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企業の人材育成 成長を促す目標設定と指導の仕方を分かりやすく解説

企業の人材育成 成長を促す目標設定と指導の仕方を分かりやすく解説

「うちの従業員には主体的に目標を設定し、達成に向けて努力してもらいたい」

そんな願いをお持ちのマネジャーや人材開発部門の方は、たくさんいらっしゃると思います。

人材育成において「目標」はとても重要な要素です。部下が少し背伸びした目標を設定し、マネジャーがフィードバックなどで支援することで、目標達成に導く、このようなサイクルを繰り返すことで人は成長します。

しかし、その前提となる「目標」が正しいプロセスで設定されていなければ、そのサイクルはうまく機能しません。

パーソルキャリア株式会社の調査では、管理職の約8割(81.8%)、一般社員の約7割(74.7%)が、企業で行う目標設定の方法に課題を感じており、一般社員の約6割(60.7%)が、自分で個人目標を立てることについて、自信がないと回答しています[1]

本稿では、従業員のモチベーションを高める目標の設定方法やマネジャーが押さえておくべきポイント、目標設定時のチェックリスト、職種別の具体例、目標達成に向けた管理・運用方法について解説します。

これらを一通り理解しておけば、適切な目標を設定し、本人と管理側、双方が達成に向けてポジティブに取り組むことができるでしょう。ぜひ、この記事でご紹介するポイントを参考にしてください。

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1. なぜ人材育成に目標設定が大事なのか

企業が継続的に成長を続けるためには、「人材を育成する」企業文化があることが大切です。

近年は人手不足の影響から、即戦力の獲得に注力する場合も多いようです[2]。しかし、それだけでは、自社の理念やビジネスのやり方を十分に理解した上で仕事を進められる人材の確保が難しくなります。次の世代の中心となる人材が不足し、組織としての成長が鈍化してしまうリスクがあるでしょう。

企業の次世代を担う人材の育成には、企業の目標に沿った個々の目標の設定と、その達成を体験させることが重要です。

ピーター・ドラッカーは自己目標管理について、次のように述べています。

‘自己目標管理の最大の利点は、
自らの仕事ぶりをマネジメントできるようになることにある。
自己管理は強い動機づけをもたらす。適当にこなすのではなく、
最善を尽くす願望を起こさせる’
(引用:P.F.ドラッカー『マネジメント[エッセンシャル版]: 基本と原則』p. 140)

つまり、上から与えられた目標は単なる「ノルマ」ですが、自ら設定した「目標」は、何とかそれを達成しようというモチベーションを喚起するカンフル剤になります。

ただし、自由に目標を設定させればよいというものではありません。目標設定を部下に任せきりにすると、ごく個人的な目標に終始してしまい、企業の成長とは無関係なものになってしまうことがあります。

企業の目標に沿って個々の目標を設定させることで、方向性が統一化され、組織全体の士気向上や従業員間の信頼関係の強化につながります

また、自ら目標を設定することによってモチベーションが上がり、達成に向けてポジティブに行動できるようになります。目標を達成できれば、満足感を得られ、周囲の評価を受けて自信もつきます。

このようなプロセスの積み重ねが従業員のエンゲージメントを向上させ、企業の次世代を支える人材の育成を促進していくのです。

次章では、どのように目標を設定すればよいのかを解説していきます。

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2. 目標設定におけるポイント

まず、企業の経営目標や所属部署の目標を従業員に周知し、その達成に貢献できるような目標を設定させることが大切です。

マネジャーや教育管理者は、企業の成長が自分自身の成長にもつながることを部下がしっかり理解できるよう、指導する必要があります。

2-1. 目標設定の前にマネジャーが押さえること

目標を設定する前にマネジャーがやることは、組織の現状を把握し、それを部下に伝えることです。

企業の経営目標を把握してもらう

マネジャーは、企業としての経営目標や、所属部署の目標の達成状況を常に部下に知らせ、組織の一員として関心を持つよう日常的に働きかけましょう。そうすることで部下は企業の方向性を理解し、それと連動した目標を設定しやすくなります

担当部署の在るべき姿を考える

近い将来の部署の在り方を考えることで、必要な取り組みが分かってきます。グループとして何を実現したいか、自分自身がマネジャーとしてこの部署や部下のために何がしたいのかを伝えましょう。

部下に期待することを伝える

自分の立ち位置や役割がはっきり分かれば、それに応じた課題と目標を具体的に検討することができます。マネジャーは、自分が考えていることや、どのような活躍や成長を望んでいるのかを部下に先に伝えるようにしましょう。受け止めた部下は、自然とそれを前提とした目標を考えるようになります。

