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糖尿病予防に効く簡単運動3選!室内でもできる超ラクな方法をご紹介

実は、身近で恐ろしい病気である糖尿病。

これまで2回にわたって、中高年のビジネスパーソンに多い糖尿病の恐ろしさと、黄色信号が点灯している「予備軍」の増加、しかもその予備軍が20代など若い層にまで広がってきているということについて述べてきました。

繰り返しになりますが、予備軍を含めると「成人の4人に1人は糖尿病」の危険にさらされているのです。

しかも、一度糖尿病になってしまうと、ほぼ完治することはありません。悪化しないよう抑え込みながら、生涯付き合っていかなければならないのです。まさしく「with 糖尿病」の人生です。

そのためには、生活習慣を大きく変える必要があります。

糖尿病は、中高年が患いがちな、高血圧、脂質異常症などの、いわゆる「生活習慣病」のひとつとされます。

糖尿病になってからはインスリン注射など病気独自の治療はありますが、予防のための生活の改善や運動については、他の生活習慣病とほぼ同じです。

生活習慣病の有無にかかわらず、運動不足の解消が、デスクワークの多いビジネスパーソンの健康維持に必須であることは、あらためて言うまでもないことでしょう。

今回は、特に糖尿病を含む生活習慣病全般(以下、糖尿病も「生活習慣病」として表現します)の予防・改善に欠かせない運動のうち、比較的簡単にできる運動の仕方について説明します。


1. 運動は糖尿病(生活習慣病)予防の最高の薬

糖尿病に限らず、高血圧や脂質異常症、メタボリックシンドローム、動脈硬化など、生活習慣病すべてに効果的な「魔法の薬」があります。

その万能の「薬」とは、「運動」です。欧米でも、運動は「マジック・ピル」と呼ばれています。

1-1. 無理な運動は続かない

「運動なんて何を今さら」と思うかもしれません。しかし、もう何十年も前から、運動は「成人病(当時の生活習慣病の呼称)予防には欠かせない」と言われていました。

高度経済成長期ぐらいまでは、農業や大工、工場勤務など体力を使う仕事、いわゆる「ブルーカラー」が多くを占め、肉体的にもがっちりとした男女がたくさん存在しました。

しかし現代では、椅子にずっと座り続けているだけで仕事になる例が圧倒的に増えています。ゲームなど、モニターとにらめっこするような娯楽も増えました。エレベーターやエスカレーターもいたるところにあります。

このような日常に囲まれているため、ふと思い出してスマートフォンの歩数計を見たときに、休日の歩数が「1日数十歩」という表示にがく然としたことがあるのではないでしょうか。

運動というと、長距離のマラソンや激しい筋トレ、スイミングなどが思い浮かびます。東京マラソンをはじめとした「マラソンブーム」が盛り上がっていることもあり、天気の良い休日に、ビシッとスタイルを決めて近所を走っている人を頻繁に見かけるはずです。

でも、みんながすべて運動好きとは限りません。颯爽と走る姿を目にして、「とても自分には真似できない」と思う方も多いでしょう。

そういう方々に問いたいのは、そもそも「きつい運動をするほど効果的」と思い込んではいませんか、という点です。

とかく日本人には「根性論」がつきまといます。また、若い頃は運動が得意だったけれども、もうとてもそんなマネはできない、と考えたくもなります。

1-2. マラソンよりも効果的なウォーキング

人によっては、何かのきっかけで思い立ち、ジョギングを始めた経験があるかもしれません。しかしダイエットと同じで、人間、辛いことは長くは続けられないものです。

無理をして捻挫をしたり、激しい筋肉痛になったりして、「やっぱり運動はいいや」と「三日坊主」で終わっているのではないでしょうか。

しかしこれは、現在の自分に合っていない運動を選んでしまったからです。

激しい運動は体力づくりには必要なく、続けられもしません。屋外の運動で効果的なのは、有酸素運動を長く続けることです。

そこで効果的なのがウォーキングです。マラソンやジョギングも有酸素運動ではありますが、一体どれだけの方が長時間走り続けられるでしょうか?

