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スメハラを防止するために企業がとりうる6つの対策

近年、にわかに注目されるようになった「スメハラ」、すなわちニオイの問題。
あなたの会社では、既に何らかの対策がとられているでしょうか?

本稿では、スメハラの定義や事例を解説します。また、スメハラの被害を未然に防ぐ方法、実際に起こったときに企業としてどのような対策を採ることができるのか、具体的に解説していきます。

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1. スメルハラスメント(スメハラ)とは

スメルハラスメントの定義と具体例について説明します。

1-1. スメルハラスメントの定義

スメハラとは、スメルハラスメントの略で、体臭や口臭、柔軟剤、タバコなどのにおいによる嫌がらせのことです。

制限されるべき「におい」の定義がないことと、加害者に自覚がないケースも多いため、スメハラは非常にデリケートな問題です。

例えば、上司の体臭で気分が悪くなっても、傷つけないように、怒らせないように本人に伝えるのは難しいでしょう。そもそも、今後の仕事や付き合いを考えれば指摘すらできない場合もあります。

そのため、当事者同士ではなく、相談を受ける管理職やハラスメント窓口の担当者が適切に対応し、円満に解決することが大変重要です。

1-2. スメハラに該当する行為の例

以下のような行為は、スメハラに該当する可能性があります。

  • 体臭や口臭がきつい
  • 香水をつけすぎる
  • 柔軟剤を使いすぎる
  • タバコを吸った後、においを気にしない

オフィス内で強い香りを漂わせることは、他の人々にとって不快な経験となることがあります。

例えば、体臭や口臭によって他者が不快に感じた場合、スメハラに該当する可能性があります。また、好きな香りの香水を大量につけることが、他の人には不快感を与えることもあります。特にアレルギーや香りに敏感な人がいる場合、そのような行為はスメハラとして取り扱われる可能性が高まります。

タバコの臭いも、非喫煙者にとっては非常に不快なものであり、オフィス内でそのような臭いが強く漂っていると、これもまたスメハラに該当する可能性があります。喫煙者としては、喫煙後の手洗いや消臭スプレーの使用など、他者に対する気配りが求められます。

スメハラを避けるためには、まず自分の身体や香水、柔軟剤などの使用量を見直すことが大切です。そして、オフィス内での香りの管理に気を付けること、そして他者の意見や感じる不快感を尊重することが大切です。何よりも、他者とのコミュニケーションを大切にし、不快感を与えていないか確認することがスメハラを防ぐ鍵です。

1-3. スメハラの具体事例

スメハラは従来個人間の問題として捉えられがちでしたが、日本のサービス業が国内外から改めて評価され、また企業内においても様々な角度から職場環境の改善が叫ばれる昨今、組織として改めてこの問題に取り組む企業は少なくありません。

たかがニオイの問題、と甘く見てはいけません。お客様センターに届くスメハラの苦情を見てみましょう。

悩む年配の女性 

店員や担当営業の口臭や香水の臭いが気になって話を聞く気がしない。

店の外へ出てほっとした。

悩む女性 

このようなお客様からの苦情は、サービスの質向上を目指す企業や従業員の努力を無駄にするばかりでなく、企業イメージ、ひいては売上に悪影響を与えかねません。

社内のハラスメント相談窓口にも、スメハラの訴えは届きます。

悩む会社員 

○○さんの臭いが気になって業務に集中できない。

面と向かって話をするのがつらい。

悩む会社員 

これをみると、スメハラが作業効率の低下や社内のコミュニケーションの悪化に直結していることが分かります。職場環境の悪化が進むと、チームの士気や業績低下にもつながりかねません。

スメハラが個人間の問題とされてきたのは、ひとえにその指摘のしにくさに起因するといってもよいでしょう。被害を受けた側は我慢するしかなかったのです。相談窓口に苦情を寄せられるようになっただけでも進歩と言えますが、では、相談を受けた側はどうすればよいでしょう?

