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企業内大学とは キャリア支援で競争力を強化する教育制度(事例あり)

「わが社でも人材育成に力を入れているが、“大学”となるとそれは一体どんな世界だろうか。業務やキャリアとの関係は?」

企業内大学は、自社の従業員の教育に特化した独立組織です。自社の教育制度に改革の必要性を感じている方にとっては、夢のようなお話に聞こえるかもれませんね。

働き方改革で生産性向上が求められる今、一人ひとりのスキルアップだけでなく、優秀な従業員やベテランの知識・技術を共有し、活用することの重要性もますます高まっています。既存の教育制度を見直し、そのための施策をプラスする必要があるでしょう。

また、新卒ダイレクトリクルーティングサービス「OfferBox」を運営する株式会社i-plugが行った調査[1]では、就活生を対象に、就職活動で重視すること、企業に求めることについて尋ねた結果、「成長できる環境がある」ことは、50.3%で2位となっています。また、8位には「教育・研修に力を入れている」こと(29.2%)も入っています。

仕事に必要な知識やスキルのほか、自身の成長やキャリアプラン実現のためにも学ぶことができる教育制度が求められていると言えます。

これらの企業と求職者のニーズ、どちらにも応えられるのが、企業内大学のシステムです。

企業内大学は、従業員が日々の仕事をより良くするため、自身の成長のために自主的に学べる教育制度です。また、従業員同士で学び合うことにより情報共有・活用も促進されます。

本稿では、企業内大学の概要、メリットや課題、企業の事例から見る運用のポイントを紹介します。

[1] 「OfferBox 就活生の「企業の魅力と働き方」に関する意識調査アンケート【2021年卒版】」,『株式会社i-plug』, https://offerbox.jp/company/columns/19694.html (閲覧日:2021年3月23日)


1. 企業内大学とは

企業内大学とは、従業員が自身の目標やキャリアプランに合わせて、必要な講座を選択して受講できる、企業内の研修制度のひとつです。コーポレートユニバーシティー(CU)とも呼ばれます。

企業によって制度の詳細は異なりますが、大学の講座のように必修科目と選択科目が用意されているのが代表的な形式です。

しかし、企業が従業員に学ぶ場を提供する、という点では、一般的な社員研修とさほど違いはないようにも思えます。どのような点で異なるのか、以下で見ていきましょう。

1-1. 企業内大学と一般的な研修との違い

一般的な社員研修は、従業員に業務に必要な知識やスキルを学んでもらうため、あるいは企業側が従業員に期待するキャリア形成のために行われます。

研修には、新入社員研修や階層別研修、優秀な従業員を選抜したリーダー育成のための研修などさまざまなものがありますが、大抵は人事部が企画し、学ぶテーマを決めます。

講師は人事部員が主であり、知識やスキルは十分身に付けられますが、現場での応用・実践という面では手薄になってしまう場合もあります。また、研修はスキルアップに欠かせないものですが、基本的に人事部や上司の指示で受講するため、従業員が「やらされている感」を持つこともあります。

対して企業内大学は、その多くが、人事部ではなく独立した部署により運営されています。社内の経営陣や、テーマに精通したベテラン従業員が講師を務める場合もあり、実践的な内容を学ぶことができます。企業によっては、代理店教育に活用している場合もあるようです。

企業内大学では、通常業務に関する知識やスキルを必修科目として学ぶほか、自身の業務に直接は関連のない自己啓発的な学習や、希望するキャリアプランの実現のための学習も可能です。

一般的な社員研修と同様、大抵の場合が無料です。必修科目以外は基本的に自主参加のため、参加者のモチベーションが高いのが特徴です。

例えば、営業職の従業員が、技術職や事務職向けの内容を学ぶことも可能です。「将来の可能性を広げるためにさまざまな知識をつけておきたい」、「他の部署の人の話を聞いて自社のビジネス全体について理解を深め、日々の仕事をより良くしたい」と考えるビジネスパーソンには嬉しいシステムです。

企業内大学は、一般的な社員研修よりも自由度や自主性が高く、実践的な内容を多岐にわたって学べると言えます。

1-2. 企業内大学が注目される背景

企業内大学が注目される理由の一つとして、少子化やグローバル化により、人材獲得競争が激しくなっていることがあります。一昔前のように、人材を大量に採用し、その中から優秀な人材を選抜して育成するという方法は、もはや現実的と言えません。今いる人材をいかに効果的かつ効率的に教育するかということが、組織としての成長と、次世代リーダーの育成のカギと言えるでしょう。

