「『ギグワーカー』が活躍していると聞くが、例えば当社でも活用できる人材なのだろうか?」
「ギグ」と聞くと「ライブ」を連想されるもいらっしゃるかもしれませんが、ギグワーカーとは、「インターネットを通じて、単発で、希望する時間だけ働く人たち」のことを指します。Uber Eatsの配達員はまさに代表的な存在で、皆さんにとっても一番身近な例でしょう。
特にコロナ禍の現在、ギグワーカーは企業のピンチを救う存在にもなっています。すでに多数のギグワーカーが活躍していますが、採用する側として一歩踏み出すには、彼らの特徴や人材の質など、気になることが色々あるかと思います。
本稿では、ギグワーカーの実態や仕事内容のほか、採用に役立つ、ギグワーカーの登録プラットフォーム一覧も掲載しています。長期間・長時間にわたる雇用をしなくても、柔軟に外部の人材を活用できる手段の一つとして、ギグワーカーについて理解しておくとよいでしょう。
ギグワーカーの実態、活用法を知ることで、今後、新しい人材活用の活路を見いだすきっかけとなれば幸いです。
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目次
1. ギグワーカーの意味・定義や具体的な仕事とは
「ギグワーカー」という名前を聞いたことがあっても、実際にどういう働き方をする人たちなのか、よく知らないという場合も多いのではないでしょうか。
まずは、ギグワーカーの実態を詳しく見ていきましょう。
1-1. ギグワーカーの意味
ギグワーカーの「ギグ(gig)」とは、音楽用語で「ライブハウスなどで行われる短いセッションや演奏」のことを意味します。まるでその場限りで生まれるセッションのように、「インターネットを通じて、単発で、希望する時間だけ働く人たち」を表すために生まれたのが、「ギグワーカー」という言葉です。
ギグワーカーは、下記の通り大きく3つの特徴があります。
・単発や短期の仕事を受注する。時間単位で働くこともできる。
・本業を持つ人が副業として働くことも多い。
ギグワーカーの最大の特徴は、上記の2番目の項目です。時間単位、しかも最短で1時間からといった非常に限定的な時間で、単発の業務を行うというスタイルをとっています。
これまで、フリーランスや、クラウドソーシングサービスを通して仕事を受注するクラウドワーカーのような外注人材を活用する際は、異なるスタイルを取ることが多くありました。具体的には、納期が決まった成果物の納品や、中長期の継続的な業務委託という形で業務を依頼していたのです。
対して、ギグワーカーには、例えば「1日だけ作業員として働いてくれる人」、「この日に2時間だけ接客担当してくれる人」というような募集・依頼の仕方が主となります。
ギグワーカーは、もともと企業側に単発で働く人材のニーズが高かったことに加え、新型コロナウイルスの影響を受けて増加しています。
人材マッチングのプラットフォーム事業を手掛けるランサーズが公表している「新・フリーランス実態調査2021-2022年版」によると、ギグワーカーが該当する「自由業系フリーワーカー」は297万人と、新型コロナウイルスの感染拡大前である2020年2月調査時点(58万人)の約5倍超となっています[1]。
この背景には、企業とワーカーのニーズのマッチがあります。例えば、感染者数が少ない日だけ忙しく人手が欲しい飲食店や、ギグワーカーをやりくりすることで人件費を抑え、経営を維持したいホテルなどの企業が存在します。
一方で、飲食店やホテルの経営難により長期の安定したアルバイトを見つけることが難しくなったワーカーは、都合のよいときにだけ働ける単発の仕事を求め、収入の安定を図ろうとします。このように、発注側と受注側の両者の間でニーズがマッチしました。
1-2. ギグワーカーの具体的な仕事内容
次に、ギグワーカーが活躍している仕事の具体例を見ていきましょう。
・接客
・調査
・講師
配達
ギグワーカーの仕事として広く知られているのは、Uber Eats(ウーバーイーツ)に代表される配達業務です。
都合の良い時間帯だけ勤務して、その時間内に発生している依頼を受注して働くシステムで、フードデリバリーだけではなく、貨物(荷物)の配達を行う業務も広まっています。
最低限、案件を受注するためのスマホなどの端末、自転車などの移動手段があれば、特別なスキルがない人材でも即戦力として活躍できるフィールドと言えるでしょう。
接客
飲食店やイベントなど、人手が足りない店舗や時間帯に、ギグワーカーが活躍しています。
