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戦略的な人材育成のためのコンサルタント活用術 – 選び方・付き合い方

戦略的な人材育成のためのコンサルタント活用術 - 選び方・付き合い方

「自社の将来的な人材モデルはどのように定義したらよいのだろうか?」
「従業員の能力を真に高められる育成の仕組みを作るには?」
「スキルマップというのはどうやって作ればよいのだろうか?」

↓ ↓ ↓

「これ、プロに頼んだ方がいいかもしれないな…」

戦略人事の実現を目指して人材育成部門でも具体的な施策を、と考え始めたところで躓いてしまう担当者の方は少なくないと思います。じゃあコンサルタントに頼もう、と簡単にもいきません。コンサルタントというのはどうも当たり外れがあるし、費用もかかる。計画段階で失敗するのは困る。かといって自分達で全てのスキームを作るのは無理そうだし…。

このような堂々巡りに陥ってしまうと、ことは進みません。戦略人事を目指す企業の人材育成。その道のプロとして適格なサポートをしてくれるコンサルタントは、どうやって選べばよいのでしょうか?
本稿では、人材育成コンサルタントを選ぶ基準や効果的な活用方法について解説します。代表的なコンサルティング会社についてもその特色をまとめてみました。ぜひ参考にしてください。

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1. 人材育成コンサルティングの種類と内容

人材育成コンサルティングとは、「組織」や「人」および「教育」に関わるコンサルティングです。人事コンサルティング(組織・人事コンサルティング)は、人材戦略や制度設計、M&Aによる組織統合など人事領域全般の支援をするのに対して、人材育成コンサルティングは、その中でも人の成長やモチベーションに焦点を当てています。その専門領域は大きく3つ「人材育成方針の策定」「仕組みづくり」「施策の導入・運用」に分かれています。これは人材育成の施策を実現するためのステップに対応しています。

人材育成コンサルティングの業務

① 人材育成方針の策定

人材育成をする上で根幹となるのは、「人材モデル」の定義です。本来は社内で定義するべき事項ではありますが、日々の仕事に追われている人材育成部門が、経営戦略を実現するために必要な人材を見定めたり、その人材がどのようなスキル・知識を持つべきかを明確にしたりすることは、慣れていないとなかなか難しいかもしれません。コンサルタントはインタビューや事業計画書などで得た情報をもとに、クライアント企業の求める人物像を描き、トップの人材モデルの要件をブレイクダウンして階層別・業種別の人材モデルを定義します。それと並行して、企業を取り巻く環境や現従業員のスキル保有状況などを分析し、課題を浮き彫りにします。

② 仕組み作り

「求める人材モデル」と「実際の人材」がクリアになれば、次のステップは、そのギャップを埋めるための仕組み作りです。新たな人材モデルを定義した場合、現状の制度やプログラムでは従業員の能力を十分に高められない可能性も出てくるでしょう。そこで、人材育成に何が望まれるかを検討し、それに合わせて育成体系や人事制度を再構築する必要が出てきます。具体的には次のようなものが挙げられます。

【育成体系】
・育成体系の構築 
 -現在の研修プログラムの洗い出し
 -研修プログラムの重要度判定
 -研修計画(OJT・集合研修など)の立案
 -従業員に向けたキャリアパスの策定
 -キャリアパスと連携した研修プログラム・キャリア面談制度の構築 

【人事制度】
・報酬制度の立案
・評価制度の立案
・目標管理制度の立案

③ 施策の導入・運用

人材育成の仕組みが整ったら、いよいよ計画を実行に移す段階です。研修計画に準じた具体的な研修プログラムを選定・導入し、キャリア指導と併せて実施しましょう。人材育成関連のコンサルティングサービスを行っている企業は、何らかの研修サービスを提供していることが一般的です。個人のコンサルタントの場合でも、そういった企業とつながりを持っていることが多いでしょう。自社で手配できない研修については、コンサルタント経由で最適なものを探してみるのも手です。

具体的な教育手法については、こちらをご参照ください。

なお、実施に当たっては様々な管理業務が発生します。これを人の手だけで管理するのは現実的ではありません。研修プログラムにeラーニングが入っている場合はなおのことですが、LMS(Learning Management System、学習管理システム)がその手助けをしてくれます。個々の研修の準備、実施、履歴の管理、さらには従業員のタレントマネジメントも効率化することが可能ですので、必要に応じて検討してみるとよいでしょう。

このように、人材育成に関するコンサルティングの領域は、大きく「人材育成方針の策定」「仕組みづくり」「施策の導入・運用」の3ステップに分類されます。自社の課題がどのステップに該当するのかを明確にすることで、その分野に強い(あるいはすべての領域をサポートする)コンサルティングサービスを受けることができます。

