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セクハラ対策 強化ポイントと事例に学ぶ最前線【チェックシート付】

「うちは大丈夫です」

セクハラ対策に関わっている担当者で、こう断言できる方はいないと思います。

セクハラは大変センシティブな問題です。それゆえに、そもそも顕在化しにくい性質を持っています。

独立行政法人 労働政策研究・研修機構の調査によると、セクハラを経験したことのある労働者は28.7%で、およそ3.5人に1人という計算になります。また、セクハラ被害を経験した労働者の6割あまりが、「がまんした、特に何もしなかった」と回答しています[1]

発生件数が少なくても、見えていないだけというリスクがあるわけです。顕在化しないセクハラ事案に対し、会社はいったいどうやって対策を打てばよいのでしょうか?

その答えは、「いかに未然防止を図るか」にあります。

以下は厚労省が公表している企業向けのセクハラ自主点検項目です。あなたの会社ではどの程度実施しているでしょう。

・社内アンケートなどによるセクハラの実態把握
・会社としてセクハラを否定する方針の明確化、及び従業員への周知・教育
・相談体制(相談窓口やカウンセラーなど)の整備
・セクハラ相談があった場合の迅速な対応や被害者のケア
・相談者・行為者のプライバシーの保護や、不利益な取り扱いの禁止

 

参考)厚生労働省「職場のセクシャルハラスメント対策はあなたの義務です!Ⅶ 自主点検項目」,https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/00.pdf (閲覧日:2021年10月22日)

実態把握や相談窓口の設置は、未然防止ではなく「発生後」の対処じゃないか、と思われるかもしれません。しかし、会社がこうした仕組みや制度を整備することで、「会社は断固としてセクハラを受け入れない姿勢である」ということを、効果的に従業員へ伝えることができます。

また、2020年6月から、男女雇用機会均等法の改正に伴い、セクハラ対策の強化を義務付ける内容が盛り込まれました。

本稿では、法改正後のセクハラ対策の強化ポイントに加え、有名企業の例を紹介しながら、セクハラの予防・発生後の措置・再発防止の方法を解説します。また、ダウンロード資料として従業員向けの「セクハラ度セルフチェックシート」をご用意しています。

ぜひ、自社のセクハラ対策にご活用ください。

[1] 独立行政法人 労働政策研究・研修機構「「妊娠等を理由とする不利益取扱い及びセクシュアルハラスメントに関する実態調査」結果(概要)」,平成28年3月1日,https://www.jil.go.jp/press/documents/20160301.pdf (閲覧日:2021年11月5日)


1. 今、企業が行うべき最新セクハラ対策とは?

2019年度に都道府県労働局に寄せられたセクハラの相談件数は7000件あまり[2]と、依然としてハラスメント分野での大きな課題となっています。

2020年6月男女雇用機会均等法が改正されたことにより、セクハラに対する防止指針が一層強化されました。自社の対策を刷新するためにも、新しい防止指針は具体的にどのような点が強化され、気を付けなくてはいけないのか確認します。

1-1. 2020年の法改正で強化された4点

2020年6月1日から男女雇用機会均等法のハラスメント防止措置が改正され、施行されました。そのうち、セクハラに関する改正点として下記4点が追加されました。

・セクハラに関する国、事業主・労働者の責務の明確化
・事業主に相談した労働者への不利益取り扱いの禁止
・自社の労働者が他社の労働者にセクハラを行った場合の協力
・調停への職場の同僚の出頭・聴取対象者の拡大

・セクハラに関する国、事業主・労働者の責務の明確化
セクハラ等は行ってはならないことなどに対する関心と理解を深めることや、他の労働者に対する言動に注意を払うこと等を関係者の責務とする。

・事業主に相談した労働者への不利益取り扱いの禁止
労働者が相談等を行うことに躊躇することがないよう、労働者がセクハラ等に関して事業主に相談したこと等を理由とした不利益取り扱いを禁止する。

・自社の労働者が他社の労働者にセクハラを行った場合の協力
事業主に対し、他社から雇用管理上の措置の実施(事実確認等)に関して必要な協力を求められた場合に、これに応じる努力義務を設ける。また、自社の労働者が他社の労働者等からセクハラを受けた場合も、相談に応じる等の措置義務の対象となることを指針で明確化する。

・調停への職場の同僚の出頭・聴取対象者の拡大
セクハラ等の調停制度について、紛争調整委員会が求めた場合には、関係当事者の同意の有無に関わらず、職場の同僚等も参考人として出頭の求めや意見聴取が行えるよう、対象者を拡大する。

