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中国のビジネス文化の特徴は?赴任前に知っておきたい5つのポイント

中国ビジネス成功のために 文化的特徴を把握して心の準備をする方法

「中国人の部下にミスの原因を聞いたら、言い訳しか返って来ないんです。責めているのではなく再発を防ぎたいだけなのに。」
「報連相を全然してくれないんです。いつも取り返しのつかなくなる直前に相談してくるんです。」

これは、メーカーの総経理として赴任した50代のある日本人駐在員が、中国人部下との間に起きたトラブルとして話していたことの一つです。彼は赴任後、約10名の中国人部下を抱え、日々奮闘していました。

中国は日本と同じアジア圏にある国ですが、文化や習慣が大きく異なります。中国に赴任すると、大抵部下や取引先は中国人となり、日本とは異なる接し方やマネジメントが必要になります。

相手の文化や歴史的背景を無視してビジネスを進めてしまうと、従業員や取引先と大きなトラブルを抱えてしまう可能性があります。それだけではなく、駐在員自身の大きなストレスの原因になることもあるでしょう。

本稿では、中国でビジネスを進めるにあたって理解しておくべき「中国の文化的特徴」について、具体的に解説します。

ビジネスや生活面における日本との違い、中国人と仲良くなるコツ、駐在員がビジネスシーンで注意すべきトラブル事例など、事前に知っておけば駐在生活のスタートに役に立つことばかりです。

中国人従業員や取引先との円滑なコミュニケーションの実現は、ビジネスの成果につながり、ひいてはあなたのキャリアに直結していきます。

本稿が、中国に赴任される方のより充実した駐在生活と、ビジネスの成功の一助になれば幸いです。


1. 最低限知っておきたい中国の歴史と文化

筆者は長年、A&Cアソシエイツ株式会社で、企業における教育・研修プログラムの企画・運営や、日本企業の中国進出支援を行ってきました。

駐在員が中国の文化を理解するにあたっては、まず、中国を知る上での「前提」となるものを、最低限知っておくことが肝心だと考えています。それは、中国にある「多様性の存在」と、「歴史との関わり」の2つです。詳しく見ていきましょう。

1-1. 一言では語れない中国

「中国ってどのような国ですか?」「中国人ってどのような特徴がありますか?」。

このような質問を多く受けるのですが、一言で答えるのは非常に難しく思います。

中国には14億以上の人口がいて、民族の数は56にのぼります。面積は約960万㎢で、北に位置するハルビン市から南の広州市に飛行機で移動すると約5時間を要します。

このような国を一括りにできるでしょうか。無理がある事は想像に難くないでしょう。

中国で生活やビジネスをする上でまず念頭に置くべきは、この多様性です。十把一絡げで中国を語る事はできませんし、語っている人に対してはむしろ警戒が必要です。

ただし、いくつかに分けて眺めてみると、それぞれの特徴が見えてくるのも確かです。

多くは語りませんが「北京の人は〇〇、上海の人は□□」といったイメージは中国人でも持っていますし、更に伏せますが「△△の人と◇◇の人は仲が悪い」などと言われる事もあります。

また、日本でも「ゆとり世代」「Z世代」などの表現があるように、中国でも「80后(1980年代生まれ)」「90后(1990年代生まれ)」などの名称があり、世代ごとに対するイメージも存在します。

更に言うと、「日系企業で働く人」「欧米企業で働く人」などでも、それぞれイメージがあります。

以下では中国全体、もしくは何らかの分類をした際に見られる傾向をご紹介していきますが、多様性が存在している事を頭に入れた上で読んでいただけると幸いです。

1-2. 切り離せない歴史

筆者が中国で15年ほど生活した中で、反日感情を強く感じた事はさほどありませんが、ビジネスをする上で日本と中国の歴史を切り離して考える事はできません。

例えばこのような興味深い例があります。

日系の百貨店が中国の某都市でオープンした時の事です。オープニングセレモニー開催のための準備を着々と進めていましたが、日が迫る中、SNSで「あの百貨店のオープン日は、日本軍がこの市に侵略した日だ」という情報が広まりました。