この3つを整理して部下に伝えれば、部下は目標を設定しやすくなります。

2-2. 目標設定時のチェックリスト

重点的に解決すべき課題が分かったら、部下に「何を」「いつまでに」するかを決めてもらいます。具体的には、次の点が網羅されていることが理想です。

  • 具体的であるか
  • 測定できるか
  • 達成可能か
  • 現実性があるか
  • 期限が明確か
  • 目標が中長期にわたる場合、マイルストーンが明確か

これを整理するときには、「SMARTの法則」というフレームワークを使うと便利です。目標設定の際に、参考にしてください。

図)SMARTの法則SMARTの法則
(参考:株式会社プロジェクトHRソリューションズ「Googleやメルカリが活用する目標管理手法「OKR」とは?KPI・MBOとの違いや導入・運用のポイント」,『digireka! HR』,https://digireka-hr.jp/okr/

先ほどのチェック項目を当てはめると、以下のようになります。

Specific:具体的であるか
Measurable:測定できるか
AchievableAttractive):達成できるか (魅力的か)
Realistic: 現実性があるか
Time-bound:期限が明確か。目標が中長期にわたる場合、マイルストーンが明確か

ここに「主力製品の流通高アップ」という企業目標を落とし込むとしたら、次のような具合です。

Specific:主力製品の売り上げ1億円
Measurable:A社で5千万・B社で3千万・C社~E社で2千万、取引先を新規開拓して1千万(そのためアポ50件、新規訪問20件、プレゼン10件)
Achievable(Attractive):部門目標10億円に対して〇%である
Realistic:市場規模から考えて、前年比5%アップは妥当である
Time-bound:2020年12月までに実現。9月までに新規開拓3社

SMARTの法則を基に、目標設定を行う際には、抽象的な言葉や曖昧な表現を使わないことが大切です。次節で、目標を数値化する指標の具体例を職種別にご紹介します。

2-3. 目標を数値化する際に使える指標例(職種別)

目標の達成度合いを数値で測る指標として、KPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)があります。KPIを用いると、具体的な目標が立てやすくなります。

職種別の主なKPIは、以下のようなものがあります。

【営業職】
・アポイント件数
・顧客訪問件数
・成約率
・リピート率
・新規顧客への商談件数
・新規顧客獲得数
・説明会(プレゼンテーション)実施率
・平均受注額
・メイン取引先の自売上増加金額

【製造部門】
・原価率
・労働生産性
・設備稼働効率
・工数達成率
・不良率
・事故発生件数

【購買・調達部門】
・コストダウン率
・納期順守率
・購入品の不良率
・VOS(Voice of Supplier[取引先評価])

【カスタマーサポート】
・顧客満足度
・平均処理時間
・キャンセル率
・対応件数
・解決率
・問題を未然に防ぐための提言数

【飲食・店舗販売職】
・来店者数
・平均接客時間
・平均購入単価(客単価)
・回転率
・リピート率
・売上達成率

【企画職】
・企画考案数
・PRイベント実施数
・ページビュー数
・リピーター数
・平均セッション時間
・直帰率 

【マーケティング職】
・顧客獲得コスト
・ホットリード移行率
・自然検索トラフィック数
・ページビュー数
・獲得リード数
・リード案件化率
・リピーター数
・Eメール開封・クリック率
・コンバージョン率

【システム職】
・(進捗を測るための)テスト終了レポート件数
・エラー数
・標準化の度合い

【事務職】
・日常業務の改善
・仕事の数量、時間、工程の削減、
・ミスの減少
・不良品の提言

目標設定する際は、単に「効率化する」ではなく「○○の作業をシステム化し、〇月までに作業時間を20%削減」というように、効率化の内容を具体的に示しましょう。数値化が難しい職種の場合は、業務上のマイナス面を軽減することに目を向けるとよいでしょう。


3. 目標達成に向けた管理・運用方法

目標を設定した後、実際に運用が始まってからは、定期的なレビューが必要です。

中間面談や期末面談のみでは、目標そのものを忘れてしまいがちです。

実際に、株式会社HRBrainの調査では、常に目標を意識できていないと回答した人に理由を尋ねた結果、「目標を振り返るタイミングが少ないから」(46.6%)がトップとなっています[3]

そのため、定例的なミーティングで目標と接する頻度を高めることが理想です。部下が自分の目標をより意識できるようになり、早期の軌道修正にも役立ちます。

ミーティングや目標管理については、効果が認められている手法があります。以下の関連記事をご参照ください。


また、目標達成に向けて身に付けてほしい知識がある場合は、eラーニングの活用もおすすめです。時間や場所を選ばず、都合の良いときに少しずつでも進めることができるため、モチベーションを保ちやすくなります。