※ここでの「労働者」とは、正規雇用労働者のみならず、パートタイム労働者、契約労働者などいわゆる非正規雇用労働者を含む事業主が雇用する全ての労働者のことを指す。

参考)
「職場におけるハラスメント関係指針」,『厚生労働省』,
https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/pdf/harassment_sisin_baltusui.pdf(閲覧日:2021年10月13日)

これまではセクハラの防止義務は企業内に留まっていましたが、取引先など自社以外の関係者セクハラ対策の責務を負う規定が盛り込まれました。

自社の従業員が他社の従業員からセクハラを受けた場合は、他社に対して事実確認などの協力も要請できるようになりました。またその要請に応じるよう努力義務が課せられました。つまり、企業間をまたぐセクハラ問題にも対応できるようになったということです。

1-2. セクハラ防止措置のポイント

以前からセクハラ対策は企業の義務となっていましたが、前述の法改正を受けて、企業では具体的にどのようなセクハラ対策を行えば良いのでしょうか。

企業のセクハラ対策は法律上の義務です。対策ができておらず法的な責任が問われることを避けるために、まずはセクハラを未然に防ぐために企業側ができることを、2つ紹介します。

・事業主の方針の明確化およびその周知・啓発
・相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備

・事業主の方針の明確化およびその周知・啓発

まずはセクハラとは何かを明示し、そしてセクハラはあってはならないという企業の方針を明確に打ち出しましょう。その上で、管理・監督者を含めた従業員に周知・啓発を行います。また、セクハラの行為者には、厳しく対処することを就業規則などの文書に規定しましょう。

POINT
セクハラには異性だけでなく、同性に対するものも含まれます。性的指向[3](被害者の恋愛・性愛がいずれの性別を対象とするか)や性自認(性別に関する自己意識)に関わらず、性的な言動であればセクハラに該当します。

・相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備

相談窓口を設けるだけでなく、窓口の担当者が、内容や状況に適切に対応できることが肝心です。現在生じているもののほか、発生のおそれがあるものや、セクハラに該当するか判断が難しい場合などにも、幅広く対応する必要があります。

POINT
担当者にはあらかじめ研修を受けてもらい、社内で作成した留意点などを記載したマニュアルに基づき対応してもらいましょう。また、窓口に相談することをためらう従業員も少なくないと考えられます。従業員が周囲に気軽に相談できるよう、担当者に限らず、管理職や総務部員なども、相談を受けた場合の対応について研修などを通して学んでもらうのも良いでしょう。

1-3. セクハラ発生後の対応のポイント

十分な対策を行ってもセクハラが発生してしまった場合は、以下のような対処によって再発防止を徹底していきましょう。

・職場におけるハラスメントへの事後の迅速かつ適切な対応
・被害者に対する適正な措置の実施
・行為者に対する適正な措置の実施
・再発防止措置の実施
・当事者のプライバシー保護のための措置と周知
・相談、協力などを理由に不利益な取り扱いをされない旨の定めと周知・啓発

・職場におけるハラスメントへの事後の迅速かつ適切な対応

まず事実関係を迅速かつ正確に確認しましょう。取引先企業などが関わっている場合には、事実関係の確認の協力を求めます。性的な言動があったかどうかが、事実関係の確認では重要になります。

事実確認ができた場合には、速やかに被害者に対する配慮の措置を適正に行い、行為者に対する措置を適正に行いましょう。

事実確認が完了していなくても、被害の拡大を防ぐため、当事者の状況や事案の性質に応じて、被害者の立場を考慮して臨機応変に対応しましょう。

POINT
事案が生じてから誰がどのように対応するか検討するのでは、対応を遅らせることになります。迅速かつ適切に対応するために、相談窓口と担当部署との連携などを事前に定めておきましょう。

・被害者に対する適正な配慮の措置の実施

被害者と行為者の間の関係改善に向けて、援助、配置転換、行為者の謝罪、被害者の労働条件上の不利益の回復、被害者のメンタルヘルス不調への相談対応などの包括的な措置を取りましょう。

POINT
職場でのセクハラによって被害者が休職した場合、本人が希望すれば、状態に応じて現職または現職相当職へ復帰できるよう積極的な支援を行いましょう。

・行為者に対する適正な措置の実施
職場でのセクハラが生じた事実が確認できた場合は、速やかに行為者に対して必要な懲戒や措置を行いましょう。

POINT
セクハラの事実が確認できても、問題を軽く考えてしまい、当事者に解決を委ねることはやめましょう。問題をこじらせ、解決を困難にする可能性があります。適正な解決のために、公正なルールに基づき処分することが重要です。

