アンラーニングとは、一度学んだ知識や価値観を意識的に捨て去り、再び学び直すことです。「学習棄却」や「学びほぐし」などとも呼ばれます。
一般的には、「学習」と「学習棄却」の相反する2つのアクションを繰り返し行うことで、自身の価値観を絶えず見直し、人や組織の成長を促進するという点がアンラーニングのメリットとされています。
それでは「成長を促進する」とは、具体的にどのようなことなのでしょうか。 また、なぜこのアンラーニングが現代において注目を浴びているのでしょうか。
本稿ではアンラーニングの意味を解説するとともに、アンラーニングの具体的な方法、それによって得られる効果についてご紹介します。
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目次
1. アンラーニングが求められる背景
アンラーニングが必要とされている背景には、グローバル化が進み、技術の進歩が目覚ましいこの時代、社会システムや価値観も絶えず変化しているという状況があります。
このような時代、今までのように「形式化した仕事の手順を習得する」という意味での「学習」だけでは十分とはいえません。一度習得した仕事内容が、数年で通用しない状況に変わっていくこともあり得ます。社会全体が変化の多い時代だからこそ、学び直しを経て柔軟に対応していく必要があるのです。
アンラーニングが経営者や起業家から注目を浴びているのは、このような急激な環境の変化に対応可能な人材が社会において強く求められているためです。
しかし、新しい価値観・知識を身に付けるには、時には慣れ親しんだ価値観・知識から離れる必要があるため、多くの場合、困難を伴います。
なぜなら、人は慣れ親しんだ行動や考え方からはなかなか離れられないからです。むしろ、自身の行動や考え方を習慣化していることに気付かないケースも多いのではないでしょうか。
アンラーニングは、今自分が持っている価値観・知識を見直すこと、また、同じ学習内容でも異なるアプローチを検討する学習法です。言い換えれば、新しい価値観・知識を取り入れやすくする手法ともいうことができ、この時代に必要な「柔軟な価値観」を養う助けとなるでしょう。
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2. アンラーニングの手順・注意点
それでは、実際にアンラーニングを実施する上ではどういった点を意識すべきなのでしょうか。より効果的なアンラーニングを行うためのポイントをご紹介します。
2-1. 批判的な見直し
1つ目のポイントは「今の自分が持っている知識や価値観は今の時代では古くなっているかもしれない」というように、批判的に見直すことです。新たな価値観を身に付けるには、現在自分が持っている価値観を棄却することがまず必要になります。
しかし、価値観は自分の一部にもなっているので、無理に切り離そうと思っても容易なことではありません。自身の現状への強い危機感と、アンラーニングの重要性に対する理解があって意識の変革が可能となるのです。
こうした批判的な見直しを行う方法として有効なのが、異なる業種や部署の人たちと交流を持つことです。さまざまな価値観を持った人々との対話を通して自己を客観的に見つめ直すことができ、他者視点からの評価によって現状に対する変革の意識を刺激することにもつながります。
これは異業種交流会に参加したり、友人と会って話したりするなど、個人でも取り組むことができます。
また、環境づくりからもアプローチすることができます。さまざまな価値観を持つ人材を積極的に採用することで組織の雰囲気を変える、という手段も有効でしょう。このように従業員一人一人が自分を見つめ直す機会を得られる環境をつくることは、上司の役目でもあります。
2-2. 振り返り(リフレクション)
2つ目のポイントは、「振り返り(リフレクション)」をすることです。
リフレクションでは、失敗の原因を探る「反省」とは異なり、失敗のあるなしに関わらず、また無意識化での行動までを含めて「今後の自分はどうあるべきか」を考え直します。日々の仕事からも距離を置き、自分自身を見つめ直すのです。
リフレクションを定期的に行うことで、自身が蓄積した知識・価値観・ノウハウをより確かなものとし、能力を向上させることができます。こうした取り組みを集団の一人一人が丁寧に実践すれば、組織としても大きな成長が望めるでしょう。
3. アンラーニングの効果
アンラーニングにはどういった効果が期待できるのでしょうか。自己変革や組織の成長といったポイントに関して、順番に見ていきましょう。
3-1. 意識面の変革
まず期待できる効果は、固定観念を打破することによる意識面の変革です。会社における「学習」というと「仕事に必要な知識を身に付けること」と考えがちですが、変化の激しい現代において、それだけではその人の成長機会は十分ではありません。
1つの成功パターンや特定の分野に縛られることなく、常に新たな発見を求める意識を持つことで、時代の変化に取り残されることのないイノベ―ティブ(革新的)な発想を養うことができるのです。
3-2. 業務の効率化
もう一つ期待できる効果は、業務の効率化です。今までの価値観を棄却することは、新たな価値観を育むことにつながります。その価値観は、普段何気なく行ってきた業務に対し、別の視点からのアプローチを可能とするでしょう。
結果として、業務の形式や手順などをより効率的なものに変革できたり、新たな発想の下で意欲的に仕事に取り組めたりするといったメリットが生じることが考えられます。
4. まとめ
アンラーニングとは一度学んだ内容を意識的に忘れ去り、再び学び直すことで、「学習棄却」や「学びほぐし」とも呼ばれます。アンラーニングの目的は、自分の持つ価値観や知識から離れ、新たな価値観や革新的なアイデアを生み出す基盤を形作ることです。
アンラーニングのポイントは以下の通りです。
(1)現在の価値観・知識を批判的に見直すこと
(2)定期的に振り返り(リフレクション)をすること
また、異業種の人々など異なる価値観を持った人と交流する機会をつくることも効果的です。
アンラーニングによって、時代に取り残されることのないイノベーティブな発想が養われたり、普段の仕事に新たな視点が加わることで業務をより効率的に取り組めるといったことが期待できます。
職場の環境を工夫したり、さまざまな人と意見交換したりすることで、時代の変化に対応できるイノベ―ティブな人材の育成につながります。企業内でアンラーニングの推奨する際、本稿が役立てば幸いです。
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参考
https://jinjibu.jp/keyword/detl/538/
https://bizhint.jp/keyword/61304
https://www.kaonavi.jp/dictionary/unlearning/
http://www.nakahara-lab.net/blog/2014/12/post_2319.html
https://jinjibu.jp/keyword/detl/462/