その点、ウォーキングならバテにくく、長く歩くことが可能なうえ、身体に大きな負担をかけることもありません。

近年、英レスター大学などの研究によって、「血糖値の高い人は、ウォーキングで1日2000歩多く歩くだけで、心血管疾患のリスクを下げることができ、さらに2000歩増やせば、リスクはより低下する」ということがわかりました[1]

血糖値が高い人ほど運動をするとブドウ糖がすぐに消費されやすくなって血糖値が下がります。

また、一定量以上のウォーキングを続けているうちに、すい臓から分泌されるインスリン(血中のブドウ糖を調整)が効きやすい体質に変化しているそうです。

ウォーキングによって、血圧も、悪玉のLDLコレステロールも、中性脂肪も、すべて数値が下がります。

悪玉コレステロールが減少すれば、糖尿病も含む生活習慣病に起因する動脈硬化を予防でき、結果的に心血管疾患全般を予防できます。

1-3. 有酸素運動に必要な時間とタイミング

あらためて説明するまでもないですが、有酸素運動とは、「酸素を消費しながら運動すること」です。

効果的な有酸素運動とは、運動の強度ではなく運動の長さ、つまり酸素を大量に消費することです。100メートル走よりも、100メートルをウォーキングするほうが有効です。瞬発力よりも持久力と考えたほうがいいでしょう。

通説では、有酸素運動で脂肪を消費するのは15~20分以上からと言われています。諸説あることは確かですが、現在では有酸素運動による脂肪の消費は5分でも10分でも行われているとされています[2]

ただし、消費する時間が長いほどエネルギーとして筋肉などに取り込む量が増えていくため、ある程度時間をかけて運動したほうがよいということです。

厚生労働省は、健康づくりのため運動ガイドラインのひとつとして「週150分の有酸素運動」を推奨しています。[3]

1日20分のウォーキングを意識して行えば、それだけで週140分。ずっと座りきりでいないかぎり、それ以外でも日常生活の中で数分は歩いているはず。

すると、ガイドラインの150分は簡単にクリアできます。20分は、たとえば仕事の合間の休憩時間でもできますし、歩いて10分かかるところへの往復だけで、20分確保です。

歩くときはダラダラ歩きをするのではなく、「これは運動だ」と意識することで、同じ歩数でも効果は違ってきます。

背筋を伸ばして腕をしっかり振るなど、歩くフォームを考えればより効果的です。

歩くのに慣れたら、毎日の歩く距離を少しずつ伸ばしてもいいですし、平日はちょっと歩数が足りなくても、週末にウォーキングに出れば150分を満たすことはいくらでも可能です。

まずは、歩く。人間の基本的動作こそが生活習慣病の改善の入り口です。

ウォーキングなどの有酸素運動には、行うタイミングがあります。

食事前は糖質がエネルギーとして使われて減少しているため、脂質などが燃焼します。

やせることを目標としているならば、このタイミングでもいいでしょう。

しかし、糖尿病を改善したい、または予防したいという場合は、「血液中の糖を減らすこと」が重要となります。

そのためには、食事を摂った後に運動するほうが効果的です。

[1] 日本健康運動研究所「ウォーキングなどの運動は「魔法の薬」 座ったままの時間を減らすだけでも効果 室内運動もお勧め」,http://www.jhei.net/news/2020/000674.html,2020年7月22日,(閲覧日:2020年12月2日)
[2]「メタボ対策のウォーキングは20分継続が必要?」,https://business.nikkei.com/atcl/report/16/110700081/060900011/,2017年6月15日,(閲覧日:2020年12月2日)
[3] 厚生労働省「疾病の予防・改善と運動」,『eヘルスネット』,https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/exercise-summaries/s-05 (閲覧日:2020年12月2日)


2. 糖尿病(生活習慣病)予防のために、コロナ禍や猛暑でも可能な室内でできる運動を

2020年は、人類にとって一大変化をもたらす年となりました。原因は、新年早々から世界中に蔓延したコロナ禍です。

もう、祭りやフェス、各種大会や長期休暇の観光など、これまで当たり前に行われてきた「密」となる行動は簡単にできなくなりました。

ウォーキングやジョギングなども、人の少ないところでは可能ですが、大きなマラソン大会なども中止や限定開催となっています。できれば外に出たくない、という人も多いのではないでしょうか。

それならば、室内での体操やトレーニングがおすすめです。

2-1. 座ったままの時間を減らすことが重要

前述のレスター大学による別の研究において、「座ったままでいる時間が長いほど、血糖値の上昇や中性脂肪、コレステロール、さらにはメタボリックシンドロームなど、糖尿病およびその他の生活習慣病を引き起こす原因となる数値が高い」ことが確認されています[4]

