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〔ポジティブ心理学〕「意図的行動」で仕事の幸せ度を上げる方法

「幸せな家族はどれもみな同じようにみえるが、不幸な家族にはそれぞれの不幸の形がある」

これは、トルストイの小説「アンナ・カレーニナ」の有名な冒頭文です
(望月哲男、光文社古典新訳文庫、2008)。

では、「家族」ではなくて「個人の幸せ」にも、誰にも当てはまる共通点はあるのでしょうか?
ポジティブ心理学の第一人者の一人であるカリフォルニア大学リバーサイド校のソニア・リュボミアスキー教授は、確かに「ある」と言います。

それが、「幸せの方程式(Happiness formula)」と呼ばれるものです。

幸せ(Happiness)=遺伝子による設定値(セットポイント、Set point)+環境(Circumstance)+意図的行動(Volitional activity

この方程式が意味することは、ずばり、「幸せになる方法は唯一、『意図的に行動すること』に尽きる」ということです。

では、なぜ「意図的行動」が幸せ度を左右するのか。

今回はポジティブ心理学シリーズの第二弾として、「幸せの方程式」をもとに、仕事への取り組みをより充実させる秘訣を考えてみましょう。
今日からできる簡単なエクササイズもご紹介しますので、ご自身に合うと思ったものはぜひ取り入れてみてください。

「意図的行動」以外にも、「ARCSモデル」や「エンプロイアビリティ」など、近年話題の人事系キーワードについて詳しく知りたい場合は、163の用語を解説している「人事用語事典」をご利用ください。
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1.幸せの方程式を構成する3つの因子

リュボミアスキー教授は、「幸せ」とは「喜びや満足をもたらす経験と、充実して生きがいがあり、価値のある人生だと感じることを合わせた状態」と定義しています。前回ご紹介したセリグマン教授の幸せを構成する5つの要素 PERMA(ポジティブ感情、エンゲージメント、人間関係、意味・意義、達成感)」と通ずるところがありますね。

その上で、リュボミアスキー教授は、双子研究やその他様々な研究を統合した結果、幸せを決定する因子とその割合を、①遺伝子50%、②環境10%、③意図的行動40%、としました。

さて、これをどう解釈したらよいのでしょうか。順を追って説明していきましょう。

1-1. 遺伝子--最大の要因?でも深くとらえないことが大切

「幸せの方程式」を初めて聞いた人のほとんどは、「えっ…」と一瞬言葉を詰まらせます。

「幸せの半分は、遺伝子、つまり生まれたときから決まってる、ということ?」

100%幸せになりたくても、半分は生まれつきだから自分ではどうしようもない、と言われているようで暗澹たる気持ちになりますよね。

けれど、考えてみれば、遺伝子が私たちの性格や容姿や様々な形質を決定づけている、というのは、人間(というより生物)である以上ごく当たり前のこと。「遺伝子が決めている」のを悲しむのは、ある意味、人間であることを悲しむのと同じです。
従って、それは所与のものとして、さらっと受け流しましょう 

ちなみに、遺伝子の影響は50%ではなく40%、とする研究結果が最近発表されているそうです。この手の数値は、研究を重ねるにつれて修正されていくことがよくあります。そういう意味でも、自分では如何ともし難い遺伝子について一喜一憂せず、脇に置いておくほうがよいと思います。

1-2. 環境--変えれば幸せ度は上がるが3日で慣れる

環境を変える、たとえば新しい家に引っ越したり、転職したり結婚したりすると幸せ度がアップする、ということは容易に想像がつくでしょう。
ちなみにここで言う環境とは、住んでいる地域や住宅事情などの生活環境はもちろん、もう少し広い意味で、金銭面の充実、家族構成、仕事上の地位など、自分や自分を取り巻く様々な状況も含みます。

であれば、「環境がたった10%しか幸せに影響しないの?」と思われるのではないでしょうか。

でも、実際にそうなのです。なぜなら、人間は、どんなに幸せな環境にも「慣れて」しまうからです。

結婚したことのある方なら、おわかりですね。牧師様の前で指輪交換をして見つめ合ったとき。初めて作った不格好なハンバーグを彼(彼女)が「美味しい」と言ってくれたとき。あの幸せの絶頂感も、23年も経てばどこへやら…。

