」や「エンプロイアビリティ」など、近年話題の人事系キーワードについて詳しく知りたい場合は、163の用語を解説している「人事用語事典」(無料)をご利用ください。


1. 在宅勤務とは

在宅勤務とは、ICTを活用して従業員が自宅で業務をする勤務形態です。ICTを使った時間や場所を選ばない柔軟な働き方を一般に「テレワーク」と呼びますが、在宅勤務はその中の一つの形態として次のように分類されます。

①雇用型(企業に勤務する被雇用者が行うテレワーク)

在宅勤務:出勤せず、自宅で業務をする
モバイルワーク:モバイル機器などを使用し、移動中やカフェなどで業務をする
施設利用型:サテライトオフィス、テレワークセンター、スポットオフィスなど自宅近くや通勤に便利な場所に設けられた場所に行って業務をする

②自営型(個人事業者・小規模事業者が行うテレワーク)

SOHO、ノマドワーカー:主に専業性が高い業務をする。独立自営の度合いが高い
内職副業型(在宅ワーカー):主に他のものが代わって行うことが容易な業務をする。独立自営の度合いが低い

近年、在宅勤務を始めとするテレワークが政府により推進されています。その根拠となるものとして、「ニッポン一億総活躍プラン」、「世界最先端IT国家創造宣言」、「経済財政運営と改革の基本方針2017」、「未来投資戦略2017」、「働き方改革実行計画」などがあります。

「働き方改革実行計画」では、柔軟な働き方がしやすい環境整備として、
・雇用型テレワークのガイドライン刷新と導入支援
・非雇用型テレワークのガイドライン刷新と働き手への支援
・副業・兼業の推進に向けたガイドラインや改定版モデル就業規則の策定
を計画しています。

このような政府の意向もあり、今後、在宅勤務での働き方が増えていくと予想されます。
 
>>テレワークについて、詳しくは「テレワークとは 導入企業の取り組みを合わせてご紹介」を参照

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2. 在宅勤務のメリット・デメリット

在宅勤務について、企業側と、従業員側それぞれのメリットは次の通りです。

◆企業

優秀な人材の採用と定着

遠隔地に居住する人材を採用したり、自宅を離れられないといった理由での離職を減らしたりすることが期待できます。それにより優秀な従業員や経験を積んだ従業員の定着につながります。

障がい者の雇用促進につながる

身体的・精神的な障害があって通勤や事業所での勤務に支障がある場合、自宅で業務ができることは大きな利点となります。

コストの削減

オフィスに用意する机やいすなどの必要な物品が減り、空調や照明の費用、オフィス面積も削減できます。交通費の支払いがないためその分の費用が削減できます。

◆従業員

居住地に左右されない

出勤の必要がないためオフィスが遠方である場合でも就業できます。

仕事と家庭との両立が可能

子育てや介護などの理由で自宅を離れることができず、就業を断念していた人も働く機会が得られます。

時間を有効に活用できる

通勤時間を削減できるため、その時間を仕事や家事などに使うことができます。

ストレスの軽減

職場での人間関係に悩む人にとって、在宅勤務は人との接触が少ないため、ストレスを軽減し働きやすくなるでしょう。

一方、デメリットや課題として以下のことが考えられます。

◆企業

労働時間の管理が困難である

規定の時間、仕事をしているのかどうかを把握することは簡単ではありません。企業側がウェブカメラで従業員を監視する方法などもありますが、労働時間で管理しない方法(成果報酬型)の採用なども検討する必要があるでしょう。

セキュリティの問題

重要な文書、情報などを、インターネットを介して送受信する際には、セキュリティ上のリスクが発生します。セキュリティ対策を施したパソコンの貸与やファイルの取り扱いについての教育や指導、契約など、情報の漏えい、ウィルス感染への事前の対策は必須です。

連絡体制の構築

勤務時間が完全に自由な在宅勤務の場合、オフィスの勤務時間帯にリアルタイムで連絡が取れないことがあり得ます。業務連絡にタイムラグを生じ、損失につながることのないよう緊急時の連絡手段について定めておく必要があります。

各種取り決めの必要性通信費用や情報通信機器に関する費用負担や労働災害の補償に関することなど、在宅勤務に対応した取り決め(就業規則など)が必要となります。

◆従業員

長時間労働につながる懸念

成果報酬型の場合などでは、長時間労働が常態化したり、報酬が見合わっていなかったりということも起こり得ます。仕事を適正に行うためのガイドラインが必要です。

時間の自己管理が必要

一人で業務をしていると時間の管理が甘くなりがちです。反対に、業務に没頭して生活リズムが崩れる懸念もあります。始業時や終業時に上司に報告をするなどの対策も有効です。

社内コミュニケーション機会の減少

出勤をしないので、社内の同僚や上司と直接会う機会は減ります。その分をテレビ会議やメール、チャットなどで補うことで代替は可能です。

従業員の勤務実態の管理やセキュリティの問題、長時間労働の懸念など、対策が必要な課題はありますが、働き方の選択肢が広がることにより、これまで就業を断念していた人たちの雇用が増えることは、企業にとっても社会にとっても大きなメリットと言えます。


