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ストレッチアサインメントとは 人材育成には計画的な「背伸び」を

ストレッチアサインメントとは 人材育成には計画的な「背伸び」を

ストレッチアサインメントとは、現在の実力では達成困難と思われる役職・ポジションにあえて任命することでその人の劇的な成長を促す、という人材育成法です。

「適材適所」とはかけ離れた、ある種の「むちゃ振り」と捉えられる考え方ともいえるでしょう。しかし、多くのビジネスマンが自身の成長を振り返ったとき、「チャレンジングな仕事した経験」が自分を成長させてくれたと感じていることもまた真実です。

だからといって、むやみに部下に難題を押しつけることをストレッチアサインメントとは呼びません。逆境に置かれたときに見せる反応は人それぞれです。逆効果となった場合、仕事に対するプレッシャーや新しい人間関係から来るストレスにより、仕事自体が手につかなくなってしまうケースも考えられます。

それでは、ストレッチアサインメントを効果的に行うにはどうすればよいのでしょうか。本稿では、ストレッチアサインメントの特徴や適用する際の注意点についてご紹介します。

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1. ストレッチアサインメントとは

ストレッチアサインメントとは、「達成が困難と思われる仕事をあえて任せることで、その人の潜在能力を呼び起こし、急激な成長を促進すること」です。

よく「立場が人を成長させる」といわれますが、今の実力ではできないかもしれないレベルの課題を与え、解決に取り組ませる中で、その人の問題解決能力やチャレンジ精神が一層磨かれる、というのがこの育成法の核心です。

ストレッチアサインメントが注目されているのはなぜでしょうか。近年、「グローバル人材の育成」や「人間力の向上」など、企業の活動の中でも特に「人」の育成が重要視されています。人材は企業・組織にとって最大の資産であり、いかに優れた人材を育て確保するかがその企業の価値に直結するという考え方です。

そして、人材育成とは本人の素質・やる気と同じくらい、上司のマネジメントによりその成果が左右されるものです。考えなしに部下全員に「修羅場」を与えるのではなく、当事者一人一人の性質を加味した上で、成長に必要な経験を得られる機会を提供しなければなりません。

そのような要素を満たす人材育成手法として、「ストレッチアサインメント」が人事担当者や経営者からの関心を集めています。

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2. ストレッチアサインメントの特徴

ストレッチアサインメントによる人材育成にはどのような特徴があるのでしょうか。特徴として挙げられる、通常の人材育成・登用法とは違った効果や注意点は以下の通りです。

人や組織の成長を加速させる

いわゆる「適材適所」との最大の違いは、育成対象者やその所属する組織の「可能性」を伸ばすという点です。

適材適所は、現状でのベストパフォーマンスの実現を目指した人材登用法といえます。過去に担当したことのある仕事に類似した業務を割り振る、あるいは人材の持つ専門性を生かせるポジションを用意する、といった具合です。この方針に従うことで、一定以上の効率性や確実性を実現できるでしょう。

一方、ストレッチアサインメント人や組織の持つポテンシャルそのものを伸ばす考え方です。

国内事業で実績が振るわなかった人を海外事業のリーダーに抜擢する、今まで担当していた仕事とは全く異なるジャンルの課題を与えるなどを行い、育成対象者に経験を積む中でクリエイティブな発想力や、率先して打開する行動力を身に付けてもらおうというのがこの考え方の特徴です。

適材適所の方針で育った人材は、現状が続く限りでは安定した成果を発揮するでしょう。

しかし社会全体の変化が激しい現代においては、課題を突破する力、それも既存の考えにとらわれずに独自の問題解決法を生み出す力が必要とされています。そのような力を身に付けるには、人や組織が意識的に成長していくことが最も重要です。

成果が上司のマネジメントに大きく左右される

課題や新たな仕事に挑戦するのは仕事をする本人ですが、その場を与えることは上司や経営者の役割です。

「逆境にどう立ち向かうか?」「最後まで役目を全うする気概はあるか?」などを部下との交流の中で正確に見極め、さらに「この課題を乗り越えたとき、この人はこう成長している」という自身の想定がかみ合えば、本人の努力に比例した大きな成長が見込めます。

その一方で、プレッシャーに弱い人物と分かっているにもかかわらず困難な課題だけを与えるなど、これらの見通しができていない状態で実施すれば、成長が期待できないどころか仕事に対する熱意を奪いかねません。

良くも悪くも、人材をマネジメントする側の影響を受けやすい育成法といえるでしょう。


3. ストレッチアサインメントの注意点

実際にストレッチアサインメントを行う際にはどういった点に気を付けるべきなのでしょうか。一つずつ確認していきましょう。

課題を与える時期や、課題そのものの難易度を見極める

教育対象となっている人材の誰もが逆境に強い性質を備えているわけではありません。現在の実力と要求される成果の間にあまりにも隔たりがある場合、仕事そのものに対して消極的な態度を取るようになってしまったり、うつ病を患ってしまったりするケースも考えられます。

対象の人材の向上心がどの程度か、または当人の資質を伸ばすにふさわしいプロジェクトがあるか、などの点を参考に、ストレッチアサインメントを行う時期やその難易度を調整することが必要です。

課題に取り組んでいる最中は、積極的な手助けはしない

自分の部下が、今まで経験したことのない環境やジャンルの中で必死になって打開策を導き出そうとしている光景を見ると、上司として助け舟を出してあげたくなるものです。

しかし、この困難は直面している本人の力で乗り越えなければ意味がありません。「プロジェクトの期限が迫っているから」や「失敗する可能性が高いから」といった理由で事前に援助の手を指し出すことは、この人材育成法の趣旨に反してしまいます

援助することは一見すると部下のことを考えた行動に思えるかもしれませんが、これでは「大変な苦労をしたのに、結局問題解決能力は身に付かなかった」という結果になりかねません。辛抱強くじっくりと、部下の行動を見守ることが重要です。

適切なタイミングでフィードバックを行う

とはいえ、プロジェクト完了時までその仕事ぶりを見ているだけ、という態度も正しいとはいえません。部下の仕事には適時にフィードバックをする必要があります。また、「自分の努力は正しいのか?」「この方針で間違っていないのか?」など、部下の抱える悩みにもスピーディーに対応する必要があります。

過保護になり過ぎず、しかし大事な局面では必ず相談に乗る、この辺りのバランスを取ることが、ストレッチアサインメントを行う上で上司に最も求められる能力なのです。


4. まとめ

ストレッチアサインメントとは、人材の可能性に注目し、あえて達成困難な課題に取り組ませることで、その人材の急激な成長を促す人材育成法です。まさに、「立場が人を成長させる」を実現するための育成法といえるでしょう。

ストレッチアサインメントの特徴としては次の2点があります。
・人や組織の成長を加速させる
・成果が上司のマネジメントに大きく左右される

一方、注意点もあります。
・課題を与える時期や、課題そのものの難易度を見極める
・課題に取り組んでいる最中は、積極的な手助けはしない
・適切なタイミングでフィードバックを行う

ストレッチアサインメントは部下や組織の急激な成長が期待できる一方で、どういった人材に効果的なのか、育成において上司が心がけるべきことは何なのか、といった点を十分に理解しておく必要があります。

これらの点を見極め、ストレッチアサインメントを上手に取り入れることができれば、人材や組織の一段の飛躍が望めるのではないでしょうか。

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<参考>
https://hcm-jinjer.com/media/contents/contents-2076/
http://bunpitsugeki.jp/john3358.html
https://www.mercer.co.jp/our-thinking/consultant-column-689.html
https://www.shimadzu.co.jp/boomerang/37/07.html

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