また、冒頭でご紹介したアンケート調査のとおり、就活生は企業に対して「成長できる環境がある」ことや「教育・研修に力を入れている」ことを求めています[2]。求職者に自社を選んでもらうために、企業内大学のような充実した教育制度は不可欠なものとなりました。

加えて、現場での情報伝達が以前よりスムーズに行われなくなってきたことも挙げられます。テレワークやフレックスタイム制の浸透、転職者が増加し頻繁に人員が入れ替わることなどが原因と考えられます。コロナ禍も相まっていわゆる「飲みにケーション」も減りつつあり、仕事に対する想いや本音を共有する機会が少なくなりました。そのため、情報やマインドの共有という点でも、企業内大学のシステムは注目に値します。詳細は次章でご紹介するメリットをご参照ください。

そして、VUCAと言われる現代のビジネスでは、常にイノベーションが求められます。企業内大学で多くの従業員が自主的に学び、学んだことを教え合う空気が社内に醸成されれば、コミュニケーションが活発になり、そこから新しいアイディアや意外な課題解決策が生まれやすくなるでしょう。

企業内大学は、今後の企業の人材育成・確保のためだけでなく、VUCA時代に企業が生き残っていくために必要な仕組みとも捉えることができます。

[2] 脚注1と同様。


2. 企業内大学を導入するメリット

企業内大学を導入すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。企業側と従業員側それぞれについて見ていきましょう。

2-1. 企業側:ナレッジ共有や人材育成に有効な仕組み

企業側のメリットには、以下のようなものがあります。

・ナレッジマネジメントの促進
・戦略的な次世代リーダーの育成が可能
・従業員の成長機会の拡大
・エンゲージメントの向上と離職防止
・雇用市場での差別化が可能になる

・ナレッジマネジメントの促進
企業内大学には、年齢や役職、部署などを問わず、誰でも受けられる科目があります。そこは学習の場であるだけでなく、さまざまなバックグラウンドを持つ従業員同士が交流する場でもあるのです。

議論や何気ないコミュニケーションによって、同じ部署や同年代の同僚からは聞けないような情報や仕事のコツ、ノウハウなどが共有されます。あるテーマについて、専門外である従業員の俯瞰的な意見が、現場の課題解決につながる可能性もあるでしょう。

そうして共有したナレッジを、受講者それぞれが日々の業務に活用することによって業務が効率化され、生産性向上につながります。また、蓄積したナレッジをデータベースなどの形で保存しておけば、人員の入れ替わりがあっても引継ぎがスムーズです。このようなアクションの積み重ねによって、チームや部署、ひいては企業全体のビジネスの質が向上するでしょう。

現場での情報共有が難しくなりつつある中、企業内大学の活用は、ナレッジマネジメントを促進する一つの手段であると言えます。

・戦略的な次世代リーダーの育成が可能
企業内大学は、自社に必要な人材を育成する枠組みであると言えます。そのため、ただ優秀なだけでなく、自社が求めるスキルやマインドを持った次世代リーダーの育成が可能です。

経営陣が講師として登壇し、自社の理念や将来のビジョン踏まえた教育をすることで、外部講師では行き届かない部分もカバーし、より自社の方針に合った次世代リーダーを育成できます。

・従業員の成長機会の拡大
企業内大学の対象者を、選抜された従業員だけでなく全従業員とすることで、企業の競争力の強化が期待できます。

優秀な人材の採用が厳しい中では、少しでも多くの従業員を一定の水準以上まで育成し、戦力となってもらうことが重要です。

・エンゲージメントの向上と離職防止
企業内大学を通して、企業側は従業員一人ひとりのスキルアップやキャリアアップを支援し、従業員側は得た知識やスキルを企業や自身の成長のために活用します。

双方とも互いに貢献し合い、成長を助ける関係を築くことができるため、エンゲージメントが向上します。

従業員は「会社は自分の成長を支援してくれる」と感じ、企業への愛着や信頼感が高い状態になるため、離職防止にもつながります。

・雇用市場での差別化が可能になる
人材獲得競争が激しくなる中、多くの企業が自社を選んでもらうためにさまざまな工夫をしています。教育制度の充実もその一つです。

既述のとおり、求職者は自身が成長できる環境を求めています。企業内大学を設置していることで、従業員の育成を重視し、キャリアアップを支援する企業であると求職者に好意的に受け止められ、他の企業と差別化を図ることができます。

