なるほど!中国赴任 準備編

中国赴任に向けて必要な準備は?3か月前から使えるチェックシート付

2023.9.28 更新

「中国赴任の内示を受けた。必要な準備を見落として、直前に慌てないか心配だ。」

中国赴任の内示が出たところで、具体的に何をどう準備すればいいのかわからないと、途方に暮れてしまう方もいるのではないでしょうか。

海外赴任する際の準備には、時間を取られる申請や手続きなどがつきものです。赴任直前に慌てないためにも「何を・いつまでに」準備すべきか把握することはとても大切です。

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1. 赴任が決まったらすぐに着手すること(赴任3カ月前~)

赴任が決まったらすぐに着手すべき準備事項を、申請関連・生活関連・業務関連の3項目に分けて説明します。

1-1. 3カ月前までには始めたい、申請関連の準備

海外赴任となると、パスポート申請からビザの取得など、様々な書類の取得が必要となります。また、多くの書類を同時に申請・取得しなければならず、受け取りまでに時間が掛かる項目も多いので、それぞれの書類申請に必要な手続きや証明書、必要な期間などを、きちんと把握することが大切です。

(1) パスポート申請

まず取得すべきはパスポートです。すでに持っている方も、有効期間が渡航予定日から6カ月以上あること、余白が2ページ以上あることを確認し、不足があれば更新手続きを取りましょう。

就労による長期滞在が予定されている場合は、パスポートの有効期限が1年以上残っていても前倒しで延長することができます

パスポートの申請・有効期限延長に必要な書類は下記の通りです。

<申請時に必要な書類>

  • 一般旅券発給申請書 1通 
  • 戸籍謄本(全部事項証明書、申請日の6カ月以内に取得したもの) 1通 
  • 証明写真(申請日の6カ月以内に撮影したもの)
  • 申請者の本人確認書類
  • 条件により、住民票の写し

参考)外務省ホームページ「パスポートの申請から受領まで」

https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/passport/pass_2.html

<パスポート更新に必要な書類>

  • 一般旅券発給申請書 1通
  • 申請日前6カ月以内に撮影された証明写真
  • 手元にある有効期限内のパスポート

パスポートの更新は、政府が運営するマイナポータルから、スマホでオンライン申請ができるようになりました。マイナンバーカード取得やパスポートが有効期限内などの条件を満たしていれば、窓口まで行かずに申請できます。オンライン申請をする場合、紙の申請書は不要です。住まいの府県によっては、パスポートの新規作成もオンラインで申請できます。[i]

パスポート申請から受け取りまでには約1週間程度かかります。さらに、戸籍謄本を本籍地から郵送で取り寄せる場合には、1~2週間程度かかります。よって、パスポート取得には、状況次第で1カ月程度の時間がかかるとみておいた方がよいでしょう。

(2) ビザ取得

パスポートを取得したら、次に行うべきはビザの取得です。

中国への赴任時に必要なビザは「Zビザ」と呼ばれる就労ビザです

Zビザ申請をする際には、まず外国人工作許可通知を取得します。

外国人工作許可通知は、赴任者側で必要書類を準備し、中国現地の勤務先に送付し、現地の勤務先が、管轄地の担当部門に申請して取得します。

必要な書類は以下の通りです。

  • パスポートのコピー
  • 卒業証明書
  • 履歴証明書
  • 派遣任命書や中国での勤務先との雇用契約書
  • 写真
  • 外国人体格検査記録
  • 犯罪履歴証明書

犯罪履歴証明書は、最寄りの警察署にて申請することができます。その際、パスポートや、申請の必要性が確認できる書類が必要となります。多くの場合、雇用契約書や派遣任命書、勤務先からの招聘状などで証明可能のようですが、県警によっては現地勤務先に「外国人工作許可通知申請表」を作成してもらう必要があります。申請前に、所轄の警察署へ必要書類の問い合わせをしておくといいでしょう。発行には申請から2週間ほどかかります。

外国人工作許可通知は、必要な書類が多く、取得にも時間が掛かるため、パスポート申請準備と並行して書類の準備を進めておきましょう。

中国の就労ビザを取得する方法 ご家族の分もまるっとスマート解説!

