内定後インターンシップとは、就職先が内定して就職活動を終えた学生が卒業までの期間に、内定先企業や内定先とは異なる企業で参加するインターンシップです。
就職までの不安解消やスキルアップなど、参加する学生にとってのメリットが多いと思われるかもしれませんが、募集する企業にとってもメリットがあります。
本稿では、内定後インターンシップにおける企業側のメリットや注意点、学生が内定後インターンシップに期待することなどをご紹介します。
■学生が内定後に不安に感じていることとは?
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目次
1. 内定後インターンシップとは
内定後インターンシップとは、就職先が内定した学生が内定先企業やその他の企業、団体などで参加するインターンシップです。就職活動を終え、かつ卒業に必要な単位も取り終わった比較的時間に余裕のある学生が卒業までの期間をインターンシップに充てるケースが増えています。
内定後インターンシップを実施している企業は増加傾向にあり、その中心はベンチャー企業です。ベンチャー企業には、学生が飛び込んでいきやすい若手中心の職場環境があり、企業側も学生の柔軟な意見やアイデアを求めていることが多いため、内定後インターンシップを実施しやすいと考えられます。
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2. 内定後インターンシップの主な業務
ベンチャー企業での内定後インターンシップで、多く取り入れられているのは「広報」や「ブログ運営」の業務です。学生が取り組みやすい業務であることが、その理由です。
一方、大手企業の内定後インターンシップでは、事務作業や営業課の資料作りの補助などの「サポート業務」が多く見られます。学生にとっては、職場の雰囲気を知ることができる点に魅力があるようです。
3. 内定後インターンシップのメリット
企業が内定後インターンシップをするメリットには、以下のような点が挙げられます。
- 働く意識の高い人材を雇用できる
- 就職活動や大学などでの経験を活用できる
- 業務に専念してもらいやすい
- 広報活動などで自社のPRができる
働く意識の高い人材を雇用できる
内定後インターンシップでは、社会人になることを控えたやる気のある学生が応募してきます。意識の高い人材を雇用できるため、予想以上の成果が出る可能性も十分あります。
就職活動や大学などでの経験を活用できる
就職活動を終えた学生は、就職活動未経験の学生と比べ、基本的なビジネスマナーやスキルを学習しています。大学・専門学校などで学んだ内容やサークル活動の経験が業務に生かされ、新たなアイデアを生むケースも考えられるでしょう。
業務に専念してもらいやすい
内定後インターンシップに参加する学生の多くは、既に卒業までの単位を取り終えていたり、サークル活動からも引退していたりして時間に余裕があります。そのため、企業にとっては集中して業務に取り組んでもらいやすくなります。
広報活動などで自社のPRができる
企業側ではなく消費者視点を持った学生が広報業務を担当し、生の声を配信することで自社の知名度向上に役立ちます。また、積極的にインターンシップを実施していることは企業イメージの向上にもつながります。
内定後インターンシップの実施は、意欲的な学生の受け入れによって従業員への刺激になり、また社外へのアピールポイントにもなります。ただし、導入に当たっては、注意すべき点もあります。次章で見ていきましょう。
4. 内定後インターンシップの注意点
一方、内定後インターンシップの注意点としては、以下のことが考えられます。
- 受け入れ体制を整える必要がある
- 他社内定者の場合は期間が限られる
受け入れ体制を整える必要がある
学生に実際の業務を担当させるためには教育が必要です。教育担当者を配置し、きちんと体制を整えなければ、企業にとっても学生にとっても実りのないインターンシップになってしまいます。
他社内定者の場合は期間が限られる
内定後インターンシップで他社内定者を受け入れている場合、その学生は、卒業後内定先の企業に入社するため、業務に携われるのは卒業までの期間限定です。この点を割り切って、挑戦の機会を与える必要があります。
企業と学生のミスマッチを防ぐために、企業として学生を受け入れるメリットがあるか、また、学生の求めるものを企業として提供できるかを十分検討した上で、内定後インターンシップの実施を判断することが重要です。
5. 学生が内定後インターンシップに期待すること
学生は、内定後インターンシップにどのようなことを期待しているのでしょうか。例えば、以下のようなことが考えられます。
- 社会人になるための準備をしたい
- 視野を広げたい
- 自分の将来像を明確にしたい
社会人になるための準備をしたい
内定を得たとはいえ、「自分はやっていけるだろうか」と不安を抱えている学生は多いでしょう。内定後インターンシップは、学生のこのような不安を解消し、自己のスキルアップを図る方法として活用されています。
視野を広げたい
入社後、自分の職場を客観的に見ることができるようにと考えて、内定を得た企業以外の企業や団体で内定後インターンシップに参加する学生も多くいます。
1社しか知らないと、その企業や職場環境が良いのか悪いのか判断ができません。他の企業や団体の内定後インターンシップに参加することで、学生は内定先の企業しか知らないという状況を避けることができます。
自分の将来像を明確にしたい
就職先は決まったものの、社会人になった自分の姿をイメージしづらく、具体的な将来像を描けない学生もいるでしょう。内定後インターンシップは実際の業務を経験できるため、自分のキャリアについて明確にすることを目的に参加する学生もいます。
学生にとっては、社会人になった時点で他者に遅れをとらないよう、少しでも早く準備を進めておきたいというのが本音でしょう。その背後には、成果主義への不安や即戦力を求める企業に適応しなければという焦りがあるのではないでしょうか。
6. まとめ
内定後インターンシップとは、就職先が内定した学生が内定先企業やその他の企業、団体などで参加するインターンシップです。ベンチャー企業を中心に、多くの企業が実施しています。
内定後インターンシップで学生が担当する業務としては、ベンチャー企業では広報やブログ運営の業務、大手企業では事務作業や営業課の資料作りの補助などのサポート業務が多く見られます。
企業が内定後インターンシップを実施するメリットや注意点には、以下のことが挙げられます。
◆メリット
・働く意識の高い人材を雇用できる
・就職活動や大学などでの経験を活用できる
・業務に専念してもらいやすい
・広報活動などで自社のPRができる
◆注意点
・受け入れ体制を整える必要がある
・他社内定者の場合は期間が限られる
学生は内定後インターンシップに、以下のようなことを期待していると考えられます。
・社会人になるための準備をしたい
・視野を広げたい
・自分の将来像を明確にしたい
内定後インターンシップの増加は、戦力となり得る人材を求める企業と、社会人として少しでも有利にスタートを切れるようにしておきたいという学生の思惑が合致したことにあると考えられます。その背後には、厳しい雇用環境や成果主義の存在を感じ取ることができます。
企業と学生、双方にとってメリットのある内定後インターンシップを実施するためには、どのような人材を求めているのかを明確にし、内定後インターンシップが参加する学生にとって有益な内容になっているかを検討していくことが重要です。