環境が変化した直後は、幸せ度はスカイロケット並みに上昇するけれど、やがてまた下降します。それとは逆に、不幸せな出来事があって幸せ度が下がっても、やがてまた元のレベル近くまで上がる、という研究結果も出ています。

「幸せは3日で飽きる、不幸は3日で慣れる」とはよく言ったものです。人間は環境変化に適応するように出来ているのです。従って、環境を変化させることだけで幸せになろうとしても、残念ながら長続きしないことが多いのです。

なお、結婚後何年たっても幸せ度が下降しないカップルは、彼らの環境適応能力が低いせいではなく、次に述べる「意図的行動」の賜物ではないかと思います。もちろん、彼らが例外的に愛情豊かで忍耐強いおかげかもしれませんが(笑)。

1-3. 意図的行動--これこそ幸せ度をアップする源泉

「意図的行動」とは、文字通り、意図的に、自分の意志で行動すること、です。
簡単に言えば、「自分でやる」ほうが、「他人にやらされる」より格段に気持ちよい、ということです。

子供の時、誰もがこんな経験をしたことがあると思います。
TVゲームをやりながら「そろそろ宿題やろうかな…」と思っていると、母親からの「ゲームばっかり見てないで、宿題やりなさい!」という声。
その瞬間、「ぜぇ~ったいやるもんか!!」となり、そのまま見たくもないTVを意地でも見続けてしまった…。

人に言われるとモチベーションは一気にダウンしますが、自ら行動すればモチベーションは上がり、「ポジティブ感情」が生まれます。

さらに大切なのは、意図的行動は、感情と行動のポジティブスパイラルにつながるということです。
「今朝は30分早く家を出てオフィス近くのカフェでポジティブ心理学の本を読もう」と意図して行動を起こせば、まず「決めたことを実行した」という満足感(一種の「ポジティブ感情」)が得られます。
本を読めば、知識が増えるという具体的な成果が出ます。
そうすれば、行動すれば成果が出る、やれば出来る、という自己効力感が向上します。
やれば出来るという自信が、また新たな行動を起こそうという行動力のエネルギー源になります。

前回お伝えしたように、ポジティブ心理学における「幸せ」は、受け身的、刹那的な快楽とは異なります。もっと能動的に、充実感を得られる行動を続けることが大切なのです。
意図的行動とは、まさに本質的な 「幸せ」を決定づける「基本のき」と言えましょう。

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2. 「幸せの方程式」を仕事に応用する方法

それでは、遺伝子・環境・意図的行動から成る「幸せの方程式」を、仕事の場でどう応用すればいいのでしょうか? 言い換えれば、より幸せに、充実した仕事をするために、「幸せの方程式」の3因子はどんなヒントを与えてくれるのでしょうか?

2-1. 遺伝子--イライラさせられたら「遺伝子のせい」にしてしまおう

職場の幸せ度を下げる大きな要因のひとつは、人間関係です。

遊びの場なら気の合った人とだけ付き合えばよいけれど、職場では、自分の好き嫌いに関わらず、色々な人と接しなければならず、それが最大のストレスになるとも言われています。
そんなとき、「幸せの半分は遺伝子が決める」という定理を応用して、あの人のあんな性格の半分は「遺伝子のせい」と割り切ってみるのはいかがでしょうか。

「不幸が服着て歩いてる」と思いたくなるような上司がいるかと思えば、いつでもどこでも何があってもメゲない能天気な部下もいるでしょう。
そういう人にいちいち目くじらをたててストレスを募らせる代わりに、「半分は遺伝子のせいなんだ」と考えるのです。

自分をイラッとさせるあの性格は、「その人」のせいではなく、くるくると美しい二重らせん構造のせい、と思うと、なんだか大目に見てあげようという気持ちになりませんか? 

「遺伝子」は、当の本人にさえどうにもならないのだから、ましてや他人には手も足も出ません。どうにもならないものはどうにもならないと、ユーモアのセンスで 笑い飛ばしてしまいましょう。

余談ですが、ユーモアは、ポジティブ感情を高めるための最大の武器です。

2-2. 環境--最終目的に近づくための「手段」にする

今の職場がハッピーではない場合、私たちはつい、担当業務を変えてもらいたいとか部署を異動するとか、いっそ転職、といった手段に訴えたくなるものです。
しかしながら、単に環境を変えるだけでは、継続的な幸せは手に入れられない、ということを肝に銘じましょう。