外国人工作許可通知を勤務先から受け取ったら、渡航の1カ月前までにはZビザを申請します。

ビザの申請書は、中国査証申請服務中心(ビザ申請センター)のホームページから、申請先となる管轄のエリアを選択し、オンラインで記入してプリントアウトします。そのまま、オンラインで申請の予約をし、下記の書類一式を、管轄のビザ申請センターまたは領事館に提出してください。

  • 中華人民共和国査証申請表
  • パスポート
  • 証明写真(中国ビザ申請用写真には細かい規定があります。証明写真撮影専門店で証明写真を撮影してもらうと安心です。)
  • 外国人工作許可通知

 参考)中国査証申請服務中心(ビザ申請センター・東京、大阪、名古屋)

https://www.visaforchina.cn/

また、家族を連れて赴任(帯同)される方は、帯同者向けの「S1ビザ」を申請する必要があります。その際は、赴任者が先に中国へ入国している場合と家族一緒に入国する場合で申請書類が異なります。どちらの場合でも、家族それぞれのパスポートと証明写真、戸籍謄本や、赴任者の外国人工作許可通知のコピーなどが必要となりますのであらかじめ用意しておきましょう。

Zビザの有効期限は3カ月のため、3カ月以内に中国に入国し、入国後30日以内に外国人工作許可証と居留許可の申請をする必要があります。

(3) 病院受診

中国は地域によって警戒すべき病気が異なります。中国赴任前に受けることを推奨されている予防接種には、以下のものが挙げられます。詳しくは外務省のサイトで赴任地の情報を確認してください。

  • A型肝炎
  • B型肝炎
  • 破傷風
  • 狂犬病
  • 日本脳炎
  • 腸チフス
  • 麻疹/風疹
  • 帯状疱疹ワクチン(50歳以上)
  • おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)
  • 季節性インフルエンザ など

複数回の接種が必要なワクチンもあるため、スケジュールに余裕をもって、掛かりつけ医に相談しながら計画的に接種しましょう。お子様には、日本の定期接種も行ってください。

参考)外務省:世界の医療事情

https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/medi/index.html

また、赴任前に歯科検診を受けておくことをおすすめします。慣れない異国の地で歯のトラブルを解決するのは大変なので、ぜひ出国前に治療を済ませておきましょう。

中国赴任者必見!推奨される予防接種一覧と接種スケジュール&費用感

(4) 運転免許証の更新

海外滞在者には、運転免許にさまざまな特例があります。出発前や一時帰国の際、更新期間前に更新手続きができることも、その一つです。

もし赴任中に更新期間が過ぎてしまっても、一定の条件を満たせば、学科や実技試験が免除されますが、前倒しで更新をしておくと安心です。

なお、更新の際に免許証の住所と現住所が異なっていても、一時帰国中の滞在先を現住所として住所変更し更新を行うことが可能です。

参考)警視庁:海外滞在者の運転免許証の更新等に係る特例について

https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/menkyo/kaigai_tokurei.html

1-2. じっくり考えながら進めたい 生活に関わる準備

ここでは、赴任3カ月前から取り掛かるべき生活関連の準備事項を解説します。現住居や引っ越し、お金に関すること、子供の転校先など考える時間を要するものばかりです。赴任先でも快適に暮らせるよう、丁寧に準備をしましょう。

(1) 保険の見直し

日本で加入している健康保険や民間の医療保険を見直しましょう。現在加入している保険でも海外のケガや病気に対応できますが、補償は日本の医療制度を基準にしているため、内容が十分とは言えません。

まずは保険会社に赴任先を伝え、その国の実情に合った補償内容を相談すると良いでしょう。医療通訳つきなど、海外駐在員向けの保険商品もたくさん出ているので、必要に応じて、契約の見直しや乗り換えを検討しましょう。