相談者・行為者などのプライバシーを保護するために必要な措置を講じ、周知しましょう。このとき、事実関係の確認に協力したことなどを理由に不利益な取り扱いをしないことを周知・啓発することが大切です。

・再発防止措置の実施
改めて職場でセクハラに関する方針を周知・啓発するなど、再発防止に向けて取り組みましょう。必要に応じて、取引先企業などに、再発防止に向けた措置に協力を求めることも含まれます。

POINT
社内報、パンフレット、社内ホームページなど、広報または啓発のための資料などに改めて掲載し、配布しましょう。
また、従業員に対して職場におけるセクハラに関する意識を啓発するためのeラーニングなどの研修、講習を改めて実施しましょう。

・当事者のプライバシー保護のための措置と周知
セクハラに関する当事者の情報は、プライバシーに属するものです。対応に当たってはプライバシーを保護するために必要な措置を講じ、その旨を従業員に対して周知しましょう。

POINT
プライバシー保護のために必要な事項をあらかじめマニュアルに定め、相談窓口の担当者はマニュアルに沿って対応しましょう。

・相談、協力などを理由に不利益な取り扱いをされない旨の定めと周知・啓発
従業員が事業主に対して相談したことや事実関係の確認など、雇用管理上講ずべき措置に協力したことなどを理由として、解雇やその他の不利益な取り扱いをされないと定め、従業員に周知・啓発しましょう。

POINT
従業員がセクハラ相談を行いやすくするため、相談などを理由とする不利益な取り扱いをされないことを明確にしましょう。また、再発防止措置と同様、ポスター掲示やメール配信、研修を通して周知・啓発しておきましょう。

今回の法改正で、労働者がセクハラ相談を行ったこと、相談対応に協力して事実を述べたことを理由とする解雇やその他の不利益な取り扱い法律上も禁止されました。

これには、派遣労働者も対象に含まれます。派遣元だけでなく派遣先も、派遣労働者が相談を行ったことを理由に、仕事の提供を拒むなど不利益な取り扱いを行ってはいけません。

以上が、セクハラが発生してしまった後の対応のポイントとなります。以下にセクハラ相談への対応の流れの例を示しましたので、ぜひ参考にしてください。

相談・苦情への対応への流れの例

 

まずは被害者が苦情相談窓口に相談します。次に、担当者が関係者にヒアリングを行い、事実関係の有無を確認します。事実関係がある場合は、その後ハラスメント対策委員会による協議によって、懲戒の有無などの判定が行われます。


※クリックで画像を拡大

 

引用元)「職場におけるセクシュアルハラスメント対策や妊娠・出産・育児休業・介護休業等に関するハラスメント対策は事業主の義務です!!」,『厚生労働省』https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000378144.pdf (閲覧日:2021年10月10日)

[2] 厚生労働省「令和元年度 都道府県労働局雇用環境・均等部(室)での法施行状況 2 男女雇用機会均等法の施行状況」, https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000645828.pdf (閲覧日:2021年10月19日)
[3] 法務省「性の多様性について考える」,https://www.moj.go.jp/JINKEN/jinken04_00126.html(閲覧日:2021年10月30日)


2. セクハラ対策最前線!企業の対策事例を紹介

ここまでセクハラを防止する方法と、セクハラ事案発生後の対応をご紹介しました。ここでは、実際に企業がどのようにセクハラ対策に取り組んでいるのか見てみましょう。

全体として、セクハラだけに対する対策を行うのではなく、ハラスメント全体の対策を推し進める傾向が見られます。今回紹介する事例の1~3も、同様の例です。

特に就業規則などに最新の法改正の内容を反映した対策を取り入れている企業のセクハラ対策例(ハラスメント対策例)を紹介します。自社の対策との比較や参考にしてみてください。

2-1. 事例1:味の素株式会社

大手食品メーカーの味の素では、「ホットライン」内部通報制度として設けていて、グループ会社の従業員を含め、幅広く通報や相談を受け付けています。

通報や相談を行った人のプライバシーを遵守し、通報などを行ったことにより不利益を被ることがないよう社内規程で定めるとともに、各種研修やイントラネット、ポスターにおいても周知を図っています。

