OJTとは“On the Job Training”の略で、通常業務の中で行われるトレーニングのことを指します。一方Off-JTとは“Off the Job Training”の略で、業務を離れ、教育目的で行われるトレーニングのことです。
それぞれ直訳すると「職場内訓練」「職場外訓練」となりますが、通常は日本語でも「OJT(オー・ジェー・ティー)」「Off-JT(オフ・ジェー・ティー)」と呼びます。
日本には伝統的に「見習い」や「徒弟制度」といった考え方があるため、企業における教育もかつてはOJTが中心でしたが、人材育成が体系化され、かつITなども活用できる様になったため、近年はOff-JTを中心に教育プランを考えるやり方が主流になっています。
このOJTとOff-JT、どのように使い分けるのが最も効果的なのでしょうか?
すでに採用しているけれど、うまく機能しているかわからない、もっとよいバランスを検討したい、という企業もあるかと思います。
本稿ではOJTやOff-JTの特徴やメリット・デメリットを解説した後、それらを踏まえた両者の効果的な運用方法を紹介します。教育プランの作成や運用の参考にしてください。
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目次
1. OJTとOff-JTの特徴
まずはOJTとOff-JTそれぞれの特徴や違いを確認しましょう。
1-1. OJTとは
OJTは、上司や先輩が部下や後輩に対し、通常業務の中でその遂行に必要な知識やスキルなどを教えていく教育手法です。
OJTの特徴は、実際の業務の中で手本を示しながら仕事の内容や進め方を教えるという、具体的かつ直接的な指導方法にあります。このため、新人に対して実践的な職務遂行能力を迅速に習得させることが可能になります。
1-2. Off-JTとは
Off-JTは、通常の職場や業務から離れて実施されるトレーニングで、いわゆる「研修」が該当します。研修には集合研修やeラーニングなど、様々な形のものがあります。
また、セミナーへの参加、通信・通学教育の受講、大学への通学、海外留学などの学習機会の提供も、Off-JTといえるでしょう。
Off-JTの特徴としては、多様な知識やスキルを体系的に学習できる、まとめて効率的に学習できるといった点が挙げられます。また、最新の知識や技術のほか、社内共通のスキル、マネジメントスキルなどの訓練にも適しているでしょう。
1-3. OJTとOff-JTの違いは何?
OJTとOff-JTの違いは、トレーニングを行う場所やその進め方、目的などが挙げられます。
OJTが業務の遂行能力の迅速な習得を目的として行われるのに対し、Off-JTは業務に関する体系的な知識や、理論を踏まえたより高度な業務遂行能力、その他通常業務とは直接かかわりのない知識・スキルの習得を目的としています。
このように、両者は企業の教育制度において異なる役割を担っており、どちらかを採用しておけば十分ということにはなりません。どのように社員を育成していくかという理念や計画のもとに、企業の状況に合わせてOJTとOff-JTを使い分け実施していくことが重要です。
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2. OJTとOff-JTのメリットとデメリット
OJTとOff-JTを教育制度として効果的に機能させるには、それぞれのメリットとデメリットを把握しておくことが大切です。
2-1. OJTのメリット・デメリット
OJTのメリットとして、次のような点が挙げられます。
・職場で必要な職務遂行能力が身につく
・繰り返し業務で実践できるので習得が早い
・Off-JTと比べ運用に係るコストが少ない
・個人指導ができる
デメリットは以下のとおりです。
・業務を通じた学習なので体系的に学びにくい
・学習の内容や方法が指導者に依存するため習得度に差が生じやすい
・場当たり的な指導や現場任せになりやすい
・指導者の負担が小さくない
OJTは実践性が最大の武器です。業務に必要な能力をピンポイントで伸ばすことができるため、即戦力の育成に効果を発揮します。一方で、学習内容や範囲、習得状況にムラが生じやすいこと、現場の負担などが課題と言えるでしょう。
2-2. Off-JTのメリット・デメリット
Off-JTのメリットとしては、次のような点が挙げられます。
・体系的な学習で知識やスキルの基礎を迅速に習得しやすい
・多人数の受講が可能で効率的に学習できる
・業務から離れるので学習に集中しやすい
・より専門的で高度な知識や技術、通常業務以外のスキルなどが学習できる
・指導者による内容や方法に差異がなく、受講者全員が均質の指導が受けられる
デメリットは以下のとおりです。
・実務と研修内容に差異があれば、そのまま実務に利用できない