年齢別の比較においても、「年齢に関係なく座っている人のほうが、心血管代謝(生活習慣病に関連する代謝)の数値が悪くなっているという結果」が出ています[5]

極端な話をすれば、長く座りっぱなしの30代より、座る時間が短い70代のほうが心血管代謝の数値が良いということもあり得るわけです。

レスター大学の研究では、「座ったままの時間を減らして立ち上がるだけで、わずかでも効果はあり、さらに軽い運動をするだけで食後血糖値の上昇が抑制され、糖尿病予防になる」と発表しています。

また同研究は、「30分に1回でも、小刻みに立ち上がる」ことを推奨しています。

2-2. わずかなスペースがあればできるスクワット

いろいろな室内運動がありますが、効果的なのはスクワットです。

スクワットとは、足を肩幅程度に開いて膝を曲げ、一旦静止してから元の状態に戻る屈伸運動です。身の回り、せいぜい1メートル四方あれば十分に可能なトレーニングです。

人体の筋肉の7割は下半身にあると言われます。その筋肉(特に太ももは一番太い筋肉)を鍛えることで、筋肉に糖や脂肪を取り込み、エネルギーとして消費するわけです。

スピードや勢いでスクワットをしても効果は限定的です。ゆっくり腰を落とし、ゆっくり戻す。そのときに膝を顔よりも前に出さず、お尻を後ろに突き出すようにします。

はじめはかなりきついと思います。これを5~6回を1セットとして、1日3セット行うのが理想的。無理せずできる範囲で行ってみてください。

個人的には、元格闘家で肉体改造の専門家でもある船木誠勝氏がYou Tubeにアップしている動画は、呼吸法とセットでやり方を解説しているので、動作の参考になり、おすすめです。

参考)
「船木誠勝流 スクワットの方法を解説」,『You Tube』,https://www.youtube.com/watch?v=hPQvytBfCSQ (閲覧日:2020年10月9日)

2-3. 女性でも簡単で効果的な運動、それは「かかと落とし」

もっと手軽にできる運動は「かかと落とし」です。「かかと落とし」と聞いて、K-1のヒーロー故アンディ・フグ選手の必殺技を思い出す人も多いかもしれませんが、残念ながらそれとはまったく違います。

まず背筋を伸ばし、足を肩幅程度に広げます。多少狭くてもかまいません。そのまま、つま先立ちして3秒間その状態を保ち、両足のかかとをストンと落とします。

要はつま先立ちして、元に戻すだけ。これを30回1セット行います。

この動作によって、かかとの骨に軽い刺激が与えられます。すると、骨から「骨ホルモン」とも呼ばれるオステオカルシンという物質が分泌されます。

このホルモンにはインスリンの分泌を増加させ、血糖値を下げる効果があります。

生活習慣病からはちょっと離れますが、女性は、30代後半から女性ホルモンが減少し始め、それに伴って骨が弱ってきます。骨粗鬆症が女性に多い(比率は男性の約3倍)のは、ホルモンバランスが悪くなるからです。

しかし、この骨ホルモンには、骨を強くする効果があるので、骨粗鬆症の予防にもなります。
「かかと落とし」なら、たとえば電車でつり革につかまったまま、立ち仕事の間や休憩時間、家でテレビなどを見ながらでもできるはずです。

もし体勢が崩れるようなら、椅子の背に手をかけるなどしてバランスを取り、無理のない状態で行っても効果は同じです。ほんの1~2分の簡単な運動が、実は意外な効果を発揮するのです。

[4] 日本生活習慣病予防協会「1日2時間は立って仕事をしよう 座位時間が長いと健康リスクに」,2015年7月17日,http://www.seikatsusyukanbyo.com/calendar/2015/002974.php (閲覧日:2020年12月2日)
[5] 日本肥満症予防協会,「ウォーキングなどの運動は「魔法の薬」 座ったままの時間を減らすだけでも効果 室内運動もお勧め」,http://himan.jp/news/2020/000420.html (閲覧日:2020年12月16日)