2-2. 従業員側:スキル向上やキャリアアップの機会に

続いて、従業員側のメリットを見ていきましょう。

・平等にキャリアアップの機会を得られる
・幅広い交流がイノベーションの創出につながる
・講師となることでの学びがある

・平等にキャリアアップの機会を得られる
企業内大学は、基本的には全従業員が受講対象とされます。

優秀な人材を選抜して行う研修などとは異なり、在職年数に関わらず誰でも手を挙げることができます。自身が望めば望むだけ、スキルアップが可能です。

多種多様な講座の中から、自身が設定した目標を達成するため、また将来のキャリアプランを実現するための講座を自ら選んで受講できます。

・幅広い交流がイノベーションの創出につながる
普段は顔を合わせない部署の従業員同士で議論したり教え合ったりすることで、横のつながりができ、社内のコミュニケーションが活発になります。特に縦割り型の組織では、企業内大学は硬直した組織に風穴を開ける存在になるでしょう。

それがイノベーションの創出につながり、より自社やお客様のニーズを満たすために貢献できるようになります。

・講師となることでの学びがある
企業によっては、独自の基準で認定した従業員を講師として登壇させる制度があります。

一般的な理論だけに収まることなく、実際の現場のノウハウを受講者に伝えることができます。また、講義をするには念入りな準備が必要になります。その過程で自身の業務を整理したり、さらに知識を深めたり、講師となる側にもさまざまな学びがあります。

ここまで、企業内大学のメリットについて見てきました。企業側は主に人材確保やナレッジマネジメントの面で、従業員側は自身のスキルアップやキャリアアップの面で大きなメリットがあると言えます。


3. 企業内大学を導入する際の課題

企業や従業員に多くのメリットをもたらす企業内大学ですが、以下のような課題もあります。

・導入や運営にかかる人員やコストの検討
・導入前の準備を念入りに行う必要がある

・導入や運営にかかる人員やコストの検討
導入や運営にかかる人員の確保や労力、コストについてよく検討する必要があります。一時的に多くの経営資源を費やすことにはなりますが、将来のための投資と考えればその価値はあると言えるでしょう。

費用対効果の見通しを立て、よく検討することが必要です。

・導入前の準備を念入りに行う必要がある
企業内大学を創設したものの、うまく機能しなかったり、形骸化してしまう可能性もあります。これを防ぐためには、事前の準備や根回しが大変重要です。

企業内大学では、一般的な研修よりも、従業員の自主性が重視されます。しかし、例えば、企業内において社員教育や人材育成のプライオリティが低い場合、従業員も学ぶことやキャリア形成への関心が低いことが想定されます。まずは経営層に教育の有用性や必要性を説明し、トップダウンで組織に学ぶ風土を浸透させておく必要があります。

事前準備は、CHRO(最高人事責任者)CLO(最高学習責任者)のような、経営目線での人材マネジメントや、従業員の教育プログラムの構築を担う人が、先頭に立って行うと良いでしょう。

企業内大学を導入するための土台をしっかり整えることができれば、実際に運用が始まってからのやりさすさが違ってくるはずです。

このような課題と向き合いながら、企業の将来を見据え、自社に合った企業内大学の体系を整えることが大切になります。


4. 企業内大学を導入した事例

企業内大学が導入される目的や、実際の運営体制はどのようなものなのでしょうか。ここでは、事例を4つご紹介します。

株式会社ローソン:ローソン大学

株式会社ローソンでは、2003年に「ローソン大学」を創設。2021年4月1日現在、代表取締役の竹増貞信氏が自ら学長を務めている[3]

ローソン大学は、「社会環境が目まぐるしく変化していく中で、お客さまへの最高の満足を提供しつづけるには、社員一人ひとりの意識や行動の変革が欠かせない」として、企業理念の共有と高い業務推進力を備えたプロ集団づくりを目指し、社員教育体制の見直しによって創設された。

ビジネスパーソンとしての基本スキルや、それぞれの職種・職位に応じた専門スキルの教育体系を整え、入社から幹部まで、「必要な人が」「必要な時に」「必要な内容」を学べる体制となっている。

全社員を対象に、お客さま重視の意識を醸成し自由闊達な職場環境を築く「CSセッション」を行うほか、リーダー層へは、経営的視点を持って業務遂行する能力を体系立てて身に付ける「リーダー教育」を導入。