3. 在宅勤務に適した業務と例

全ての業務が在宅勤務で運用できるわけではありません。それでは、どんな業務が適しているのでしょうか。
例えば、以下のような業務が考えられます。

・1人で完結できる業務
始めから終わりまで他とコミュニケーションをとらなくても1人で完了できる業務。

・成果で判断できる業務
プログラムの作成や一定の量のデータを入力など、仕事の成果が客観的に判断でき、成果報酬型に合った業務。

・従業員の裁量に任せる要素の大きい業務
従業員の裁量に任せた方がよい専門性の高い企画業務。

具体例)
・研究、開発業務
・企画、経理などの管理業務
・IT系業種
・クリエイティブ系業種

それでは、すでに在宅勤務制度を導入している企業は、どのような業務に対して在宅勤務を適用しているのでしょうか。業種ごとに対象業務の例を見てみましょう。

在宅勤務導入企業の例

企業

業種

対象業務

A

IT

Web・DTPデザイナー、電話オペレーター

B

小売業

インターネットによる販売業務

C

情報通信業

コンピュータシステム開発、販売

D

学習、学習支援業

データメンテナンス、経理処理

E

保険業

損害保険業務

F

医療・福祉

介護支援業務

コアの業務であっても在宅勤務で運用できる業種、管理業務など一部は在宅勤務が可能な業種など、企業の業務内容や規模によって在宅勤務の可否やメリットの度合いも異なります。導入にあたっては、他社の事例や自社の状況を鑑みながら検討が必要です。


4. 導入にはICTが不可欠

在宅勤務は、ICTの利用が不可欠です。
在宅勤務を導入する際に役立つシステムについてご紹介します。

VPN(IP-VPN)の利用

仮想プライベートネットワークを構築することで、在宅勤務者が社内のネットワークに専用回線で直接接続されているかのように利用できます。

シンクライアント端末の利用

在宅勤務者にはシンクライアント端末を使用させることで、端末へのデータの保存を不可能とし、情報の漏えいなどセキュリティ対策をすることができます。

Web会議システムの利用

Webカメラを利用したテレビ会議ができます。

在席管理ソフトの利用

勤務中にソフトを利用し、勤務時間を管理します。

分単位カウントシステムの利用

1分単位で給料をカウントするシステムを利用して、実労働時間を把握します。

クラウド型タイムカードシステムの利用

インターネットを介して出勤退勤管理ができます。

リモートソフトウェアの利用

社内から在宅勤務者のサポートができます。

これらのシステムの構築と勤務ルールやガイドラインの策定などの社内体制の整備の双方が在宅勤務をうまく運用していく鍵です。


5. まとめ

在宅勤務とは、ICTを活用して従業員が自宅で業務をする勤務形態です

政府は働き方改革の一環でテレワークを推進しており、在宅勤務もそのひとつとして支援が謳われています。

在宅勤務のメリットは以下の通りです。
企業
・優秀な人材の採用と定着
・障がい者の雇用促進につながる
・コストの削減

従業員
・居住地に左右されない
・仕事と家庭との両立が可能
・時間を有効に活用できる
・ストレスの軽減

一方で、デメリットや課題として次のことがあります。
企業
・労働時間の管理が困難である
・セキュリティの問題
・連絡体制の構築
・各種取り決めの必要性

従業員
・長時間労働につながる懸念
・時間の自己管理が必要
・社内コミュニケーション機会の減少

全ての業務が在宅勤務で運用できるわけではありません。以下のような業務が在宅勤務に適しています。
・1人で完結できる業務
・成果で判断できる業務
・従業員の裁量に任せる要素の大きい業務

ICTの進歩によって、在宅勤務を含めた柔軟な働き方が可能になりました。「働きたかったけど働けなかった」という個人に就業の機会を提供するという効果を生むだけではありません。企業にとっても社会にとっても大いにメリットのあることです。
少子高齢化で就業人口の減少が懸念されています。人材の確保はどの企業にとっても喫緊の課題でしょう。働き方改革の機運が高まっているこの機会に導入を検討してみてはいかがでしょうか。

参考)厚生労働省「情報通信機器を活用した在宅勤務の適切な導入及び実施のためのガイドラインの改訂について」
https://www.mhlw.go.jp/houdou/2004/03/h0305-1.html
参考)厚生労働省「報通信機器を利用した事業場外勤務の適切な導入及び実施のためのガイドライン」
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/3002221.pdf
参考)厚生労働省「仕事と生活の調和」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/shigoto/index.html
参考)働き方改革実行計画
https://www.kantei.go.jp/jp/headline/pdf/20170328/05.pdf
参考)日本テレワーク協会「テレワークの導入・活用に向けて」
http://www.japan-telework.or.jp/intro/tw_about.html
参考)総務省「テレワーク先駆者百選事例のご紹介」
http://www.soumu.go.jp/main_content/000563486.pdf

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