関連記事:LMS(学習管理システム)とは?専業ベンダーが基礎から選定ポイントまで徹底解説

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2. 人材育成にコンサルタントを活用するメリットと注意点

依頼する担当者にとって最も関心があるのは、「コンサルタントに頼むとどんな効果があるのか」ということでしょう。そこで、コンサルタント活用のメリットと注意点について解説します。

2-1. コンサルタントを活用するメリット

コンサルタントを活用するメリットは次の通りです。

情報の整理と可視化

効果的な人材育成プランを検討するための材料、すなわち「情報」は、当然ながら全て社内にあります。しかし、その情報を洗い出し、整理して意味付けし、さらに分かりやすく「可視化」するのは容易ではありません。一定以上の論理的な思考力や、フレームワークを使いこなすスキル、そして経験に基づく知見が必要となるでしょう。コンサルタントは、まさにそのようなスキルに長けています。組織の状況や従業員のスキル保有状況などを、分かりやすく可視化して俯瞰することで、どこに改善点があるかを浮き彫りにします。

数々の成功事例や最新の解決策を知ることができる

さまざまな規模・業種のクライアントと関係を築いているコンサルタントの知見やノウハウを活用することで、自社にはなかった発想や、最新のシステムを活用した解決策などを取り入れることができます。他社で行われている施策や、成功事例を知るきっかけにもなるでしょう。

改革をスピーディーに進められる

新しい研修制度やITツールの導入など、自社で初めて取り組む施策は往々にして時間がかかるものです。しかし、制度作りに半年、説得するのに半年という風に時間をかけているうちに、経営方針自体が変わってしまうこともあります。そこで、コンサルタントに制度設計や上申のサポートをしてもらうことで、大規模な改革でもスピーディーに進めることができ、大幅な時間短縮が可能となります。

従業員のスキルアップ

コンサルタントによっては、現状分析や施策立案をクライアントと共同で進めていきます。この場合、人材育成部門の担当者は、新たな視点でデータを集め、分析し、考える、というコンサルティングのやり方を身近で学ぶ機会を得るわけです。これは、担当者本人のスキルアップに繋がりますし、部門にとっても貴重な財産となるでしょう。

2-2. コンサルタントを活用する際の注意点

次に、注意点を見ていきましょう。

コンサルタントが自社の課題を解決できるか?

コンサルティング会社にはそれぞれ専門領域があるため、自社の課題に適さないコンサルタントの場合、本質から外れた解決策を提示してくるなどして、かえって現場が混乱する可能性があります。

費用は適切か?

当然のことですが、コンサルタントと契約を結べば費用が発生します。例えば「人事制度の見直しと再設定」などのプロジェクト型の場合、「作業単価」×「作業時間」で決まることが多いです。その際の作業単価はコンサルタントによって異なりますが、一般的には若手コンサルタントでも1時間1万円~、トップコンサルタントとなるとその何倍もかかります。プロジェクト期間や作業時間を確認し、費用が適切かどうかを見極めましょう。また、期間が長引いた際の追加費用の有無なども確認する必要があるでしょう。

このように、コンサルタントは、自社の人材育成に関する情報の整理、課題の可視化から解決策の導入までのプロセスを、スピード感を持って支援してくれます。その中で、担当者のスキルアップという副次効果も生まれます。一方で、適したコンサルタントか、費用が妥当かどうかについて気を付ける必要があります。導入する際は十分に検討を重ねましょう。


3. コンサルタントの選び方

ここではコンサルタントの選び方をご紹介します。既述のように、コンサルタントにはそれぞれ専門領域があるため、自社の課題に適しているかどうかの見極めが重要です。まずは、自社の課題に照らしてコンサルタントに求めるものは何か、すなわちコンサルタントを利用する目的は何か、を明確にしましょう。例えば「求める人材像を明確にしたい」「ITをフル活用した人材育成をしたい」「タレントマネジメントを導入したい」などです。そうすることで、自社の課題に適したコンサルタントを絞りこむことができます。
具体的には次のような点に注意しましょう。

・専門領域は何か 
・実績は十分か (過去に担当したクライアントが成果を上げたか/担当クライアントにすぐに打ち切られていないか)
・強み、弱みは何か
・コンサルティングの期間やスケジュールの実施プロセスに問題はないか
・料金体系は妥当か

また、最適なコンサルタントを選ぶには比較が欠かせません。たとえ取引実績のあるコンサルタントがいたとしても、複数社の中から選定するようにした方が安心です。


4. 効果的な活用のポイント

いざコンサルタントとのプロジェクト推進が決まったら、定期的な打ち合わせやレポートの確認など、業務が増えて忙しくなります。しかし、ここで受け身になってしまっては効果が半減します。プロジェクトを成功に導くには、次の2点を意識すると良いでしょう。