次世代経営者の育成は重要課題と位置づけられ、経営陣も指導者として参加している。

出典)
「ローソンの教育体系・生き生きと働ける職場づくり」,『環境保全・社会貢献活動への取り組み報告2004』, https://www.lawson.co.jp/company/activity/library/archive/2004.html(閲覧日:2021年4月6日)
「社員がいきいきと働くために」 ,『環境保全・社会貢献活動への取り組み報告2012』, https://www.lawson.co.jp/company/activity/library/pdf/houkoku2012_all_print.pdf(閲覧日:2021年4月6日)
「ローソン大学」 ,『アニュアルレポート2012 2012年2月期』, https://www.lawson.co.jp/company/ir/library/pdf/annual_report/ar_2012.pdf(閲覧日:2021年4月6日)

兼松株式会社:兼松ユニバーシティ

兼松株式会社は、2019年7月から、新たなビジネスを創造する経営者の育成を目的として、従来の研修制度を強化・体系化した「兼松ユニバーシティ」を開講した。

兼松およびグループ会社に所属する全従業員が受講対象となり、入社10年目以下の社員は必須受講者として、クレジット(単位)取得・認証を行う。

カリキュラムは教養、対人知識・スキル、対業務知識・スキルの3カテゴリーで構成され、内容によってeラーニングと集合研修に振り分けた豊富な講座を受講できる。ビジネスマナーや語学など基礎的なことから、事業投資や法務、アンガーマネジメントなど専門的な知識も身に付けることができる。全広域社員が10年後に経営者として活躍できるスキルを身に付けることが目標とされている。

出典)
「研修制度 兼松ユニバーシティ」,『兼松株式会社』, https://www.kanematsu.co.jp/sustainability/employee/training.html(閲覧日:2021年4月6日)
「企業インタビュー 兼松株式会社」,『JobManga~マンガで企業研究~』,2019年12月18日, https://jobmanga.com/interview/kanematsu/(閲覧日:2021年4月6日)

株式会社JTB:JTBユニバーシティ

JTBグループでは、新たな価値の創造のため、 従業員に自分らしさを生かして活躍してもらうために「自律創造型社員」の育成に注力している。

「自律創造型社員」とは、『高いスキルを活用して担当職務で高い成果を発揮するとともに、新しい情報やスキルの習得に努めながら、自ら課題を認識し、その解決に向けて自律的に行動する人財』と定義される。

従来、人財育成は関連会社であるJTB能力開発が行ってきたが、人財育成の更なる進展を目指し、2013年1月に新設されたJTBユニバーシティにその機能を移管することとなった。人事部内にある、業務課長や副支店長などを経験した26人の従業員が専任講師として所属する「JTBユニバーシティ運営事務局」が運営を担う。

JTBユニバーシティでは、年間で約1,000本もの研修プログラムを実施。日々の業務に必要な基礎知識やビジネススキル、経営人財育成プログラムまで、社員の能力や階層に合わせて成長できるカリキュラムを整えている。

実地型の集合研修だけでなく、通信教育やeラーニング、外部派遣研修などさまざまな形の学びが提供されている。

出典)
「【企業事例】「自律創造型社員」を育成するJTBの挑戦」,『産業能率大学 総合研究所』,2019年1月25日, https://www.hj.sanno.ac.jp/cp/feature/201901/25-01.html(閲覧日:2021年4月6日)
「「自律創造型社員」育成のためのキャンパス「JTBユニバーシティ」」,『JTB株式会社』, https://www.jtbcorp.jp/jp/job_offer/2022/about/human_development.asp(閲覧日:2021年4月6日)
「JTBユニバーシティ」,『JTB株式会社』, https://www.jtbcorp.jp/jp/csr/employee/(閲覧日:2021年4月6日)
「JTBが本気で挑む研修改革!「レッスンルーブリック」で行動変容を促す土台をつくる」,『HR NOTE』,2021年3月31日, https://hrnote.jp/contents/soshiki-jtbrw-210118/(閲覧日:2021年4月6日)

株式会社ポーラ:ポーラユニバーシティー

ポーラユニバーシティーは、販売員の接客力の向上と平準化を目的として2019年1月に発足した。

従来、ポーラの人材育成の仕組みは事業別で、TB(Total Beauty)事業[4]、PS(Prestige Store)事業[5]、海外事業それぞれに教育部門があったため、顧客層などによって接客などに若干の差が生じていた。