(2) 現住居に関して・引っ越し業者の手配

現住居が持ち家の場合、赴任中の対応について考えなければなりません。短期間ならそのまま維持・人に貸すなどできますが、長期間赴任する場合や赴任期間が不明な場合は手放すことも選択肢に入ってきます。

また、賃貸に出す場合は、日本に置いていく家電・家財道具の保管場所を確保する必要があります。トランクルームや実家などに置く場合は、日本で保管するものと、赴任先に持っていくものの選別を、早めに済ませましょう。

家電・家財道具の処理方法が決まったら、引っ越し業者の手配をします。大抵の大手引っ越し会社は、海外引越しサービスも展開しています。まずは数社から見積もりを取り、料金やサービス内容を検討しましょう。海外への引っ越しには、特殊なダンボールを使用するなど、さまざまな制約があるため、国内への引っ越し料金より割高になります。

なお、引っ越し準備の際は「手持ち・航空便・船便」でそれぞれ何を持ち込むか、よく考える必要があります。

例えば船便は安価ですが荷物の受け取りまで1~3カ月かかる場合もあります。船便は現地で発行される「外国人居留許可」を取得してからの受け取りになるため、時間がかかるのです。渡航してすぐに使うものや、壊れやすいものは手荷物、1カ月以内に必要なものは航空便、急がないものは船便にするなど、輸送手段も踏まえて引っ越し準備を進めましょう。

中国に赴任するときに持って行くべき必需品と輸送手段(一覧表付)

(3) ネットバンキング開設

赴任前にネットバンキングの開設を行いましょう。ネットバンキングがあれば、現地で窓口に行かずとも残高確認や振り込みを簡単に行うことができます。開設には、申し込みから2週間程度かかります

(4) クレジットカードの有効期限確認

海外に引っ越す場合、住民票を日本に残し、郵便物の受け取りができる日本の住所を登録しなければ、クレジットカードが使えなくなる可能性があります。住民票を抜いて海外転出届を出す場合には、カードの解約が必要になる会社もあるため、お手持ちのクレジットカード会社に確認しましょう。

そのうえで、手元にあるクレジットカードの有効期限を確認し、期限が近くなっていたら延長します。また、自身のクレジットカードが海外決済対応なのかも確認します。

中国で最も多く流通しているカードは銀聯(ぎんれん)カードです。銀聯カードにはクレジット機能の他にデビット機能も付けられ、現地では主に、デビットカードとして使用されています。銀聯カードは日本在住でも作成できるので、赴任前に取得しておくと、渡航後すぐに使えます

また、中国ではスマートフォンのアプリ決済が主流です。中国2大スマホ決済アプリは「支付宝(アリペイ)」「微信支付(WeChatペイ)」です。この二つのアプリは、アプリ内にお金をチャージして決済するものです。

二つとも、日本のクレジットカードからお金をチャージできますので、赴任前にアプリをインストールし、チャージをしておくと便利です。

(5) 航空会社のマイレージ加入

駐在生活に入ると、飛行機に乗る機会が増えると思います。航空会社のマイレージに加入し、カードを作っておくと、お得に駐在生活を楽しめるでしょう。

(6) 子供の転校・転園先を決める

家族帯同で赴任する場合、子供の転校先を決めなければなりません。駐在中の子供の教育機関として挙げられるのは「日本人学校」「インターナショナルスクール」の二つです。[ii]

日本人学校は、小・中学生の義務教育を行う文部科学省認定の学校です。上海の日本人学校には、高等部も設立されています。学習内容は、文科省の教育要綱を基準とし、各校独自のカリキュラムが組まれています。日本人学校に入学した場合、授業料を勤務先が負担してくれる場合が多く、費用面でのメリットもあります。

一方、インターナショナルスクールは現地に住む外国人の子供を対象にした学校です。多種多様な国の子供たちと一緒に学ぶので、高い語学力・コミュニケーション能力が身に付くというメリットがあります。ただし、一般に学費が高額で、教育指導内容は各学校に委ねられているため、必ずしも日本と同じ水準・内容で学習が進められるわけではありません。