接客の経験があり、スキルは高いけれど固定の店舗でシフトを組むのは難しい、働ける時間だけ働きたい、という人材を有効活用することができます。
調査
覆面調査という単発の仕事自体は、だいぶ前から浸透はしています。しかし、登録者の都合の良い時に実施できる調査を選択して行う、という意味では立派なギグワークと言えます。
好奇心が強く、観察力やコミュニケーション力が高い人材に向いているでしょう。
講師
社内向けの研修なども、オフラインだけでなくオンラインで受講できるのが当たり前になってきました。それはつまり、講師も自宅からでも仕事ができる時代だということです。
専門的なスキルの高い人材が、好きな場所で都合のよい時間に講師の仕事を行うことで、講師側も、依頼する企業側もwin-winの関係性を築くことが可能です。
ここまで、ギグワーカーの具体的な仕事内容を見てきました。ギグワーカーが活躍できる仕事は多岐にわたります。ギグワーカーは企業にとって、さまざまな場面で「必要な時に必要なだけ」働いてくれる人材として重宝する存在となるでしょう。
1-3. 日本とアメリカの現状 収入には大きな差
前述のように、日本でも普及が進んでいるギグワーカーではありますが、発祥の地の欧米と比べてみると、実はその実態が少し異なることがわかります。
顕著な違いは、年収です。日本のギグワーカーの年収についてはデータがないため、フリーランスの年収と比べてみます。
日本のフリーランスを本業としている人の年収は、200万円以上300万円未満がボリュームゾーンとなっています[2]。
対して、アメリカのギグワーカーの平均年収は、630万円[3]です。
アメリカでは、ギグワーカーの40%が10万ドル(約1,090万円)以上稼いでいるとされています[4]。
なぜこれほどまでに差が生まれるのでしょうか。そもそも平均賃金に差があるとしても、その背景には、アメリカと日本の、働き方に対する決定的な違いが影響しています。
日本人は、基本的に正社員志向が強く、固定の企業で長期間働く人材が多くなっています。人材の入れ替わりが少ないことから、業務遂行のための知識やスキルは属人的になりがちです。すると、特に企業の根幹に関わるような価値の高い仕事は、外注に切り出すことが難しくなってしまいます。
つまり、単発や部分的な仕事を担うギグワーカーが参入する余地は少ないということです。
対してアメリカは、転職を繰り返しながらキャリアアップをすることがスタンダードな風土です。そのため、いつ退職する人が出ても困らないよう仕事が標準化されており、残ったメンバーが退職者の仕事をカバーできるようになっています。また、一人当たりの仕事量を抑え、人数を確保する傾向が強いようです。
ギグワークという働き方が成立する素地が十分にある環境と言えるでしょう。
また、アメリカには、日本と同じような簡易的な作業を担うギグワーカーもいる一方、一企業に依存しない独立した高い技術を持つギグワーカーも少なくありません。
実際に、アメリカの恒久的かつフルタイムで働くギグワーカーの37.6%が修士号を持つ人材です[5]。ギグワーカーとして働くことは、個人が自由な働き方を追求する手段の一つなのです。
長らく終身雇用制度が根付いていた日本でも、近年は転職が当たり前になりつつあるほか、人材が持つスキルや経歴を重視するジョブ型雇用も注目されています。将来的にはアメリカのように、ギグワーカーが担う仕事も増えていくかもしれません。
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2. ギグワーカー活用 ワーカー側と発注側のメリットとデメリット
ここでは、ギグワーカー側と、ギグワーカーに業務を発注する企業側のメリットとデメリットを見ていきます。
2-1. ワーカー側のメリット
ワーカー側のメリットとしては、以下が挙げられます。
・多面的なキャリアを積むことができる
・労働契約や報酬についての手続きが簡単
都合の良い時間・場所で働ける
ギグワーカーとして働く最大のメリットは、自分が働きたいときに、好きな場所で働けることです。
例えば、会社に縛られたくない、育児や介護などで不規則で限定的な時間にしか稼働できないという人でも仕事を見つけることができます。
また、お小遣い稼ぎをしたい、急に暇になったから働きたいという人なども、ちょっとした隙間時間を活用して働けます。
多面的なキャリアを積むことができる
ギグワーカーは、働く場所や職種が固定されないため、さまざまな経験を積むことができます。
特定のスキルを持つ人であれば、一つの企業だけでなく、多くの企業で働くことで、多面的なキャリアを積むことができます。