1) 主導権を握ること

コンサルタント活用のよくある失敗例として、成果物の内容が「理論上は分かるが、現実的ではない」もので、実行に移せずに終わった、というケースが挙げられます。これを防ぐには、相手に丸投げをせずに、途中段階であっても適宜コンサルタントと議論をすることです。そうすることで、随時軌道修正して自社の現実的なニーズに適う方向に持っていくことができます。また、自社で責任を持つためにも、最後の意思決定は自社でしましょう。

2)「お手並み拝見」のスタンスはとらないこと

コンサルタントの力量以上に大きな影響を及ぼすのが、自社担当者の熱意です。泥臭い話ではありますが、「何としても成功させる」という強い意志に勝るものはありません。その熱意が相手のコンサルタントにも伝われば、より情熱を傾けてもらえることでしょう。そして、担当者だけではなく、社内全体でコンサルタントを受け入れる体制を整えることもポイントです。コンサルタントには敬意をもって接し、他の従業員とも定期的なコミュニケーションを図る環境を作りましょう。

このように、プロジェクトの主導権は必ず自社が持つようにし、コンサルタントと共に作り上げるのだという熱意を持って臨みましょう。


5. 主なコンサルティング会社の特色

人材育成に関するコンサルティングを手掛ける企業は多数あります。今回は、その中から10社抜粋して各企業の特色を紹介します。

社名URL特色
株式会社グロービスhttps://gce.globis.co.jp/社員・経営幹部を育成したいという企業ニーズに対し、多様なプログラムを提供。
株式会社パーソル総合研究所https://rc.persol-group.co.jp人材育成体系全体をカバーする豊富な研修プログラムとカスタマイズ提案に強みあり。
株式会社インソースhttps://www.insource.co.jp講師派遣型研修・公開講座のラインナップが豊富。人事制度設定や調査などのサービスも展開。
株式会社リクルートマネジメントソリューションズhttps://www.recruit-ms.co.jp/組織開発、人材開発、制度構築、人材採用の領域において幅広いサービスを提供。組織行動の研究所を持つ。
株式会社プレセナ・ストラテジック・パートナーズhttps://www.precena.co.jp/講師は全て社内講師。その講師育成ノウハウを活かして、クライアント企業の「社内講師育成」も展開。
株式会社リンクアンドモチベーションhttps://www.lmi.ne.jp/モチベーション向上のノウハウ多数。組織開発、人材育成、人材採用などワンストップで支援。
株式会社セルムhttps://www.celm.co.jp/人材開発・組織開発を手掛ける。1,600以上の提携コンサルタント有り。
株式会社HRインスティテュートhttps://www.hri-japan.co.jp/組織開発や研修プログラムだけでなく、ビジネスに関する幅広いコンサルティングを展開。書籍多数。
HRD 株式会社https://www.hrd-inc.co.jp/海外の機関と連携して最新ノウハウを提供。行動分析アセスメントツール「Disc」は大企業の導入実績多数。
フランクリン・コヴィー・ジャパン株式会社https://www.franklincovey.co.jp/「7つの習慣」を始め様々なコンテンツによる企業向け研修企画及び実施。

  人材育成方針から具体的な研修の実施までトータルにサポートする企業もあれば、ビジネス系の研修に強いコンサルティング会社もあります。自社の課題に合わせて選択すると良いでしょう。


6. まとめ

人材育成コンサルティングとは、「組織」や「人」および「教育」に関わるコンサルティングです。専門領域は大きく3つ「人材育成方針の策定」「仕組みづくり」「施策の導入・運用」に分かれています。これは人材育成の施策を実現するためのステップに対応しています。

コンサルタントを活用するメリットと注意点は次の通りです。

<メリット>
・情報の整理と可視化
・数々の成功事例や最新の解決策を知ることができる
・改革をスピーディーに進められる
・従業員のスキルアップ

<注意点>
・コンサルタントが自社の課題を解決できるか?
・費用は適切か?

コンサルタントを選ぶ際に確認する点は次の通りです。

・専門領域は何か 
・実績は十分か(過去に担当したクライアントが成果を上げたか/担当クライアントにすぐに打ち切られていないか)
・コンサルタントの強み、弱みは何か
・コンサルティングの期間やスケジュールの実施プロセスに問題はないか
・料金体系は妥当か

自社に適したコンサルタントを選べば、社内で膨大な時間と労力を掛けるよりも、かえって安くスピーディーに成果を上げることができるかも知れません。社内だけでは解決の糸口が見つからない場合、コンサルタントの活用も視野に入れてみてはいかがでしょうか。

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参考)
・persol 人事コンサルタントの選び方と依頼内容によるパートナー企業の選択手法
https://i-common.jp/column/corporation/hrconsultant/
・Business Coach 人事コンサルタントの選び方―良好な関係を築き、有効な成果を引き出せ ―
https://www.businesscoach.co.jp/column/hr2019_1.html

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