ハラスメント案件は、通報者は匿名にて企業行動委員会で共有されるとともに、経営会議および取締役会にも報告されます。

また、ハラスメントの相談窓口として社内に担当者を配置するとともに、社外にも専用の窓口を設置しています。

参考)「コンプライアンス体制」,『味の素グループ サステナビリティレポート 2015』,
https://www.ajinomoto.co.jp/company/jp/activity/csr/pdf/2015/047-050.pdf(閲覧日:2021年10月13日)

2-2. 事例2:キヤノン株式会社

精密機器大手のキヤノン株式会社は、「ハラスメントを許さない」という考えのもと、経営幹部をはじめキヤノンで働くすべての従業員にハラスメント防止を周知しています。

相談窓口を設け、相談担当者連絡会での情報共有を行っています。相談者・協力者が不利益を受けることがないよう、プライバシーの保護などを徹底しています。

また、セクハラとパワハラの禁止に加え、マタハラなどの禁止を明記した「就業規則」「ハラスメント防止規則」を制定。同じ規定を国内グループ会社にも周知し、多くのグループ会社で同様の規定が設けられています。

ハラスメント防止対策は、各事業所、国内グループ会社の担当者を対象に定期的に連絡会を開催し、相談窓口の運用状況について把握・共有するほか、マニュアルの確認対応方法の共有を行っています。

このほか、ハラスメント防止に向けた従業員教育も行っています。研修やポスター掲示など用いて従業員の意識啓発や、経営幹部や管理職および管理職候補者を対象としたハラスメント研修を開催しています。

その中には、ハラスメントの実例とその報告を受けた際の対応について取り上げたものもあります。また、2020年6月の法改正を受けて、eラーニング教材を作成し、国内のグループ会社も含め従業員を対象に教育を実施しています。

参考)「人権と労働 人権の尊重」,『キヤノン株式会社』,https://global.canon/ja/csr/people-and-society/labor/human-rights.html(閲覧日:2021年10月13日)

2-3. 事例3:ANAホールディングス

グループ内およびグループ外(弁護士事務所)に通報窓口(ANAアラート)を設置し、情報の把握および課題の解決を行っています。

この通報窓口は、派遣労働者などを含むANAグループの業務を担っている全役職員、退職者に加えて取引先の役職員も利用可能で、相談者およびその関係者のプライバシーが保護され、相談または事実関係の確認に協力したことを理由に不利益な取り扱いが行われないことが約束されています。

これにより、社内のリスク情報を可及的速やかに把握し、自浄作用を発揮することができるとしています。

また、「ハラスメント防止に関する規則」を制定しています。新任管理職研修など各種研修において、職場のハラスメント防止に向けた教育や啓発も実施しています。

加えて、全グループ役職員を対象としたeラーニングを通したハラスメント防止教育を実施し、役職員一人一人がハラスメントの正しい理解を深め、グループ全体でハラスメントを許さない、より働きやすい職場環境になるようにしています。

参考)「コンプライアンス」,『ANAホールディングス』, https://www.ana.co.jp/group/csr/basic_approach/compliance/(閲覧日:2021年10月13日)

2-4. 事例4:金融庁

民間企業ではありませんが、外部の方のための通報窓口の設置について参考になるため、金融庁の例も紹介します。

金融庁では、さまざまなセクハラ防止対策を実施する以外に、金融庁以外の方に対する金融庁職員によるセクハラがあった場合の通報窓口を設定しています。

通報にあたっては、関係者のプライバシーの尊重や、知り得た情報を漏らさないことが約束されています。

また、ウェブサイトでは、通報の対象となるのは「他の者を不快にさせる職場における性的な言動」であると明記しており、「職場」が何を指すのかも具体的に示すことで、被害者が判断に迷わずに通報できるようにしています。

金融庁「職員によるセクシャル・ハラスメント事案の外部通報窓口について」,https://www.fsa.go.jp/receipt/sekuhara-tsuhou.html(閲覧日:2021年11月9日)

いずれの事例も、1-3.でご紹介したセクハラ対応のポイントをしっかりとクリアしています。やはり、社を挙げてセクハラ対策の体制整備を行うことが重要と言えるでしょう。

セクハラ対策の最新の傾向としては、ダイバーシティ&インクルージョン教育の中に、性に関する教育を入れ込むという方法もあります。「セクハラ対策」として真っ向から制度の整備や教育を行うだけでなく、従業員の意識全体をアップデートすることも対策の一つになり得ます。

