知っててよかった 現地編

中国で赴任者のクレジットカードは使える?現地のキャッシュレス事情を確認!

2023.11.27 更新

「今日本で使っているクレジットカード、中国でも使えるのかな?」

新しい土地で、慣れない通貨を使って暮らすのは大変です。赴任にあたり、当面クレジットカードで生活していこうと考えている方も多いかもしれません。

何もせずそのまま使えるのか、現地での利用にあたり何か手続きが必要なのか、万が一使えない場合、手元のクレジットカードはそのまま放置してしまってよいのか、など、色々と疑問がわくところかと思います。

実は、中国は日本よりもずっとキャッシュレス化が進んでいます。ところが、キャッシュレスの中心はスマホのアプリ決済で、クレジットカードの普及率は高くありません。スマホ決済アプリとの連携も含めて、クレジットカードの活用方法を見ていきましょう。

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1. 中国におけるクレジットカードの位置づけ

中国では、クレジットカードがあまり普及していません

クレジットカードは「信用(クレジット)」を担保にカード会社が利用者の買い物代金を一時的に建て替える決算システムです。ところが、クレジットカードが中国に入ってきた当時、発行審査を通過できる条件を持つ人が、一部の富裕層に限られる状況でした。

そこで、クレジットカードの代わりに普及したのが、決済時に即座の銀行引き落としとなる「デビットカード」です。

2002年、中国政府主導により、中国の中央銀行である中国人民銀行が中心となって、中国のほぼ全ての金融機関が参加する決済ネットワークが作られました。これが中国銀聯(UnionPay/ユニオンペイ)です。

中国はキャッシュレス決済やIT化を一気に促進するため、銀行のキャッシュカードに銀聯のデビッドカード機能を自動で付与しました。発行審査が不要のデビッドカードは、中国国内で爆発的に普及しました。

そして現在、その銀聯カードを上回る勢いで広まっているのがアプリによるQRコード決済です。中国では、地方の農村部などでインフラ整備が遅れていたため、固定電話よりも先に携帯電話が全土に広がりました。スマートフォンが普及した今では、アプリ決済が最も一般的な決済方法となっています。

さて、こんな中、日本から持ち込んだクレジットカードを使うことができるのか?というと、できます。ただし、状況が限られます。以下で詳しく確認していきましょう。

中国でも、クレジットカードを作るべき?  

クレジットカードに慣れている日本人からすると、長期滞在するなら現地の口座でクレジットカードを作った方が安心では?と感じるかもしれません。

けれども、中国の基本は、スマホの決済アプリ(Alipay(支付宝)、WeChatPay(微信支付))です。決済アプリが使えれば、日常の支払いには不自由しません。コスト削減のために「クレジットカードや現金はお断り」のお店が出現して、社会問題になったほどです。

「現金お断り」は法令違反のため政府が取り締まりましたが、クレジットカードの存在感は薄いままです。

また、中国で銀行口座を開設すると、自動的に銀聯デビッドカードが発行されます。スマホ決済と銀聯デビッドカードがあれば、生活には十分です。

中国でもクレジットカードを作成するかどうかについては、実際に赴任して中国生活に慣れてから、必要性を感じたときに検討すればいいでしょう。

2. 中国で使えるクレジットカードとは

中国ではクレジットカードはあまり普及していないと上記で述べましたが、普及率の低さは使用できるカードの種類の限定にもつながってきます。ここでは、中国で使用できるクレジットカードと、中国で1番使える銀聯カードについて解説します。