上述の通り、人間は新しい環境に思いのほか早く適応します。たとえ転職しても、業務やオフィスや一緒に働く仲間たちが新鮮に思えて、ワクワクできるのは最初のうちだけです。そこに「目新しい」という以上の「意味(Meaning)」を見出さない限り、新たな環境の中で自分が何を「達成(Achievement)」したいのかという意図を持たない限り、あるいは新しい仕事仲間と支え合い励まし合う「人間関係(Relationship)」を築かない限り、じきに慣れて、飽きてしまいます。

言い換えれば、環境変化はあくまで手段であり、目的ではない、ということです。

環境変化を自分の本当の幸せ度アップにつなげるためには、環境を変えたい理由、変えることの意味・目的を明確にして、それを達成するために意図的行動をとる、ということが肝要です。

2-3. 意図的行動--変化を起こすエネルギーにする

仕事の場において、上から与えられた目標よりも、自分で決めたゴールを目指して頑張ったほうが、実現したときの達成感がちがいます。働く人の幸せには、やはり「意図的行動」が鍵を握ります。

一方、組織の観点で見てみましょう。外部環境の変化の度合いもスピードもどんどん増加している現在、今いる場所から動かないでいる安心感よりも、変化しないリスクのほうが圧倒的に大きくなっています。能動的に行動し続けること、つまり「意図的行動」は、組織の維持発展のためにも不可欠、不可避なアクションです。

ただここで留意すべきことが2点あります。

1つめは、仕事の場における「意図的行動」とは、単に自分がやりたいことをやるのではなく、組織の目的に照らして自分がやるべきことを自らの意志として行う、ということです。

組織の一員として仕事をしている以上、あらゆる行動は組織の目的達成のためのものです。個人的に「やりたくないな」と思っても、立場上、役割上やらねばならない業務はあるはずです。そんなとき、母親にお尻を叩かれて嫌々宿題をやるように、「やらされ感」だけで動いても、幸せ度が上がるわけがありません。

なぜそれを自分がやらなくてはならないのか。そもそもその業務を行う意味は何か。「意味(Meaning)」を理解し、「やるべきことだ」ときちんと認識し、意図的に行動することが求められます。

業務の意味や目的がどうしても見いだせないときは、それが本当に必要な業務かどうか、関係者に相談する。まさに「意図的行動」を起こしましょう。

自ら動いてみると、必ず変化が生じます。直接問題解決に結びつかなくても、何らかの気づきがあります。次にとるべき行動が見えてきます。客観的に見て「今は動かない方がいい」と判断したら、「動かない」という行動をとればいいのです。

単に「動かない」ことと、「動かないという行動をとる」ことは、自分の意図、という意味で雲泥の差があります。意図して行動する(行動しない)ことにより、自分が状況をコントロールしている、という実感が増し、これが幸せにつながるのです。

もう1つは、私たちが「意図的行動」をとろうとする気持ちを妨げる「やらないほうがラク」「やってもムダ」といった悪魔のささやきに耳を貸さない、ということです。

人間誰しも、自分の意図に基づいて行動するほうが気持ちがいいはずなのに、社会に出ると、なぜか受け身になり、「指示待ち族」化してしまうことがあります。

これには色々な要因があるでしょう。私見を言わせていただくと、「外から与えられる正解に最短距離で到達する」という思い込みに縛られ過ぎているからではないでしょうか。

小学校の頃から、あらかじめ用意された「正解」に少しでも早くたどり着くことを教えられた私たちは、物事には絶対的な「正解」があると思いがちです。しかも、それをいち早く見つけた人が「勝ち」、というように、他人と比べて自分はどうか、という「他人軸」で自分を評価するくせがついています。

他人の目を気にして、失敗することを過度に恐れる。失敗して人に笑われるくらいなら、最初から何もしない方がいい。そうやって自分で自分の行動を制限してしまう人が少なくありません。

また、最近特に強調されている「生産性の向上」も、へたをすると、最短距離で正解を出すこと、出来るだけ時間をかけず効率的に物事を処理すること、費やすエネルギーを最小化すること、といった誤解を生みかねません。

このような「(外から与えられる)正解志向」「他人軸」「失敗アレルギー」「(誤った)効率重視」という思い込みのせいで、誰かが「正解」の在り処を教えてくれるのを待ち、失敗のリスクを負ってまで余計なことに手を出すという「愚行」はせず、必要最低限の工数だけかけて言われた業務をこなすほうが賢い、といった心理が働いているのではないでしょうか。
そうなると、意図的行動はおろか、「なぜそれを自分がやらなくてはならないのか。そもそもその業務を行う意味は何か」と問いかけること自体、エネルギーの無駄使いに思えてしまいます。

