オンライン面接とは、パソコンやタブレット、スマートフォンのカメラや電話機能を使って面接をする方法です。
「広く優秀な人材を募集したいが、会社が地方にあるため応募者が少ない」
という企業や、
「いろいろな企業の採用面接を受けてみたいけれど、時間と交通費を考えると難しい」
という応募者、双方の課題や悩みを解決するのに有効な手段として、徐々に導入する企業が増えています。
本稿では、オンライン面接とは何か、メリット・デメリット、導入時に注意すべきポイントとともにご紹介します。
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1. オンライン面接とは
オンライン面接とは、インターネットの通話機能とパソコンやスマートフォンなどのカメラ機能を活用して面接する方法です。
すでにアメリカでは、SkypeやGoogleハングアウトを利用したオンライン面接が普及していましたが、日本では2010年頃から導入する企業が増えてきました。最近では、従来のテレビ電話システムにはなかった情報管理機能を搭載し、セキュリティにも配慮された専用のシステムが構築され、各ベンダーより提供されています。
ファーストリテイリングやサイバーエージェント、三幸製菓など大手企業が導入し、今後、広がりが予想されるオンライン面接。その理由はどこにあるのでしょうか。次章ではメリットと、一方で考慮すべきデメリットについて見ていきましょう。
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2. オンライン面接のメリット・デメリット
企業、応募者それぞれのメリットとして次のようなことが挙げられます。
◆企業
時間を節約できる
人材採用をする際、通常は応募受付後、書類選考、複数回の面接を経て採用という流れが一般的です。ここで、例えば、最終面接のみ応募者と直接対面することにすれば、それまでのプロセスをウェブ上で進めることで採用にかかる時間を節約し、担当者の負担を軽減することができます。
広範囲の地域から多数の応募を受けられる
遠方であることを理由に応募に至らなかった地域からの応募が増えるなど、優秀な人材を確保しやすくなります。また、海外にも採用枠を広げることも可能になります。
地方の企業が首都圏に住む応募者を雇用した場合には、Uターン・Iターン就業支援助成金の交付対象になるため、大きなメリットと言えるでしょう。
費用を抑えることができる
採用活動のために担当者が出張していたような場合、オンライン面接に切り替えることでその費用を削減できます。
面接時の記録を共有できる
面接時の状況は動画として保存できるので、面接後に複数の担当者が合否の検討や面接方法の見直しをすることができます。その結果、面接の質が向上・維持され、評価の基準に偏りがなくなります 。
◆応募者
時間を節約できる
面接に出向くための時間を省くことができます。希望する企業が遠隔地であれば効果は大きいでしょう。
また、在職中に転職活動をしているような場合、面接のための時間を捻出する難しさがありますが、オンライン面接であれば隙間時間や帰宅後の時間を活用できます。
場所による制約がない
パソコンとウェブカメラ、あるいはスマートフォンがあればオンライン面接は可能です。そのため、希望する企業が遠方で移動に伴う費用や時間がネックとなり応募を諦めていた企業でも面接を受けることができます。
費用を削減できる
大学生の就職活動で、移動にかかる費用は数万~十数万円と言われています。オンライン面接であれば、その費用が不要になります。
参考)日本経済新聞 「就活費用、19年卒は10万円超え 4割はバイトで捻出」
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO32956340T10C18A7EAF000/
慣れた場所でできる
慣れない場所での面接は、面接時刻までにそこに到着できるかという不安や、待機中の緊張など精神的プレッシャーを増大させがちです。自宅であればそのようなプレッシャーを軽減でき、面接に集中しやすくなります。
スマートフォンを利用できる
大学生のスマートフォン所有率は94.8%で、ノート型パソコンの75.9%を上回っているという調査結果があります。使い慣れているスマートフォンで面接できれば、面接への抵抗感を軽減できるでしょう。新たに機器を購入する必要もありません。
参考)リクルートキャリア 就職みらい研究所「『大学生の実態調査2016」 -大学生の生活実態編-」
https://www.recruit.co.jp/newsroom/recruitcareer/news/pressrelease/2016/160210-01/
一方で、以下のようなデメリットもあります。
◆企業
直接対面する時よりも、得られる情報量が少なくなる
応募者の動作が見えないため、ちょっとした所作から感じられる応募者の様子や雰囲気などは把握しづらいという問題があります。
ネットワーク環境に左右される