労働契約や報酬についての手続きが簡単
契約面においては、通常のフリーランスの場合は、仕事を受注する際、仕事のたびに相手企業との契約書を交わすのが一般的です。
契約書は自分で隅々まで確認し、労働条件や不明点などを企業側とすり合わせなければならず、仕事を開始するまでにそれなりの手間と時間が掛かります。
一方、ギグワーカーは、一度プラットフォームに登録し、プラットフォームとギグワーカーの間で契約を交わせば、個別の案件を受注する際には新たな契約書を取り交わす必要がありません。
また、報酬面においても、大抵のプラットフォームが直接現金での支払いを禁じています。そのため、報酬の未払いや遅延などの問題も起こりにくく、報酬の透明性が確保されやすくなっています。当初提示されていた金額を払ってもらえなかった、などのトラブルにもつながりにくい仕組みです。
ここまで、ワーカー側のメリットを見てきました。フリーランスと同じような自由がありつつも、契約や報酬面でのハードルが低く、気軽に働けるのがギグワーカーの良いところと言えるでしょう。
2-2. ワーカー側のデメリット
デメリットについても見ていきましょう。デメリットは、以下のようなことが考えられます。
・安定した収入を得られる保証がない
・ギグワーカーを守る仕組みが未整備である
会社員のような保険や福利厚生がない
ギグワーカーの最大のデメリットは、企業で正社員として働く人に最低限ある社会保証が手薄である、という点でしょう。
通常のフリーランスと同様、雇用保険や健康保険などは対象外となり、福利厚生もありません。税金や年金などの手続きもギグワーカー個人の管理となることがほとんどです。
安定した収入を得られる保証がない
ギグワーカーの仕事は単発や部分的なものが多くなっています。継続して仕事を依頼される場合もありますが、突然依頼されなくなることも考えられます。
また、自分の希望する仕事が少ない、同じ仕事を希望する人が増えたなどで、希望する収入が得られない場合もあります。
安定的に一定の収入を得たいという人には厳しい働き方になるでしょう。
ギグワーカーを守る仕組みが未整備である
ギグワーカー日本においてまだ新しい働き方です。そのため、ギグワーカーを守る法整備や仕組みが整っていません。
仕事中に事故やケガなどのトラブルが起きても、プラットフォーム側の保証があることはまれで、基本的には全て自己責任で処理しなければなりません。
しかしながら、最近は徐々にギグワーカーを守る仕組みづくりが試みられています。
2019年10月、Uber Eatsの配達業務従事者が、一般企業の労働組合に相当する団体である「ウーバーイーツユニオン」を立ち上げました[6]。
ギグワーカーであっても最低限保証されるべき待遇があるという主張を、運営企業に向けて発信し始めているのです。今後は待遇改善が進んでいくかもしれません。
ここまで、ギグワーカーとして働く際のデメリットを見てきました。企業側は、このような点をよく理解した上で、発注をするように心掛けましょう。
2-3. 発注側のメリット
今度は発注側から考えてみましょう。発注側には、以下のようなメリットがあります。
・幅広い属性の人材を活用できる
必要な人材にピンポイントでコストを掛けられる
企業は正社員を雇用すると、社会保険料や教育費など多くの費用が、雇用した人数分掛かります。
一方、ギグワーカーに仕事を依頼すれば、社会保険料や教育費などが必要ない分、これらを全て報酬に充てることができます。報酬が高ければ応募者が集まりやすく、その中から優秀な人材を確保できる可能性が高まるでしょう。
幅広い属性の人材を活用できる
ギグワーカーとして働くハードルはそれほど高くないことから、さまざまな属性の人材を活用できる可能性があります。
例えば、育児中、介護中など、決まった時間に働くのは難しいが、過去の職務経験によって即戦力になるという人も多くいます。
今の社会制度で埋もれてしまっている人材に、短時間かつスポット的な活躍の場を与えることができるという点が大きなメリットと言えます。
このような発注側のメリットは、より高い報酬が得られる、社会参加できるといったギグワーカー側のメリットにもつながり、win-winの関係を築けます。
2-4. 発注側のデメリット
発注側には、大きなメリットがある一方で、以下のようなデメリットもあります。
・情報漏えいなどセキュリティリスクがある
仕事のクオリティにばらつきが出る
ギグワーカーとの付き合いは、通常、非常に短期的なものです。その時に採用する人材によって、持つスキルのレベルや理解力、実行力などが異なります。