一般市民レベルではさほど問題視されませんでしたが、政府側では大きな問題となりました。大型のイベントなので周辺警備が当然行われますし、セレモニーには地方政府の方も出席予定だったからです。しかし、SNSの情報が注目を浴びてしまったため政府間係者の参加が不可となり、最終的にセレモニーも開催しない事になりました。

盧溝橋事件の7月7日、抗日記念日(降伏文書調印の翌日)の9月3日は比較的よく知られていますが、都市によってはそれ以外の歴史的背景が関係する場合もあります。

新商品の発表会、大規模イベントなどを開催する場合は注意が必要です。


2. 知っていれば慌てない!中国の文化的特徴【ビジネスシーン編】

中国人従業員とうまくビジネスができるか、不安に感じている人も多いのではないでしょうか。駐在員としては、ビジネスシーンでのトラブルをできるだけ避けたいものです。

この章では、ビジネスシーンで知っておくべき中国人従業員の仕事に対する姿勢などを具体的に解説します。

2-1. チームプレーよりも個人プレーが好まれる?

中国ではチームプレーよりも個人プレーが好まれる、と思われる事が多いようです。確かにそのような傾向はあります。ただし、この現象のみをうのみにすると本質を見誤るかもしれません。

興味深いのは、個人プレーの傾向が強い従業員でも、管理者になると部下に対してチームプレーを求める向きが強まる事です。

この現象を説明するため背景として理解しておきたいのは、中国人の多くは「損得勘定に敏感」という事です。どう動けば自分にとってメリットがあるのか、誰の指示に従えば良いのか、どうすれば楽か、などの判断に長けている人が多いと言って良いでしょう。

その結果として、自分にとって利が大きい行動を選び、個人プレーと見られる動きをしているのが実情かもしれません。個人プレーを目指しているわけではなく、結果として個人プレーになっているのです。

管理者が部下に対してチームプレーを求める事については、「チームのパフォーマンスが管理者の評価につながると考えている」と捉えると腑に落ちます。

確かに、中国では個人プレーを好む傾向が見受けられますが、決して個人主義ではありません。こう聞くとややこしいかもしれませんが、「家族や親友を何よりも大切にする」と考えると分かりやすいでしょう。

例えば、会社を家族として捉えている従業員は同僚を大切にしますが、自分自身のメリットを優先させる従業員は、会社や同僚を大切な存在とは捉えていない可能性があります。結果、会社やチームよりも自分のメリットを優先させるので、「個人プレーが得意な従業員」となるのです。

では、チームプレーを促進させたい場合、駐在員は従業員に対してどのような接し方をすれば良いのでしょうか。一つの方法は、「チームのメリットを目指す事がその人自身のメリットにもつながる」と、常日頃から伝えることです。

例えば、「情報共有をすると周囲から良いアイディアが集まるかもしれない。するとあなたの仕事が楽になる」「同僚が困っているときに助けると、部門全体の仕事がスムーズになるし、周囲からのあなたへの評価も上がる」といった具合です。

また、特に赴任直後の駐在員の方の場合、「この人についていきたい」と現地従業員に思わせる事も大切です。

スキルや人間性、日本本社との調整など、自身の持ち味を惜しげもなく見せつける必要があります。すると「この人の指示に従うとメリットがある。自分の成長につながる」と感じさせる事ができます。

駐在員の大切な仕事の一つは、自身が潤滑油となり、従業員間の良好な人間関係を築くためのサポート役となることなのです。

2-2. 転職してキャリアアップする考え方が強い?

