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RPAとは ロボットが定型業務を自動化! メリットや企業事例を紹介

RPAとは ロボットが定型業務を自動化! メリットや企業事例を紹介

RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)とは、これまで人間が処理していた定型的なパソコン操作をロボットにより自動化する取り組みです。

業務の中で「この単純な入力作業はロボットがしてくれたら」と思うものはありませんか。RPAはそのような定型業務を得意とします。働き方改革が叫ばれている今、少ない人数で生産性を高める手段として、RPA導入を検討する企業が増えています。しかし、まだ認知度が低いのが現状です。

「そもそもPRAって何だろう」
「どんな業務を任せられるのか」

そのような疑問を持つ方も多いことから、本稿ではRPAについてメリットや導入時の注意点、導入事例などを解説します。

「RPA」のほか、「ARCSモデル」や「エンプロイアビリティ」など、近年話題の人事系キーワードについて詳しく知りたい場合は、163の用語を解説している「人事用語事典」(無料)をご利用ください。


1. RPAとは何か

RPAとは「Robotic Process Automation/ロボティック・プロセス・オートメーション」の略で、直訳すると「ロボットによる手順の自動化」です。

一般的に「ロボット」といえば、工場で使われるロボットアームや人型ロボットなど、目に見えるものをイメージする方が多いでしょう。

しかし、RPAは目に見えないソフトウェア型ロボットです。ルールエンジン・機械学習などの技術を活用して、データの入力・連携を自動化します。人間に代わって業務を遂行することから、仮想知的労働者(Digital Labor)とも呼ばれています。

株式会社矢野経済研究所の調査[1] によると2019年度の国内RPA市場規模(売上高ベース)529億7千万円で、前年度(338億円)と比べて1.5倍以上増加しています。今後も幅広い業界・職種でRPAが導入される見通しです。

また、大手コンサルティング企業McKinsey & Company, Inc.(マッキンゼー・アンド・カンパニー)は、2025年までに全世界で1億人以上の知的労働者、もしくは1/3の仕事がRPAに置き換わると予測しています。

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2. RPAが注目される背景

RPAが注目を浴びる背景には、働き方改革が関連しています。働き方改革は、テレワークの推進や同一労働同一賃金の実現などさまざまな柱がありますが、その中の1つに長時間労働の是正が掲げられています。

長時間労働の是正には、まず業務の在り方を根本から見直し、徹底した効率化を推進する必要があります。単純作業は真っ先に合理化することが求められるでしょう。

そこで注目を浴びたのがRPAです。データ入力などの定型業務をRPAで代替できれば、人間はその作業から解放されます。浮いた時間で、従業員はロボットでは処理できない、より高度な技能や判断が必要とされる業務に取り組めるようになり、業務の生産性向上が期待できます。

企業にとっては、生産性を向上させつつ労働時間を削減することにつながるのです。


3. RPAで何ができるのか

実際、どのような業務がRPAに移管できるのでしょうか。RPAには3段階の自動化レベルがあるとされています。

RPAのクラス出典:総務省「RPA(働き方改革:業務自動化による生産性向上)」,http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/02tsushin02_04000043.html

クラス1:定型業務の自動化

ルールに基づいた定型業務に対応しており、現在のRPAの多くはこのレベルです。具体的には、以下の業務が該当します。

  • Excel台帳からシステムへのデータ転記
  • システム内の注文データを基にした請求書作成
  • 経費チェック
  • ダイレクトメールの発送業務
  • 顧客データの管理

例えば、人事関連では以下の業務で導入の余地があります。

  • スコアリング(人事評価)
  • 給与計算
  • 社内システムのマスタ登録・変更
  • 採用準備 など

クラス2:一部非定型業務の自動化

AIの技術を用いることにより、一部の非定型作業を自動化することが可能です。例えば、問い合わせに対してAIが判断して回答したり、蓄積された過去情報からルールを作成したりするなどが挙げられます。