発注する仕事は同じでも、常に安定的なクオリティが提供されるとは限りません。
情報漏えいなどセキュリティリスクがある
発注側のセキュリティ管理が甘い場合、ギグワーカーが機密情報にアクセスしてしまうことも考えられます。最悪のケースとして、情報漏洩などのリスクもあります。
セキュリティ管理はしっかりと行うようにしましょう。
以上のデメリットは、外部の人間に仕事を依頼する上で避けられないリスクです。デメリットをカバーする十分な対策を行い、うまくギグワーカーを活用していくとよいでしょう。
3.【企業向け】ギグワーカー採用の手順
ここまでギグワーカーを採用する際のメリット・デメリットについて見てきました。
ここからは、実際にギグワーカーを採用するにあたって、具体的にどのような手順を踏めばよいか、順を追って見ていきましょう。
3-1. ギグワーカーに発注したい仕事を選定する
まずは自社の仕事の中から、ギグワーカーに発注したい仕事を選定します。
既述のとおり、ギグワーカーは時間単位での働き方をする人達です。納期までに成果物を求めるような仕事ではなく、「時間単位で働いてもらうことで自社のビジネスにメリットがあるような仕事」を切り出してみてください。
例えば以下のような仕事では、人件費を大幅に削減した上で、その時にだけ必要な人手を確保できるメリットが得られます。
・忙しい時間帯のみの接客スタッフ
・天気が良い日のみの農業スタッフ
・スタートアップ企業のスタッフ(発注する仕事が長期的に存続しない可能性がある場合)
このような観点で、ギグワーカーに発注するとよさそうな仕事を選定しましょう。
3-2. プラットフォームに登録して募集する
発注する仕事を選定し、いざギグワーカーの採用の段階となったら、ギグワークを多く扱うプラットフォームへ法人登録をして募集を開始しましょう。
今の日本において、ギグワークはまだ認知度が高いとは言えないため、ギグワーカー専用のプラットフォームの市場は、そこまで大きくありません。
クラウドワーカーの仕事と明確な線引きはされずに、受発注されているケースがほとんどです。
代表的なプラットフォームについてはそれぞれの特徴を含めて次項にまとめましたので、是非参考にしてみてください。
3-3. ギグワーカー採用プラットフォーム一覧
代表的なギグワーカー採用のプラットフォームを一覧にしました。情報はすべて2022年2月1日現在のものとなっています。
サイト名・URL | 手数料 | メリット | 注意点・備考など |
Casegoo(カセグー) https://genkiwork.com/casegoo/ | 無料 | システム手数料などがかからず、すべて無料で利用できる | 特になし |
Timee(タイミー) https://timee.co.jp/business/ | 報酬の30% | ・引き抜き手数料無料→直接契約へ移行しやすい ・ワーカー200万人登録[7] ・ワーカーのドタキャンを防止するペナルティ制度や過去の実績・評価が見える機能などがある | 手数料が割高 |
coconala(ココナラ) https://coconala.com/ | 購入金額の5.5% | 「ココナラビジネス」というビジネス向けのサービスがある | 58万件超の出品がある[8] ので、ので、発注側が求める人材を探す手間がかかる |
GiG Works Basic(ギグワークスベーシック) https://basic.gig.co.jp/ | 報酬の10% | 手数料が割安 | 特になし |
シェアフル https://sharefull.com/ | 日給(時給×就業時間+交通費)の30% | 事前に応募者と直接コンタクトを取れる | 紹介手数料が割高 |
人事担当者が特に気になるのは、これらのプラットフォームに登録している人材が、本当にしっかり働いてくれるのか、ということだと思います。
少なくとも上記のプラットフォームでは、ワーカーのプロフィールを確認できます。
既述のとおり、ギグワーカーの中には、素晴らしい経歴を持ちながら、何らかの事情で長時間勤務が難しいという人や、特定の業務を何度も経験したベテランなどが登録しています。
依頼したい仕事を真面目にこなしてくれそうな経歴・スキルを持った人材を選定するとよいでしょう。
加えて、プラットフォームによってはリマインドやキャンセルについてのペナルティ機能があり、ワーカーのスムーズな業務遂行を促しています。
プラットフォーム側がフォローやサポートをしてくれる場合があるので、疑問や心配事があればひとまず相談してみるとよいでしょう。