その点、ポーラユニバーシティは組織横断の機関であり、それぞれの事業の教育を集約することで、商品力、接客力、エステの連動が生む同社の価値を正確にお客様に伝えられる人材の育成が可能になった。約4万3,000人の販売員であるビューティーディレクター(以下、BD)や、百貨店の販売員、海外店舗の販売員など、ポーラの販売にかかわるスタッフ全てが受講の対象となる。

エステやメイクなどの技術による「美容力」や「接客力」、傘下のBDの「育成力」、市場動向やマーケティングに関する「思考力」の向上を図ることを通して、プロフェッショナル人材の育成や、販売員の人間力の向上を目指す。

また、ポーラユニバーシティでは、従来に比べ、トレーナーによる一方的な座学を極力減らすとしている。座学の研修では、エステやメーキャップの技術を集中的に学ぶのに加え、美容知識や顧客ニーズに関する理解を深めるためディスカッションを重ねる。そして研修後、サロンにおいて研修内容をOJTで実践する形をとっている。

出典)
「ポーラ、組織改革の全貌(後編)「【図解】再構築した人材教育の仕組み」」,『国際商業ONLINE』, 2019年4月8日,https://kokusaishogyo-online.jp/2019/04/22779(閲覧日:2021年4月9日)
「〈訪販化粧品各社〉 販売員の接客力の平準化推進/研修強化やアプリ活用の事例も」,『日流ウェブ』, 2019年1月31日,https://www.bci.co.jp/nichiryu/article/4930(閲覧日:2021年4月9日)

[3] 「役員一覧【2021年4月1日現在】」,『株式会社ローソン』, https://www.lawson.co.jp/company/corporate/data/officer/(閲覧日:2021年4月6日)
[4] 全国約4,000店舗のポーラショップを中心に展開している事業。化粧品・カウンセリング・エステ、3つのサービスが融合した店舗「ポーラ ザ ビューティ」を軸に、美容のスペシャリスト「ビューティディレクター」がお客様一人ひとりの「美」をサポートする。「WORKS」,『POLARECRUIT』, https://www.pola.co.jp/company/recruit/career/works/(閲覧日:2021年4月22日)
[5] 全国約60店舗の有名百貨店を中心に展開している事業。美容スタッフのカウンセリングにより、お客様に合わせたスキンケア・メークアップを提案する。出典は脚注4と同様。


5. 事例から見る企業内大学の導入・運用のポイント

企業内大学を効果的に運営するにはどのような点がポイントとなるのでしょうか。前章の事例から見えてきたポイントを整理していきましょう。

・明確な目的を持って導入する
・専門知識のある人物が講師を務める
・全従業員を対象とする
・上司が部下の目標を把握し支援する体制づくり
・さまざまな形態の学びを用意する

・明確な目的を持って導入する
前章の事例では、どの企業も明確な目的やビジョンに基づいて企業内大学をスタートさせています。

漠然と教育制度の充実を図りたい、というだけでは、いずれ運営が行き詰まってしまう可能性があります。まずは企業内大学導入の明確な目的やビジョンを定め、全従業員に周知する必要があるでしょう。

・専門知識のある人物が講師を務める
企業内大学の講師には、外部の専門家のほか、そのテーマについて造詣が深かったり、経験豊富な部署や人も最適です。

社内や現場の事情を熟知しているため、クオリティが高く、実践的な講義が可能になります。

・全従業員を対象とする
企業によってさまざまな規則がありますが、パートや派遣社員も含めた全従業員を対象にすることで、企業の方針が隅々まで行き届き、さらなる従業員の能力の底上げにつながります。

・上司が部下の目標を把握し支援する体制づくり
上司は、部下の目標やキャリアプランを共有し、達成に向けて指導する必要があります。

従業員が受けた講座を上司も確認できるようにしておくと、目標達成への進捗がわかりやすくなったり、目指したい方向に役立つ講座の受講を勧めたりなど、より効果的な指導が可能になります。

最近は人材育成領域でもIT化・DX化が進んでいます。eラーニングはもちろん、ウェビナーや集合研修のライブ配信など主要な演習プログガムを一括管理でき、学習の履歴や成績の確認もしやすいLMS(Learning Management System 学習管理システム)を導入すると便利です。