クラス3:高度な自律化

より高度なAIと連携することにより、作業の自動化のみならず意思決定までも自動化します。そうなれば、指示を出すだけで、必要なデータの抽出や入力から、問題提起、アナリティクス、最善策の提示まで行うことも可能になるでしょう。

現在のRPAの多くは定型業務を自動化するクラス1の段階です。将来的にはAIと連携して、非定型業務や意思決定などの高度な業務を代行できるようになるでしょう。


4. RPAのメリット

RPAを導入することで、以下のようなメリットが期待できます。

  • 業務処理のスピード向上
  • コスト削減
  • 業務品質の向上
  • 売り上げ拡大

業務処理のスピード向上

RPAは24時間365日休みなく働き続けます。また、処理能力は人間よりも迅速です。その結果、業務処理にかかる時間や日数が短縮できます。

コスト削減

RPAが作業を代替するため、その分の人件費や外部委託費などのコスト削減が可能です。

業務品質の向上

人間が単純作業を続けた場合、ヒューマンエラーやケアレスミスをゼロにすることは難しいでしょう。しかし、RPAは迅速・正確に業務を遂行し続けることが可能なため、業務の品質が大幅に向上します。

売り上げ拡大

単純作業から解放された従業員は、より付加価値の高い、企業の利益に直結する活動に専念できるため、売り上げ拡大が期待できます。

RPAの導入は、業務効率や人手不足の解消だけでなく、生産性の向上にも有効です。単純作業をRPAに任せることで、例えば、営業部では顧客とのコミュニケーションに、人事部では採用戦略や教育プランの策定に多くの時間を当てることができます。

限りある人材を「人間にしかできない」創造的な業務に投入できるようになり、企業の成長は加速するでしょう。


5. RPA導入時の注意点

一方で、注意すべき点もあります。

  • 運用ルールの整備
  • 情報セキュリティ対策の実施
  • バックアップ体制の構築

運用ルールの整備

RPAに業務を任せるためには「どのような作業を、どのような手順で自動化するか」を定義し、運用ルールを整備する必要があります。

具体的には、自動化する作業の流れやRPAの仕様を定めた文書を作成する、アクセスや設計変更時の記録を残すための取り決めをする、アクセス権限やアクセスログなどの管理方法を設定するなどが挙げられます。

情報セキュリティ対策の実施

RPAも他のITシステムと同様に、不正アクセスを受ける危険性があるため、情報セキュリティ対策が必要です。


関連記事:情報セキュリティ研修を成功させるには?eラーニングでの実施事例も紹介します

バックアップ体制の構築

何かしらのエラーが生じたり、既存システムに変更が加えられたりした際、その対応は人間がしなければなりません。そのため、RPA管理チームを立て、エラー時の対応方法について定めておくなどのバックアップ体制を整える必要があります。

RPA導入に当たっては、何を自動化したいのか、目的を明確にすることが重要です。単純作業でも人間がした方がよい場合もあるかもしれません。RPAと人間の業務の線引きをしておくことで、業務の質の向上が図れるでしょう。


6. 企業のRPA導入事例

PRAは、実際にどのように活用されているのでしょうか。ここでは、2つの業界での導入事例をご紹介します。

6-1. 大手都市銀行

金融業界での業務の多くは、RPAとの親和性の高い定型的な事務業務であることから、大手各社でRPAが導入されています。

◇具体的な業務

煩雑な事務処理作業

◇効率化・削減効果

  • 株式会社三井住友銀行は2017年からRPAを導入し、2017年度上半期だけで、200人分の仕事量に相当する1年当たり40万時間分の業務を削減
  • 株式会社三菱UFJ銀行は2014年から導入し、2017年までに約20業務で累計2万時間の作業を削減
  • 単純作業から行員を解放でき、より付加価値の高い業務に従事してもらうことが可能となった

◇今後の展望

各銀行ではさらなるRPAの活用を検討しています。大手3社の導入計画は以下の通りです。

3メガバンクグループの構造改革とRPAの導入計画
出典:毎日新聞「3大手銀 RPA活用広がる 単純作業をコンピューターで」,2018年3月14日,
https://mainichi.jp/articles/20180315/k00/00m/020/108000c