「意図的行動」は、「幸せの方程式」の3 項目のうち私たちが自らの手でコントロールできる、最も効果的な方法です。 

間違った思い込みに惑わされて、意図的行動を起こす勇気を失わないよう、気を付けてください。


3. 仕事の幸せ度を上げよう!「意図的行動」を身に付けるエクササイズ

「意図的行動」の意味をおわかりいただいたところで、それを習慣化するためのエクササイズをいくつかご紹介しましょう。

前回お伝えしたように、ポジティブ心理学では、幸せ度を高めるさまざまな「介入(Intervention)」の方法を開発しています。被験者を2つのグループに分けて、1つのグループには幸せ度に影響すると思われる介入を行い、もう1つのグループには行わない。その結果、どちらのグループの幸せ度が上がったかを観察する、というものです。
効果が証明されている介入方法を、仕事面での幸せ度を上げるエクササイズに仕立て直してみましたので、ぜひ試してみてください。

3-1.3つのよいこと」エクササイズ

自分にとって「よいこと」を認識することで、意図的に行動する意欲を高めます。 

<やり方>

① 毎日、もしくは週3回か1回、自分が決めた頻度で、その間にあった「よいこと」を3つリストアップします。「営業成績1位で表彰をされた」といった明確な達成から「隣の席の人にハワイ土産のチョコをもらった」といったささやかな喜びまで、なんでもOKです。

② それぞれの「よいこと」について、以下の項目を書き加えます。

  1. それがなぜ起きたのか?
  2. そこにどんな意味があるか?
  3. それが起きたのは、自分が/他人がどんな働きかけをしたからか?
  4. それをもっと得るためには、どうしたらよいか?
    各項目が似たような内容になることもありますが、細かいことは気にせず、4つの項目を埋めてください。

③ これを1カ月間続けてみます。

<例> 

「よいこと」…同僚のAさんが外ランチに誘ってくれた。やるべき仕事があったが、即座にOKして、色々話が出来た。

  1. 前日私がAさんに「最近あまり話す機会がないですね」と声をかけたから。実はAさんは私と話し合いたい課題を持っていた。
  2. 互いに目的を共有するチームメンバーであることを再確認できた。
  3. 私がAさんに声をかけたから。(おそらく)Aさんも同じことを思っていて、いい機会だと思ってくれたから。
  4. 最近接してないと思う人には、そう思ったらすぐ声をかける。また、声をかけられたら優先順位を冷静に判断してなるべく断らない。

<ヒント>

「今日は何もいいことがなかった」と思っても、無理やり3つ考えることで、ちょっとしたことを「よいこと」と認識する能力が高まります。
よいことがあったと思うと、幸せな気分になれます。
さらに、なぜそれが起きたかを考えると、大概そこには何らか自分がとった行動があります。たまたま「チョコをもらった」のも、あなたが「夏休みどうだった?」と声をかけたからかもしれません。きっかけとなった行動を意識して、次は意図的に行動すれば、またよいことが起きる、というポジティブスパイラルが回り始めます。

3-2.「深く味わう」エクササイズ

自分のやり方を振り返る機会になり、業務改善へのヒントにつながります。

<やり方>

① 日頃、機械的にこなしている日常業務(それは、あまり面白くない事務的な繰り返し作業かもしれません)を1つ選びます。
② 比較的時間に余裕のある日に、その業務をいつもよりゆっくり行い、それをやっているときの自分の振る舞い方(行動)・浮かんだ考え(思考)、感じたこと(感情)、に意識を向けます。
③ 業務が終ったら、そのときの行動・思考・感情について記述します。

<例>

  • 業務:1週間分の領収書の整理とEXCELへの金額入力
  • 行動: -領収書を曲がらないようきっちり貼っている。
             -電車賃は、スケジュール表と「駅探」で行き先と金額を確認して記入する。
  • 思考: -火曜日のディナーはBさんから突然連絡が来て急遽設定した。
             -今週は人とランチすることが多かった。ちょっと節約しないといけない。
             -領収書の整理や1円単位の管理をきっちりやって、我ながら几帳面だ。
  • 感情: Bさんから久しぶりに連絡をもらえて嬉しかった。
             -経費は多いが、それでも黒字なのはありがたい。
             -きちんと整理するのは気持ちがいい。私の得意技だ。