また、インターナショナルスクール入学には語学試験があるため、それまでにある程度の語学学習をしておく必要があります。インターナショナルスクールや現地校に通う子供たちに向けて、日本人学校に準じた授業を行う、補習授業校もあります。

未就学児の場合、「日系幼稚園(教諭も園児も大半が日本人。日本の幼稚園に近い)」「地元の幼稚園(現地の子供が通う園)」「インターナショナルスクール付属幼稚園」の3種類の幼稚園が主流です。

0~2歳児を対象とした保育施設は数が少なく、日本の保育園のような手厚い保育を実施している施設は少ないのが現状です。中国では、未就園児は家族やベビーシッターが面倒を見るのが主流です。

1-3. 現地での業務を手際よく始めるために 業務に関わる準備

渡航手続きに関わる準備や生活に関わる準備で頭がいっぱいになりがちですが、仕事に関する準備も大切です。

(1) 中国語学習

中国語の学習はすぐに始めましょう。勤務先で語学講座が行われている場合は参加し、スクールに通う・家庭教師をつけることも検討しましょう。

また、中国語の学習サイトやYouTubeなど、インターネットやSNS上で中国語を学ぶことも可能です。中国国営テレビ局の中国中央電視台(CCTV)の番組も、インターネットから無料で視聴できます。

(2) 日本人会、セミナーなどを探す

赴任先には日本人会や日本商工会があります。日本人会のホームページは日本国内からも閲覧できるので、現地の情報収集に役立つでしょう。

また、海外赴任者向けのセミナーを開催している団体もあります。

2. 赴任に向けて慌てずに行いたい準備事項(赴任2カ月前~)

ここでは、先に挙げた項目に続いて行うべき準備について解説します。細かい項目が多いのですが、中国到着後の生活に直結するものもありますので、抜け漏れのないように気をつけたいですね。

(1) スマートフォン・VPNに関するもの

現在お使いのスマートフォンを、中国でも使う一番簡単な方法は、日本で契約しているキャリアの「国際ローミング」サービスの利用です。通話もインターネット接続も、ほぼ今まで通りに利用できます。しかし、料金が高額になるため、観光ではない長期赴任の場合はあまり向かない方法です。

現実的には、中国でスマートフォンを新規購入するか、日本で使用しているスマートフォンに、中国の通信回線によるSIMカードを挿入することになります。渡航当日からスマートフォンを使用するには、中国で利用できる国際ローミング対応のプリペイドのSIMカードを購入しておくと便利です。

ただし、端末によって使用できる周波数帯が異なるため、中国のSIMカードの周波数帯に対応している日本の端末は限られます。事前に対応する周波数帯や、SIMロックの解除について調べてから、対応を考えましょう。

中国赴任 今のスマホはそのまま使える?手続き方法をご紹介

中国の通信回線は「グレート・ファイアウォール」と呼ばれる、中国政府によるネット検閲が敷かれているため、スマホもPC回線も、インターネットの利用に制限が掛かります。LINE、Facebook、google検索なども使えません。

そのため必要不可欠なのが「VPN」です。VPNとはVirtual Private Networkの略称で、インターネット規制や情報漏洩などの規制から通信環境を守り、海外のインターネットサービスを使えるようにするものです。VPNには無料のものから有料のものまでさまざまな種類がありますので、ご自身のインターネット使用頻度に合わせたVPNを、日本滞在中に契約しましょう。

VPNは、中国政府の規制を回避するものです。中国政府の正式な許可を受けた業者のVPNがある一方で、無許可の業者は法的にグレーゾーンとも見られています。政府が違法という認識を示したら、利用を取りやめましょう。

3. 赴任前の最終準備事項(赴任1カ月前~)