6-2. 日本生命保険相互会社

日本生命保険相互会社の事務部門では、年間を通して業務量の変動が大きいため、時には臨時スタッフを募り、短期間で教育をして実務配置をしていました。しかし、そのスタッフ教育が現場の負担になっていたため、定型作業を代替できるRPAに着目し、2014年から運用を始めました。

◇具体的な業務

  • 保険の契約事務として申し込み情報が記載されたファイルからデータを転記し、社内システムに登録する作業
  • 保険金請求手続きの際に、契約者から受け付けた書類に記載されているバーコードから読み取った契約情報を社内システムへ登録する作業
  • 公的機関からの照会に基づいて特定の個人の保険加入状況を確認する作業

◇効率化・削減効果

  • 従来人間が行っていた工数から換算すると、1年当たり5万時間相当の効率化が実現
  • 繁忙期のピークが抑制され、業務負担の軽減につながった
  • 早出しての集計作業が不要になり、働き方改革にも貢献

◇今後の展望

ロボットによる代替で「作業単体」を効率化してきた実績を踏まえ、今後は「業務全体」の最適化へと重点を移す見通しです。


7. まとめ

RPAとは、これまで人間が処理していた定型的なパソコン操作を、ロボットにより自動化する取り組みです。大手コンサルティング企業McKinsey & Company, Inc.は、2025年までに全世界で1億人以上の知的労働者、もしくは1/3の仕事がRPAに置き換わると予測しています。

RPA活用の背景には、働き方改革があります。データ入力などの単純作業をRPAで代替させることができれば、人間はその作業から解放されます。浮いた時間で従業員はより高度な技能や判断が必要とされる業務に取り組めるようになり、業務の生産性向上が期待できます。

企業にとっては、生産性を向上させつつ労働時間を削減することにつながるのです。

RPAで自動化できる業務として、以下のようなものがあります。

  • Excel台帳からシステムへのデータ転記
  • システム内の注文データを基にした請求書作成
  • 経費チェック
  • ダイレクトメールの発送業務
  • 顧客データの管理

例えば、人事関連では以下の業務で導入の余地があります。

  • スコアリング(人事評価)
  • 給与計算
  • 社内システムのマスタ登録・変更
  • 採用準備 など

現在、RPAの多くは定型業務を主としますが、将来的には作業の自動化のみならず意思決定までも自動化することが可能といわれています。

RPAのメリットは以下の通りです。

・業務処理のスピード向上
・コスト削減
・生産性の向上
・売り上げ拡大

一方で、導入時には以下の点に注意する必要があります。

・運用ルールの整備
・情報セキュリティ対策の実施
・バックアップ体制の構築

定型的な事務作業が多い金融業界や保険業界ではRPAの導入が進み、業務量・時間の削減や効率化など、一定の成果を上げています。

働き方改革で長時間労働の是正が叫ばれる昨今、業務の在り方を見直している企業も多いでしょう。RPAの導入で単純作業が減れば、従業員は人間にしかできない創造的な業務に時間を割くことができます。結果として、生産性の向上だけでなく、長時間残業の抑制にもつながります。

この機会に、RPAを検討してみてはいかがでしょうか。

[1] 株式会社矢野経済研究所「RPA市場に関する調査を実施(2020年)」,https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/2599?_fsi=FV4paf0r

参考)
総務省 RPA(働き方改革:業務自動化による生産性向上)
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/02tsushin02_04000043.html
株式会社矢野経済研究所 「RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)市場に関する調査を実施(2018年)」
https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/2085
日本RPA協会
https://rpa-japan.com/
MUFG BANK 三菱東京UFJ銀行が可能性を拡げる、金融機関でのRPA導入による業務効率化
https://innovation.mufg.jp/detail/id=192
毎日新聞 3大手銀RPA活用広がる 単純作業をコンピューターで
https://mainichi.jp/articles/20180315/k00/00m/020/108000c
RPA Technologies RPA導入事例 日本生命保険相互会社
https://rpa-technologies.com/case/case003/

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