4.【企業向け】ギグワーカーに発注する際のポイント
ここまでで、具体的なギグワーカー活用の方法をイメージいただけたのではないでしょうか。
最後に、ギグワーカーに仕事を発注する際のポイントを2つお伝えします。
・良い人材は直接雇用も検討を
セキュリティ管理に問題なく単発で完了できる仕事に絞る
発注側デメリットで述べた通り、ギグワーカーに発注する仕事の選定には気をつけるべきポイントがあります。
1つ目は、会社の機密情報に触れるような、セキュリティ面で問題のある仕事は避けることです。
2つ目は、専門的でありながら、単発で完了できる仕事であることです。
例えば、ホームページのメンテナンスや、動画制作、素材の撮影などが考えられます。その他、移動コストのかかる地方での単発イベントのスタッフなどは、近場に住んでいるワーカーをアサインするのが有効な手段と言えます。
良い人材は直接雇用も検討を
ギグワーカーに継続的に仕事を発注していると、自社のために働く労働者としての権利を主張される可能性があります。例えば、もっと安定的な発注や、経費に対するフォローなどを求められるかもしれません。
一方で、発注側としても、ギグワークを通して高いクオリティを安定的に発揮する人材を見つけたら、より良い待遇を提示し、契約形態を変更することはメリットになり得ます。
これからの時代、ワーカー側・発注側ともにwin-winとなるような、新しい働き方を追求していきたいものです。
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5. まとめ
ギグワーカーとは、仕事を受注するためのプラットフォームに登録し、単発・部分的な仕事を請け負う、もしくは最短で1時間からの時間単位で働く人たちのことです。
従来、外部人材に仕事を依頼する際は、納期が決まった成果物の納品を依頼したり、中長期の継続的な業務委託という形で業務を依頼したりすることが多くありました。このような形で働くフリーランスやクラウドワーカーとは異なります。
コロナ禍の中、感染者が少ない日だけ人手が欲しい飲食店や、ギグワーカーをやりくりすることで人件費を抑え、経営を維持したいホテルなどの企業が増えています。このような企業と、長期の安定したアルバイトを見つけることが難しいワーカーのニーズがマッチし、ギグワーカーは増加しています。
ギグワーカーが活躍している具体的な仕事例は、以下の通りです。
・配達
・接客
・調査
・講師
日本と、ギグワーカーという働き方が浸透しているアメリカでは、フリーランスやギグワーカーとして働く人の収入に大きな差があります。
日本のフリーランスの年収のボリュームゾーンは200万円以上~300万円未満です。日本人は正社員志向が強く、企業内での人の入れ替わりが少ないことから、業務遂行のための知識やスキルが属人的になりがちです。そのためギグワーカーに発注される仕事が増えにくくなっています。
対して、アメリカのギグワーカーの平均年収は630万円です。平均年収が高い理由としては、
・転職によるキャリアアップが当たり前であるアメリカの文化
・恒久的かつフルタイムで働くギグワーカーの37.6%が修士号を持ち、専門的スキルの高い人材が多くの企業で活躍している
この2つが考えられます。
ギグワーカーとして働く場合のメリット・デメリットは以下のようなものがあります。
<メリット>
・都合の良い時間・場所で働ける
・さまざまな経験を積むことができる
・労働契約や報酬についての手続きが簡単
<デメリット>
・会社員のような保険や福利厚生がない
・安定した収入を得られる保証がない
・ギグワーカーを守る仕組みが未整備である
ギグワーカーに仕事を発注する場合のメリット・デメリットは以下のようなものがあります。
<メリット>
・必要な人材にピンポイントでコストを掛けられる
・幅広い属性の人材を活用できる
<デメリット>
・仕事のクオリティにばらつきが出る
・情報漏えいなどセキュリティリスクがある
実際にギグワーカーを採用する際の具体的な手順は以下の通りです。
1. ギグワーカーに発注したい仕事の選定
2. プラットフォームへ法人登録をして募集を開始
発注時のポイントは2つあります。
・セキュリティ管理に問題なく単発で完了できる仕事に絞る
・ギグワーカーで良い人材と巡り合えば直接雇用も検討する
優秀な人材が社会に埋もれがちな今の時代だからこそ、ワーカー側、発注側ともにwin-winとなるような、新しい働き方を追求してみてはいかがでしょうか。