2-1. 使用できるのは主にVISA、Masterカード

中国では、国際ブランドカードは「外卡(ワイカー)」と呼ばれます。主に使用できるブランドは「VISA」と「Master」カードです。

外国人が多く訪れる百貨店やレストラン、ホテルなどでは問題なく使用できますが、それ以外で利用できる場所は少なくなっています。

また、日本で発行されたクレジットカードを海外で使うと、海外事務手数料が上乗せされる点にも注意が必要です。

2-2. ナンバー1は銀聯(ぎんれん)カード

中国で1番普及しているカードは「銀聯カード」です。銀聯カードの「銀聯」は、中国銀聯が展開する電子決済サービスの呼称です。

中国銀聯に加盟している金融機関は世界181カ国、2,500社以上あり、「銀聯」は国際ブランドとなっています。

銀聯カードは、日本在住でも作成できます。中国生活に最も浸透しているのはアプリ決済ですが、アプリ決済に不安がある場合は、赴任前に銀聯カードを取得しておくと、中国での生活をスムーズにスタートできるでしょう。

銀聯カードの作成方法については以下の記事で解説していますので、そちらをご参照ください。

中国に赴任するときに持って行くべき必需品と輸送手段(一覧表付)

3. 中国へ出発する前にしておくべきクレジットカード関連の手続き

国外へ転居する前に、手元にあるクレジットカードに関する手続きを見てみましょう。

(1)銀行口座の確認

1年以上の海外赴任が決定している場合、市区町村に「海外転出届」を提出し、住民票を除票する必要があります。住民票を除票すると、日本では「非居住者」になります。

ゆうちょ銀行やネット銀行、地方銀行の多くは、非居住者の口座を認めていないため、住民票を転出すると、口座を解約せざるを得ません。その口座が、クレジットカードの引き落とし口座の場合には、該当するクレジットカードも使えなくなるため、解約か、引き落とし口座の変更を検討することとなります。

一方で、主要メガバンクなどでは、非居住者向けのサービスも展開しています。詳しくは、口座をお持ちの銀行にお問い合わせください。

(2) 住所変更手続き

クレジットカードに登録している住所の変更についても注意しましょう。

住民票を抜いて、クレジットカードの登録住所を赴任先に変更する場合は、非居住者もカードを保持できるのか、そして郵便物は海外送付に対応しているのかどうかを、カード会社に確認する必要があります。

単身赴任などで家族が日本に残る場合は、住所変更をしなければ、そのまま家族が郵便物を受け取れるので、クレジットカードもそのまま使えます。

家族を帯同する場合も、住所を実家などに変更して、親族に郵便物を受け取ってもらうことで、引き続きカードを利用できる場合もあります。カード各社により対応が分かれるため、お持ちのクレジットカード会社に確認してください。

(3) 有効期限の更新手続き

出発前に、クレジットカードの有効期限を必ず確認しましょう。

クレジットカードは基本的に「日本に在住していること」を前提に発行されます。よって、更新の際に発行される新しいクレジットカードは日本国内にしか発送できないとしているカード会社も多いようです。

もし中国に在住している間に有効期限が切れてしまう場合は、前倒しで更新することができる場合があります。

一方で、有料の海外サポートデスクによって、赴任先で新しいカードを受け取ることができるカード会社もあります。

カード更新についても、ご自身が契約しているクレジットカード会社に確認しておくと良いでしょう。

(4) 利用明細確認のオンライン化

カード会社によっては、利用明細書やカード情報を国外へ送付できない、または送付に手数料がかかるところがあります。そうした場合に備えて、利用明細をオンラインで確認できるようにしておくと、海外からも明細が確認できて便利です。

4. クレジットカードより決済アプリ

先にも触れましたが、中国では近年すさまじいスピードでスマホのアプリ決済が普及しており、「スマートフォンさえあれば生活できる」と言われています。逆に、アプリ決済ができないと不利益を被るシーンも増えています。

決済アプリのトップ2は「支付宝(Alipay/アリペイ)」「微信支付(WeChatPay/ウィーチャットペイ)」です。ここでは、この2つの決済アプリについてご紹介します。

4-1. 支付宝(Alipay/アリペイ)