いよいよ出発の日が近づいてきました。本稿では出発前の最終準備事項を解説します。

(1)海外転出届

海外赴任する際の住民票の対処について悩まれる方もいると思います。住民票を抜く=現居住地の自治体の住民登録窓口に海外転出届を提出することになります。

海外転出届を提出することによって変わる主な事項は下記の通りです。

  • 国民年金の加入が任意となる
  • 国民健康保険への加入が不可となる
  • 住民税の納税義務がなくなる
  • 銀行口座に制限が掛かる可能性がある
  • クレジットカードの新規発行ができなくなる
  • 印鑑証明が発行できなくなる
  • 株式取引ができなくなる

最も影響が大きいのは「国民健康保険の加入が不可となる」ことでしょう。海外転出届の提出後や一時帰国の際に医療機関を受診すると、全額自己負担となってしまいます。そのため、民間の保険に加入する必要があります。

ただ、会社員の場合、企業や業界の健康保険に加入している場合がほとんどなので、実際には何も変わらないケースも多いです。まずは勤務先が海外転出届の扱いについてどのような対応を取っているか確認し、提出するか否か決めると良いでしょう。

次に重要なのは、「銀行口座に制限が掛かる」 ことでしょう。銀行によっては、日本国内に居住していないと口座の閉鎖やサービス内容の変更を行うがあります。こちらも生活に関わる大切なことなので、海外転出届を出す前にご自身が利用している銀行がどのような対応をしているか確認しましょう。

なお、転出届が提出可能になるのは転出日の2週間前からです。保険や税金に関わる部分は重要なので、住居に続いて早めに検討を始めましょう 。

(2) 両替

準備万端で中国に到着しても、引っ越してしばらくは何かと買い足すものがあり、自炊もままならず外食する機会が多いと思います。支払いにおいて、最も便利で使い勝手がいいのは、アリペイまたはWeChatのスマホ決済アプリですが、渡航直後からスマホの通信回線が順調に使えるとは限りません。そのような場合に備えて、現金は多めに持っていきましょう

クレジットカードも使えますが、使えるカード会社が限られている場合が多いので注意してください。VISA・Master・JCBカードは、大手の百貨店や外国人向けの飲食店以外では、使えない店舗が多いです。銀聯カードは、中国国内のほとんどのお店で使えます。

現金を多く持ち歩くのが不安な方は、クレジットカードにキャッシング機能を付けておくと、ATMで引き出すことができるので安心ですが、手数料に注意しましょう。

(3) 家に関する手続き

2章で解説した「現住居に関して」に続く準備事項です。駐在中に現住居をどうするかが決まったら、光熱費やインターネット通信費の解約手続きと、郵便局への転居届提出を行います。

郵便物の転送は、転居届の届け出日から1年間です。赴任が1年以上の長期に渡る場合は、延長手続きが必要です。また、海外への転送はできません。こうした細かい手続きは出発直前まで忘れがちなので、早めに対応しておくと安心です。

(4) 常備薬・衣類・日用品の準備

慣れない土地での生活では、慣れ親しんだものに囲まれていると気持ちが落ち着きます。

中国でも、日本メーカーも含めたほとんどの日用品は入手できますが、現地仕様になっている製品も。化粧品類など、特にこだわりのある製品については、持参を検討してもいいでしょう。

また、日本で販売されている薬を中国で入手することは難しいため、常備薬は、掛かりつけ医と相談のうえ、日本から持っていきましょう。

(5) 赴任後の仕事のスケジュール調整

現地に赴任後、まず行うのが「外国人工作許可証」と「外国人居留許可」の申請です。こちらの申請には約1カ月かかるうえ、パスポートの提出が義務付けられています。パスポートの預かり期間中は、居留許可申請の受理票をパスポートの代わりとして利用できますが、写真の添付や割り印などが必要です。着任してすぐに出張の予定を入れるのは、避けた方が無難です

4. 中国赴任後に行うこと

いよいよ赴任です。ここでは、赴任後に現地で行うべき手続きについて解説します。日本で準備してきたことが役立ちますので、上記で解説した準備事項をしっかりと行い、下記の手続きに備えて下さい。