・外部研修機関を利用するとOJTよりも費用がかかる
・研修内容、日程、研修機関や講師の設定・調整などの手間が多い
Off-JTはOJTに比べて学習の目的や範囲が明確なので、集団に対して公平で均質的な学習の機会提供が可能と言えます。一方で実践性や時間・コストが課題となりがちですが、近年はeラーニングなどITの活用により、コスト削減も実現されています。
3. OJTとOff-JTを効果的に運用するポイントとは
OJTとOff-JTを効果的に運用するには、両者の長所と短所を踏まえた制度設計や工夫が必要です。
3-1. Off-JTの短所をOJTで補う
Off-JTの短所のうち、実践性の問題は正にOJTでカバーすることができます。OJTとOff-JTが人材教育の両輪であるゆえんです。
教育プランの作成においては、習得すべき知識やスキルを洗い出し、それぞれを習得するためにOJTとOff-JTのどちらを採用すべきか、最初の段階で検討するようにしましょう。
3-2. OJTの短所をOff-JTで補う
OJTの短所も、Off-JTで補うことが可能です。
例えば、業界の新しい技術や知識をOJTで現場に導入するのは困難ですが、Off-JTで定期的または必要に応じて学習機会を設ければ、必要な情報を漏らさずに、システマティックに業務に取り入れていくことが可能です。
また、各部門に共通する知識やスキルの習得をOJTで行うのは非効率ですが、Off-JTとして体系的な学習方法を整備すれば、ムラのない機会提供が可能になり、全体の底上げにつながります。具体的なところでは、IT機器の操作、文書の作成、社内制度に関する教育、中堅社員向けのマネジメント研修やリーダー研修などが挙げられるでしょう。
3-3. 制度面から支える仕組みを作る
OJTとOff-JTは人材育成の両輪ですが、それだけで全てを網羅できるわけではありません。両者の質を高め、より効果的な運用を実現するために、制度面での工夫が必要です。
例えば、OJTは指導方法が属人的で、指導能力にばらつきが生じやすいという短所があります。そのため、OJT担当者向けのトレーナーズトレーニングの実施や指導材料の提供など、指導品質の向上や均質化に向けた取り組みが重要です。
また、現場での場当たり的な進め方を回避するため、各部署と人事部等とが協力してOJTの実施計画を策定することも有効です。実施段階では、OJTが計画通りに進んでいるかどうか、状況を確認・フォローしていく仕組みも必要でしょう。
OJTは現場主体と思われがちですが、現場任せにせず、スタッフ部門が積極的に関与していくことが大切です。
さらに円滑な推進のためには、経営トップが人材育成に積極的に関わっていくことが大変重要です。現場の指導担当者から各階層のリーダー、人事部まで、教育に関わる全てのスタッフがポジティブに取り組めるよう、経営トップ自らが号令をかけ、制度実現や運用の支援を行うことが、真に効果的な人材育成の実現につながっていきます。
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4. まとめ
OJTとは企業などで上司等が新人などを、通常の業務を通してその業務遂行に必要な知識やスキルなどを教える職場内訓練のことです。また、Off-JTとは通常の職場や業務から離れて実施される職場外訓練のことで、外部研修機関の施設等受ける研修などを指します。
そのOJTとOff-JTには以下のようなメリットとデメリットがあります。
OJTのメリット
・実践的な職務遂行能力の習得
・必要な職務遂行能力の迅速な習得
・表面的なコストが少ない
・個人指導が可能
OJTのデメリット
・体系的な学習が困難
・指導品質の不均一で習得度に差が生じやすい
・場当たり的な指導、現場任せの教育になりやすい
・指導者の負担が小さくない
Off-JTのメリット
・体系的な学習が可能
・多人数の受講が可能で指導が効率的
・学習に集中しやすい
・専門的で高度な知識や技術、通常業務以外のスキルなどの学習が可能
・指導品質が均質
Off-JTのデメリット
・研修内容が実務からズレると役に立たない
・OJTより費用がかかる
・研修の設定や調整などOJTより手間がかかる
実際の運用にあたっては、OJTとOff-JTが互いの短所を補い合えるような設計を行う、円滑な運用のために制度面から支援する、といった工夫が求められます。
OJTとOff-JTのどちらがよいか、どちらの効果が高いかということではなく、それぞれの長所を活かし、短所をどう補うにはどうすればよいか、自社にとって最適な人材育成の形をどう実現するかを検討し、実践に移していくことが大切です。
これを機に、OJTとOff-JTという視点で自社の教育制度を見直してみるのもよいかもしれません。
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