新しい対策の方法として、ぜひ、参考にしてみてください。


3. セクハラ対策教育プログラムの紹介

社内のセクハラをなくすために、また、自社の従業員が社外でセクハラ行為者にならないために、日頃からセクハラ防止の意識を持つことや対応を学んでおくことは、セクハラの発生を防ぐことにつながります。

ここではセクハラ対策に有効教育施策をご紹介します。

3-1. セルフチェック

日頃から意識しているつもりでも、気付かずに従業員がセクハラ行為者になってしまっていることがあるかもしれません。反対に、隠れたセクハラの被害者が存在するかもしれません。

まずは社内アンケート等によって、社内のセクハラの実態を把握する必要があります。その結果を踏まえて、教育施策を検討するとよいでしょう。

本稿では、従業員のセクハラへの認識をチェックできる「セクハラ度チェックシート」をご用意しています。貴社のセクハラ対策に是非お役立てください。

※画像をクリックするとエクセルファイルをダウンロードできます。

3-2. eラーニングの活用

ここまでで、セクハラ対策で重要なことは2つあると紹介しました。1つ目は、企業が「セクハラを行ってはいけない」ということを明言すること、2つ目は、管理職だけでなく全従業員に対して日頃から周知・啓発することです。

そのためには、全従業員がセクハラとは何かを学び、どのような言動に注意すべきなのか認識することが必要です。また、セクハラ事案の発生後には、担当者は社内規定やマニュアルを参考に速やかに対応しなくてはいけません。

企業の取り組み例でもあったように、従業員全員が等しくセクハラ対策について学ぶにはeラーニングが効果的です。

eラーニング教材では、セクハラとは何かという基本的な言葉の定義から、セクハラ事例のケーススタディまで、網羅的に学ぶことができます。それぞれが都合の良い時間・場所で取り組めるため、従業員側も教育担当者も負担が少なく済みます。

また、管理者側が一人一人の学習の進捗状況を把握できるため、従業員全員に正しいセクハラ対策の理解を促進させることができます。
ここまでアンケートやeラーニング教育について紹介してきましたが、LMS(Learning Management System:学習管理システム)を使用すれば、両方を手間なく簡単に実施することができます。

例えば当社のLMS「CAREERSHIP®」では、eラーニング機能はもちろんのこと、アンケート・レポート機能があるため、回答結果の自動集計や、提出されたファイルの一括ダウンロードなどをすることができます。

効率的で効果的なセクハラ対策教育を実施するために、LMSの導入も検討してみるとよいかもしれません。

3-3. セクハラ防止研修等の実施

セクハラ対策を学ぶにあたり、専門家を招いたり、外部講師を招いて集合研修を行うのもよいでしょう。

その場合、実際の事例を取り上げて従業員同士でディスカッションを行う研修がお勧めです。参加型の形式にすると、自分の意見を述べたり、他の従業員の意見も聞くことができ、セクハラへの理解を深めることができます。

専門家を招くことが難しい場合でも、厚生労働省が提供しているダウンロード資料を用いれば、比較的手間をかけずに社内で周知・啓発をしたり、自社主催の研修を行うことが可能です。ぜひ、参考にしてみてください。

厚生労働省が提供しているセクハラ対策資料の例

 

・「職場におけるハラスメントの防止のために」
(男女雇用機会均等法の改正の概要、パンフレットなどの紹介)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/seisaku06/index.html

 

・「悩んでいませんか? 職場でのセクシュアルハラスメント」
(セクハラに悩む労働者向けのパンフレット)
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000333507.pdf

 

・社内研修資料
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000474783.pdf

 

・「社内でハラスメント発生! 人事担当の方」ハラスメント関係資料ダウンロード」
(社内アンケートや相談受付表、行為者聞き取り用のシートなど)
https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/jinji/download/

セクハラの発生を防ぐための知識をeラーニングで社員教育

eラーニング教材:セクシュアルハラスメント事例集

裁判例をベースとした事例でセクハラへの理解を深める

誰もが尊重され、能力を発揮できる職場を実現するために、企業は適切なセクハラ防止対策をとる必要があります。
本教材では、裁判例をベースとしたセクハラ事例を学ぶことで、受講者がセクハラの加害者、あるいは被害者になることを防止します。