サービスにも職場環境にも、昔よりもハイレベルな「質」が求められています。スメハラの存在に気付いた企業では、何らかの対策を打つべきでしょう。


2. スメハラ、職場でできる6つの対策

スメハラはとにかく繊細で難しい問題と捉えられがちですが、視点を変えてみると、その対策は実行に移しやすいものが多いのも特徴です。つまり、「繊細さ」という問題を乗り越えさえすれば、予算や制度上のハードルは低く、企業としての対策は比較的とりやすいということになります。

以下に代表的なものを6つ挙げてみます。

  1. 空調機器を充実させる
  2. 部署やフロア単位で習慣づけする
  3. 会社の規則として定める
  4. 本人の気づきを促す
  5. 被害報告の方法を知らせる
  6. 担当部署として、加害者へ適切に伝える

大きく分けると、被害者加害者の区別なく職場環境を整えることで被害を減らす方向性のものと、加害者にスメハラを自覚させて改善を促す方向性のものがあることが分かります。

木を見るか、森を見るかの違いでしょうか。スメハラのような、個人の自尊心に係りうるような問題を扱う際には、両方の視点を持ち、状況に応じて使い分けていく配慮が必要といえます。

それでは、順に見ていきましょう。

2-1. 空調機器を充実させる

サーキュレーターや空気清浄機を設置し、風向きを調整します。

活性炭入りフィルターやイオンの脱臭機能がついているものも売られています。加湿器を兼ねているものなら湿度管理を理由にすることもできるでしょう。

機器導入にはコストがかかりますが、空気清浄や湿度管理は職場環境の改善に直結しますので、目的をスメハラ対策だけに留めず、総合的に検討してみるのはいかがでしょうか。

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2-2. 部署やフロア単位で習慣づけする

グループ単位でスメハラの解消もしくは未然防止を促す方法です。強制ではなく、あくまでも推奨にとどめるのがポイントです。

ストレートにニオイ対策として提唱するのではなく、それ以外のポジティブな目的を伝える方が賛同を得やすいかもしれません。

具体的な標語としては、以下のような例が挙げられます。

  • 昼食後、眠気覚ましに歯磨きをしよう
  • 二酸化炭素がたまると眠くなるので、空気の入れ替えをしよう

実際のところ、スメハラ対策は衛生に係るものも多いので、ニオイの問題だけでなく、物理的・精神的な面で様々な副次効果が期待できますよ。

2-3. 会社の規則として定める

部署やフロアからより対象を広げ、全社的にルール化する方法です。就労規則や服装規定などに明記しておけば、会社から注意をしたり、従業員間で指摘をし合う際に、根拠を提示しやすくなるでしょう。

ルールとしては、以下の様な例が挙げられます。

  • 香水は禁止
  • 昼食後には歯を磨く
  • 汗をたくさんかいたらデオドラントシートで拭く

2-4. 本人の気づきを促す

スメハラの加害者は、その自覚をしてないケースがほとんどです。
「ハラスメントか否かは、受け手の判断による」というハラスメントの性質がスメハラにも当てはまることが分かります。

よって、加害者の行動を改善するためには、まず本人にスメハラの事実を認識してもらう必要があります。ただ、伝え方には注意が必要です。

そのポイントは2つあります。

ポイント1.「会社全体の問題」として扱う

個人の問題ではなく「会社全体の問題」として伝えます。

例)今回、職場環境の改善施策として、スメルハラスメント対策を行うことになりました。
ニオイの問題はなかなか気付きにくい・指摘しにくいものですから、これを機に、一度身の回りのモノや体臭の管理について、問題がないかどうか、見直してみてください。

上記のような、ある意味「総合的な視点」による伝え方をすることで、個人批判と受け止められることを回避しつつ、自分が加害者になる可能性について、自発的に意識させることができます。

ポイント2. 繰り返し伝える

ポイント1のような情報を、本人に繰り返し伝えるようにします。地道ではありますが、スメハラを「看過できない問題」と認識できる社内文化を作るためには有効な方法です。

また、本人の気づきを促す方法としては、エチケット講座スメハラ教材なども効果的です。

最近ではeラーニングを利用し、業務の合間に従業員に受講させる企業も出てきています。あくまでも全社的な取り組みとして行うことで、特定の個人を巡るコンフリクトになるリスクを回避することができます。

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体臭には種類がある!11の原因別に対策を解説【セルフチェックつき】