<ヒント>

単調なルーティンワークや、目をつぶっていても出来る慣れた業務でも、意識を集中させてやってみると、新しい発見があります。また、自分が得意なこと、不得意なことが改めて明らかになります。

 新しい発見を業務改善に結び付けたり、どうしても不得意なら手間の省き方を考えたりすることで、いつもの業務に付加価値をつけることができるでしょう。

3-3.「自分を主語にする」エクササイズ

このエクササイズは、心理学者が開発したものではなく、私が独自に開発しました。「介入」による効果測定はしていませんが、私自身や周りの人たちの観察を通じ、自分自身が物事をコントロールできているという感覚の向上に効果があると考えられます。。

みなさんもぜひやってみて、実際に幸せ度が上がったかどうか、フィードバックをいただけるとありがたいです。

<やり方>

① 仕事上、何か課題に直面したとき、特に自分以外の誰か(何か)がこうなってくれたらいいのに…と思ったとき、1つ深呼吸をします。
② その課題に関して、自分が何を求めているかを文章に書きます。
③ その文章を、「私」を主語にして、「何々をする」という文章に書き換えます。そして行動に移します。
④ 課題が大きすぎる、あるいは複雑すぎて簡単に「私」を主語にした行動をとれない場合は、とりあえず何もしないで諦めるなど、消極策でもいいので、「私」を主語にして文章に書きます。
⑤ 書いてみて本当に何も出来ないのか考え直し、出来ることがあれば文章に追加します。

<例>

②「Cさんに○○してもらいたい」→ ③「私はCさんに○○してもらうようメールを書く
②「**のデータが欲しい」→ ③「私は、**のデータを入手するためにググって論文を集める」 
④「私は、この課題を当面放置する」→ ⑤「私は、この課題を1ヶ月間放置して様子を見る
④「私は、とりあえず何もしない」→ ⑤「私は、とりあえず何もしないで、Dさんが動き出すのを待つ

<ヒント>

「私」を主語にしてみることで、あらゆることは自分の意図で選び、行っているという感覚を養っていきます。

難題を前に何も出来ないときでも、「私は何もしない」と書くことで、「しない」という行為そのものを意図的行動として前向きにとらえることができます。
全ては、自分の心の持ち様なのです。


4. まとめ

リュボミアスキー教授は、幸せを決定づける3つの因子について、以下のような「幸せの方程式」を表しました。

幸せ(Happiness)=遺伝子による設定値(セットポイント、Set point50%+環境(Circumstance10%+意図的行動(Volitional activity40

遺伝子の部分は、自分ではどうにもならないので気にしない、というのが一番です。職場でどうも性格の合わない人がいる場合は、「あの性格の半分は遺伝子のせい、彼(彼女)の責任ではない」と思うことで、大目に見てあげましょう。

環境変化は、ある程度幸せ度アップに役立ちますが、人間が本来持つ環境適応能力によってじきに慣れてしまい、長続きしません。従って、単に環境を変えるためだけの担当業務変更や異動、転職などは根本的な解決にならないことを肝に銘じましょう。より意味のある仕事に就く、達成したい目標を実現するという目的のための手段として、環境を変化させるのだ、ということを忘れないようにしましょう。

幸せで充実した仕事をするための最良の方法は、意図的に行動することです。

人に言われてやるより自ら取り組んだほうが、モチベーションはずっと上がります。さらに、意図的に行動して何らかの結果を出すことで自己効力感が増します。結果として、ポジティブ感情と能動的な行動のポジティブスパイラルが生まれ、充実感を得られ続けることになります。

最後に「意図的行動」を促す以下の3つのエクササイズを紹介しました。

①「3つのよいこと」エクササイズ
②「深く味わう」エクササイズ
③「自分を主語にする」エクササイズ

実際にやってみると、いろいろな発見がある面白いエクササイズですので、ぜひ試してみてください。

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  【参考図書】
・ソニア・リュボミアスキー(2012)「幸せがずっと続く12の行動習慣」日本実業出版社.
・クリストファー・ピーターソン(2012)「ポジティブ心理学入門:『よい生き方』を科学的に考える方法」春秋社.

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