さらに、学習管理システム(LMS; Learning Management System)を使いこなせば、学習履歴を活用して個人の成長を総合的に支援することもできます。

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マネジャーによる手厚い指導と並行して、育成パートを積極的にICT化して効率化を図るのも、有効な手段です。

関連記事:LMS(学習管理システム)とは?専業ベンダーが基礎から選定ポイントまで徹底解説
関連記事:eラーニングとは?システムやメリット、導入事例、費用について解説

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4. まとめ

人材育成には、企業の目標に沿った個々の目標の設定と、その達成を体験させることが重要です。

企業の目標に沿って個々の目標を設定させることで、方向性が統一化され、組織全体の士気向上従業員間の信頼関係が構築できます。

また、自ら目標を設定することによってモチベーションが上がり、達成に向けてポジティブに行動できるようになります。目標を達成できれば、満足感を得られ、周囲の評価を受けて自信もつきます。

このようなプロセスの積み重ねが従業員のエンゲージメントを向上させ、企業の次世代を支える人材の育成を促進していきます 。

目標設定においては、まず、企業の経営目標や所属部署の目標を従業員に周知し、その達成に貢献できるような目標を設定させることが大切です。

マネジャーや教育管理者は、企業の成長が従業員自身の成長にもつながることを従業員が理解できるよう指導する必要があります。

目標設定の前にマネジャーが以下の3つをしておくと、部下は目標を設定しやすくなります。

  • 企業の経営目標を把握してもらう
  • 担当部署の在るべき姿を考える
  • 部下に期待することを伝える

次に、部下に「何を」「いつまでに」するかを決めてもらいます。その際、次の点が網羅されているかを確認しましょう。

  • 具体的であるか
  • 測定できるか
  • 達成可能か
  • 現実性があるか
  • 期限が明確か
  • 目標が中長期にわたる場合、マイルストーンが明確か

これを踏まえたフレームワークが「SMARTの法則」です。

Specific:具体的であるか
Measurable:測定できるか
Achievable(Attractive):達成できるか (魅力的か)
Realistic:現実性があるか
Time-bound:期限が明確か。目標が中長期にわたる場合、マイルストーンが明確か

SMARTの法則を基に目標設定を行う際には、抽象的な言葉や曖昧な表現を使わないことが大切です。

目標を数値化する際には、職種別のKPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)を用いると、具体的な目標が立てやすくなります。

目標を設定した後、実際に運用が始まってからは、定期的なレビューが必要です。

中間面談や期末面談のみでは、目標そのものを忘れてしまいがちなため、定例的なミーティングで目標と接する頻度を高めることが理想です。部下が自分の目標をより意識できるようになり、早期の軌道修正にも役立ちます。

また、目標達成に向けて身に付けてほしい知識がある場合は、eラーニングも便利です。さらにLMSがあれば、学習履歴を活用してさまざまな教育施策の展開が可能です。

「目標」は人材育成の要の一つです。正しいプロセスで設定する・させることができれば、質の高い人材育成が促進され、企業の成長にもつながっていきます。この機会に、自社の従業員の目標設定のプロセスを再確認してみてはいかがでしょうか。

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[1] パーソナルキャリア株式会社「<1,200名のビジネスパーソン対象「目標」に関する調査>」,2019年12月10日公表,
https://www.persol-career.co.jp/pressroom/news/research/2019/20191210_01/
[2] リクルートワークス研究所の2022年度の調査では、1社当たりの中途採用人数は前年度の1.31人から1.52人へ増加。経験者の採用実績は、前年度に引き続き増加傾向にあることが分かった。
https://www.works-i.com/research/works-report/item/230705_midcareer.pdf
[3] 株式会社HRBrain「【独自調査】目標管理の実態 -約8割の会社員が経験する「名ばかり目標」とは?」,
https://www.hrbrain.jp/media/peformance-management/research201809

参考)
株式会社ライトワークス eラーニング教材 ビジネス入門シリーズ 目標管理
https://www.lightworks.co.jp/e-learning/301
「自発的な部下」が育つ!マネジメント層が実践すべき目標設定とは?
https://geniee.co.jp/media/strategy/20160106_training/
良いKPIが目標達成のカギ!経営を成功に導くKPIの設定方法とは?
https://www.ashita-team.com/jinji-online/category2/7928
職種別・業態別にみる効果的なKPI設定例6選
https://innova-jp.com/kpi-sample/
製造業の生産現場でのKPIの重要性について解説
https://www.digital-transformation-real.com/blog/kpi-for-manufacturing.html
製造現場の見える化~KPI評価取組みの秘訣!~
https://column.to-be.co.jp/scm/kpi/.html
企業のマーケティング機能を見える化するKPI
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