2-5. 被害報告の方法を知らせる

スメハラの被害者は、被害を報告しにくいものです。

まず、ハラスメントの被害者というのは「たかが○○で」と、自分の気持ちを我慢する傾向がある点に留意しましょう。次に、仮に報告したところで「たかがニオイ」と一笑に伏されるのではないかという不安があるでしょう。

また、ことスメハラの場合、ニオイのような個人の性質・習慣的な要素を批判するのはマナー上はばかられる、という意識が強く働くと考えられます。

会社は、業務に支障が出る前に、上記のような被害者の心情を踏まえたルールづくりとその周知を行わなくてはなりません。

周知すべきポイントは以下の2つです。

  1. スメハラは相談すべき問題であること
  2. 本人に直接伝えず、社内の相談先に相談すること

それぞれについて見ていきましょう。

ポイント1.スメハラは相談すべき問題であること

被害を受けている従業員は、そもそも会社に相談してよいということを知らず、自分ひとりで抱えんだり、周りの従業員を巻き込んで処理したりしようとすることがあります。

しかし、それはかえって問題をこじらせかねません。職場のスメハラはセクハラ、パワハラなどの他のハラスメントと同様、会社として取り組むべき課題であることをしっかり周知しておきましょう。

ポイント2.本人に直接伝えず、社内の相談先に相談すること

被害者が冗談めかして言える性格であったり、普段からそのような人間関係を築いている場合を除き、スメハラの被害を被害者から直接加害者本人に伝えるのは無理でしょう。

安易にそのような行動を取ると、関係がこじれ、組織内に摩擦が発生するリスクが高まります。

個人間で解消しようとせず担当部署に相談するよう、組織としてそれを受け止める用意がある旨を周知しましょう。

ただ、被害者が過剰な反応をしていたり、スメハラとは直接的に関係のない個人間の感情のもつれが相談につながっている可能性もゼロではありません。相談を受ける側には、深刻度合いを客観的に把握する意識が必要です。

単に被害の内容だけでなく、日々被害者がどのような気持ちで仕事をしているか、また、それまでに行ってきた対策、報告に至った経緯などを確認するとよいでしょう。場合によっては第三者へのヒアリングも必要かもしれませ

2-6. 担当部署として、加害者へ適切に伝える

最後に、スメハラの被害者から相談を受け、その旨を加害者へ伝える際のポイントを4つお伝えします。

担当部署から直接伝えるか、直属の上司など、本人の所属に近い適当な人物を介して伝えるか、いずれをとるかは個々の事情によります。しかし、どちらの場合でもこれらのポイントは有用です。

ポイント1. 二人きりで伝える

ニオイ、特に体臭や口臭など、身体的なことを指摘されるのは本人にとって恥ずかしいことです。

周りの人の目を気にしないで済むよう配慮することで、指摘の事実をより受け止めやすく、また、ポジティブな気持ちで改善に取り組むことができよう、工夫しましょう。

ポイント2. 加害者本人のことを思っていることを伝える

加害者が「非難されている」と感じるような伝え方をしてはいけません。逆に、本人に対してへりくだることも、何らかの他意を感じさせる可能性があるので避けましょう。

あくまで客観的に、冷静に、事実を伝えることが大切です。組織としての取り組みの背景や、スメハラ対策で得られる全体的な効果、参考になる事例などを交えながら伝えるとよいでしょう。

あなた個人の問題ではない、会社として珍しい話ではない、といったニュアンスが伝わると、本人の気持ちも多少なりと楽になるはずです。

ポイント3. 具体的な対策を伝える

スメハラの事実を加害者本人が認識し、対策の必要性を感じてもらえたら、次はどのような対策があるかを伝えましょう。

具体的な方法を提案・紹介することで、本人に対する会社の気遣いや誠意が伝わりやすくなりますし、何よりすぐに行動に移してもらえれば、問題の早期解消につながります。

なお、人によっては面と向かっての提案は受け入れがたい場合もあるでしょう。そうした場合は、紙面にまとめて参考資料として渡すなどの配慮も必要です。

ポイント4. 同性から伝える

ニオイは個人的なものです。同性から伝えた方が、本人・伝える側双方にとって心理的負担が少ないでしょう。

どのポイントも、本人に恥ずかしい思いをできるだけさせない配慮と、親身な姿勢が根底にあります。

加害者のためを思っているか否かは、言葉の選び方だけでなく、口調や表情などからも伝わります。取り繕ったり、媚びへつらうのもよくありません。誠意を持って、かつ冷静に対応しましょう。