[1] 「4つのタイプ別 フリーランス詳細」,『【ランサーズ】新・フリーランス実態調査2021-2022年版』, https://speakerdeck.com/lancers_pr/xin-huriransushi-tai-diao-cha-2021-2022nian-ban (閲覧日:2022年2月4日)
[2] 内閣官房日本経済再生総合事務局「フリーランスとしての年収」,『フリーランス実態調査結果』, 令和2年5月, https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/miraitoshikaigi/suishinkaigo2018/koyou/report.pdf (閲覧日:2022年1月28日)
[3] Abdullahi Muhammed「米ギグワーカーの4割が年収1000万円超 高収入を得るコツは」,『Forbs JAPAN』,2019年7月14日, https://forbesjapan.com/articles/detail/28386/1/1/1 (閲覧日:2022年1月28日)
[4] 脚注2と同様。
[5] 脚注2と同様。
[6] 吉田貴司、村井七緒子、藤えりか「ウーバー配達員が労組結成 治療費や距離算定の改善を」,『朝日新聞DIGITAL』,2019年10月4日, https://www.asahi.com/articles/ASMB25W4TMB2ULFA029.html (閲覧日:2022年2月1日)
「私たちの主張・要求」,『ウーバーイーツユニオン』, https://www.ubereatsunion.org/ (閲覧日:2022年1月31日)
[7] 2021年9月現在。(「タイミーの利用者数は?」,『タイミーヘルプページ』, https://help.timee.co.jp/ja/knowledge/%E3%82%BF%E3%82%A4%E3%83%9F%E3%83%BC%E3%81%A7%E5%83%8D%E3%81%8F%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%81%95%E3%82%93-%E5%88%A9%E7%94%A8%E3%81%97%E3%81%A6%E3%81%84%E3%82%8B%E4%BC%81%E6%A5%AD%E3%81%AE%E6%95%B0%E3%81%AF (閲覧日:2022年1月31日))
[8] 2022年2月1日現在。(「すべてのカテゴリからの検索結果 (577,634件)」,『coconala』, https://coconala.com/search (閲覧日:2022年2月1日))
参考)
「ギグワーカーの意味とは? メリットと新たな働き方から見るアフターコロナの世界」,『ferret』.2020年7月29日, https://ferret-plus.com/18280 (閲覧日:2022年2月4日)
「ギグワーカーとは」,『NHK政治マガジン ねほりはほり聞いて!政治のことば』,
https://www.nhk.or.jp/politics/kotoba/26245.html (閲覧日:2022年2月4日)
「イマドキ知らないとヤバい!?ギグワーカーとは ~そのメリットと問題点~」,『株式会社WWG』,2020年9月4日, https://wwg.co.jp/blog/8567 (閲覧日:2022年2月4日)
「ギグワーカーとは ネット経由で単発の仕事請け負う」,『日本経済新聞』,2021年3月3日, https://www.nikkei.com/article/DGXZQODC027I30S1A300C2000000/ (閲覧日:2022年2月4日)
「ギグワーカーだけが真の働き方改革を起こす」,『OFFCOMPANY』, https://off.company/gigwork (閲覧日:2022年2月4日)
大西由夏、豊島あかり「5倍に急増 ギグワーカーの実態は…」,『NHK』, 2021年5月28日, https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210528/k10013051781000.html (閲覧日:2022年2月1日)
Khukhuu Chinbat「NYのメディアエージェンシーで見た人と仕事の流れ」,『電通報』,2019年10月29日, https://dentsu-ho.com/articles/6934 (閲覧日:2022年2月4日)