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3. まとめ

もともと日本人は、欧米人と比較して、食事で得たエネルギーを脂肪としてため込みやすく、太りやすい体質です。

また日本人はインスリンの分泌量も少ないので、糖尿病になりやすい傾向があります。

長時間勤務が増え、食生活も不規則になりがちであるだけではなく、休日は寝て過ごすなど、動かない生活が多くなりがちです。また今回のコロナ禍で、ますます外出する機会が減っているのではないでしょうか。

つまり今、現代日本人の身の回りには、糖尿病を含む生活習慣病になりやすい状況が整い過ぎているわけです。

こうした状況下で、健康に人生を送っていくためには、早いうちからの準備が必要です。

そのポイントは生活習慣の改善と運動です。

特に、敬遠されがちな運動に取り組むことが大切なのです。きつい運動は必要ありません。ジョギングよりウォーキング、スクワットもゆっくりとできる範囲で実施するだけで効果が違います。

可能な距離ならなるべく歩いて行く。エレベーターに頼らず階段を上り下りする。つり革などにつかまりながら通勤時間に「かかと落とし」をしてみるなど、日常生活の中でちょっとした運動を行う「隙間時間」は多々あります。

運動については、こうした工夫と時間の有効活用も大切です。

糖尿病と診断されて、「もう一生治らない」と落ち込む人がいるそうです。

しかし、食生活の改善や日常のちょっとした運動で、血糖値コントロールの方法を学べば、怖い合併症になる可能性が低くなり、普通の人と同じように暮らせます。むしろ「早めに見つかってよかった」と考えるべきです。

糖尿病の人も「予備軍」の人も、日常生活の仕方に気をつけるだけで、健康な人と変わらず元気に生きていけるのです。

コロナ禍によって暮らしは激変してしまいましたが、ぜひとも健康維持に努め、楽しく生活していきましょう。

参考)
総監修・板倉弘重『血糖値をぐんぐん下げるコツがわかる本』,永岡書店,2018.
マルコ著 藤田紘一郎監修『うちの夫が糖尿病になっちゃった!』, 日本実業出版社,2020.
「メタボ対策のウォーキングは20分継続が必要?」,『日経ビジネス』,2017年6月15日,https://business.nikkei.com/atcl/report/16/110700081/060900011/ (閲覧日:2020年12月2日)
船木誠勝、安田拡了『パーフェクト! ハイブリッド肉体改造法Ⅱ』, ベースボールマガジン社,1999.
日本生活習慣病予防協会「ウォーキングなどの運動は「魔法の薬」 座ったままの時間を減らすだけでも効果 室内運動もお勧め」,2020年8月12日,http://www.seikatsusyukanbyo.com/calendar/2020/010247.php (閲覧日:2020年10月9日)
日本生活習慣病予防協会「糖尿病有病者と糖尿病予備群は、いずれも約1,000万人と推計 平成28年(2016) 国民健康・栄養調査」,2017年9月22日,http://www.seikatsusyukanbyo.com/statistics/2017/009436.php (閲覧日:2020年10月9日)
全日本民医連「特集2 糖尿病と言われたら 自然治癒しない病、症状が軽いうちに治療を」,2011年11月1日,https://www.min-iren.gr.jp/?p=7006 (閲覧日:2020年10月9日)
国立研究開発法人 国立健康・栄養研究所「運動ガイドライン研究室」,https://www.nibiohn.go.jp/eiken/programs/kenko_undo.html (閲覧日:2020年10月8日)
糖尿病ネットワーク「糖尿病と骨の健康 骨が分泌する「若返りホルモン」は運動で増やせる」,https://dm-net.co.jp/calendar/2019/028868.php (閲覧日:2020年10月8日)
「【鎌田實医師も実践】かかと落としのやり方と効果 血圧を下げ病気を防ぐ健康体操」,『 特選街Web』,https://tokusengai.com/_ct/17229186 (閲覧日:2020年10月8日)
厚生労働省「肥満遺伝子」,『e-ヘルスネット』,https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/metabolic/ym-056.html  (閲覧日:2020年10月8日)
「船木誠勝流 スクワットの方法を解説」,『You Tube』,https://www.youtube.com/watch?v=hPQvytBfCSQ (閲覧日:2020年10月9日)
日本肥満症予防協会,「ウォーキングなどの運動は「魔法の薬」 座ったままの時間を減らすだけでも効果 室内運動もお勧め」,http://himan.jp/news/2020/000420.html (閲覧日:2020年12月16日)

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