Alipayは、「中国のAmazon」とも呼ばれる大手IT企業の「アリババグループ」が提供する電子決済サービスです。2004年に中国でサービスが開始された後、ネットショッピングの拡大とともに利用者はどんどん増え、2019年には全世界のユーザー数が約10億人に達しました。

Alipayは、中国の銀行口座を持っていなくても、日本で発行されたクレジットカードを紐付けて使うことができます。アプリのインストールは日本でも可能です。インストール方法は下記の記事で解説しています。ぜひ参考にしてください。

中国赴任者が行うべき手続きとは?手続き内容と方法を解説[一覧表付]

4-2. 微信支付(WeChatPay/ウィーチャットペイ)

WeChatPayは、中国の大手IT企業「テンセント」が開発したメッセンジャーアプリ「WeChat」に付随している電子決済サービスです。WeChatは「中国版LINE」と呼ばれており、中国のみならず全世界に多くの利用者がいます。

WeChatPayも、クレジットカードに紐付けて決済できます。市場シェアはAlipayに若干負けますが、WeChat自体がビジネスシーンも含めて中国での生活に欠かせないアプリなので、併せて利用すると便利です。

Alipay同様、アプリのインストールは日本でもできますので、あらかじめインストールしておくことをおすすめします。WeChatについては下記の記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。

中国生活ではマスト!ビジネスシーンでも必須なWeChat/微信の使い方

5. まとめ

中国でのクレジットカードの位置づけと、中国へ出発する前に行うべきクレジットカード関連の手続き、そして中国で主流となっているアプリ決済について解説しました。

中国ではクレジットカードの普及率が低く、代わりにデビットカードが普及しました。中国でデビットカードといえば銀聯カードを指します。そして現在は、アプリ決済の利用がメインです。

中国で利用できるクレジットカードブランドは主に「VISA」と「Master」カードですが、利用できる場所が限定的なので、クレジットカードを使うなら「銀聯カード」を作ることをおすすめします。銀聯カードは日本在住でも取得できます。

中国へ出発する前に行うべき、手持ちのクレジットカードに関する手続きは下記の4つです。

  • 銀行口座の確認
  • 住所変更手続き
  • カードの有効期限の確認と更新
  • オンラインで利用明細を確認できるようにしておく

また、中国で生活するうえで欠かせないのが「Alipay」と「WeChatPay」の2つの決済アプリです。アプリのインストールは日本にいながらもできるので、ぜひ出発前に行いましょう。

中国へ出発する前に、今手元にあるクレジットカードに適切な手続きを行い、中国の決済事情を理解して快適な中国生活をスタートさせてください。

  • 三井住友カード「銀聯(ユニオンペイ)カードとは?特徴やメリット、作り方から利用方法まで解説」, https://www.smbc-card.com/nyukai/magazine/recommend/ginren.jsp,(閲覧日2023年11月6日)
  • JCB「海外移住したらクレジットカードはそのまま使えない?必要な手続きや注意点を解説」, https://www.jcb.co.jp/ordercard/special/working_abroad_card.html,(閲覧日2023年11月6日)
  • ゆうちょ銀行「海外に長期赴任予定ですが、ゆうちょ銀行の口座はそのまま保有してもよいですか。」, https://faq.jp-bank.japanpost.jp/faq_detail.html?id=819,(閲覧日2023年11月16日)
  • 住信SBIネット銀行「〔口座情報〕 海外に転勤することになったのですが、変更手続きはどうすればよいですか?」, https://help.netbk.co.jp/faq_detail.html?id=916,(閲覧日2023年11月16日)
  • 楽天銀行「楽天銀行口座取引規定(個人向け)」, https://www.rakuten-bank.co.jp/rules/account.html,(閲覧日2023年11月16日)
  • JETRO「WeChatペイとアリペイ、海外クレジットカードとの連携が可能に」, https://www.jetro.go.jp/biznews/2023/07/06fe7d7df33e7117.html,(閲覧日2023年11月6日)

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