2-7. 6つの対策のメリット・デメリット

こでまでご紹介してきた対策のメリット・デメリットをまとめるとのようになります

1. 空調機器を充実させる

メリット

他の積極的な理由を強調することでさりげなくスメハラ対策ができる。

デメリット

・費用がかかる。(購入費、電気代など)
・手入れが不十分な場合、雑菌が繁殖し不衛生になる恐れがある。

2. 部署やフロア単位で習慣づけする

メリット

気軽に、さりげなく導入できる。

デメリット

スメハラ防止に対する企業としての意思表示、という意味では弱い。

3.会社の規則として定める

メリット従業員が行動に移しやすくなる。
デメリット従業員が自ら考え、判断する機会を奪うことにつながり、マニュアル人間の増加や、自主性のある従業員の士気の低下を招く恐れがある。
4. 本人の気づきを促す
メリット加害者本人による根本的な問題解決を、波風を立てずに図ることができる。
デメリットスメハラの啓蒙が不要な従業員の時間・労力を無駄に費やす恐れがある。
5.被害報告の方法を知らせる
メリット不適切な相談相手や不適切な対応による事態の悪化を防ぎ、問題の早期解決につながる。
デメリット被害者の権利の乱用の恐れがある。(スメハラと言えないケースでも、被害を受けたといった、過剰な反応を冗長するなど。)
6.担当部署として、加害者へ直接伝える
メリット根本的原因の解消につながる。
デメリット加害者のプライドを傷つけたり、非難されていると感じさせないよう、配慮して伝える必要がある。

ニオイは個人的なものであると同時に、多くの場合、加害者本人に悪意がないため、指摘しづらいという特徴があります。それゆえに組織的な対策が望まれるわけですが、注意喚起が過ぎて、自身が加害者になっていないか、身近でスメハラが起きていないかと、気にし過ぎるのもよくありません。

 

一番ストレスが少なく、かつ効果的な対策は、「もしかしたら周りに不快な思いをさせているのではないか」という、周りへの思いやりや心遣いを互いに持つことではないでしょうか。

 

企業としてのより根本的な対策は、そのような周囲への気配りや考え方を社内に浸透させることであり、そのために根気よく、従業員を啓蒙し続けていくことなのです。

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3. まとめ

スメハラ(スメルハラスメント)とは、体臭や口臭、柔軟剤、タバコなどのにおいによる嫌がらせのことです

「スメハラ」という問題を個人に委ねず、組織としてその解消に取り組むことは、よりよい働き方を求める近年の社会情勢に即したものといえます。社外的にも社内的も居心地のよい環境をいかにして整えていくか。今後ますます企業の対策が求められていくことでしょう。

具体的には、

  1. 空調機器の充実により、さりげなく改善を図る
  2. 部署やフロア単位で習慣づけする
  3. 強制力を持たせるべく、会社の規則として定める
  4. 本人の気づきを促すため、全社的に繰り返し伝える
  5. スメハラは会社組織へ訴えるべき問題であることを、その手段とともに周知させる
  6. 訴えがあった場合、担当部署として加害者へ適切に伝える

という6つの対策をご紹介しました。

被害者・加害者が生まれると個人への伝達を検討していかなければなりません。
そうなる前に全社的に意識を持たせることが有効ですが、制度化にはそれなりの負荷が掛かります。

そういう観点では、eラーニングでスメハラについての教材を全社的に提供し、繰り返し自覚を促していくといった手法は有効と考えられます。

そして具体的な対策を進めていくにあたっては、常に根底に「周囲への気配りや思いやり」があるべきです。コンフリクトに発展したり深刻化したりする前に、早めに芽を摘んでしまうのも手といえるでしょう。

そのような社内風土を育てるべく、これらの手法を参考にいち早く対策をとることをお勧めします。

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