中国最大規模の求人ウェブサイト「前程無憂」を運営する51jobが公表したレポートによると、中国全業界における2018年の離職率は20.9%、2019年は18.9%でした。2020年はコロナウィルスの影響があったためか、14.8%と比較的低い結果となっています[1]

厚生労働省の雇用動向調査によると、日本の2018年の離職率は14.6%、2019年は15.6%でした。日本でも2020年の離職率は例年より低く14.2%でした[2]

中国と日本の離職率を数値だけで判断すると、中国の方が、数値が高くなります。

しかし、「離職率が高い=中国人全てが転職してキャリアアップを望んでいる」とは、一概には言えないように思います。

転職してキャリアアップする志向が強い人には、いくつかのタイプがあります。

まず、勤務地に住居を保有しておらず、賃貸住宅に住んでいる場合について紹介しましょう。こういったタイプの人は、生活コストの負担が大きいため、より良い待遇を求めて、転職してキャリアアップする人が多いように感じます。

特に工場での作業員には出稼ぎ労働者も多く、常にアンテナを張って良い条件を探しているので、集団で離職してしまうケースも少なくありません。

工場では、人材の確保において、新たな課題も発生しています。それは、工場の作業員よりも、配達員の仕事を選ぶ人が増えている、ということです。

中国では、日本よりも早くデリバリーサービスが普及し、ここ2~3年で配達員の仕事が人気を集めています。

配達員の仕事は、「自分の都合に合わせて働ける」「やる気になれば工場で働くよりも1.5倍~2倍の収入を得られる」などのメリットがあるため、工場作業員から転職する人も多いようです。

転職志向の強いタイプについて、話を戻しましょう。勤務地での保有住居の有無以外では、年代ごとにも特徴が感じられます。2~3年ほど前、中国のインターネット上で興味深いまとめが話題になっていました[3]

1960年代生まれは、「離職って何?」
1970年代生まれは、「なんで離職する必要があるの?」
1980年代生まれは、「収入がアップするなら離職する」
1990~1994年生まれは、「上司が怒ったから離職する」
1995~1999年生まれは、「気に入らないから離職する」
2000年代生まれは、「上司が話を聴かないから離職する」

従業員の年代で一括りに考えるのは危険ですが、ある程度の参考にすることはできます。

一方で、日系企業は「従業員を大切にする」というイメージが一般的にあるためか、安定志向の人材が集まりやすく、長年勤める人が多いように思います。

特に出身地で勤務している場合、生活コストが軽減できるので、ハングリーさが乏しい傾向があります。

まとめると、キャリアアップ志向が強い人も、安定志向が強い人も、中国にはどちらのタイプの人もいる、ということです。

駐在員としては、「この会社で働き続けたい」と思わせる事と、「挑戦心を持たせる事」のバランスを取ることが重要です。日ごろのコミュニケーションを積極的に取りつつ、「会社は従業員を大切にしている」とメッセージを伝え続けることで、「この会社で長く働きたい」と思わせることが大切です。

それと同時に、挑戦を促すような人事制度や教育制度の整備も視野に入れ、向上心を促進させることも重要です。

2-3. あまり謝罪しない

日本人が中国に訪れてビジネスでもプライベートでも驚くのが、「謝罪をしない」「言い訳が多い」ことかと思います。日本人からすると「形だけでも謝っておけば丸く収まるのに」と思うケースは多々あります。

誤解を恐れずに言うと、中国は減点主義的な傾向が強いと感じます。器の大きさを見せるため、表向きは許容しているように振る舞いますが、実際は、失敗に対する許容度は低いと考えて良いでしょう。

そのため、何かミスをした場合、自衛のために自分に非は無い事を強調し、自分が不利にならないように頭をフル回転させます。結果、謝罪をしません。中国では、謝罪は非常に重い行為なのです。

さて、このような文化の中でビジネスをどのように進めるか、駐在員としては頭の痛い問題です。

まず、社内での立ち振る舞いに関して、駐在員が覚えておくべきなのは、中国には面子を「非常に」大切にする文化があるということです。

ですから、従業員がミスなどをしても、人前で叱る事は絶対に避けましょう。間違いを認めさせ、謝罪させるために人前で叱ると相手は面子を潰されたと思い、逆上するでしょう。

従業員を正す場合は、形式上の謝罪は強要せず、「次はどのようにするか」と前向きな視点から話すことをお勧めします。そうすることで、理性的かつ器が大きい所を見せつけることもできます。