本教材をeラーニングとして配信することで、効率的に社員教育をすることが可能です。


4. まとめ

2019年度、都道府県労働局に寄せられたセクハラの相談件数は7000件あまりと、依然としてハラスメント分野での大きな課題となっています。

2020年6月1日から男女雇用機会均等法が改正され、施行されました。そのうち、セクハラに関する改正点として下記4点が追加されました。

1.セクハラに関する国、事業主・労働者の責務の明確化
2.事業主に相談した労働者への不利益取り扱いの禁止
3.自社の労働者が他社の労働者にセクハラを行った場合の協力
4.調停への職場の同僚の出頭・聴取対象者の拡大

これまでセクハラの防止義務は企業内に留まっていましたが、取引先など自社以外の関係者セクハラ対策の責務を負う規定が盛り込まれ、企業間をまたぐセクハラ問題にも対応できるようになりました。

企業におけるセクハラ防止措置のポイントには、以下のようなことがあります。

・事業主の方針の明確化およびその周知・啓発
・相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備

企業におけるセクハラ発生後の対応のポイントには、以下のようなことがあります。

・職場におけるハラスメントへの事後の迅速かつ適切な対応
・被害者に対する適正な配慮の措置の実施
・行為者に対する適正な措置の実施
・再発防止措置の実施
・当事者のプライバシー保護のための措置と周知
・相談、協力などを理由に不利益な取り扱いをされない旨の定めと周知・啓発

そして、セクハラ対策の事例を4つ紹介しました。いずれも、セクハラ対策のポイントを押さえて、会社全体で取り組んでいることがわかります。

セクハラをなくすためには、日頃からセクハラ防止の意識を持つことや対応を学んでおくことが大切です。セクハラ対策教育には、以下のようなものが挙げられます。

・セルフチェック
・eラーニングの活用
・セクハラ防止研修の実施

まずは、アンケートなどを用いて従業員にセルフチェックをしてもらい、社内のセクハラの実態を把握しましょう。

また、企業の取り組み例でもあったように、従業員全員が等しくセクハラ対策について学ぶにはeラーニング教材が効果的です。

eラーニング教材は、セクハラについて網羅的に学ぶことができ、従業員全員に正しいセクハラ対策の理解を促進させることができます。

この他、集合研修を行うのもよいでしょう。自社内で研修等を行うのであれば、厚生労働省によるセクハラ対策用のマニュアルやパンフレットを活用することもできます。

法改正により、社内だけでなく、自社の労働者が関わった社外でのセクハラ事案にも対策が求められるようになり、より広い範囲でセクハラ問題の解決への道が開かれたと言えそうです。

セクハラ対策を企業に浸透させていくことで、組織の自浄作用を高めて、全ての労働者が気持ちよく働ける職場環境づくりを目指していきたいですね。

参考)
厚生労働省「《男女雇用機会均等法》」, https://www.city.kofu.yamanashi.jp/danjo/shise/shisaku/kurashi/documents/kikaikinntouhou.pdf, (閲覧日:2021年10月9日)
厚生労働省「職場におけるハラスメント関係指針」,
https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/pdf/harassment_sisin_baltusui.pdf,(閲覧日:2021年10月13日)
厚労省「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律(令和元年6月5日公布)の概要」、https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000584588.pdf(閲覧日:2021年10月12日)
厚生労働省「セクシュアルハラスメント対策や妊娠・出産・育児休暇に関するハラスメント対策とともに対応をお願いします」, https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000611025.pdf, (閲覧日:2021年10月10日)
厚生労働省「事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」, https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000605548.pdf, (閲覧日:2021年10月9日)
法務省「性の多様性について考える」,https://www.moj.go.jp/JINKEN/jinken04_00126.html(閲覧日:2021年10月30日)
厚生労働省「職場におけるセクシュアルハラスメント対策や妊娠 ・ 出産 ・ 育児休業 ・ 介護休業等に関するハラスメント対策は事業主の義務です!」
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000378144.pdf(閲覧日:2021年10月7日)
あかるい職場応援団「セクハラ相談件数」、
https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/foundation/statistics/ (閲覧日:2021年10月9日)
厚生労働省「男女雇用機会均等法推進者選任について」, https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/danjokintou/hourei/20000401-22.html, (閲覧日:2021年10月9日)
味の素「コンプライアンス体制」、https://www.ajinomoto.co.jp/company/jp/activity/csr/pdf/2015/047-050.pdf、 (閲覧日:2021年10月11日)
キャノン「人権の尊重」、https://global.canon/ja/csr/people-and-society/labor/human-rights.html、(閲覧日:2021年10月10日)
ANAホールディングス「ハラスメント防止への取り組み」、
https://www.ana.co.jp/group/csr/basic_approach/compliance/、(閲覧日:2021年10月11日)

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