・さまざまな形態の学びを用意する
従業員それぞれのニーズに合わせられるよう、eラーニングや集合研修など、さまざまな形態の学びを用意することも効果的です。

また、ポーラユニバーシティがトレーナーによる一方的な座学を極力減らすとしていることにも注目するべきでしょう。受動的な学習よりも、ディスカッションやディベートなど、教わった知識を基に他の受講者と一緒に考え、議論し、確かめるほうが、より深い理解や定着につながります。

なお、コロナ禍の現在、オンライン研修のニーズが高まっていますが、実技の訓練には不向きです。そのため、eラーニングと集合研修を併用した研修スタイルである、ブレンディッド・ラーニング(Blended learning)も取り入れてみるとよいでしょう。

このようなポイントを押さえることで企業内大学をスムーズに導入し、その効果を高めることができるでしょう。

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6. まとめ

企業内大学とは、従業員が自身の目標やキャリアプランに合わせて、必要な講座を選択して受講できる、企業内の研修制度のひとつです。コーポレートユニバーシティー(CU)とも呼ばれます。

企業によって制度の詳細は異なりますが、大学の講座のように必修科目と選択科目が用意されているのが代表的な形式です。

通常業務に関する知識やスキルのほか、自身の業務に直接は関連のない自己啓発的な学習や、希望するキャリアプランの実現のための学習も可能で、一般的な社員研修と同様、大抵の場合が無料です。必修科目以外は基本的に自主参加のため、参加者のモチベーションが高いのが特徴となっています。

企業内大学が注目される理由としては、以下のようなものがあります。

・少子化やグローバル化により優秀な人材の採用が難しくなったため、内部で少しでも多く優秀な人材を増やし、強化するシステムが必要とされた
・就活生は企業に対して「成長できる環境がある」ことや「教育・研修に力を入れている」ことを求めている
・テレワークの浸透や転職者の増加により現場での情報伝達がスムーズにいかなくなってきており、対策が必要になった
・イノベーション創出の場となりうる

企業内大学を導入すると、企業側には以下のようなメリットがあります。

・ナレッジマネジメントの促進
・戦略的な次世代リーダーの育成が可能
・従業員の成長機会の拡大
・エンゲージメントの向上と離職防止
・雇用市場での差別化が可能になる

従業員側には以下のようなメリットがあります。

・平等にキャリアアップの機会を得られる
・幅広い交流がイノベーションの創出につながる
・講師となることでの学びがある

企業内大学には、以下のような課題もあります。

・導入や運営にかかる人員やコストの検討
・導入前の準備を念入りに行う必要がある

以下の企業の事例をご紹介しました。

・株式会社ローソン:ローソン大学
・兼松株式会社:兼松ユニバーシティ
・株式会社JTB:JTBユニバーシティ
・株式会社ポーラ:ポーラユニバーシティー

企業内大学を効果的に運営するには、以下のようなことがポイントとなります。

・明確な目的を持って導入する
・専門知識のある人物が講師を務める
・全従業員を対象とする
・上司が部下の目標を把握し支援する体制づくり
・さまざまな形態の学びを用意する

今後、優秀な人材の採用は、より困難になるでしょう。社内のナレッジを効率良く共有し、次世代で活躍できる人材の層を厚くしていくことがますます重要になってきます。

企業内大学は、自社のナレッジ共有や人材育成を促進し、従業員に成長できる環境を提供するという、企業側と従業員側、双方が大きなメリットを享受できるシステムです。

この機会に、企業内大学について検討してみてはいかがでしょうか。

参考)
「企業内大学の特徴を解説|メリット・事例などを研修と比較してみた」,『HR NOTE』, 2020年8月26日, https://hrnote.jp/contents/b-contents-composition-college-0722/(閲覧日:2021年4月6日)
「企業内大学に注目!社内研修制度との違いとメリット」,『Sofia』, 2020年10月26日, https://www.sofia-inc.com/blog/7237.html(閲覧日:2021年4月6日)
「企業内大学」,『日本の人事部』, 2007年6月18日, https://jinjibu.jp/keyword/detl/159/(閲覧日:2021年4月6日)
「企業内大学対決 LIFULL vs. ジュピターテレコム」,『月刊事業構想オンライン』, 2019年12月号,https://www.projectdesign.jp/201912/rivals/007176.php(閲覧日:2021年4月6日)
「企業内大学―就職後にきっちり学べて安心!」,『KKB企業研究本』, 2019年9月19日, https://kigyou-kenkyu.com/?p=395(閲覧日:2021年4月6日)

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