とは言うものの、日系企業に勤めている中国人従業員は日本文化を熟知している人も多く、当たり前のように謝ります。特に日本語が話せて、通訳を介する必要が無い人はそうです。

形だけでも謝った方が、人間関係がギクシャクしない事を知っているからです。ただそれでも面子は大切にしているので、人前で叱るのはやはりご法度です。

謝らないのは社内の従業員だけではありません。取引先でミスが発生した場合も同じ問題が頭を悩ませます。

日本では、「ミスをした方が謝る」というのは常ですが、中国では、取引先がミスをしても謝罪しないこともあります。この場合、取引先との関係性やパワーバランスにもよりますが、大体は受け入れるしかありません。

考え方としては、「大切なのは謝罪の強要ではなく、淡々とした事実の指摘である」ことを覚えておくことです。

なぜ、どこが、どのように間違っていたのかを指摘することで、相手から行為としての謝罪はなくとも、こちらの要求を(譲歩しつつも)相手に呑ませることが可能になります。

余談ですが、中国では家族間でも謝る事はほとんどありません。これは、他人行儀な感じがしてしまうためです。やはり中国において、謝罪は重い行為なのです。

2-4. 面子をとても重視する

先にも書いたように、中国には面子を非常に重視する文化があります。これは、中国でビジネスをする上で、また中国人と付き合う上で切っても切り離せないポイントです。

面子を重視する文化が背景にあるため、人前で叱る事はご法度です。「その人は無能である」と周囲に対して知らしめているようなものなので、面子を大きく傷つけることになります。

さらに中国人の傾向として、自分の知識や能力を誇示しようと、パーフェクトな正答を一発で出そうとするようにも感じます。

中国人従業員向けに教育研修を実施すると、Yes or Noの簡単な質問や、単語の暗記を問う問題であれば元気な回答が返ってきます。しかし、考えさせる、回答がいくつも存在する質問に対しては、黙り込んでしまうことがよくあります。

これは、面子を重視する文化に加えて、詰め込み式教育による弊害かと思います。

自由闊達な意見を求めるためには、冒頭に「発言は自由です。正しい唯一の正解はありません」と強調すると良いでしょう。ワイワイガヤガヤと議論する事が好きな人は多いので、研修や会議の雰囲気が一気に変わるはずです。

また、中国では「報連相」が苦手な人が多いのも、面子の文化が関わっているのでしょう。「一発で最終形を出さないと無能と思われる」という考えがあると思われます。

「報連相」に抵抗がある従業員に対しては、こちらから指示を出す際に最終形のイメージを一致させておきましょう。

例えば、会議などで使う資料の作成を頼むのであれば、以前に使用した資料を共有する、などの方法が有効です。加えて、指示を出した後はこまめに進捗を確認するとよいでしょう。

2-5. 中国語には「敬語」に当たる言葉があまりない

日本語の敬語には尊敬語、謙譲語、丁寧語があり、日本人にとっても使い分けが難しい場合があります。

一方中国語には、日本語ほどややこしい敬語はありません。「ありがとうございます」「ありがとう」「どうも」はすべて「謝謝」で表現できます。これは、中国語学習者にとっては助かるでしょう。

ただ、相手を尊重する言葉が全く無いかというと、それは誤解です。例えば、「あなた」を意味する「你」を丁寧すると「您」となります。

さらに、顧客や目上の人に対しては婉曲的な表現を使って尋ねることがあります。

例えば、「明日は都合が良いですか?」をそのまま中国語に直訳すると「明天方便吗?」ですが、「不知您明天是否有时间?(明日はお時間があるかわからないのですが、ご都合はいかがでしょうか?)」という風に相手を尊重して尋ねることもあります。

中国は面子の文化ですから、中国人同士も相手の面子を立てることに苦心しているのです。

[1] Baidu(百度),「前程无忧发布《2021离职与调薪调研报告》离职率整体呈现下降趋势」,https://baijiahao.baidu.com/s?id=1686237354351987047&wfr=spider&for=pc(閲覧日:2021年10月1日)
[2] 厚生労働省「入職と離職の推移」,『令和2年雇用動向調査結果の概要』,https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/21-2/dl/kekka_gaiyo-01.pdf(閲覧日:2021年10月1日)
[3] インターネット上で拡散されていた「まとめ」情報のため、原典に当たるものは不明。その中の一つとして、以下が挙げられる。「为什么要离职?看看各个年龄段人的回答」,2019年10月25日,https://baijiahao.baidu.com/s?id=1648376860572025887&wfr=spider&for=pc (閲覧日:2021年10月5日)


