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「キャリア教育」とは 小学校から「働き方」を考える取り組みの背景

「キャリア教育」とは 小学校から「働き方」を考える取り組みの背景

キャリア教育とは、子どもや若者が将来社会人・職業人として自立できるよう、必要な能力や態度を育成することです。

社会や環境の変化によって、子どもや若者たちの将来の捉え方も変わってきています。理想とする大人像が描けない、将来に希望が持てないなど、身体的な発達は早熟傾向にあるにもかかわらず、精神的・社会的自立が遅れる傾向も指摘されています。

一方で、企業は変化する社会情勢や経営環境に適応できる人材や即戦力となる人材を求めています。こうした社会の中で自らの力で生き方を選択できるよう、基盤となる能力や態度の育成を目指すのがキャリア教育です。

本稿では、キャリア教育が導入された背景や、企業がキャリア教育の支援活動をすることについて解説します。

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1. キャリア教育とは

キャリア教育は、2011年1月に行われた中央教育審議会の答申の中で「一人一人の社会的・職業的自立に向け、必要な基盤となる能力や態度を育てることを通して、キャリア発達を促す教育[1]であると定義付けられました。

「キャリア」というと、「キャリア組」「キャリア・アップ」「キャリア・ウーマン」など、いわゆる「勝ち組」を象徴するような言葉を思い浮かべるかもしれません。

しかし、「キャリア(career)」には、「生涯、経歴、履歴、職業、生涯の仕事」など広い意味があり、キャリア教育の本質は「児童生徒の社会的自立を促進し、自立性や主体性を重視した教育」です。進路に優劣を付けたり、勝ち負けを競ったりするものではありません。

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2. キャリア教育が導入された背景

なぜ、学校教育にキャリア教育が導入されるようになったのでしょうか。その背景には、以下のような社会情勢が関係しています。

産業構造の変化と労働人口の減少

情報通信技術や人工知能が大幅に進化し、製造業より非製造業が盛んになるなど産業構造も大きく変わりました。また少子高齢化が深刻化する中で、労働人口の減少も産業構造に大きな影響を与えています。

仕事の質の変化

ITの発展などにより、業務の機械化が進んでいます。そのため、仕事においてより高度なスキル・技術が求められるようになりました。

若年層で高い離職率

入職後3年以内の離職率は、大学の新卒者で3割ほど、高校や中学の新卒者の場合は割合がさらに増加します。中には、入職後1年以内に離職するケースもあり、早期退職が課題とされています。

若年無業者の存在

若年無業者とは、「15~34歳の非労働力人口のうち、家事も通学もしていない者」を指します。その人数は、2002年以降60万以上で高止まりしているのが現状です。


3. 企業がキャリア教育を支援するメリット

学校と連携し、子どもや若者へのキャリア教育を支援している企業もあります。例えば、以下のような取り組み例があります。

・職場見学、工場見学
・仕事体験、職場体験
・学校への講師派遣(従業員を学校に派遣して仕事内容を紹介する)
・イベントの実施

企業がキャリア教育を支援するメリットとしては、以下のものが挙げられます。

地域社会とのつながりが持てる

支援活動を通じて地域の人々と関わることができます。

企業の知名度やイメージの向上

社会に貢献している企業として、知名度やイメージの向上が期待できます。

若者たちの意識や実態を把握できる機会になる

高校生や大学生といった就職を控えた世代の考え方や意識を直接知ることができるため、採用時のミスマッチや離職の防止に役立ちます。

従業員の意識向上

仕事を教えることを通じて、従業員自身が仕事への理解を深め、新たな気付きを得たり、意欲の向上につながったりすることが期待できます。

子どもたちへの教育なので直接的な人材採用にはつながらないものの、長期的視点で考えれば企業を含め社会全体でメリットを得られるといえるでしょう。

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4. まとめ

キャリア教育とは、子どもや若者が社会人・職業人として自立できるよう、必要な能力や態度を育成することによってキャリアの発達を促す教育のことです。

キャリア教育が学校教育に導入される背景として、以下のことが考えられます。

・産業構造の変化と労働人口の減少
・仕事の質の変化
・若年層で高い離職率
・若年無業者の存在

企業がキャリア教育を支援するメリットには、以下が挙げられます。

・地域社会とのつながりが持てる
・企業の知名度やイメージの向上
・若者たちの意識や実態を把握できる機会になる
・従業員の意識向上

学校と企業が連携してキャリア教育をすれば、企業が求める資質や能力などを低年齢から段階的に教えていくことが可能です。結果として、採用時のミスマッチを防いだり、離職率を下げたりすることにもつながるでしょう。

[1] 文部科学省「第1章 キャリア教育とは何か」,P14,https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2011/06/16/1306818_04.pdf

参考)
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2011/06/16/1306818_04.pdf
http://www.human-edu.jp/careeredu
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11800000-Shokugyounouryokukaihatsukyoku/h24text-02.pdf
https://ci.nii.ac.jp/els/contentscinii_20180425124632.pdf?id=ART0010250884
http://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/career-education/index.html

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