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えるぼし認定とは 取得のメリットや認定企業になるための基準を紹介

「えるぼし」とは、女性活躍推進に積極的に取り組んでいる企業に与えられる認定制度です。
2016年4月に「女性活躍推進法」が施行されました。女性が労働力として必要な現実と、決して働きやすいとはいえない職場環境とのギャップが社会や企業と働き手との間にあります。このギャップを解消するために創設されたのが「えるぼし」認定制度です。

では具体的に企業はこの法律の中で何を求められているのでしょうか。「えるぼし」認定制度とは具体的にどのようなものなのか、どうすれば認定を受けられるのか、本稿では認定企業になるまでのステップをメリットとともに解説します。

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1. 「えるぼし」とは

女性活躍推進をしている企業に対して、一定の基準を満たした場合に厚生労働大臣が認定する制度とその認定マークの愛称が「えるぼし」です。

2016年4月施行の「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(女性活躍推進法)で創設されました。対象となるのは301人以上の従業員を抱える企業および国や地方自治体で、300人未満の企業については努力義務となります。認定企業数は2016年5月に74社(うち三つ星53社)だったものが2018年3月には579社(うち三つ星393社)と着実に増加しています。

認定は3段階に分かれていて、その段階に応じて一つ星から三つ星まで、認定マークが付与されます。

(出典)厚生労働省 報道資料(2016年2月29日)
http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11902000-Koyoukintoujidoukateikyoku-Koyoukintouseisakuka/280229.pdf
  

「えるぼし」認定マークの「L」は、Lady((女性))、Labour((働く、取り組む))、Laudable((賞賛に値する))などに由来しています。「円」は企業や社会を、「L」の文字はエレガントに力強く活躍する女性をイメージしてデザインされました。

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2. 背景には少子高齢化

えるぼし認定が始まった背景には急速な少子高齢化とそれに伴う労働力人口の減少があります。
まず、労働力人口の推移をみてみましょう。


(参考)内閣府「平成29年版高齢社会白書」
http://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2017/html/gaiyou/s1_2_4.html

2000年まで急速に増加していた労働力人口は、その後減少に転じています。政府はこの労働力人口の減少を防止・改善するために高齢者活用や女性活躍推進を制度化しました。その制度の1つが「女性活躍推進法」なのです。なお、この法律は10年間の時限立法のため、2026年3月31日をもって失効します。

その女性活躍推進法の概要を見てみましょう。

女性の職業生活における活躍の推進に関する法律の概要

・女性に対する採用、昇進などの機会を積極的に提供する

・女性の職業生活と家庭生活が両立できるように環境を整備すること

・女性の職業生活と家庭生活との両立に関して、本人の意思が尊重されること

これを踏まえて企業は何をしたらよいのでしょうか。

企業に求められるもの

・女性の活躍に関する状況を把握して、問題点(改善すべき点)を分析すること

・事業主行動計画を策定し社内外に公表すること

・行動計画を策定した旨を労働局に届け出ること

・行動計画に従って取り組みを実施し、定期的に効果測定すること

※国は、優れた取り組みを行う事業主の認定(「えるぼし」)を行う

(参考)
厚生労働省「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律の概要」
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000095826.pdf
President Online 「3分で分かる「女性活躍推進法」あなたの会社はどう変わる?」(2016年3月7日)
http://president.jp/articles/-/19486?page=2

このように、女性が働きやすい環境を整えるために制定された「女性活躍推進法」において、企業は「状況を把握・分析」、「行動計画を策定・公表」、労働局に「届け出」、取り組みを「実施・効果測定」することを求められているのです。


3. 認定取得するメリットとは

「えるぼし」の認定を受けるメリットには次のようなものがあります。

自社の認知度やイメージ向上

「えるぼし」認定マークを自社製品や広告に掲載できるため、女性が活躍している企業、社会に貢献している企業だと広くアピールできます。

採用活動に有効

「えるぼし」認定企業になり企業の認知度や注目度が高まれば、求人応募数の増加も期待できます。

公共調達の際に有利

総合評価落札方式または企画競争による調達によって公共調達を実施する場合、えるぼし認定企業は加点評価されます。

低利融資の優遇措置

日本政策金融公庫の「地域活性化・雇用促進資金(企業活力強化貸し付け)」を利用する際、基準利率からマイナス0.65%での低利融資を受けることができます。

「えるぼし」認定を受けると企業イメージの向上や採用活動にプラスに作用するだけでなく、具体的な優遇措置を受けることができます。


4. 5つの評価基準

えるぼしの認定は3段階あると説明しました。この違いは、5つの評価項目のうちいくつを満たしているかによって変わります。
えるぼしを認定する際の評価項目は次の5つです。
(1)採用
(2)継続就業
(3)労働時間等の働き方
(4)管理職比率
(5)多様なキャリアコース