(1) 臨時宿泊登記    

中国入国後24時間以内に行う手続きです。ホテルに宿泊する場合はフロントでパスポートを提出し、手続きを行います。その後はホテル側が登記を代行してくれます。

こうした手続きの代行を行っていないホテルや民泊施設、知人宅に滞在する場合は自身で登記手続きを行う必要があります。その際は下記の書類を宿泊先の人を伴って最寄りの警察所か派出所に提出し、手続きを行います

  • 宿泊者本人のパスポート
  • 宿泊先の中国人の戸口簿・身分証、外国人の場合はパスポートまたは居留証
  • 本人又は宿泊先の人のアパートの契約書、住む家の登記簿など(こちらの書類に関しては警察署や派出所の方の指示に従ってください。)

この手続きを行わなかった場合、罰金が科せられる可能性がありますので注意してください。

(2)外国人工作許可証と居留許可の申請

入国後、まずは、管轄地域の担当部門に外国人工作許可証の申請をします。工作許可証を取得後、入国30日以内に外国人居留許可の申請をしなければなりません。

赴任先の都市によっても違いますが、申請にかかる期間は約1カ月です。

居留許可の申請手続き中は、パスポートを預けることに注意しましょう。

(3) 銀行口座の開設・スマートフォンの購入

中国ではアプリでの決済が主流ですが、アプリ決済に欠かせないのが中国国内の銀行口座の開設です。この銀行口座とアプリを紐づけ設定することで、中国での買い物がより便利になります。スマートフォン購入後は、アリペイやWeChatなどの決済アプリをインストールし、口座との紐づけ設定を行いましょう。

5. 中国赴任に向けた準備項目チェックシート

上記で解説した準備項目をチェックシートにしました。ご自身で項目を追加することも可能なので、使いやすいようにカスタマイズしてご活用ください。

※画像をクリックするとエクセルファイルをダウンロードできます。

6. まとめ

本稿では、中国への赴任が決定した方々へ向けてその赴任日から逆算して行う準備について解説しました。

赴任が決定次第(赴任3カ月前~)、取り掛かるべき申請関連・生活関連・業務関連の準備は下記の通りです。

申請関連

  1. パスポート申請
  2. ビザ取得
  3. 病院受診
  4. 運転免許証の更新

生活関連

  1. 保険の見直し
  2. 現住居に関して・引っ越し業者の手配
  3. ネットバンキング開設
  4. クレジットカードの有効期限確認
  5. 航空会社のマイレージ加入
  6. 子供の転校・転園先を決める

業務関連

  1. 中国語学習
  2. 日本人会、セミナーなどを探す

赴任に向けて慌てずに行いたい準備事項(赴任2カ月前~)は下記の1点です。

  1. スマートフォン・VPNに関するもの

赴任前の最終準備事項(赴任1カ月前~)は下記の5点です。

  1. 海外転出届
  2. 両替
  3. 家に関する手続き
  4. 常備薬・衣類・日用品の準備
  5. 赴任後の仕事のスケジュール調整

中国赴任後に行うことは下記の3点です。(1)は入国後24時間以内、(2)は30日以内に行う必要があります。

  1. 臨時宿泊登記    
  2. 外国人工作許可証と居留許可の申請
  3. 銀行口座の開設・スマートフォンの購入

中国赴任には多くの準備が必要です。「何を・いつまでに」準備しておくべきか把握することで、海外駐在に対する不安も解消されるでしょう。本文中に記載したチェックシートをぜひ活用して、中国赴任へ向けた準備を円滑に進めてください。

  • 外務省ホームページhttps://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/passport/download/top.html
  • 中華人民共和国駐日本国大使館ホームページhttp://www.china-embassy.or.jp/jpn/lsfu/bgxz/

[i] 政府広報オンライン「パスポートの更新がスマホで可能に2023年3月27日からオンライン申請がスタート!」, https://www.gov-online.go.jp/useful/article/202301/1.html#thirdSection,2023年2月7日(閲覧日:2023年8月14日)

[ii] 文部科学省「在外教育施設の概要」, https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/clarinet/002/002.htm,(閲覧日2023年8月28日)

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