通信環境の不具合などで面接が中断したり、実施できなくなる場合もあり得ます。対処のしかたによっては応募者の信頼を失い、その情報がSNSで拡散するという事態になりかねません。トラブル対応の方法を決めておく、事前確認を怠らないなどのルールを社内で共有しておくことが重要です。
システムの導入にコストがかかる
前出のSkypeやGoogleハングアウトは無料のサービスですが、このような無料のものではなく、有料のオンライン面接システムを導入する場合は、当然ながら費用がかかります。
◆応募者
企業側の指定する方法に対応する必要がある
企業側の面接システムに合わせてアプリケーションをインストールするなどの作業が伴う場合があります。場合によっては新たに機材を購入しなければならないこともあるでしょう。インストールや設定についての知識や経験も必要となります。
面接場所の確保が必要
自宅など、面接に使う場所を整頓しておくことは大事です。カメラに映り込む背景が雑然としていては面接官に与える印象も悪くなるからです。面接中の雑音、ライティングなどにも注意を払う必要があります。
トラブルに対応する能力が必要
ネットワークトラブルで音声が聞こえない、途切れるなどのトラブルに対して、すぐに対応できる能力が必要となります。また、そのような事態になった場合にどのように対処したかで、企業側に与える印象が変わってきます。
デメリットの中には、経験を積むことにより改善できることや、やり方を工夫することで解決できることもあります。
オンライン面接が浸透、定着することにより、提供されるサービスの内容や質の向上、低価格化が期待できます。
3. オンライン面接導入のポイント
新しい面接形式としてオンライン面接を成功させるには企業はどのようなことに注意すればよいでしょうか。
採用の課題を明らかにする
採用がうまくいかないのが、応募者数が少ないからなのか、求める人材が見極められないのかでは対処方法が違ってきます。まずは自社の採用における課題を明確にすることが大事です。
オンライン面接に適する職種かどうか
オンライン面接に向いているのは、SEやプログラマー、研究開発業務のような外部とのコミュニケーションが少ない職種です。反対に、営業職のようにコミュニケーション能力が必要な職種は、それを判断するのが難しいオンライン面接には向きません。職種に合わせて面接を使い分けることが必要です。
面接の運用方法の見直し
オンライン面接のメリットは時間と費用の削減、そして採用担当者の負担の軽減です。オンライン面接の導入により、かえって事務手続きが煩雑になった、負担が増えたということのないよう、面接の運用方法を見直してみることも重要です。
通信環境の整備
面接のたびにネットワークトラブルが起こるようでは、企業の信頼性にも影響します。通信環境を整えるとともに、万が一トラブルが生じた場合の対応策を事前に準備し、担当者を教育しておくことが必要です。
採用における課題を洗い出し、自社が必要とする人材の獲得につながる方法を取ることが成功のポイントです。その際、オンライン面接よりも直接対面して面接をする方がよい場合もあるかもしれません。両者の長所を活かしながら、採用活動をスムーズに運用できるようにすることが重要です。
参考)
NOC 「オンライン面接とは?メリット・デメリットを理解して上手に取り入れよう」
https://www.noc-net.co.jp/blog/2017/05/column_216/
BIZHINT 「オンライン面接」
https://bizhint.jp/keyword/47829
4. まとめ
オンライン面接とは、パソコンやタブレット、スマートフォンのカメラや電話機能を使って面接をする方法です。日本では2010年頃から導入され始め、徐々に普及してきています。
採用企業、応募者双方にメリットが多く、次のようなことが挙げられます。
企業
・時間を節約できる
・広範囲の地域から多数の応募を受けることが可能となる
・費用を抑えることができる
・面接時の記録を共有化できる
・面接の質が保たれ、面接官による評価のばらつきが改善される
応募者
・時間を節約できる
・場所による制約がない
・費用を削減できる
・慣れた場所で行える
・スマートフォンを利用できる
一方で、以下のようなデメリットもあります。
企業
・直接対面する時よりも、得られる情報量が少なくなる
・ネットワーク環境に左右される
・システムの導入にコストがかかる
応募者
・企業側の指定する方法に対応する必要がある
・面接場所の確保が必要
・トラブルに対応する能力が必要
オンライン面接を導入するにあたり、重要なことは次の点です。
・採用の課題を明らかにする
・オンライン面接に適する職種かどうかを判断する
・面接の運用方法の見直し
・通信環境の整備
優秀な人材を獲得したい企業と、希望する企業に入りたいという応募者がマッチングできることが採用活動における理想です。その妨げになっていた時間や費用、場所による制約をなくすことができるオンライン面接は、今後広く浸透していくでしょう。自社の採用の課題を見直し、今、何が必要かを明らかにすることは、採用活動を成功に導く上で重要なことではないでしょうか。