3. 知っていれば慌てない!中国の文化的特徴【私生活編】

中国に住むと食事や買い物の方法など、現地の生活文化になじむ必要があります。この章では、駐在者が知っておくべき中国の生活情報を解説します。

3-1. 支払いはモバイル決済が主流

中国では、モバイル決済が一般的に使用されており、食事や買い物、公共交通機関の利用など、日常生活において欠かせないものになっています。ほとんどの支払いをモバイル決済で行えるため、現金を持ち歩かない人も少なくありません。

モバイル決済の代表的なサービスは、WeChat Pay(微信支付)とAlipay(支付宝)です。

小さな個人商店を含めて、店頭にはQRコードが掲示されています。QRコードをスマートフォンでスキャンし、店員から言われた金額をアプリ内で入力すれば会計完了です。

こちらがスマートフォンでQRコードを表示し、店側にスキャンしてもらうケースもあります。

また、WeChat Payなどを使った送金機能も良く使われています。グループで外食に行った際、代表者がWeChat Payで料金をまとめて店側に支払い、その後、割り勘の代金を代表の人に各自がWeChatで送金することができます。
また、ご祝儀やお年玉もWeChatで送金する事ができます。

さらにWeChatには、ゲーム感覚で楽しめる「紅包」機能があります。これを使えば、お年玉やお祝い事のときにゲーム感覚でお金を送金することができます。
方法は簡単です。WeChatでグループを作り、グループの誰かがグループメンバーに対して、お金を配ります。配り方には「ランダム/同額」があり、「50元を5人にランダムで配る」と設定するとグループ内の参加者5人に、50元がランダムで分配されます。

家族グループ、友人グループ、会社の部門グループなどで、旧正月などのタイミングでにわかに盛り上がりを見せます。

なお、WeChat Pay開設には中国の銀行口座が必要なため、赴任直後は使えないかもしれません。

3-2. 「お客様は神様」という概念はない

私が中国に初めて訪れた2000年代前半は、日本人からすると驚くような接客態度が一般的でした。来店者が話しかけるとため息をついたり、商品の有無を聞いても「没有(無い)」と一蹴されることが多かったように感じます。

また、商品を購入をしても、お釣りを投げて返されたり、店員が何かミスをしても謝罪の言葉がない、という経験もありました。

それから約20年が経った今、状況はかなり変化し、丁寧なサービスが普及しています。

その背景には、大都市を中心に競争が激しくなったことが挙げられます。競争を生き抜くため、サービスに力を入れ拡大したチェーン店なども存在します。日本に進出した火鍋チェーンの「海底撈」がその代表例です。

特に、ECサイトのカスタマーサポートのレスポンスの速さには驚かされます。一般的に、中国のECサイトにはチャットツールが備わっていて、消費者は気になる商品があれば、出店先に情報を細かく確認した上で購入ができます。

スピーディーな対応を心掛けている店が多いため、自店の対応が遅いとそれだけで低評価につながってしまい、顧客獲得の競争に勝つのは難しくなります。

ECサイトだけでなく、タクシーの利用者に対してもサービス向上の努力が見られます。中国では、配車アプリケーションを使ってタクシーを利用できます。タクシーを降りるときに、「満足でしたか?」「サービスは良かったですか?」「車内は清潔でしたか?」などの評価を聞くメッセージがアプリ内に表示されます。

高評価のドライバーは、料金を稼ぎやすい長距離が優先的に回されるようなシステムになっていたり、ランクが昇格し給与が上がる仕組みになっていることもあります。そのため、安全運転やサービスの向上を意識するドライバーが増えました。