「えるぼし」認定の評価項目

(1)採用

男女の採用の競争倍率が同程度であること

 

 

(2)継続就業

①女性労働者の平均継続勤務年数÷男性労働者の平均継続勤務年数≧0.7

②10事業年度前及びその前後の事業年度に採用された女性労働者の継続雇用割合÷10事業年度前及びその前後の事業年度に採用された男性労働者の継続雇用割合≧0.8

(3)労働時間等の働き方

法定時間外労働及び法定休日労働時間の合計時間数の平均が、直近の事業年度の各月ごとにすべて45時間未満であること

 

 

(4)管理職比率

①管理職に占める女性労働者の割合が産業ごとの平均値以上であること

②直近の3事業年度の平均した課長級より1つ下位の職階にある女性労働者のうち課長級に昇進した女性労働者の割合÷直近の3事業年度の平均した課長級より1つ下位の職階にある女性労働者のうち課長級に昇進した男性労働者の割合≧0.8

 

 

 

(5)多様なキャリアコース

直近の3事業年度において、大企業については2項目以上(非正社員がいる場合 A必須)、中小企業については1項目以上の実績が必要

A 女性の非正社員から正社員への転換

B 女性労働者のキャリアアップに資する雇用管理区分間の転換

C 過去に在籍した女性の正社員としての再雇用

D 概ね30歳以上の女性の正社員としての採用

(参考)厚生労働省「女性活躍推進法特集ページ」制度の概要
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000134501.pdf

上記5つの評価項目の達成数によって、認定の段階が決まります。また、満たしている実績については、毎年厚生労働省のウェブサイトに公表する必要があります。 

「えるぼし」認定の段階

3段階目(三つ星)

5つの基準すべて満たしている場合

2段階目(二つ星)

3つまたは4つの基準を満たしている場合

1段階目(一つ星)

1つまたは2つの基準を満たしている場合

(参考)厚生労働省「女性活躍推進法特集ページ」制度の概要
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000134501.pdf

制度上、従業員数が300人を超える企業の場合、義務となります(300人以下は努力義務)。

(参考)厚生労働省「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律の概要」
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000095826.pdf

「えるぼし」認定を受けるには、厚生労働省が設定した5つの評価項目を少なくとも1つ以上達成し、実績を毎年同省のウェブサイトに公表しなければなりません。達成数によって認定段階が決定します。


5. えるぼし認定企業の現状

えるぼしに認定されている企業の数を見てみましょう。 

えるぼし認定状況(年331日現在)

 

 

認定段階1

認定段階2

認定段階3

 

認定企業数

301人以上

300人以下

301人以上

300人以下

301人以上

300人以下

合計

579

3

0

154

29

295

98

(参考)厚生労働省「女性活躍推進法による認定状況」
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000129030.pdf

301人以上の企業では認定段階3が多く、積極的に取り組んでいる様子がうかがえます。また、300人以下の企業においても努力義務でありながら、認定段階3の取得率が高く、意識が高いことがわかります。


6. まとめ

「えるぼし」とは、女性の活躍推進に積極的に取り組んでいる企業に与えられる認定制度です。
急速な高齢化に伴う労働人口の減少を防止・改善するために制度化された「女性活躍推進法」の一環で創設されました。2018年3月31日時点で579社が認定を受けています。

認定を受けるメリットとして次のようなことがあります。
・女性が活躍できる会社として広く社内外に企業が認知される。
・企業の認知度が高まることにより、優秀な人材が集まることが期待できる
・公共調達の際に加点評価をされる
・低利融資の優遇措置を受けられる

えるぼし認定の評価項目は以下の5つです。このうち何項目達成しているかによって、認定段階(1~3段階目)が決まります。
(1)採用
(2)継続就業
(3)労働時間等の働き方
(4)管理職比率
(5)多様なキャリアコース

えるぼしの認定を受けると、企業イメージの向上や採用活動への利用だけでなく、公共調達や低利融資の優遇を受けられるなど具体的な恩恵が享受できます
認定企業数は創設以来増加しており、今後もさらに増えていくでしょう。女性が活躍できる場がさらに広がることを願ってやみません。

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