このように中国では、良いサービスが普及しつつあります。しかし、まだ普及しきったとは言い切れない状況です。赴任して間もない駐在員は、面食らう場面もあるかと思いますが、寛容な精神で現状を受け入れていただけると幸いです。


4. 中国人と仲良くなるコツ

具体的に、中国人と心を通わせ、仲良くなるにはどうすれば良いのでしょうか。中国に赴任してすぐに実践できるコツを解説します。

4-1. 一緒に食事をする

中国人と仲良くなるには、昼食を一緒に取ることが効果的です。もしくは、昼食後やおやつタイムの時間帯に、何か差し入れを持ち込んで一緒に休憩を取りつつ会話するのも良いでしょう。

話す事自体が好きな人は多いですし、何か食べながらだと会話しやすい雰囲気が作りやすくなります。

知人のSNSを見ていても、「今日は会社の同僚たちとこんな食事をした!」と料理の写真が多くアップされています。

日本では交友を深めるために1対1で食事をすることが多いかもしれませんが、中国人従業員と食事をするときは、何人かとワイワイ食事をする雰囲気の方が良いかもしれません。

一方、飲みニケーションはあまり期待できません。仕事よりも家族を大切にする文化が根強いので、退社後はすぐさま帰宅する人がほとんどです。また、若い人を中心にお酒を飲まない人も増えています。

また、家族との用事を優先する人が多いので、当日の突発的な誘いは避け、数日前から事前に予定を伝えておきましょう。

4-2. よく話を聞く

中国人との距離を縮めることについて、中国人従業員と非常に良好な関係を築いている駐在員のをご紹介します。

その方は中国語をほとんど話せませんが、中国人従業員に対して何か確認したい事があったときに、気軽に日本語で話しかけます。それを見かけた通訳者が慌てて駆け寄り、通訳をする状況が多々見られるようです。

特殊な例なので、全く同じことをするように勧めているわけではありませんが、「あなたとしっかり向き合っていますよ」というメッセージを伝えることの大切さを学べる事例です。

繰り返しとなりますが、中国は面子を大切にする文化です。相手の話を聴かず、一方的にこちら側の話ばかりしていると、「自分が大切にされていない」と感じられてしまい、心は離れます。

日本と中国で異文化ギャップは多くあり、「中国」といっても多様性があります。難しさは伴いますが、できる限り先入観を捨て、時間をかけて相手の話を聴くことが大切です。

4-3. 相手の価値観を尊重する

日本に一時帰国する際、知り合ったばかりで、さほど仲が良いとは言えない知人から、お土産を買ってくるよう頼まれたことがあります。この人が特殊なのかと思っていたのですが、中国では簡単なものを含めて、お願いを受けることが多いように感じます。

これには、お願いをすることで相手との距離を縮めようとする気持ちが働いているのかもしれません。

日本人からすると違和感があると思いますが、「お願い」とは相手への「信頼」を示していて、より仲を深めようとする行為だと捉えましょう。

また、相手の価値観を尊重していることを「相手に伝える」ためには、中国語の学習も有効です。

なにも、ネイティブレベルの中国語が必要なわけではありません。日常会話レベルであっても中国語を習得すると、中国の文化や人を尊重していること、中国人と心を通わせるために言語を学習していることを伝えることができます。

さらに、簡単なレベルで良いので、三国志や漢詩などを知っておくと喜ばれます。中国の文化に興味関心があると伝わることで、話は盛り上がります。

相手の文化や歴史、言語を尊重していること、中国に順応できるように努力している姿を見せることで、中国人との心の距離を縮めることが可能になります。


5. 駐在員が注意すべき、ビジネスシーンで起こりやすいトラブル事例

この章では、ビジネス関連で起こりやすいトラブルをいくつかご紹介します。

まずは「差不多(チャーブドゥオ)」という表現です。綺麗に直訳するのは難しいのですが、日本語にすると「大差無い」「ほとんど一緒」という意味です。

例えば、部下に対して「あの資料できた?」と尋ねたとします。すると「差不多」と返ってくることがあります。

言葉通りに捉えると「ほぼ仕上がった」という意味になりますが、「ほぼ」は人によって大きく異なります。

本当に完成間近な事もありますし、逆に着手したばかりの事もあります。結果、納期に間に合わなかったり、不十分なまま提出したり、という状況は少なくありません。

駐在員としては、「差不多」をうのみにせず、中国人従業員とコミュニケーションをとり、進捗状況をしっかり確認する事が大切です。

さらに、「さばを読む」傾向がある、というのも注意が必要な点です。

例えば、新規代理店候補に「何社くらい販売先がいるのですか?」と確認して「大体50社です」と返ってきたとします。この50社という数字は、「今の販売先が25社、この前まで取引があったのが10社、今交渉中なのが5社。合わせると40社だから、大体50社かな…」といった計算が裏で働いた結果の場合があります。

「差不多」の場合と同様、耳にした情報をうのみにせず、自分の目で確認したり、他のルートからの情報を得るなどの、事実確認が重要です。

起きやすいトラブルとして、もう一つ切実な例を挙げます。特に中国企業との取引で問題になりやすいのが、売掛金回収です。

売掛金回収は非常に骨の折れる仕事です。中国の企業によっては「経理部の仕事=支払いを遅らせる事」という考えがあり、支払いを遅らせる事で社内評価を得るケースもあります。

駐在員の立場としては、支払いの約束を反故されたことを怒鳴りつけてもはぐらかされるだけですし、逆に下手に出ても見くびられるだけです。

売掛金回収のトラブルを防ぐには、友好的な取引を続ける事のメリットや、逆に支払いを遅らせる事のデメリットを筋道立てて説明し、支払いの優先順位を上げさせるように、努めるしかありません。

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6. まとめ

本稿では、中国人と上手にコミュニケーションを取り、トラブルなくビジネスを進めるポイントについて解説しました。

中国でビジネスをする上で念頭に置いておきたいのは、日本と中国の歴史です。大規模イベントなどでは歴史的背景が影響を及ぼすことを覚えておきましょう。

中国ではチームプレーよりも個人プレーが好まれる、と言われることがあります。

駐在員が中国人従業員にチームプレーを教育する場合、「仲間を協力すると良いアイディアが集まり、あなたの仕事が楽になる」「同僚が困っているときに助けると、周囲からのあなたへの評価も上がる」など、チームプレーを目指す事が、自分自身のメリットにもつながることを伝えるとよいでしょう。

「中国人は謝罪をしない」「言い訳が多い」とも言われることがあります。これらには、面子をとても重要する中国の文化と、ミスをすると自己評価が下がるという思考が関係している可能性があります。

そのため、従業員がミスをしても、謝罪をさせるために人前で叱る事は避けましょう。間違いをしても「ミスを再発させないために、次はどうしたら良いのか」など積極的な視点で解決策を提示するのが有効です。

中国では、WeChat Pay(微信支付)とAlipay(支付宝)などのモバイル決済が、食事や買い物、公共交通機関の利用などに利用されています。

顧客に対する丁寧なサービスも普及してきています。特にECサイトなどでは、顧客からの問い合わせに対する迅速なレスポンスを心掛けている企業も多くあります。

中国人と仲良くなるポイントは以下の通りです。
・一緒に食事をする
・よく話を聞く
・相手の価値観を尊重する

昼食後やおやつタイムの時間に一緒に休憩を取りつつ会話するのも良いでしょう。
また、上手に中国語を話すことができなくても、よく話を聞き「あなたとしっかり向き合っていますよ」というメッセージを伝えることも大切です。

駐在員が中国でビジネスをするときは、中国人従業員とコミュニケーションをしっかりとること、耳にした情報をうのみにせず、自分の目で確認したり、他のルートからの情報を得るなど、事実を確認することが大切です。

日本と中国では文化が大きく異なります。しかも中国の中でも多様性があります。特に赴任直後は、驚く事や腹を立てそうになる事もあるでしょう。

そんなときは、気持ちを大きく持ち、寛容な態度で状況を受け入れていく心持ちで過ごしていただければ幸いです。

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